47 :
えっと:
今回ちょっとチャレンジをしてみました。
主人公と石川、視点が何度か入れ替わりますので、
☆=主人公
★=石川
名前の欄につけますので、よろしくお願いします。
3. fever
「頭痛・・・・・。」
朝起きると、身体がだるい事に気がついた。額に手を当ててみる。
・・・熱いかもしれない。何とか起き上がると、体温計を探した。
「あれ?ここに入れてたはずなんだけどな〜・・・。」
棚を開けて探してみるもなかなか見つからない。
「捜し物は何ですか〜♪」
聞きなれた声が聞こえてきた。
「体温計。」
「見つけにくいものですか〜♪」
その声は尚も歌い続ける。
「だから体温計だって。」
振り返ると、やはり石川が歌っていた。もう勝手に家に上がられることは諦めた。
でも今日はあまり来て欲しくなかった・・・。
「たんすの中も 棚の中も 探したけれど見つからないのよ♪」
石川はその手に体温計をかざして見せた。
「何で持ってんの?!」
声を張り上げてツッコミを入れると、頭に激痛が走った。
「頭痛―・・・。」
「38度7分。」
結構な高熱だった。これではバイトは出来そうにない。
俺はとりあえず言った。
「ちょっと2日はバイト、相談だけにして欲しいんだけど・・・。動き回るのは勘弁。」
そもそも電話相談なんだし当たり前と言ったら当たり前だが、最近は色々な場所に動き回るのが中心だったから
一応釘を刺しておきたかった。石川は言った。
「じゃああたしが全部相談受けておくよ!」
「やめとけ。」
薄れ行く意識の中、俺は必死に説得をした。30分話すと、石川はどうやら分かってくれたらしく、
「はーい。」
とだけ言った。
「じゃあ看病してあげる!!」
石川が言った瞬間、全身が激しい悪寒に襲われたのは、おそらく気のせいではない。
「や・・・。」
俺はそのまま倒れた。
「ほらぁ、介抱してあげるから。」
石川は俺を死体のようにベッドまで引きずり、布団をかぶせた。
「ありがと・・・・。」
「じゃあちょっと、料理作ってくる。」
その分には問題ない。俺が教えたんだからある程度は大丈夫なはず。
50 :
☆気合☆:04/02/12 23:20 ID:JTx+udE/
台所まで来ると、石川は自分の身体の異変に気がついた。
「あれ・・・?」
石川は額に手を当ててみた。どうやら熱があるみたいだ。
でも看病するって言ったからにはやらなくてはならない。
「よしっ・・・。」
石川は気合を入れ直して料理を作ることにした。何を作ろうかな・・・。
そうだ!卵酒なんか熱のときはいいよね。えっと、お酒と、卵と、砂糖と・・・。
あった。
「はくしゅん!!」
あぁ〜、辛いな〜・・・。
ここで1回話を戻す。それは前々日のこと・・・。
51 :
えっと:04/02/12 23:22 ID:JTx+udE/
なんか自分で見てて色の差が分からない(汗)
>>50は★です。変えた方がいいな・・・。
☆=主人公
※=石川
にします。すみませぬ。
「はっくしゅん!!」
阿倍の大きなくしゃみに俺は言った。
「なっち大丈夫?」
この日の俺の仕事は買い物の荷物運びだった。しかも安倍が、
「明日買い物に行くんだけれど、荷物持ちいるから誰か行く人〜。」
と挙手したため人数が増えた。相変わらず拒否権のなさに泣きたくなる。
その分確かに貰ってはいるけれど、使う時間もあまり与えられていないだけに、むなしかった。
「うん、大丈夫だべ。風邪流行ってるから気をつけないとね。」
笑顔で返してくれる安倍。更に横にいる高橋が言った。
「そう言ってる安倍さんが一番危ないんですよ?」
独特の喋りで軽くジャブ。
「もう、そんなこと言って。」
先日卒業したばかりでも、全然付き合いが変わらないのはいい事だと思う。
まあ同じマンションに住んでいるのだからある意味当たり前なのだけれど。
「これ持って〜。」
吉澤から2袋追加。とうとう持ちきれず肩にもかけた。
「おぉ、かっけー。」
何が?止めを刺すように石川も2袋。
軽く寒い風が肌に当たる。今日は大分寒い。風を受けて、
安倍がまたくしゃみをした。
「はくしゅん!!」
「本当に大丈夫ですか〜?」
吉澤が安倍の顔を覗き込む。
「うん大丈・・はくしゅん!!」
「うわ!!」
吉澤は慌ててハンカチを取り出し顔を拭いた。
二人はそのときの寒さと安倍のくしゃみから感染したことに、
全く気がついていない。当の安倍は既に元気に復活しているわけだが。
「あ〜・・・砂糖入れすぎた・・・。」
石川は考えた。・・・よし。
「卵酒作ったよ〜。」
石川の声が聞こえて俺は目を開けた。石川は机の横の椅子に座って
俺を優しい笑顔で見ていた。
「ほら。」
「え・・・・。りかっち?卵酒って普通、コップに入れて飲むよね?」
俺は卵酒が収納されている容器に目をやった。
「で、でも、たくさん飲んだ方が、効くかな〜って・・・・。ごめんなさい。」
珍しく謝られて俺は少し困ってしまった。
「卵何個使った?」
「4個。」
「4個?!」
俺の声にビクッと身体を震わす石川。
「ごめん、大声出して。じゃあ、飲むよ。」
俺はなんとか立ち上がり、スープを入れるボウル(巨大)に入った卵酒を、
スプーンを使って、ゆっくりと飲みだした。
「うん、美味しい。」
石川はそう言われると笑顔で頷いた。
「(佐藤の帳尻あわせで卵4個も入れたけど、美味しいならまあいいか。)」
石川はそんなことを考えていた。
「(これ甘いな〜。りかっちってこんなに甘党だったっけ?)」
俺はそんなこと口に出せずに飲み続けた。全部飲み干すと、
「ありがとう。じゃあまた寝るわ。」
と言って俺は布団に入り、目をつぶった。
「あ、耳栓いる?」
石川に言われ、目を開ける。
「ありがと。」
俺は耳栓を入れると、また目をつぶり、そのまま眠りに落ちた。
「(熱冷まシートとかないかな?)」
石川はふらふらと部屋を出て冷蔵庫を探し始めた。しかし見つかる気配はない。
「・・・これでいっか。」
湿布しかなかったけど、無いよりマシだろう。
石川は部屋に戻り、彼の額に湿布を貼り付けた。説明が気を全く読まずに。
「・・・あたしも貼ろうっと。」
ペタッ。
「気持ちいい〜・・・。」
とりあえず一休み。普段向こうには仕事じゃないところでもお世話になってるんだから、
たまには恩返ししないと。石川は次に自分が何をすべきか考えた。・・・・・・よし。
「掃除しよう!!」
確か押入れに入ってたはず・・・。石川は押入れを開いた。
「うっ・・・。」
奥のほうに入っていて、なかなか取り出せない。石川は渾身の力を振り絞った。
ガン!!!!
ガシャン!!
掃除機を取り出せたはいいが、飛び出した掃除機を抑えきれず、反対側の壁に激突。
壁にかけられていた皿は音を立てて崩れた。
「あぁ・・・・。」
石川は血の気がひいた気がした。不幸中の幸いと言えば、彼は耳栓をしているので音が聞こえていないことか。
とりあえずどうにかしなくちゃ・・・。
ウィーン・・・。ガリガリッ。
若干嫌な音もしたが、これくらいしか処理方法が思いつかなかった。そのうち同じ皿買ってくれば一応問題はないだろう。
慎重に掃除を終えて時間を見てみると、もうお昼を回っていた。熱があるときは食欲もわかないけれど、何か食べさせないと。
えっと、病気のときの食べ物と言えば・・・。なんて名前だっけ?えっと『ぞう・・・』あ、あれだ!!
石川は彼に貰ったレシピを調べた。
・・・あった♪
スポッ。
「お昼ご飯出来たよ〜。」
耳栓を抜かれた弾みで目が覚めた。しかしまだ頭が痛い。あれ、おでこに冷えピタが・・・。
ありがたいな、買ってきてくれたのか。
「お昼ご飯?」
「うん。」
石川に連れられ、なんとか食卓へとたどり着く。
「何これ?」
目の前の料理に対して俺は質問を聞かずにいられなかった。
「お雑煮♪」
「・・・嫌がらせ?」
「えぇ?!なんでよぉ!!病気のときは食べなきゃ!!」
「いや、それ雑煮じゃなくて雑炊じゃ・・・。」
「あんま変わらないよ〜。」
「変わるよ!!まぁいいや、せっかくだしいただきます。」
卵酒の件もあるし、俺は石川を傷つける前に食べる事に決めた。少しずつ食べてゆくと、
石川と目が合った。
「食べる?」
俺が訪ねると、
「・・・うん。」
石川は静かに食べだした。あれ?石川のおでこにも冷えピタが?俺がじっと見ていると、
石川はこっちの視線に気がつき、食べるのを止めた。そして一言、
「じゃあ何かあったら言ってね。お薬置いておくから。」
と言って部屋から出て行った。
俺はお雑煮を食べれるだけ口にし、薬を飲むと、再び眠りについた。
しばらくして目が覚めると、身体が少し軽くなっているのに気がついた。薬が効いているのだろうか。
身体を伸ばし、一息つく。首を軽く回すと、とりあえず起き上がり、リビングへと移動した。リビングに来る途中、
俺は声を出した。
「りかっち、なんか大分よくなったみた・・・・い?」
リビングを見渡すと、石川がソファで少し苦しそうに寝ていた。俺は素早く直感し、冷えピタをはがし、
普段は押入れの奥にある氷枕を取り出した。氷を入れタオルを巻き、石川の頭をそっと持ち上げると、
その間に枕を入れた。そして毛布をかけてあげると、俺は静かに一言、つぶやいた。
「ありがとう・・・。」
57 :
※梨華姫※:04/02/12 23:34 ID:JTx+udE/
「・・・・・?」
石川は、どうやら自分が寝てしまっていた事に気がついた。よく見ると毛布がかけられている。
あれ?あたしこんなの敷いた覚えないけど・・・。ボーっとしていると、台所から音が聞こえて来た。
そっちに視線を移すと、彼が何か料理を作っていた。視線を感じたのか、彼はこっちを見て、言った。
「あ、起きた?俺はもう熱下がったみたいだから、お雑炊、作ってやるよ。」
ニコッと笑う。石川も微笑み返した。また世話になっちゃったな〜。
「ほいっ、出来たぞ。」
食卓に並べられたそれは、当たり前だけど雑煮とは全然違うものだった。
「美味しい。さすがだね。」
石川がそう言うと、彼は静かに言った。
「どうも。」
雑炊を食べ終わると、彼は言った。
「りかっち自分の部屋で休んだ方がいいでしょ。」
「そうだね、でもちょっと動くの辛いや・・・。」
まだ身体だるいし、ここで寝ていたい。すると彼は予想外の行動に出た。
「じゃあ・・・・・こうするか。」
ひょいっ。
「キャッ!え?うそ?!」
「我慢我慢。」
でも、お姫様抱っこ?!
「大丈夫だよ、歩ける!」
なんだか恥ずかしくて、必要以上に拒んでしまっている。でも彼は言った。
「さっきは動くの辛いって言ってたじゃん。」
彼は軽い荷物を運ぶようにスタスタと玄関まで歩き、ドアを開けた。
「靴はあとでね。」
部屋の前に着いたところで、石川は彼に鍵を渡した。
ガチャッ。
「この部屋入ったの久々だな〜。」
いつも向こうが来てばっかりだし。俺は石川の部屋と思われる場所に入ると、
ベッドにそっと石川を降ろした。
「じゃあ氷枕と靴持ってくる。」
氷枕と靴を持って家に入り、部屋に入ったとき、石川は静かに寝息を立てて寝ていた。
可愛い寝顔だった。
「姫、氷枕でございます。」
俺はそう呟くと石川の頭と枕の間に氷枕を置いた。全ての作業を終えると、俺はベッドの横に座り、
ふーっと息をついた。今日は大変だったな。てか俺治ったのかな?どうも薬の効果で一時的に熱が下がっているだけのような・・・。
うっ。
「頭痛―。」
部屋帰って寝なおすか。俺が立ち上がったとき、石川は俺の手を掴んだ。
「もうちょっと、もうちょっとだけ・・・。ここにいて?」
まだ起きてたのか。石川にそう言われて断れるはずがなかった。俺は少しどきどきしながら言った。
「・・・・・うん。」
数日後・・・。
「なんか掃除機最近調子悪いなぁ。」
俺が呟くと、石川は突然焦った。
「え?!そ、そんなことないんじゃないの?!」
テンパってて面白かったので、さっきから言いたかった事を言う事にした。
「あの〜、りかっち?俺のおでこに貼ったの冷えピタクールじゃなかったの?」
包帯の巻かれたおでこを摩る俺を見て、石川もおでこを摩る。
「あれしかなかったの〜。」
「おでこがヒリヒリする・・・。なんか色おかしくなったし・・・。」
「あたしも・・・メイク重ねまくり・・・。」
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貼付部を紫外線にあてると光線過敏症を起こす事があります。
(1)戸外に出るときは天候にかかわらず、濃い色の衣服、サポーター等を着用し、
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二人に幸あれ
続く