ごはん 5
「どどどどうしたの。二人ともぉ…。」
私が楽屋についたときに二人はもう、ものすごい剣幕でまくしたてていた。
「あぁっ!!まこっちゃん!ねぇ紺ちゃんと買い物した時なんで誘ってくれなかったの?」
「あ…あれは、その…。」
お豆のそのひと言ですべて悟った。いくら鈍感な私でも。
横目でチラッとあさ美ちゃんを見ると、バッチリ目があった。同時に肩をすくめる。
お豆はあのことを怒っているんだ。
あさ美ちゃんと2人で買い物に行った日の事を。
あの時、あさ美ちゃんとお豆は今日のように、少し雰囲気が悪かった。
…今日ほどじゃないけど。
そうゆうときってなんか、誰でも仲間にしたい気分だ。
そうゆう気持ちってわかるから、帰りにあさ美ちゃんに誘われたとき私は断らなかった。
その日、2人でお揃いのアクセサリーを買って、けどお豆には内緒ね。ってことで。
そのアクセサリーを昨日ちょうど2人ともつけてきてしまったのを、
お豆は見逃さなかったんだろう。
けどわかる、そうゆう時って絶対バレてしまうものなのだ。
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:04/02/28 15:48 ID:ekwbvHtk
「ごめんね、本当に、けどあの時あさ美ちゃんとお豆、喧嘩してたときで…。」
「なっ!なんで私だけのせいにするのぉ〜〜〜!?いいよって言ったのまこっちゃんじゃん!」
「どうせお揃いのブレスだって、賛成して買ったんでしょ?」
どうやら私は巻き込まれただけでなく、2人を敵に回したようだ。
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:04/02/28 15:48 ID:ekwbvHtk
楽屋の雰囲気は相変わらず、騒がしい。
けれど、お豆、あさ美ちゃん、そして私の周りには負のオーラが漂っている。
そんな空気を察したのか、吉澤さんが私によって来た。
「何やってんの、あんたら。」
「や〜、ちょっとした喧嘩事を…。」
「どうせ2人に巻き込まれたようなもんなんでしょ。」
「…鋭いですね〜。」
「早いとこ仲直りしちゃわないと、こうゆうのって時間がたつにつれて厳しくなるからねぇ。」
そう言って吉澤さんは、お豆とあさ美ちゃんを見つめた。
きっと意地っ張りな2人は、相手が動かなきゃ動かないだろう。
よいしょ、と重い腰をあげて2人を呼んだ。
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:04/02/28 15:49 ID:ekwbvHtk
自販機の前、2人は眉間にシワをよせている。
「ごめんね、2人とも。今度一緒のブレス買おうよ。3人でお揃いのやつ!」
「…まこっちゃん、そんなんでごまかさないで。」
「そうだよ…、なんかまこっちゃんて…誰にでもいい顔しぃってゆうか…。」
ね。と2人は声をそろえた。
こ、これは、どうしたらいいの。
「正々堂々、紺ちゃんみたいに、言ってきたわけでもなし。」
「豆のこと思って、買い物を断ったわけでもなし。」
え、えぇえええ?!
だって私はお豆に言いたいことがあるわけじゃないし!
紺ちゃんを思ってした事も、空回りってかぁ!?
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:04/02/28 15:49 ID:ekwbvHtk
2人が去ってから、私はヘナヘナと近くのベンチに腰をおろした。
気のせいか、笑い声が近づいてくる。
「クックックック。」
「…吉澤さん…。笑いたいなら笑ってくださいよ。」
「アッハッハ、サイコー!」
グッと立てた親指を、へしおってやろうかと思った。
吉澤さんはなおも笑い続ける。
そして私の肩をポンポンと叩いて、言った。
「まぁ、あの子らも、矛盾してるのに気付いてるよ。…多分。相手を思いやって
信じて待つのがあんたなら、とことん信じてやんなよ。」
と。
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:04/02/28 15:50 ID:ekwbvHtk
「まこっちゃん、ごめんね。これ…。」
「私と豆でつくったから食べて!」
次の日。
お豆とあさ美ちゃんがくれたのは私の大好きな、かぼちゃ。
かぼちゃのプリンだった。
「…これ…。」
「私のお母さんに聞いて、紺ちゃんとつくったの。」
「昨日はごめんね。」
「…うん…。」
振り向くと吉澤さんがピースをしていた。
3人で食べたかぼちゃプリンはちょっと甘すぎて、
でもそんなことも笑って、みんなぺロリと食べてしまった。