続きです。
一方斉藤達は・・・・
「邪魔するよ!」
紫龍会と書かれた事務所らしき建物に乗り込むなり斉藤が言い放つ。
突然の訪問者に中にいた人間は一瞬唖然としていた。
「なんだテメーらは?」
すぐに元気のいい連中が騒ぎ出した。
だが4人は悠然と歩き出すと部屋の奥に座っている男の前に進んで行った。
「貴方が親分さん?」
「おたくらは?」
「初めまして、ハローワーク商会の斉藤です」
「ハローワーク商会・・・・ああ、貴女が・・・で今日はどんな御用で?」
「聞かなくても解ってるでしょ?随分とナメタまねしてくれたからその御礼にね」
「はははは・・・御礼か。随分と威勢がいいな。だがいつまでそうしていられるかな?」
そう言って紫龍会親分が立ち上がった時であった。
「全員動くな!警察だ!麻薬取り締まり法違反の容疑で全員逮捕する!」
突然警察がなだれ込んで来た。
騒然とする現場に危うく斉藤達まで逮捕されそうになった時であった。
「あれ?ひょっとして斉藤さんですか?」
一人の女性が声をかけて来た。
「斉藤ですが貴女は?」
「私はFBIの石井リカです。斉藤さん達の事は稲葉から聞いています。
しかしどうしてまたこんなところに?」
「実は・・・・」
斉藤は成り行きを石井に話した。
「そうですか、では今日はお引取り下さい。こちらも特命で動いていますので
見なかった事にします。この仕事も稲葉から引き継いだ物なので
余計な仕事はこちらも増やしたくないですし・・・・」
石井はそう言うときびきびと指示を出し現場の混乱を収めると帰り支度を始めた。
「それでは皆さん、私はこれで・・・・」
石井がそう言って帰ろうとすると
「ちょっと待ってください。石井さん、お願いがあるんですけど・・・」
斉藤が石井に言う。
「何でしょう?」
「あの実は・・・私達ここ来るのにあいつらの車で来たから帰りの足がなくて・・・」
「ちょっとボス・・・図々しいよ・・・」
斉藤の言葉に矢口が慌てて止める。
その様子を見ていた石井は薄笑いを浮かべると頷いた。
「良いですよ。ご自宅まで送ります。乗ってください」
石井はそう言うと一台のミニバンを指差した。
全員が乗り込むと石井は車を発進させる。
「どうもすみません無理言っちゃって・・・」
「良いですよ。それに皆さんともお話したかったし。
えーっと、今ここにいるのは・・斉藤さん、矢口さん、保田さんで合ってます?」
「はい」
「そちらの男性は?」
「弁慶と申します」
「ああ、弁慶さんですか。貴方の事も稲葉から聞いてます。
で、いきなり本題なんですけど、あの紫龍会はぶっちゃけると
ゼティマとの繋がりがあります。で稲葉さんにその事を連絡したら
もしかしたらあなた達とハチあわせるかも知れないからって・・・
まさか本当にいるなんて思っていなかったからびっくりしましたよ」
石井の話によく訳が解らないまま頷く4人。
「石井さんも、ゼティマを追ってるんですか?」
「いえ、私は麻薬専門です。ただその追ってる麻薬組織が
ゼティマと絡んでいる事が多くて・・・元々稲葉さんも私の先輩で
一緒に仕事してたので色々と情報交換はしてるんですよ」
「そうだったんですか・・・・じゃあおいら達の事も・・・・」
「はい、聞いています。どんな事情があるのかもね。
でも心配しないで下さい。その事を知っているのは
稲葉さん達のチームと私を含めて数人です」
「そうですか。それを聞いて安心しました」
「稲葉さんもそうですけど、私だって皆さんは同じ仲間だと思っています。
勿論同等の立場の人間としてです」
石井に言葉に矢口が少し表情を歪める。
「勘違いしないで下さい。私だって奴らの為に
多くの仲間や友人を失っています。だから皆さんと同じなんです」
そう言う石井の言葉に矢口の表情が元に戻った。
ここにもう一人辛い思いをした仲間がいる事が解ったからだ。
「ごめんなさい、おいらまた・・・・」
「いえ、私の言い方も悪かったみたいですね。ごめんなさい」
そうこうしているうちに車はハローワーク商会にたどり着いた。
「ありがとうございました。本当に助かりました」
「いえ、私も皆さんにお会いできて良かったです。
本当・・・稲葉から聞いていた通りの人達で・・・・
では、またいつかお会いする事もあるでしょうからそれまでお元気で・・・」
「はい、石井さんも・・・」
そう言うと石井は帰って行った。4人はそれを見えなくなるまで見送る。
「今の誰?」
斉藤達が帰ってきたのが解った大谷が外に出てきた。
「新しい仲間だよ」
「は?」
「稲葉さんの後輩だって・・・」
「ふーん・・・・」
斉藤の言葉に大谷はただそう言うだけであった。
一瞬見ただけであったが大谷も何か感じ取ったのだろうか?
それ以上は聞こうとはしなかった。
同じ悲しみを持つ者同士が共に戦う。
今の彼女達にはそれだけで充分なのかもしれない。
いんたーみっしょん
【戦え!ペット探偵!】
終わり