もろたーー!!

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3973話
第3話「Masked・・・」
 「何ここ?」
 開けた土地。崖までついている。でもすぐそばに作り物の海。
 まるで映画のセットのような風景(と、紺野なら例えて中澤に
 怒られるだろう)に、安倍達はただ呆然とした。
 「なんか滅茶苦茶な場所。」
 藤本がきょろきょろと辺りを見回す。
 「ここ、本当に城内れすか?」
 辻の疑問を、小川が解消する。
 「実際の城はもっと奥。その周りを、所謂『鬼神』達の好きなように
 いじられてる。」
 『鬼神』とは国営軍の主戦力達の略称。一部以外名前しか知らないため、
 一体どんな能力を持っているのか分からない。ここには一体誰がいるのか・・・。
 「お前ら!!待て!!ていうかずっと待ってた!」
 4人は声をかけられて、振り返った。そこには、二人の男、40代くらいの男と、
 20くらい?の青年が立っていた。
 「ワカゾー、なんか言ってやれ。」
 片方の男に言われ、ワカゾーと呼ばれた男は言った。
 「お、お前達の墓場はここだ!!」
 「芸人には用はないべ。」
 安倍を先頭にスタスタと歩き出す4人。
 「おい!なんだよそれ!俺ら『鬼神』だぞ?!一応!!」
 「え?」
 4人はそう聞くと表情を変えて振り返った。
3983話:04/03/27 18:06 ID:WqxOvZiA
  この、100%芸人の空気を出している二人が、『鬼神』?もしかして、
 国営軍ってたいした事ないんじゃないの?と思わざるをえないオーラを、
 二人は発していた。
 「俺は木梨憲武。」
 「ハロプロ関係ないじゃん。」
 「美貴ちゃん!そう言うこと言ってるとあさ美ちゃんになる!!」
 小川が慌ててツッコむ。でも木梨は構わず乗ってきた。
 「今回はハロプロっていうより、『う○ばん』だから。」
 「えぇ?!」
 「驚いちゃダメだべさ!!驚いたら負けだべ!『うた○ん』って言葉に
 反応しちゃだめだべさ!!」
 安倍の説得に3人はなんとか持ち直した。
 「あ、でもそれだとしても『月の子』の片割れは関係ないのれす。」
 「リンク飛び飛びみたいなもんでしょ。」
 「あ〜もう小川まで!!もうどうでもいいから戦うべさ!!」
 「よし、じゃあワカゾー!変身だ!」
3993話:04/03/27 18:07 ID:WqxOvZiA
 「僕当時の記憶ほとんどないんですけど・・・。」
 ワカゾーは困った顔をして呟いた。
 「何?!そう言うこと言ってる場合か?!行くぞ!!」
 「あの・・・大体俺ノリダーがカプセル投げて初めて出てくるから・・・
 それに服小さすぎて着れません。」
 「う〜ん、それも逆にピンポンだな。じゃあ俺が一人でやる!」
 憲武の腰に変身ベルトが現れる。
 「カ〜イワレ巻き巻きぃ♪」
 変なポーズを取り出す憲武。
 バキッ!ドゴ!!グシャッ!!
 変身中容赦なく殴り続ける辻と小川の格闘系召喚獣イノキング。
 「ネーギトロ巻き巻き〜♪」
 尚も続く攻撃。戦う前にして既にボロボロの憲武。
 「巻いて巻いて〜♪手巻き寿司〜♪」
 「だからどうしたのれす!!!」
 斧を思い切り横に振る。
 「あとう!!」
 斧が当たる前に憲武は空高く飛び上がった。ベルトの中心の赤い円が
 高速回転する。憲武の姿は見る見るうちに変化していった。
 「!!」
4003話:04/03/27 18:08 ID:WqxOvZiA
  憲武、いや仮面ノリダーが崖の上に着地すると、4人は爆笑した。
 「笑うなそこ!!!ノリダー・・・フェスティボー!!」
 ノリダーは左右二本ずつの指を額に合わせると、そこからビームが飛び出した。
 「うそぉぉぉ?!」
 安倍と藤本はなんとか攻撃をかわした。それとは対照的に辻と小川、 
 並びにイノキングは見事餌食になった。
 「うわ!!!」
 「ノリダーカーニボー!!」
 今度は手をスペシウム光線の構えでスペシウム光線のようなビームを放って
 きた。今度は安倍と藤本が食らった。
 「攻撃する暇ないよ!!!」
 藤本が剣を取り出すも近づけない。安倍は槍を構えるとダッシュで
 ノリダーの眼前まで飛んだ。
 「ノリダー・・・投げ。」ノリダーは安倍をキャッチすると言った。
 「え?!あ!!うそだべ〜!!!!!」
 名前の通り、安倍は崖の下へと投げられた。
 ドン!!!
4013話:04/03/27 18:10 ID:WqxOvZiA
 「安倍さん大丈夫ですか〜?!」 
 小川が下へと召喚獣に乗って降りた。藤本と辻は飛び降りて着地する。
 「痛たたたた・・・。めちゃめちゃだべさ!あいつ。」
 「そりゃどうも。」
 ノリダーは既に下へ来ていた。物騒な武器の後ろに立って。
 「ノリダーキャノン砲!!」
 ドン!!!
 またしてもそのまんま、キャノン砲を至近距離でぶっ放した。全員4方向に
 散らばる。砲弾は崖の根元と激突し、激しく弾けた。
 「なんなんだよあれ!!」
 藤本がキレかかる。
 「なんでもありだね。」
 小川が呆れたような顔をしてつぶやく。ノリダーは今度はどこからか
 はしごを取り出した。
 「ノリダーはしご!!」
 スポッ。
 「え?」
 4人は見事にはしごの隙間にすっぽりと入れられた。
 「とりゃ。」
 こける4人。
 「え?それだけ?」
 安倍が言うと、
 「悪いか!!」
 ノリダー逆上。ノリダーは構えると、叫んだ。
 「ノリダー西武警察!!!」
 ノリダーがそう叫ぶと、辺りはいきなり大爆発を起こした。
 「うわ!!!!」
 全員バラバラに吹き飛んだ。
4023話:04/03/27 18:11 ID:WqxOvZiA
 「痛―い・・・。」
 藤本は作り物の海の近くまで吹き飛ばされていた。剣を使い、なんとか
 立ち上がる。本当に目茶目茶だ。あんなふざけてて、強い。最悪にタチが
 悪かった。
 「ノリダー・・・・。」
 気づくとノリダーは既に藤本の目の前にいた。
 「え?!」
 藤本はノリダーにひょいっと、お姫様抱っこされた。
 「海に落ちなさい!!」
 「いや〜!!!!」
 ザップーン!!!
 藤本は無残にも海へと落とされた。さっきの爆発での傷が凄く滲みる。
 なんとか浮き上がると、砂浜めがけて泳ぎ出した。・・・寒い。
 何やってんだろう、と自らに疑問を投げかけたくなったが、とりあえず
 今は這い上がって目の前の敵を倒す事のほうが先決だった。
 「絶対倒す!!」
 海から出ると、藤本は走り出した。しかし体が重く、すぐに一回倒れた。
4033話:04/03/27 18:15 ID:WqxOvZiA
 「む・・・どこへ行った?」
 ノリダーは辺りを見回したが、4人の姿は見当たらなかった。ここに来て
 広すぎるエリアが仇となったようだ。
 「なら、ノリダー・・・・・地震!!!」
 ノリダーが技を発すると、辺りは突然強い地震に襲われた。
 「うわ!!!」
 木から辻が落下する。
 「そこか!!」
 ノリダーは辻に向かって駆け出した。しかしすぐに転倒する。
 「うわ!!地震でフラフラする!!」
 ノリダー自滅。倒れているノリダーを横目に、小川は飛行用の召喚獣に
 乗って辻を回収した。既に安倍と藤本も乗せてある。4人はそのまま
 崖の上に再び上がった。
 「どうするべか?何もかも滅茶苦茶だべ、あいつ。」
 「とりあえず、ありったけの技ぶち込みましょう。」
 藤本が言うと、3人は同意した。
 「でも効果的にやらないと、あんだけ技があると簡単に防がれそうですよ。」
 「じゃあ、まこっちゃんがまず・・・・・・・でどうれすか?」
 「分かった、行って来ます!」
 小川はすぐに行動に出た。
4043話:04/03/27 18:16 ID:WqxOvZiA
 「バカ!」
 小川に言われてノリダーはすぐに振り返った。
 「なんだと?!ノリダー・・・・。」
 ノリダーが技に入る前に、小川の召喚獣達は攻撃に出ていた。ヘビの召喚獣が
 体に巻きつく。
 「何?!」
 ノリダーは成す術なくあっさりと巻きつかれてしまった。辻が斧に気を
 溜めながら、ノリダーの元へとダッシュしてゆく。
 「はぁぁぁ・・・・・!!」
 辻は斧を振り上げた。斧が光る。辻の得意技が発動される瞬間であった。
 「NON STOP!!」
 斧が振り下ろされる。その瞬間ヘビは姿を消した。ノリダーは自由の身と
 なったが、逃げる時間はもうない。
 「あ゛あ゛!!!!」
 斧はノリダーの胸部に直撃した。着弾点から鮮やかな光が辺りを包む。
 ノリダーは空中へと浮き上がった。
 「くそぉ!!ノリダー・・・ああ!!!」
 ノリダーが次の技を出す前に、魔弾がノリダーの背中を捉えた。ノリダーの
 背中は見事に凍りつく。藤本が浴びせたものだ。
 「さよならだべ。」
 そういわれてノリダーはそっちの方を向く。そして気がついた。今自分は
 確実にその声の方へと吹っ飛んでいる事に。安倍は槍のとがってない方を
 地面に突き刺し、置いた。
4053話:04/03/27 18:17 ID:WqxOvZiA
 「ちょっとむごい倒し方でしたね。」
 小川は手で目を隠しながらも確実にその姿を見ていた。見事に槍の上に
 突き刺さった遺体は、グロテスクでありながら芸術的でもある、と安倍は
 言うのだが・・・。どうも3人には惨殺死体にしか見えなかった。
 ガラ・・・・ッ。
 「あ!!」
 ワカゾーが怯えながらこっちを見ていた。その姿には戦意のカケラもない。
 「どうする?」
 安倍が3人に聞く。
 「別に殺す必要はないのれす。」
 「でもここで見逃したら後ろから攻撃、なんてことされるかも。」
 小川の意見を鵜呑みにした安倍は槍を回収して構えた。
 「ご、ごめんなさいぃ!!!」
 こいつも『鬼神』なら何かあるはず・・・。なら早いうちに手を打つべし。
 鉄は熱いうちに打て、だっけ?あれ?なんか違うべ?まあいいか。安倍は
 一気に突っ込んだ。
 「!!」
 ワカゾーはポケットから棒状の携帯食品を取り出すと、食べた。途端に 
 ワカゾーの動きが変わる。安倍の槍による3連打を、鮮やかにかわし、
 3打目が終わった所でワカゾーは槍の上に乗っかった。
4063話:04/03/27 18:18 ID:WqxOvZiA
 「はぁ・・・はぁ・・。」
 ワカゾーは息苦しそうに呼吸を繰り返すと、槍の上から降りた。やはり
 こんなでも、鬼神は鬼神だ。にしてもこのポパイのような変身っぷりは
 いかがなものか。安倍はそんなことを思いながら槍を構え直した。
 「行くべ!!!」
 安倍は槍で「斬る」から「突き」へ攻撃を転換した。
 「うわ!!!」
 かわし続けるワカゾー。後ろから辻も斧で加勢した。
 「やめてください!!!」
 全てことごとくかわすワカゾー。それにしても何故攻撃はしないのだろう?
 藤本は傍観しながら考えていた。
 「美貴ちゃんも見てばっかりじゃないで加勢してくらはい!!」
 「はいはい。」
 剣を構える。剣はすぐさま炎に包まれた。藤本は剣を上段に構え、思い切り
 振り下ろすと、火の玉がワカゾーへ向かって一直線に伸びていった。
 「ひぃ!!」
 ワカゾーは安倍と辻の連続攻撃を避けつつ、火の玉を蹴りで上へ弾き飛ばして
 しまった。その動きはまさに人知を超えた動きであった。それなのに未だに
 攻撃らしい攻撃は全くしないワカゾー。
 「なるほど・・・。」
 藤本はよーく理解すると、1対2の肉弾戦に加勢した。
 「わ?!うそ!!」
 ワカゾーは更に焦る。しかし、それでも攻撃する気は全くないようだ。
 来る攻撃来る攻撃をかわし続ける。藤本はそんな中、ワカゾーの体ではなく
 別のものに狙いを定めた。
4073話:04/03/27 18:19 ID:WqxOvZiA
 「え?」
 ワカゾーに今日初めて攻撃が当たった。ただし、ポケット。中から携帯食品が
 飛び出した。辻がすぐに手に取り、開封する。
 「あ!やめて!!」
 ワカゾーの言葉なんて、食べ物を前にした辻には聞こえない。辻はあっという間に
 全て平らげてしまった。と同時に、ワカゾーのスピードが弱まり始めた。
 そして遂に、
 ザク!!
 安倍の槍がワカゾーの腕をキャッチ。
 「う!!!」
 ワカゾーはその場で倒れこみ、転がった。腕を必死に抑え、こっちをチワワの
 ような目で見ている。
 「ようはあの食べ物を食べると一時的に素早くなれるんだけど、攻撃力は
 フツウのまんまで、ノリダーを逃がす専門の鬼神だった、ってこと?」
 小川の読みはズバリ正しかったらしく、ワカゾーはそれまで以上に怯えだした。
 「さあどうするべ?」
 安倍がひょいっと槍を持ち上げると、そのままワカゾーも宙に浮いた。
 「ゆ、許してください!!」
 目は本気で許しを求めている。戦意ゼロ。
 「じゃあ・・・、こうしよっか。」
 小川が召喚獣を出す。魔術師タイプの召喚獣。
 「何がいい?」 
 小川の問いに全員思い思いの回答をした。
 「ケーキ!」
 「カエル。」
 「犬!」
4083話:04/03/27 18:21 ID:WqxOvZiA
  結局可愛い犬で可決となり、ワカゾーは犬にされそのまま放たれた。
 「ばいばーい。」
 辻が少しだけ残念そうな顔をして手を振る。ケーキにしてどうするつもり
 だったんだ?!と誰もが思ったが口にはしなかった。
 「裕ちゃん?鬼神撃破。」
 『鬼神?なんでおんねん。誰や?』
 「ノリダーと、ワカゾーだべ。」
 『もしかして、うちらが今日ここに来る事バレてたっちゅうことはないよな?』
 「え?」
 4人は固まった。そしてノリダーの台詞を思い出していた。

 「お前ら!!待て!!ていうかずっと待ってた!」

 「鬼神は出兵してるはずなのに・・・あたし達を待ち伏せしていた?」
 藤本が呟くと、中澤は声を上げた。
 『なんでバレてんねん?!もしかして・・・いや、考えたあないことなんやけど、
 ええわ。全員に回線を繋ぐで。皆?』
 [はーい!!]
 全員の返事が聞こえる。
 『うちらの中にスパイがおる可能性がある。』
 [え?!]
 全員驚きの声を上げる。しかし中澤の推測が正しければ、一人はバレたことに
 声を上げている。中澤がここで全員に言ったのは、スパイへの牽制だった。
 誰だか分からない以上、お互いに注意を引いてほしかったのだ。
 『せやかて、お互い信頼しないんは頂けへん。あくまで可能性の話やから。』
 中澤は一応そう付け加えた。
  スパイの存在の可能性をここで匂わせた事が、後の悲劇を生む事になるとは、
 中澤は当然知る由もなかった。
 To be continued…