(仮面ライダー・・・忌々しいあの小娘の仲間か!!)
先ほどとはうってかわり、歯がみしながら廊下を行くヨロイ元帥。怒りを顕わに
している今の彼に語りかける者など誰もいない。気まずい空気のまま、元帥と軍団
は彼ら軍団専用の部屋へと消えていく。
「ヨロイ軍団総攻撃だ・・・ザリガーナ、貴様が陣頭指揮を執れ」
「お任せ下さい。軍団の威信に賭けて」
「全軍団員に命じよ。ライダーどもは皆殺しにして構わん・・・だが」
彼の頼る一番の部下、軍団最強のザリガーナに背を向けたまま一瞬の沈黙の後、
元帥はマントを翻して振り返ると、仮面の下の目をひん剥いて怪人に命じた。
「ミカ・トッド・・・ライダーマンだけは生かしたまま連れてこい!俺が
この手で八つ裂きにしてくれる!!」
狂気じみたぎらつく眼光。元帥の口から出たのは、蛇蝎のごとく忌み嫌う一人の
少女の名前。彼の前には常に彼女がいた。ミカ・トッド。かつての教え子にして、
ゼティマにおいてただ一人彼の地位を脅かした存在。不倶戴天の敵である彼女を
葬り去ることは元帥にとって悲願であると言ってよかった。首領の意に背いて
でも、時を得ることが出来た元帥は憎しみと喜びがない交ぜになったどす黒い
感情を隠さず、不気味に笑う。
「今度こそ貴様を殺す・・・この手でな!ウワーッハッハッハッ!!」
彼の笑いはまさに基地中に響き渡らんばかりだった。悪鬼ヨロイ元帥に率いられた
怪人軍団の魔手が少女達に、そして日本に迫ろうとしていた。