仮面ライダーののBLACKRX

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265ナナシマン
第56話 「悪魔のZ計画・ヨロイ軍団総攻撃!」


 世界征服を目論む悪魔達の城、ゼティマ秘密基地。そこでは今日も、世界の平和
を脅かす悪しき企みが行われている。そんな中、その悪魔達も眉をひそめる悪魔の
中の悪魔が再びこの地を訪れた。小笠原の孤島でミサイル実験を行っていた、あの
ヨロイ元帥が帰還したのである。赤銅の甲冑に身を包み、唯一仮面から覗く双眸には
邪悪な輝きと口元に悪辣な笑みをたたえて、彼は小笠原から乗ってきた潜水艦を降り
ドックへと降り立った。

 「久々に帰ってきたが、やはり我が家は格別だ・・・そうは思わんか?」

 部下であるヨロイ軍団の構成員達を引き連れて喜色満面の元帥。彼にとって、
今回の基地への帰還は言うなれば「凱旋」であった。元帥の言葉に軍団の改造人間、
カマクビガメが応えた。

 「すべては元帥閣下のご威光のたまものにございます。閣下直々にプルトン
ロケット開発の成功をお伝えすれば、首領様もさぞやお喜びのことかと」

 「首領様にお喜び頂くだけではない。組織での俺の地位もますます高まるのだ。
貴様も誇るがいい、ゼーティマ一の頭脳を持つこの俺の部下であることをな」

ドックで黙々と働いている戦闘員達を横目に、ヨロイ軍団が目指すのは総司令室。
悪の総本山、ゼティマ首領と他の幹部達が一堂に会する場所だ。元帥にとって、
自らの手柄を報告するにはもっともふさわしい場所である。まさに意気揚々、元帥
とその配下達の前に阻む者は何もないかに思われた。
266ナナシマン:04/03/31 22:18 ID:ulQ05wt8
 銀色のマントが翻ると同時に、総司令室のドアが開く。巨大な鷲のレリーフを
背に、玉座に座る悪魔元帥と彼を囲む四人の幕僚、そして死神博士やゾル大佐ら
幹部達が一同に会する中、彼らがもっとも忌み嫌う男が、彼らの考え得る最大の
戦果をひっさげて現れた。ヨロイ元帥と彼の配下達が次々と司令室に足を踏み入れる
と、幹部達の視線が元帥達に集中する。それの視線の本質が羨望なのか侮蔑なのか
それは元帥には判らなかった・・・というより、今の元帥にとって彼に注がれる
視線が後者であるはずはないのだ。周囲を見渡して得意げな表情を見せるヨロイ元帥
は、悪魔元帥と対峙して開口一番こう言い放った。

 「聞け、悪魔元帥。俺は今ここに、我らの悲願である世界征服を達成する必勝の
策を携えて帰ってきた。プルトンロケット開発、成功のうちに完結したぞ」

 「ほう・・・それは目出度いことだ。小笠原からご苦労であった」

 「フン!俺の労をねぎらうのは貴様ではない、悪魔元帥」

悪魔元帥の冷ややかな視線を意にも介さず、ヨロイ元帥はいよいよ絶好調といった
風で首領に計画の成功を報告した。
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 「偉大なるゼーティマ首領様。このヨロイ元帥、ついにプルトンロケットの開発に
成功いたしました。つきましてはかねてより上申しておりました『Z計画』の許可を
頂きたいと存じます・・・」

恭しく一礼した後、口から飛び出すのは露骨な自己賛辞の数々。辟易した表情を
浮かべる幹部達の事など、彼の視界には全く入っていない様子だ。とその時、鷲の
レリーフの胸元が妖しく光る。それを見た幹部達が一礼すると、地の底から響く
ような何者かの声がどこからともなく聞こえてきた。

 『プルトンロケットの開発ご苦労であった、ヨロイ元帥。この秘密兵器が我々の
目的をまた一歩前進させるだろう』

実験成功の労をねぎらう首領の言葉に、ヨロイ元帥は笑みを浮かべて一礼する。この
様子を他の幹部達は苦々しげに見ていた。首領の言葉はさらに続く。

 『しかしヨロイ元帥、計画の実行についてはまだ時期尚早と考える』

 「・・・?!」

Z計画上申の却下、それは元帥にとって意外としか言いようのない言葉だった。