仮面ライダーののBLACKRX

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315ナナシマン
 雪崩を打って襲いかかる戦闘員達を次々とたたきのめす3人ライダー。パンチ
キックが空を切り、襲い来る悪の使者は片っ端からなぎ倒されていく。その様子を
苦々しく見ていた原始タイガーは、戦闘員達に見切りをつけるやライダー達の眼前
にまたも地獄の業火を放つ。燃え上がる火柱はそこに手下であるはずの戦闘員が
生き残っていようともお構いなし。3人ライダーの身長を超える炎が逆巻き
立ちはだかる。

 「見るがよい、これがわらわの奥の手じゃ」

 「気をつけろ!あの虎の怪人がまた何かしてくるぞ!!」

V3の言葉に頷くダブルライダー。そしてV3の予感していたとおり、原始タイガー
が動き出した。自ら燃えさかる炎の中に飛び込むと、次の瞬間炎の壁を突き破って
現れたのは巨大な牙、それも猛スピードで走る「牙」だ。その牙こそ、原始タイガー
版ライダーマシンとも言うべき彼女のバイクなのだ。

 「ヒャッヒャッヒャッ!マシンは何もお前達だけのものではないぞぇ!!」

響き渡る爆音とともに疾走する牙マシン。原始タイガーはあろう事か味方である
はずの戦闘員までも豪快にはねとばして3人ライダーに迫る。強烈な体当たりを
紙一重の差でかわしたライダーに対し、器用にアクセルターンを決めた原始タイガー
は再度の攻撃を試みようと爆音をとどろかせる。砂埃を上げてスピンするタイヤが
悲鳴にも似た音を立てる。

 「逃げてばかりではわらわには勝てぬぞえ?」
316ナナシマン:04/04/21 00:09 ID:1uEPOQJl
 原始タイガーは再び炎を吐いてライダーを責め立てる。炎をかわしたと思ったら
その直後には牙マシンの突撃が襲い、3人は原始タイガーに対してやや劣勢に
立たされていた。

 「なかなか手強いやっちゃ・・・こうなったら!」

 「奥の手を使うれす!」 

 「よし!『ライダートリプルパワー』だ!!」

爆風を手で避けつつライダーあいは信号電波でサイクロンを呼び寄せる。その姿を
見たライダーののも同じように信号電波でサイクロンを呼び、ダブルライダーが
駆る2台のサイクロンは自動操縦で疾走してきた。ダブルライダーとV3は、
スピードを増すサイクロンに身を躍らせて飛び乗る。ダブルライダーを乗せて並列
して走るサイクロンの上に、まるで曲乗りでもするかのようにV3が着地すると
いよいよ3人ライダーのパワーは高速回転する風車とともに最大出力を発揮する。

 「何をする気じゃ・・・よせ、よさぬかぁぁぁ!!」

牙マシンを急速ターンさせて逃走を試みる原始タイガーだったが、3人ライダーの
スピードは容易く怪人を捕らえた。

 「ライダー、トリプルパワー!!」

あわせた心が三位一体の闘志となって怪人に襲いかかる。もはや原始タイガーにこの
攻撃から逃れる術はなく、マシンもろとも大爆発した。
317ナナシマン:04/04/21 00:10 ID:1uEPOQJl
 トリプルパワーで怪人を撃破し、スピードを徐々に落とした3人ライダー。直後
3人の背後に再び火柱が燃え上がり、それはやがて人の形を成した。原始タイガー、
魔女スミロドーン最後の悪あがきか。

 「わらわの命の火は消える。その前に、お前達に面白いことを教えよう」

スミロドーンの言葉に3人ライダーはゆっくりと振り返り答えた。

 「奴らが何を企んでいるのか、教えて貰おうか!!」

V3の言葉にスミロドーンは息も絶え絶えになりながら答えた。彼女の口から語られた
のは、ヨロイ軍団の恐るべき企みだった。

 「わらわの役目はお前達を足止めし、プルトンロケットをゼティマ基地から発射基地の
蠍谷に移送する時間を稼ぐ事じゃ・・・今頃ヨロイ元帥は、無事ロケットを運び終えた
事じゃろう。お前達の仲間も見事我らの作戦にかかったのじゃ」

 カタツブラーがコンビナートを襲ったのも、原始タイガー達がダムに毒を投入しようと
していたのも、すべてはヨロイ元帥がプルトンロケットを蠍谷に運び、発射準備を整える
ための陽動作戦だったというのだ。

 「Z作戦発動の時は近い、お前達に止める術はないわ。ゼティマに栄えあれ!」

そう言い残し天を仰ぐスミロドーン。その姿は再び燃え上がる炎の中に消え、3人ライダー
には悪の野望を語るメッセージだけが残された。原始タイガーの敗戦を見届けたカメレオン
の姿もまた、いつの間にか消失していた。