REVOLUTION
プロローグ
その日は星がきれいな夜で、遅刻者が出ても仕方がないほどだった。15人目の高橋が、
予定より15分ほど遅れて中澤の家に到着すると、『会議』は始まった。中澤が壁にかけられている
ホワイトボードの前に立ち、残りの14人は並べられている机に座っていた。
まるで学校で授業を受けているかのように。
「明日、軍が隣国に出兵する。せやから、明日、出兵後、突入する。」
彼女達15人は、 『革命軍』と言われていた。軍と言っても、戦いを続け、死、
裏切り等で遂に15人にまで減ってしまったが。
「明日が、最後の戦いになると思う。」
中澤の言葉に、全員真剣な顔つきで中澤を見ていた。
「ここでカタをつけへんと、もう人も時間もなんも足らへん。せやけどこの人数やし、
うちは怪我してるさかい、こんな作戦を取った。」
中澤はホワイトボードに城の図を書き込み始めた。城を書き終わると、4分割した。
「四面楚歌や。」
バンッ、と中澤はホワイトボードを叩く。それにより眠りかけていた矢口は目を覚ます。
「矢口、今うちが何言うたか言うてみ?」
「え?結婚に縁がないなぁって?」
「言うとらんわそんなこと!!!」
いつものやり取りながら、全員笑った。
「つんくの城は広い。」
中澤が言うと、紺野が反応して言った。
「東京ドーム5個分です!」
「そう言う例えはするなっちゅうねん!!」
中澤はキレのいいツッコミを放つと、気を取り直して話を進めた。
「東西南北、4つの門から攻め込む。出兵ゆうたって、少しは残ってるはずやからな、
それを分散させて倒すんや。」
「おお、裕ちゃんやるべな!で、どう分けるべか?」
安倍の問いに、中澤はホワイトボードに書き込むことで答えた。
北:飯田・吉澤・石川
南:後藤・松浦・紺野
西:矢口・保田・加護・高橋
東:安倍・辻 ・藤本・小川
「こんな感じやけど、質問はあるか?」
「「「「「はい!!!」」」」」
一斉に手が上がる。
「ほい吉澤。」
「なんでうちらの所は3人なんすか?」
「それうちも同じ質問。」
後藤が同意する。中澤は答えた。
「基本的に戦力を均等に分けたつもりや。北はまあ、
石川は置いといて二人ともごっつう強いからな。」
「ちょっと中澤さん、ひどいですよぉ〜。」
石川が反論するが、無視された。
「後藤の所も後藤がいれば大丈夫やろ。松浦もおるし。」
「あの、私は?」
紺野がちょっとだけ控えめに手を上げる。
「紺野も充分な戦力やで?」
紺野はそれを聞くと少し嬉しそうな顔をした。
「はい。」
「藤本。」
「安倍さんとタイプ被ってません?加護辺りと入れ替えた方がバランスいいと思うんですけど。」
安倍は槍を操り、藤本は魔法剣士。近いといえば近いが・・・・。とってつけたような建て前に、
中澤は説得するように説明した。
「そうすると戦力が傾くねん。」
「はーい。」
藤本はなんだか納得のいかなそうな表情をした。
「次、辻か。」
「あい、なんであいぼんとのののコンビを分けたりするのれすか?」
「遊ぶからや、次。」
淡白な対応に、辻と加護は三十路コール。しかし中澤の壁を砕く一撃で止んだ。
「はい。」
「加護、こりへんなぁ、お前。」
加護はキレかかる中澤なんか気にも留めず、真面目な顔で言った。
「おやつはどないすん?バナナは入るんか?300ゴールドまで?」
「遠足やなーーーい!!!!!」
中澤の体から闘気が浮かび上がる。
「うわぁぁぁ!!!」
全員びびって机ごと3歩、後ずさり。
「次。」
誰も手を上げ(れ)なかった。
「以上か?せや、あとは・・・通信機ぐらいか。これは明日説明すればええな。
今日はコレで解散や。皆、明日で決めるで?」
「よぉし!いつものやるぞ!」
飯田の掛け声で、全員で円を作り、手を重ねる。
「せーの。」
『行きまっしょい!!』
15人それぞれの思いを乗せて、声は夜空にこだました。