川o・-・)紺野もモー娘。卒業へ川o・-・)

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44
ご は ん  1

「なんそれ〜??」
カオリがかばんから何かをゴソゴソ取り出している。
楽屋の中はすでにランチタイム、ロケ弁のいい香りが漂っていた。
わいわいがやがや、やっぱりこの光景は学校に行っていた時を思い出す。

「あぁ、お弁当。何か今日早く目が覚めちゃってさ、いつもロケ弁じゃ体に悪い
気がするし作ってきたんだよね〜。」
「へぇ…。」
のぞきこんだお弁当は色とりどり、卵やきや、プチトマト、ご飯はおにぎりにしてある。
私は感心する。自分の持っていたロケ弁に視線を落とし、急に投げ捨てたくなった。

「卵焼き、美味しそう。」
「ふふ、ありがとう。1個食べる?」
「いいの?」
綺麗にまかれた卵焼きを食べると、お砂糖の甘さが口に広がる。
「…おいしい!」
「あは、ありがとう。」
45 :04/01/28 18:46 ID:qFcBWx2X
卵焼きを口に含みながら、手元のロケ弁に手をかける。
すると、のの、あいぼんがあまったロケ弁を手に、よって来た。
「ねぇ、りーだー、今日お弁当なの?これあまり??」
「食べてもい〜??」
のの、あいぼんはロケ弁を持って腰をふりふりねだる。
「そうだよ、食べてもいいんだけど…食べ過ぎちゃ駄目だよ。」
カオリは微笑んだ。
デビューした時がつい最近のよう、けれどカオリはこんなにお姉さんになってしまった。
ののとあいぼんは「山分けじゃ〜!」とみんなのもとへ戻ってゆく。
そしてふと気付いた。ここは一番みんなの顔がよく見える場所なんだ。

「ねぇ、カオリ、もうすっかりリーダーだよね。」
「ホント?ありがと。何かどうしたの?今日感傷的じゃない??」
そういうとカオリはセンチメンタル〜♪といきなり歌いだす。
こんなとこは変わってないよな、思わず苦笑。
46 :04/01/28 18:47 ID:qFcBWx2X
カオリは急に歌い終わって私の顔をジッと見て、言った。
「ソロってさ、楽屋一人で寂しいでしょ??」
「…?うん、まぁねぇ。」
「そうゆう時さぁ、たとえば娘。がそばにいたら、いつでもこればいいんだよ。」
カオリはそれだけゆうと、手作りのしょうが焼きを口に放り込んだ。

不意打ちだよ、そんなの。かんなり嬉しいよ。
やっぱり今日の私は感傷的だ。
「そんなん当たり前だぁよ、呼ばれてなくっても行くって〜!」
なんて言うのが精一杯、カオリはそれを聞いて大きくうなずいた。

「がんばるさ。なっちなら大丈夫だよ。」
そう言って、もう1つ卵焼きを箸でつまんで、私のお弁当のご飯の上においた。
今度は私がうなずく。多分、忘れない。
忘れないために、あと少しだけど、ここでみんなを、そしてこの光景を焼き付けよう。そう思った。

47名無し募集中。。。:04/01/28 18:47 ID:fFeWN1yp
まあたしかに、>>1のスキルじゃ会社でも戦力外だろうなぁ
48 :04/01/28 18:51 ID:qFcBWx2X
しまった!
49名無し募集中。。。 :04/01/29 20:45 ID:fiowm9+K
この子はこの子なりにいろいろな事情があって辞めるんだろう?
泣きっつらに蜂のごとく「戦力外」だなんてマスコミに向けて言うつんくはどうかと思うぞ。
50名無し募集中。。。:04/01/30 06:41 ID:IN8aYnJd
>>48
warota

ごはんいいね
51   :04/01/31 10:35 ID:Y370Pzx+
ここは現在生きているのでしょうか??
ごはんを書き続けてもいいでしょうか??
52名無し募集中。。。:04/01/31 12:16 ID:bJu7j19C
どぞー
53 :04/01/31 12:39 ID:Y370Pzx+
ありがと。続きはります
54 :04/01/31 12:39 ID:Y370Pzx+
ご は ん  2

ある日矢口さんが言った。
「よっすぃ〜、このお肉かたくない?」
「…そうですか?自分はこんくらいがちょうどいいですねぇ。」
私は返した。
この返し方が気にくわなかったらしい。
そんなこんなで元々食通気取りの私たちのバトルは始まった。

55 :04/01/31 12:40 ID:Y370Pzx+
今日配られたお弁当は中華だ、酢豚が入っている。そしてお決まり、パイナップルも入っている。
辻ちゃんが、遠くで叫んだ、「ぱいなぽー!」
カンカンカーン!
私たちの間で見えないゴングが鳴り響いた。

「よっすぃ、酢豚にパイナップルは邪道だよね。」
「そうですか?矢口さん、甘辛くてすっぱいとことかやっぱパインは欠かせないでしょう。」
「駄目だなぁ、通じゃないよね〜。舌が痩せちゃってるよ。」
「いやぁ、てゆうかもともと、酢豚があんまり好きじゃないんですよ。」
「話になんないな。」
「いや、何かくどいじゃないですか、中華。」
もちろん、中華、の続きには( )して矢口さんもね、と入れたつもりである。

何かを察知したのか、矢口さんは舌打ちをした。
見ると、部屋の隅から飯田さんが大きな瞳で睨んでいた。
カンカンカーン!一時休戦。私達は箸を置いた。
56 :04/01/31 12:40 ID:Y370Pzx+
それはハロモニの収録の時に起こった。
こんなバトルの最中に、よりによって『クイズの勝者にはご馳走が!』。
そしてまたまたよりによって私の次に矢口さんがクイズに勝利した。

「すし〜♪トロくださいな、トロトロ。」
逆隣では加護ちゃんが歌う。
出てきたトロはきらきらと、ピンク色に光っている。
カンカンカーン!ゴングはココロで鳴り響いた。

「やっぱさぁ、食べ始めは、ギョク。」
「いや、カッパですよ、カッパ。」
矢口さんは聞こえないフリをして卵を頼む、もちろん私はカッパを。
さすが廻らないお寿司屋さんだけある、旨い。
けれどバトルは始まっている。
「うまぁい♪」と、もぐもぐと隣でタマゴをほおばる矢口さんが、しょうゆを1口ごとにつけているのを見逃さない。
「しょうゆは1回だけつければ充分ですよ。」
「いや、だってオイラよっすぃみたく、1口で全部くえねぇもん。」
嫌な空気を感じとったのか、隣で加護ちゃんはしょうゆに2度付けしたトロを慌てて1口で飲み込んだ。
遠くでピンポンピンポン鳴り響く。誰か正解したらしい、でもそんなこと気にしちゃいられない、私と矢口さんは互いにケチをつけあう。
すると急に矢口さんの動きがとまった。
向かい合って言い合いをしていたので気付かなかった、
矢口さんの視線の先、私の背後には大きな瞳で睨みつける飯田さんがいた。

57 :04/01/31 12:45 ID:Y370Pzx+
ここは楽屋の外、喫煙所である。
もちろん、たばこを吸うわけではない。私たちは飯田さんに説教をくらっていた。
「楽屋で言い合ってるぶんにはいいよ、でもさ、収録中って。」
「すいまへん。」
矢口さんがおどける。飯田さんのこめかみがピクッと動いた。
「あのさぁ、食通とか食通じゃないとかさ!言い合ってご飯食べるのはいいけど、
それでおいしいわけ!?」
「「…。」」
確かにそうだ、矢口さんにケチをつけようとしてあらを探す私は、ここ最近、
お弁当を味わってない気がする。そういえば昨日は何を食べたっけ??
横を見ると、矢口さんも同じ気持ちなのか小さなからだをもっと小さくしてしょげている。
「みんながご飯食べづらそうなの気付いた?そんなくだらないことが、他の子にも影響すんの。
一応二人はお姉さん組なんだから…ちょっとは考えなきゃ。」
飯田さんはそう言って楽屋に戻った。
私と矢口さんはお互いに顔を見合せた。
58 :04/01/31 12:46 ID:Y370Pzx+
楽屋に戻るとみんなは何かを食べていた。
飯田さんはいつもの低位置でみんなと私たちの顔を見た。

「「みんなごめんっ。」」
みんながキョトンとした顔で見る。
私と矢口さんは2人して頭をさげた。

「二人とも顔あげて。」
飯田さんの隣に座っていた安倍さんが、紙袋を持ってこっちへ来た。
「そだよー。気にすんなぁぁーよっすぃ♪。」
「一緒に食べよぉ〜やぐちしゃん!」
辻ちゃん、加護ちゃんが私たちの背中をばしばし叩く。
ホッとする、思わず矢口さんの顔を見て、2人で笑った。

「ところで、それなんなの??」
「あ、あんぱんだべさ。うまぁ。」

カンカンカーン!
私たちはまた、顔を見合わせた。
「こしあんだよねぇ。」
「つぶあんだよねぇ。」

私たちの見えないゴングはもうちょっとだけ、消えそうもない。

59名無し募集中。。。:04/01/31 21:39 ID:bo374afm
ヒサブリに巡回追加したよ

>辻ちゃんが、遠くで叫んだ、「ぱいなぽー!」
>「いや、何かくどいじゃないですか、中華。」
>飯田
このへんセンスいい ニヤついちゃうぜ 
次回作期待してます
60名無し募集中。。。:04/02/01 01:27 ID:dOJRVBDC
主(ご飯)と脇(オカズ)のキャラ設定(組み合わせ)が絶妙!
こんな楽しい(おいしい)のヒサブリっす!!
次の更新(料理)も楽しみに待ってます。
61 :04/02/02 13:52 ID:FlrSVz1G
ご は ん 3

「あ、のの。」
ののが珍しく1人で歩いてました。
「梨華ちゃん、なにやってんのぉ??」
今しかない、そう思いました。

ここはあるテレビ局の前です。
収録の空き時間があったんのでののを喫茶店に連れて行くことにしました。
いつもいつも何故か年下のののに奢ってもらっている私。
今日は私がおごります、決心決心。

この間安倍さんが卒業しました。
そのとき、こう思った。何でもっとたくさん思い出を作らなかったの?!
すごく後悔しました、絶対同じ失敗はしない。
とゆうわけで、思い立ったが吉日(?)、早速ののを誘い出しました。
62 :04/02/02 13:53 ID:FlrSVz1G
「いいの?ほんとに。」
「いいわよ、もうこんなことも出来なくなっちゃうんだし。」
私がそう言うと、ののは黙ってしまいました。
安倍さんのことを思い出させてしまったのかも、
ののはメンバーの中でも一番泣きじゃくって安倍さんを困らせていた。
…失敗失敗。
「のの、ごめんね。なんでも好きなもの、食べていいからね。
こんなとこで悪いけど…。一緒のオフがないもんね。」
ののはうなずき、メニューを開いてみています。
私は先に紅茶を頼みました。遅れてののは、パフェを頼みました。
63 :04/02/02 13:54 ID:FlrSVz1G
でてきたパフェは色んなフルーツが乗ってとてもカラフルでした。
生クリームがふわふわと、フルーツを囲んでいます。
その中の一番上のクリームに乗っているチェリーを指でつまんでののはニッコリと笑いました。
「どうしたの?」
「梨華ちゃん。」
「え?」
「このさくらんぼが梨華ちゃん。」
私は最初言っている意味がわからなくて、首をかしげました。
「でね、このメロンは、なちみなの。で、このクリームは飯田しゃん。で、このコーンフレークがよっすぃ!」
「あぁ!」
やっとわかった、ののはパフェを娘。に喩えていたのです。
「あいぼんはイチゴだけど、ちょっとおっきいから少し食べちゃおう。」
「あはは。」
64 :04/02/02 13:55 ID:FlrSVz1G
そんなこんなでパフェを半分以上食べた後、ののは言いました。
「どうして今日、ご馳走してくれてるの??」
どうして?どうしてだろう。思い出がほしかったんだけど。伝わってないのかな?
「なんか、ヘンな感じだね〜。梨華ちゃんとあんまりこうやってどっか行ったりとかなかったから。」
そう言ってののは1口、アイスクリームを食べました。
「うん、だから、ののと何かしておきたいなって思ったのよ。」
「あぁ。にゃる。」
ののはみんなといないとき、驚くほどおとなしい。そして、大人っぽい。
「一緒に入ってきた、ののやあいぼんがいなくなっちゃうなんて、なんか、信じられない。」
「ののも、まだ信じられないよぉん。」
ののは言葉こそおどけていたけれど、下を向き、
スプーンでアイスをしゃくしゃくとつぶしていました。
65 :04/02/02 13:55 ID:FlrSVz1G
「この間、なちみが卒業して、思ったの。」
「何を?」
「めっちゃ悲しくて、寂しかったのに、何かもう半分くらい忘れちゃってるんだよね。」
そう言われればそうかもしれない。
偶数になって並びやすくなっても、楽屋はいつもどうり騒がしくて、
安倍さんが卒業した次の日も、変わらず仕事は続いてゆく。
「ののが卒業しても、みんな忘れてっちゃうのかなぁ…。」
「…何ゆってるのよ。バーカ!」
そう言ってもアイスをつぶす手を止めない。私には、怒っているようにも見えました。
「本当は、正直に言うと、もっと一緒に居たい。…けどやっぱそれは叶わないし、
しょうがないことだし、でも…なんて言えばいいのかな?」
ののはそう言うとおでこをぽりぽりと掻きました。私こそどうしたらいいのでしょう。
66 :04/02/02 13:56 ID:FlrSVz1G
「あ!」
「どうしたの。梨華ちゃん??」
ののがつぶしてしまったアイスを私はジョッキごと一気飲みしました。
く、くるしい。さすがにくるしい。
首にこぼれたアイスがつたい、冷たい。
ののはただおろおろして私を見つめていました。
「だ、だいじょうぶ?!どうしたのいきなり…」
「むぐむkhsg」
「????」
「ぜ、全部飲み干したから!これ、アイスを偉い人にたとえてサッ!」
ののは目を丸くして、言いました。
「梨華ちゃんありがとう、ぶぶぶっ。あはははは!」
何故か大笑いされてしまった…。
そして私に持っていた鏡を渡してくれました。すごい顔!口のまわりが真っ白でした。
67 :04/02/02 13:57 ID:FlrSVz1G
「なんてーんだっけ??」
ののはテレビ局までの、帰り道言いました。
「りふじん?だっけ??」
「うん、理不尽がどうしたの??」
「うん、そうゆうこともあるけどさ、のの、娘。に悔いが残んないようにがんばるよ。
だから、よろしくね!」
そして手を出しました。思えば私たちがこうやって手をつないで歩くことなんて
あんまりなかったなぁ…。

「梨華ちゃん、ありがとね!」
「んも〜、のの可愛いなぁっ!」
頭をくしゃくしゃと撫でるとののはこしょぐったそうな顔をして首をすくめました。
今度は、あいぼんも誘って行こうね。

68 :04/02/02 13:58 ID:FlrSVz1G
**今回ご飯ではないのですが…;**
69 :04/02/05 19:52 ID:uL5kfxtn
ご は ん 4

「今日ひまぁ??」
「え??」
急に加護ちゃんに誘われた。
今晩うちに食べにこいということらしい。
特に用事もなかったので承諾した。帰り一緒に加護ちゃんの家に行くことになった。

「でも急にどうしたの??」
「じゃじゃん♪」
帰りのタクシーの中で私が訪ねると、加護ちゃんは大きなスーパーの袋から、
お好み焼き粉を取り出した。

「本当は本池のみんなとやるはずだったんだけど、収録がおして都合がつかんくなって。材料もおいといたら悪くなるし、加護ちゃん持って行きなよって言われて、もらって帰ってきたのだ。」
ぱふぱふと袋を軽く叩く加護ちゃん。
私はどうして自分を呼んでくれたのかを聞きたかったんだけれど…。
もう一度聞きなおそうか迷っていたらタクシーがついてしまった。
70 :04/02/05 19:53 ID:uL5kfxtn
加護ちゃんは一通り材料をテーブルの上に出すと紅しょうがを探す。
「おかしいなぁ、このへんに…。おかーさーん??紅しょうがどこぉ?」
私は所在無く立っているだけだ。
何かやろうかと、聞きたくても隙が見つからなくて聞けなかった。
奥の方から加護ちゃんのおばさんが出てきて、「あらぁ、愛ちゃんこんばんはぁ。ゆっくりしてってな。」という。
私がうなずくとニコニコと笑って、紅しょうがとホットプレートを出してまた戻っていってしまった。
「今日はおばさん達一緒に食べないの?」
そう、いつもお邪魔するときは一緒に夕飯を食べているのに。
「うん、まぁね。さ!やるじょ〜!」
加護ちゃんは、はぐらかすように右手を掲げて気合を入れた。
71 :04/02/05 19:54 ID:uL5kfxtn
じゅうじゅうじゅう。
お好み焼きのタネは音をたててこんがりとしてくる。
私はそのお好み焼きと加護ちゃんをかわるがわる見た。
今日どうして誘ってくれたのか、とっても聞きたかった。
いつもは大体が私だけでなく、あさ美や辻ちゃんなんかも誘っているから、何か理由があるのかな?
「あの、」
「あ!愛ちゃん、もういいよ、少し押さえてひっくり返して!」
私の言葉をさえぎると加護ちゃんはお好みソースを取り出し、
ひっくり返したお好み焼きに、とろとろとソースをかけた。
じゅぅぅぅ。
あたりにいい香りがたちこめる。ぐうぅ。思わずよだれを飲み込む。
「おいしそぉぉ〜♪♪」
「うんうんっっ!」
質問するのもすっかり忘れて私と加護ちゃんはお好み焼きに見いった。
青のりの上でかつおぶしが楽しそうに踊っている。

「「いっただっきまーすっっ♪♪」」

「おいひいね。」
「ふんふん。」
はふはふとほおばると、白く湯気があがった。
加護ちゃんは舌で前歯についた青のりを必死にはがそうとしている。
私は私で、2枚目に手を伸ばした。
グラスの氷がカラカラと揺れる。
72 :04/02/05 19:55 ID:uL5kfxtn
「今日さ、」
いきなり切り出した加護ちゃんに私はビビる。前置きをしてください。
「今日愛ちゃんだけ呼んだの、色々理由があって。」
私はお茶を一気飲む。
「夏に、ののと卒業でしょ?」
「あぁ、うん。」
「愛ちゃん歌うまいじゃん。」
「えぇ??」
話がちぐはぐだ。加護ちゃんはもう1口、決心したように、ほおばる。
「うん、あのね。歌を教えてほしい。」
「????」
「うち、声をお腹からだすって、よくわかんないんだよね。」
私はうなずいて、もう1口。
「おぃおぃ、そんなことないよとか言ってよ!もぅ。…いいけどさ。
だから、これから愛ちゃんに特訓してほしいわけなの!
こんなこと…あしゃの前とかで言ったら、何か、悪くない??」
「あはは。」
「それに、やっぱりののは『ライバル』だし。」
加護ちゃんの表情がいくらか固くなった。
「一緒にやるって言えどさ、やっぱり負けたくないの。」
そう言ってグラスに手をかけて、ためらうように飲み干した。
加護ちゃんはとてもマジメな顔をしてる。
73 :04/02/05 19:56 ID:uL5kfxtn
「いいかな?」
最初、何がいいのかわからなかった。勿論私は最初から全て協力するつもりだったし。
「愛ちゃん、特訓してくれる?」
「もちろんだよぉ!」
「まず何からしよっか!」
テーブルに手をついて、身を乗り出す加護ちゃん。全く乗りやすいタイプだ。
「あ、じゃあさ。初めはもうちょっと身を絞ろうよ。あ、コラ。耳ふさがないの。」
加護ちゃんはイヤイヤをしてお好み焼きを箸でつまんだ。

「ほら、腹が減っては戦は出来ぬってね♪」
さぁ、いつから特訓ははじまるのでしょう??
74ねぇ、名乗って:04/02/07 09:10 ID:CNHSv/0W
そろそろ娘は解散してください
75名無し募集中。。。:04/02/09 20:02 ID:iW42sZF6
>>74
娘は解散しないでください
76名無し募集中。。。:04/02/09 20:03 ID:iW42sZF6
>>74
まだまだ娘は解散しないでください
77名無し募集中。。。:04/02/14 12:59 ID:yGSGCCDx
続編期待保全
78名無し募集中。。。:04/02/15 14:28 ID:7kJ1umYZ
79名無し募集中。。。:04/02/15 14:30 ID:7kJ1umYZ
e
80ねぇ、名乗って:04/02/15 18:13 ID:lB9GospA
.
81あげ屋さん ◆P1AWcg9OTs :04/02/15 18:59 ID:9T3i4Gvq
(・∀・)age!
82ねぇ、名乗って:04/02/20 20:21 ID:6UCBOZi1
てst
83ねぇ、名乗って:04/02/21 16:45 ID:2Bg0hetf
保全。
84ねぇ、名乗って:04/02/25 23:49 ID:dpQjrs/b
川o・-・)<POMちゃんですよ。
85名無し募集中。。。:04/02/28 11:56 ID:2XiFkk74
ごはん
86ねぇ、名乗って:04/02/28 15:47 ID:ekwbvHtk
ごはん 5

「どどどどうしたの。二人ともぉ…。」
私が楽屋についたときに二人はもう、ものすごい剣幕でまくしたてていた。

「あぁっ!!まこっちゃん!ねぇ紺ちゃんと買い物した時なんで誘ってくれなかったの?」
「あ…あれは、その…。」
お豆のそのひと言ですべて悟った。いくら鈍感な私でも。
横目でチラッとあさ美ちゃんを見ると、バッチリ目があった。同時に肩をすくめる。

お豆はあのことを怒っているんだ。
あさ美ちゃんと2人で買い物に行った日の事を。
 
あの時、あさ美ちゃんとお豆は今日のように、少し雰囲気が悪かった。
…今日ほどじゃないけど。
そうゆうときってなんか、誰でも仲間にしたい気分だ。
そうゆう気持ちってわかるから、帰りにあさ美ちゃんに誘われたとき私は断らなかった。
その日、2人でお揃いのアクセサリーを買って、けどお豆には内緒ね。ってことで。
そのアクセサリーを昨日ちょうど2人ともつけてきてしまったのを、
お豆は見逃さなかったんだろう。
けどわかる、そうゆう時って絶対バレてしまうものなのだ。
87 :04/02/28 15:48 ID:ekwbvHtk
「ごめんね、本当に、けどあの時あさ美ちゃんとお豆、喧嘩してたときで…。」
「なっ!なんで私だけのせいにするのぉ〜〜〜!?いいよって言ったのまこっちゃんじゃん!」
「どうせお揃いのブレスだって、賛成して買ったんでしょ?」

どうやら私は巻き込まれただけでなく、2人を敵に回したようだ。
88 :04/02/28 15:48 ID:ekwbvHtk
楽屋の雰囲気は相変わらず、騒がしい。
けれど、お豆、あさ美ちゃん、そして私の周りには負のオーラが漂っている。
そんな空気を察したのか、吉澤さんが私によって来た。
「何やってんの、あんたら。」
「や〜、ちょっとした喧嘩事を…。」
「どうせ2人に巻き込まれたようなもんなんでしょ。」
「…鋭いですね〜。」
「早いとこ仲直りしちゃわないと、こうゆうのって時間がたつにつれて厳しくなるからねぇ。」
そう言って吉澤さんは、お豆とあさ美ちゃんを見つめた。

きっと意地っ張りな2人は、相手が動かなきゃ動かないだろう。
よいしょ、と重い腰をあげて2人を呼んだ。
89 :04/02/28 15:49 ID:ekwbvHtk
自販機の前、2人は眉間にシワをよせている。
「ごめんね、2人とも。今度一緒のブレス買おうよ。3人でお揃いのやつ!」
「…まこっちゃん、そんなんでごまかさないで。」
「そうだよ…、なんかまこっちゃんて…誰にでもいい顔しぃってゆうか…。」
ね。と2人は声をそろえた。
こ、これは、どうしたらいいの。
「正々堂々、紺ちゃんみたいに、言ってきたわけでもなし。」
「豆のこと思って、買い物を断ったわけでもなし。」
え、えぇえええ?!
だって私はお豆に言いたいことがあるわけじゃないし!
紺ちゃんを思ってした事も、空回りってかぁ!?
90 :04/02/28 15:49 ID:ekwbvHtk
2人が去ってから、私はヘナヘナと近くのベンチに腰をおろした。
気のせいか、笑い声が近づいてくる。
「クックックック。」
「…吉澤さん…。笑いたいなら笑ってくださいよ。」
「アッハッハ、サイコー!」
グッと立てた親指を、へしおってやろうかと思った。
吉澤さんはなおも笑い続ける。
そして私の肩をポンポンと叩いて、言った。
「まぁ、あの子らも、矛盾してるのに気付いてるよ。…多分。相手を思いやって
信じて待つのがあんたなら、とことん信じてやんなよ。」
と。
91 :04/02/28 15:50 ID:ekwbvHtk
「まこっちゃん、ごめんね。これ…。」
「私と豆でつくったから食べて!」
次の日。
お豆とあさ美ちゃんがくれたのは私の大好きな、かぼちゃ。
かぼちゃのプリンだった。

「…これ…。」
「私のお母さんに聞いて、紺ちゃんとつくったの。」
「昨日はごめんね。」
「…うん…。」
振り向くと吉澤さんがピースをしていた。

3人で食べたかぼちゃプリンはちょっと甘すぎて、
でもそんなことも笑って、みんなぺロリと食べてしまった。
92ねぇ、名乗って:04/02/28 16:35 ID:svJjnO+I
新作乙です!
93 :04/02/28 16:38 ID:ekwbvHtk
ありがと。
94ねぇ、名乗って:04/02/28 17:10 ID:CBiITfTs
相変わらず雰囲気がステキね。次も期待してます。
95 :04/03/04 20:04 ID:6Or365o7
ご は ん 6

さゆはいつだって、鏡を手放さない。
楽屋にいるときはもちろん、収録中もポケットに忍ばせた手鏡で
自分のお顔をこっそりチェックしている。
そんなさゆだからやっぱり、ご飯中だって鏡をチェックしているわけで。

今日のお弁当は、なにかな?ウキウキしてふたを開ける私の横で、
さゆは鏡に向かって念入りにマスカラのだまをとっている。
「また見てるの?」
「うん、絵里も見る?」
「…見ない。ねぇ、見てみて!私しょうが焼き大好きなんだっ!」
「ふ〜ん。」
私ははしをくわえてさゆを見つめる。
最初はさゆだってこんなんじゃなかった。
緊張してたからかもしれないけれど、目をパッチリ開けてみんなの顔を、話を、
ジッと見て、聞いていた。
6期の新メンバー同士で固まってお弁当を食べている時だって
「私はこれが好き」とか「これはうちでは」とか話したりして、早く仲良くなれるよう
色々打ち明けたりしたのに。
れいなは今、藤本さんと仲がいい。ご飯も一緒だ。
だから私の話は、さゆに一番聞いてほしいのに。
96 :04/03/04 20:05 ID:6Or365o7
「ねぇ、ご飯食べないの??」
「食べてるよぉ。」
「早く食べ終わってさ、あ、これこの間さくらのメンバーでとった写真見てよ〜」
「ちょっと待って。」
ねぇ、さゆが食べ始めてからもう1時間たつんだよ。
その間私、1人さゆの隣で座ってるだけ。
なんだか哀しくなって、加護さんに相談してみた。

「ってわけなんですよぉ。」
「そうなんやぁ〜。まぁ、ののも聞いてたり聞いてなかったりだし、相方ってそんなもん
かもね〜。かたっぽの気持ちに全部こたえられるわけじゃないってゆーか。」
「そんなもんですかねぇ…。」
「…試したる。よぉ見ててね。のの〜。」
加護さんが、紺野さんや小川さんと話しをしている辻さんに声をかける。
すると辻さんは振り返りもせずに手を振った。
「…ね?」
「ほ、本当ですね、あの…ムカつかないんですか?」
「まぁ…そりゃちょびっと、ちょびっとムカつくけど、でもののもしゃべっとるし
うちだって何か話したいことがあったらののの所まで言ってちゃんと声かけるから。
あんなんでいいわけです。」
黒目がちな瞳を細め、加護さんは言った。
加護さんの言ったことは納得できるし、辻さんが悪いとは思わない。
でも…なんか違う気がした、だってさゆは鏡見てるだけなんだよ。
97 :04/03/04 20:05 ID:6Or365o7
今度は、吉澤さんに話をしてみた。吉澤さんはみんなの相談役だからきっと
いい助言をしてくれるはずだ。
「ってわけなんですよぉ。」
「…しゃあないYO!ちょっと大人な絵里が我慢するしかないね。
私も入ったばっかのときよく梨華ちゃんと一緒にしたでしょ。
梨華ちゃんあんなんだから人の話も聞かないで、ため息ついたりしてるわけ。」
「はぁ。」
「そんなんだし、まぁ多くを望まないことだな。」
「…」

私はそんなに、多くを望んでいるんだろうか。
とぼとぼとさゆのところに戻る。
さゆはまだ鏡を見ながらご飯を食べていた。
それを見てため息をつく私に、機転が訪れた。彼女を頼もしいと思ったのは
悪いけどこれがはじめてだ。
「飯田さん!さゆ、見てくださいよ!」
「うん、道重。鏡見てたら食事進まないでしょう。いい加減しまいな。」
「…でも…。」
「亀井も話したがってるんだよ。」
「…はい。」
さゆはそのあと、ぶつぶつ言いながらも鏡を出さずに食べ終えた。
98 :04/03/04 20:06 ID:6Or365o7
飯田さんの注意によって、さゆはとうとう鏡をださなくなった。
話を聞いてくれるようになったのは嬉しかったけど、だんだん沈んでゆき
今日なんて3口だけ食べてお弁当のふたを閉じてしまった。

「さゆ、そんなんじゃからだ持たないよ。」
「でも…早く鏡が見たい。」
「…。」
ビョーキだ!
私は仕方なくその旨を飯田さんに説明をした。
ため息をついて飯田さんはうなずき、ご飯時の鏡は解禁となった。
99 :04/03/04 20:07 ID:6Or365o7
あいかわらず今日もさゆは鏡を覗きご飯を食べる。
けれどちょこっとだけ変わった。
私が話しかけると、一瞬目線をこちらに向けてくれるようになったんだ。
そんなこと。
でも…私たちには大切な一歩。
いつものお弁当が、少しだけおいしく感じた瞬間。
100ねぇ、名乗って:04/03/04 22:50 ID:CuWv0wuz
心暖かい
101 :04/03/05 22:49 ID:8qmwD2Ve
ご は ん 7

「今日でしたっけ??」
「今日今日。ちゃんと買った?」
「ハイ、買いました!楽しみ〜。」
5歳も年下の後輩と楽しそうに会話するなんてソロ時代には思ってもいなかった。
モーニング娘。に入って、真っ先に仲良くなった
性格がよく似ている、れいな。
第一印象で、性格が合わなかったら厄介なことになる。そう思った。
けれどれいなは私を慕ってきてくれた。
そして今に至っている。

「なに楽しそうに話してるの??」
「ひ〜みつっ♪」
同期の絵里に話しかけられ、本当に楽しそうに返すれいなが
振り返って「ね〜」と私に同意を求めた。
そんなん恥ずかしくて出来ない私は、頭をぽりぽりかいてみた。
102 :04/03/05 22:49 ID:8qmwD2Ve
私達は月1ぐらいのペースで一緒にご飯を食べている。
いや、普通にご飯を食べている回数ならもっとたくさんかもしれない。
今日はちょっと特別で、仕事が終わって一緒に私の家に向かう。
「なに買ったの??」
礼儀をしらないれいなはお構い無しにタメ口で話してくる。
そんなれいなも、可愛いもんだ。
「さぁね、家につくまで秘密さ。」
「じゃあれいなもヒミツたい!」

仲良くなってから3ヶ月ぐらいたったとき、私達は一緒にご飯を食べていた。
なんかの話のときお雑煮の食べ方の話で盛り上がったのがきっかけだった。
「うちのほうでは餅やくけど。」
「れいなんとこでは、そのままだよ。あと魚がはいってる。」
「魚!?」
「うん、なんだったっけ?ブリだっけ?」
・・・
・・・・・
・・・・・・・
103 :04/03/05 22:50 ID:8qmwD2Ve
「藤本さ〜ん。聞いてる?」
「いや、聞いてない。」
「聞いてくださいよ!んもう。」
ってわけでお互いの地元の名物を交換しあうようになったわけだ。
「れいな、もう持ってくるもんなくってコレですよ。」
そういってれいなが取り出したのは明太子プリッツだった。
「えぇ!?こんだけ!?お前、ご飯だよ、どうすんの。」
「そうゆう藤本さんはなに買ったの?」
「も〜、なんか損した気分だ…。」
冷蔵庫をあけ、とりだす。暖かいご飯に、のせてたべたい。
「わぁ!いくら♪」
「ほらっ。ご飯つげよ。」
「は〜い♪」
104 :04/03/05 22:50 ID:8qmwD2Ve
私達は仕方なく、明太子プリッツをおかずにいくら丼を食べ始める。
真っ白のご飯と真っ赤ないくらのコントラスト。ちゃいこー。
最初はもくもくと食べていたれいなが、急に手をとめ、言った。
「れいなこんなんやけん。」
「は?」
「れいなこんなんやけん、あんまあの2人の仲ほど、2人と仲良くなれん
やったと。」
私は黙って聞く。れいなは時々感傷的になる。
「けど、けど藤本さんと仲良くなれたけん、よかったぁ。」
「…どうしたのいきなり。」
「ふと思ったと。言いたくなったと。」
喉につまりかけたご飯をお茶で流し込む。
「藤本さん、笑っとぅ??」
「笑ってないよ。」
「嬉しいんでしょ!」
「な〜にが。」
「ミキたん,か〜い〜♪」
「いくら、食うよ。」
「すいません。」
こんなやりとりが楽しくて思わず笑う。
105 :04/03/05 22:51 ID:8qmwD2Ve
娘。入りが決まったとき、正直ムカついた。結局話題がつくりたいだけちゃうんかと。
娘。にはいってどんくらいかたって可も無く不可も無くやっていたとき、
亜弥ちゃんから言われた「なんか丸くなったね」って。
思ったより楽しかった。
集団でやってけるか、背負っていた不安は入ってすぐ吹き飛んだ。
もちろん嫌になるときだってある。
けど、今まで死ぬほど嫌にならなかったのは、
メンバーそれぞれ、同じ目標に向かって頑張った奴らだったから。
色々な場所からきたいろんな人間。
でもみんな天真爛漫で、楽しい、いい奴ら。

「藤本さ〜ん、…なんか今日よく飛びますねぇ。」
「うっせーな。たまには考えることもあんだよ。」
「ふ〜ん。」
れいながでっかいプリッツをかじる。
こんなヘンな組み合わせでも、やたらおいしい。
1人じゃ出来なかった、幸せ。
今日も、ごちそうさま。
106ねぇ、名乗って:04/03/05 22:56 ID:8qmwD2Ve
とりあえずこれで全メンバー終わりです。
またなにか書くかもしれませんが、そのときはまたお付き合いください。
107名無し募集中。。。:04/03/06 15:56 ID:S42/iwQA
作者さん、
楽しい小説、ごちそうさまでした。
108ねぇ、名乗って:04/03/06 23:09 ID:KueWKknX
なんかいいよね雰囲気が。
109ねぇ、名乗って:04/03/15 15:14 ID:s89+XODr
やはりこの小説にはこう言いたい、ごちそうさまでした、と。
いつか再びお会いできることを楽しみにしております。
110名無し募集中。。。:04/03/16 00:47 ID:3o4bNso/
おかわり!!
111ねぇ、名乗って:04/03/23 06:44 ID:O+LqWfJb
紺野はいい子だねぇ。
112名無し募集中。。。:04/03/25 19:09 ID:f2T6Us2a
>>111
急にほめられると照れるなぁ
113 :04/04/15 19:57 ID:pNi2cnYd
ほ。もすこししたらかきたい。
114名無し募集中。。。:04/04/16 19:14 ID:Nc2+8C1V
楽しみにしてる。
115ねぇ、名乗って:04/04/17 01:55 ID:wBv5wQ4y
俺も。
116ねぇ、名乗って:04/04/17 15:09 ID:vYK0/QZF
あ、じゃあオレも。
117ねぇ、名乗って:04/04/25 03:37 ID:fb/BKn4u
118名無し募集中。。。:04/05/03 21:35 ID:XYkoC00X
ふぉ
119 :04/05/07 15:53 ID:VkiKAJMG



「LOST WORLD」



120 :04/05/07 15:54 ID:VkiKAJMG
−私、その日加護さんと一緒に、収録前、トイレに入った辻さんとさゆを驚かせてやろうって
トイレの奥にある…ちょっと大きめの掃除道具入れに隠れてたんです。−
121 :04/05/07 15:56 ID:VkiKAJMG
ゴォォォ
地響きに近い音が鳴り響いた。
音だけでなく、実際に飾られた花瓶が床に落ち大きな音をたてて割れる。
清潔感あふれる白い蛍光灯がバラバラと天井から落ちた。
「キャアーーーーーーー!!!」
近くでなのか遠くでなのかわからない、鳴り続く轟音の中でかすかに
人の叫び声が聞こえる。
辻は耳をふさぎ、目をかたく閉じた。
最初遠くで聞こえていたドンドン!という音が随分と近くで聞こえていることに
気付いたのは、地響きのような轟音が少しずつ収まってきたときだった。
122ねぇ、名乗って:04/05/07 15:57 ID:VkiKAJMG
「つ、つ、辻さん!辻さん!」
「!!重さん!こっ、これ…なん…???」
その声でやっと、辻は道重と一緒にトイレに来たことを思い出した。
先ほどの大きな揺れで蛍光灯が全て落ちてしまったのか、
視界は薄暗く、パチパチと電気が通る音が聞こえる。
「見えますか…?」
「ぜ、全然…。」
「どうしよう、地震とか…かな…。」
「わ、わかんない、全然…。」
あまりに突然の出来事に辻も道重も、ただ呆然とするしかなかった。
もう先ほどの出来事から何分たったかわからない。
だんだんと薄暗さになれてきた辻は手探りでドアノブを探した。
「あ!」
冷たい金具の取っ手は見つかった。
「どうしました??」
「あ…いや…ノブ、あかない。」
ガチャガチャという音だけがむなしく響く。
道重も回してみたようだが、結果は同じだったようだ。
「どうしよ〜…!」
「辻さん…し終わってましたか…?」
「う、うん、一応ベルト締めてたとこ…。ってなにゆってんのこんなときに!」
「私、ふいてないんですけど…。」
「そ、そんなこといってる場合じゃないよぉぉ〜。とりあえず、穿いて!」
「は、はい…。」
辻はため息をついて上を見上げた。もちろん、薄暗い中何も見えなかった。
まだ「こぉぉぉぉ」と小さな音が床から響いている。
123 :04/05/07 15:58 ID:VkiKAJMG
「…の…!!!」

「?!…なんか聞こえない??」
「なにがですか?」
「わ…わかんない。声…みたいな…。」
「や、やめてくださいよぉぉ!」
今までも目を閉じていた道重は更にギュっと聞こえるほどかたく目を閉じた。
こんな薄暗い中で、怪談が苦手な辻は言ってしまったことを後悔した。
「こわいよ…。」
「辻さん、早く、出たい…。」
(な、なんか明かり…ライト……!!!)
「つ、辻さん、携帯!携帯ないんですか?」
「あっ!携帯!」
パタパタと服を叩く音が狭く暗い空間に響く。
そして、すぐ大きなため息に変わった。
「…ダメ。楽屋においてきた。」
「わ、わたしが持ってます。えっと…。」
カチッと音がして一瞬辻にも光が見えた。
「あ!ついたね、やった!」
「ど、どうやって出れば…。」
四角く囲まれた在りし日のトイレを思い浮かべ溜め息をつく。
ここのトイレは天井もふさがれ、隣のトイレとの間にある壁の上、そしてドアの上下に
小さな隙間があるだけだった。
124名無し募集中。。。:04/05/07 17:55 ID:hr2rGKXF
キタ(゚∀゚)?
125 :04/05/08 13:39 ID:YjDTqkus
「…ねぇ、うちらと、ふじもっつあんここであったよね。」
自分達が入る前に藤本が個室から出たのを思い出す。
「うん、会いました…。」
「ふじもっつあん!いますか!!??お〜い!!」
辻は自分が出せる限りの声を出し切る。
けれど小さく個室のなかでむなしく響いただけだった。
「だめか…。」
「どうしよう、本当…。」
「って携帯あるんでしょ!?電話してみたら?!」
「…駄目です、つながらない。」
道重は自分のメモリに入ってる番号、上から順に電話をかけてゆく。
そして1人のアドレスで手を止めた。
「絵里…。」
「どうした?」
「絵里、大丈夫かなと思って…。」
「あぁ…。」
どうしても気になって、メールを送ってみた。
(どうせつかないでしょ…。)
126 :04/05/08 13:40 ID:YjDTqkus


♪〜♪〜♪〜
127 :04/05/08 13:40 ID:YjDTqkus
「!!」
「なっ!?え・なに??」
道重はさっき辻にしたようにドンドンとドアを叩いた。
(絵里がいる!!!)
「絵里!絵里!」
♪〜♪〜
「なに!?亀ちゃんいるの!?」
大音量で鳴り響く着メロに負けないくらい、道重は叫んだ。
「ちょ、ちょっと重さん!わかんないよ!」
「絵里に、絵里にメール送ったんです。そしたら…ついた…。絵里!いるんでしょ!?」
着メロが鳴り止む。
隣でドンドンと叩く音のほかに、辻は確かに何かを聞いた。
128 :04/05/08 13:41 ID:YjDTqkus
「…ゆ…?」
「ちょ!重さん!シッ!」
それでも聞こえないのか、道重はドンドンと壁を叩き続けた。
辻は手を握り締め、道重側の壁を1つ叩いた。
「?!」
「なんか、聞こえた。」
「…絵里…?」
「…さゆ…。」
「絵里!」
半分悲鳴のような声をあげ、道重はドアを蹴った。
「ここにいるのっ!絵里、助けてよぉ!!」
「ちょ、待って、なんか…うごけない…。」
亀井は痛む頭をフル回転して何が起こったか思い出していた。
辻と道重を驚かせに加護と一緒にトイレへやってきた。
ロッカーに隠れてクスクス笑っていると突然、目の前が真っ暗になった…。
「そうだ…加護さん!加護さんがいるの!」
「なに?!あいぼんもいるの!」
個室が大きく揺れる、辻は体をドアにぶつけた。
何度かぶつけた後にドンッと拳をぶつけた。
「なんでこんなに頑丈なんだよぉ…、あいぼんっ…。」
亀井はあたりを手探りで探る。暗くて視界が悪い。蛍光灯のカケラで指が切れた。
「ッ…。…??加護さん…?」
ふと柔らかい、暖かいものに触れた亀井は大きく揺らす。
「あいぼん!」
「加護さん!」
個室の中から呼びかける、2人はもう精神的に限界だった。
亀井は揺さぶり続ける。暗くて加護がどっち側を向いているのかすらわからない。
「…う…。」
「加護さん!辻さん、今加護さん、声が!」
「あいぼん!ガンバって!…よくわかんないけどっ!」
「のの…?痛いよぉ…。」
129 :04/05/08 13:42 ID:YjDTqkus
加護は全身を強く打ちつけ、ジンジンする上半身をゆっくりと上げた。
「…加護さん…よかった、大丈夫ですか?」
「あぁ、そうや、亀ちゃんと…トイレに…。」
「そうです…。これ、ホントなんなんでしょう…。」
「地震か、なんか…?…そや、のの…。」
「お〜い、大丈夫だよぉ、重さんもいるよ。」
「よかったですよぉ…あ、加護さん、携帯持ってますか?」
個室からの声に加護が微笑む。見えなかったはずだが、亀井も微笑んだ。
「あぁ、持ってるわ。」
ポケットから携帯を取り出し、加護はため息をついた。
「こら…つかんかも、しらへんなぁ…。」
パカッと音がして、一瞬点滅した画面が、ゆっくりと明るくなってゆく。
加護は真っ先に亀井の顔を捜した。
急に光を向けらえた亀井はまぶしそうにほほえんだ。
130 :04/05/08 13:44 ID:YjDTqkus
>>124
またしばらくお付き合いください(゚Д゚)ノ
131名無し募集中。。。:04/05/08 18:46 ID:rCNeP364
おっ、なんか面白そうなお話が始まってますね。
132名無し募集中。。。:04/05/09 15:59 ID:8Nw9PIFV
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
133名無し募集中。。。:04/05/11 19:33 ID:1Ei341QL
>>130
新作キボンヌ

>>119-129の地震の後・・・

   \ | /
  ― (m) ─   ピコーン!
     目
 ∋oノハヽo∈
   ( ´D`) <これからはバールのようなものをもちあるくのれす
134 :04/05/13 19:55 ID:HABVB0us
携帯のわずかな光のおかげで掃除道具の入ったロッカーが倒れて
個室の扉の前で邪魔をしていて扉があかないことがわかり、
加護と亀井で力を合わせて、ロッカーを不安定ながらも立て直した。
「…大丈夫…だった??」
「ふえ〜ん…」
もう、見飽きたメンバーの顔を見てホッとする。そして急に他の事が気になりだした。
楽屋にいたほかのメンバーは…?
そうして、ようやくなにがおこったのかを知る。
135 :04/05/13 19:56 ID:HABVB0us
よく見たら変なとこでちぎってました。
136名無し募集中。。。:04/05/20 00:46 ID:v998Cn/B
保全
137名無し募集中。。。:04/05/26 19:33 ID:PYcoouAj
紺野
138名無し募集中。。。:04/06/02 23:13 ID:Rrz8DlA8
糸甘里予
139名無し募集中。。。:04/06/03 00:00 ID:9UfMKJm7
いんじゃな〜いっ?
140名無し募集中。。。:04/06/05 23:37 ID:io5ObbdH
むしろソロになって欲しいっていう
141ねぇ、名乗って:04/06/12 00:16 ID:X8c+9AmG
ソロになったら映画中心の女優になって欲しい。
岩井俊二あたり、使ってくれないかなぁ。
142ねぇ、名乗って:04/06/16 21:39 ID:KfLAG26j
この小節って続きあるんだよね?
楽しみに待ってます。
143名無し募集中。。。:04/06/22 20:30 ID:Pax9vONU
tsr
144ねぇ、名乗って:04/07/28 02:59 ID:fY3CtmAO
このスレ1ヶ月以上書き込み無かった
145ねぇ、名乗って:04/07/28 03:02 ID:MQkBUmMH
>>1マジっすか!?
146ねぇ、名乗って:04/07/28 03:04 ID:vzpXYy8/
良スレハケーン

休みの日にじっくり読もう
147名無し募集中。。。:04/07/28 03:56 ID:gCSwXgN7
たけぴくん > わたくしはポジヲタですので(笑)。
来年の今ごろは高橋・藤本のツートップでまだまだがんばっていると思いますよ。
この2人にれいなをくわえれば歌の上手さではかなりの水準です。
ただ、かつての石黒、保田といった実力派サポートメンバーがいないのが弱点。
矢口っあんひとりじゃつらいよ〜っ。
(2004/07/16(Fri) 02:14:19) (ID: BUNt91U) < 210.160.195.174 >
148名無し募集中。。。:04/07/29 05:45 ID:W1eXnns0
149ねぇ、名乗って:04/08/24 21:34 ID:o3+9cMqU
しゅ
150名無し募集中。。。:04/08/25 15:41 ID:/LEdFsYq
期待AGEだゴルァ!!
151ねぇ、名乗って:04/09/11 01:51:48 ID:VkKxK+vq
152ねぇ、名乗って:04/09/15 22:31:59 ID:Mfg00rGa


( ル▽ル)⊃
  (つ  /
  | (⌒)
  し⌒
153名無し募集中。。。
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