41 :
トミー・ボンバー:
「はっはは…。なんとか…。」
新垣は、クウガのいる場所から、すでに遠ざかっていた。
確認の為、後ろを振り返る。
すると、全身に電気が走ったような感覚が彼女を襲う。
「痛っ!」
ほとぼりが冷めたのか、ようやく自分の状態に気付いた。
胸から腹下までがバッサリと裂けている。出血がひどい。
その痛みに耐え切れず、新垣は正面から倒れ込んだ。
「完璧だと思ったんだけどなぁ…」
先程までの戦闘を、
新垣は策士家であった。始めから、彼女と戦うつもりなど毛頭無かった。
それは、相手と自分の力の差が歴然としていたこと。
そしてもう一つは、一刻も早くこの二つのデッキを
仲間の元に届けなければならないという使命があった。
ふと考えが浮かんだが、非常に危険極まりないことだった。
そこで、彼女は生まれて初めて賭けに出ることにした。
まず、相手の間合いに丸裸で入る。
次に、相手の視界が自分の体で文字通り目一杯になった時、変身をする。
この間、一瞬ではあるが光が全身を包み込む。
こちらの様子は相手に確認出来なくなる。
(チャンスは一度きりだ…)
42 :
トミー・ボンバー:04/01/23 14:51 ID:rB9l6AZ/
意を決して走り出す。間合いを詰めた。まだクウガは動かない。
そして変身。クウガの肩が僅かに動いた。
(今だ!)
新垣はその光景を見るやいなや、あるカードをデッキに入れていた。
−クリアベント−
彼女に悟られないよう、つま先を蹴る。それが大地から離れていく。
作戦は完遂したかに思えた。しかし、相手はあの冷静沈着な後藤だった。
「策士策に溺れる…か。」
新垣は、ゆっくりと腰を上げながらカードをデッキに差し込んだ。
−アドベント−
すると、どこからともなくカメレオンの怪物が姿を現した。
契約モンスター・バイオグリーザーだ。
「グリちゃん。よろしく頼むわ…」
そう言い終えないうちに、可愛らしい名の怪物に覆い被さった。
その怪物は主人を気遣いながら、優しく動き出した。