小説「ジブンのみち」 part2

このエントリーをはてなブックマークに追加
500辻っ子のお豆さん ◆nono/jetwo
「そういうこと。キミたちが100%の力を出せば、どんな相手にも負けるはずはない。
 だけど油断をして少しでも力を抜くと、ああなる。それを教えたかったのよ」
「はい、わかりました師匠」
「ずいぶんと回りくどい手ぇ使うばいね」
「口で言うより体で教えた方が覚えるでしょう。キミ達は」
「フン」
「それくらい、これから行われる計画に失敗は許されないってことよ」

一瞬、保田圭の目に蛇のような狡猾さが走った。
田中は師匠のそういう所があまり好きではなかった。

「ところで、どうして私たち二人にだけ何ですか?エリは?」

道重の口から出た名前に、保田と田中は顔をしかめる。

「さゆみ、よく考えなさい。あのエリが油断なんてする訳ないでしょう」
「激しく同意たい。それにこげな騒がしか所連れて来よっても、面倒見きれん」

二人に否定され道重は押し黙る。
すると保田が出口の方へと歩き出した。

「ちょっと師匠、どこ行くばい」
「用が済んだから帰るのよ。ほら、キミ達も」
「決勝戦は見ないんですか?」
「決勝戦?」
501辻っ子のお豆さん ◆nono/jetwo :04/04/16 23:06 ID:HC8rjA2M
保田が含み笑いを浮かべる。

「そんなものないわよ。矢口真里があの怪我で試合なんて出来る訳ないでしょ」

保田圭の言うとおり。
下の会場では藤本美貴同様、勝った矢口真里も仲間に肩を借りて退場していた。
自分一人では歩くこともままならぬ程の負傷、ものすごい激闘の証拠である。
それを見て田中と道重も、渋々保田の後に続く。

「師匠。今度は100%でやるけん、よかね」
「さゆもやりたい!」

二人の言葉に、振り向いた保田が影を帯びた笑みで応じる。

「安心なさい。存分に暴れさせてあげるわ、ンフフフ……」

それは怖いもの知らずの二人が思わず一歩身を引く程、強烈な笑みであった。
保田圭の復讐の炎がたぎる。
(安倍なつみ!今日の大会が最後の栄光だったと、いずれお前は知ることになる!)
(知ることになるのよ、オホホホホホホホ……)

誰にも悟られることなく、三つの人影は闇へと消えていった。

第21話「藤本美貴vs矢口真里」終わり
502辻っ子のお豆さん ◆nono/jetwo :04/04/16 23:08 ID:HC8rjA2M
次回予告

「おいらと辻希美。どっちに勝ってほしい?」

あの日見た夢をもう一度……いっしょに叶えよう

(ハッピー♪)

「それじゃ聞こえないよ、もぅ」

訪れる二つの結末。
次回、トーナメント編完結!!

To be continued