【モー娘。年代・メンバー別能力値】

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45名無し

「あいこでしょ、あいこでっ」
半ば閉じかけた意識のなか、ブルルルン。エンジンの音がしたような気がした。
私は薄く目を開ける。
「あいこでしょ!テメーグーばっか出してんじゃねぇ!」
「お前もじゃねぇか、あいこで!」
薄暗い路地。今だジャンケンにふけるバカ警官二人。そして国道へと目を向けると──

「何やってんだ後藤、はやく行くぞ」
目だけでそう言っている、市井ちゃんはもうスクーターにまたがっている。
私は弾かれたように駆け出す。
46名無し:03/12/27 22:41 ID:3vSlO7ty
ふたたび私たちは深夜の国道を走っている。怖いので私はちらちらと振りかえる、
けれどパトカーはもう見えないし追いかけてくる気配もない。
市井ちゃんは全然スピードを上げずにチンタラ走っている。信号がくればちゃんと
止まる。私は苛々して叫ぶ。
「ちょっとあいつ等追いかけてきたらどうするの。」
「そんな大声出さなくても聞こえるよ、ところでガム食うか」
市井ちゃんは振りかえり、クチャクチャと音を立てながらガムを差し出す。
私はそれをひったくりながら言う。
「食べるけど。そんなことより。」
「パトカーのことなら大丈夫、鍵穴にガムつめてきたから」
47名無し:03/12/27 22:47 ID:3vSlO7ty
市井ちゃんはにんまりと笑う。余裕たっぷりって感じだ。じゃあ助かったわけだ。
助かったが・・・この、腑に落ちない感じはなんだろう。
「なんだ、コンブのほうがよかったか」
それもあった。

信号が青に変わる。スクーターは走り出す。
風は相変わらず冷たい。まるで頬を切られるよう。
48名無し:03/12/27 23:05 ID:3vSlO7ty
国道を延々走った甲斐があって私たちはやっとつんくさんの家に辿りついた。
某高級住宅街の一角に聳え立つおよそ2000坪の大豪邸だ。と思う。
「誰や」
インターフォンごしに下品な声が聞こえる。
「市井ですけど」
市井ちゃんはカメラにむかって今年最高の笑顔を見せる。
ぎぎぃと門があく。
49名無し:03/12/27 23:11 ID:3vSlO7ty
「こんな時間に何のようや」
120畳ほどのリビングの中心に備え付けられた応接用ソファに並んで私たちは座って
いる。向かい合うようにして座っているのはもちろんつんくさんだ。
「実は」
市井ちゃんはピストルを取り出してつんくさんに向けて構える。
「新ユニットを作りたいんです」
50名無し:03/12/27 23:22 ID:3vSlO7ty
しかしつんくさんは笑う。
「お前そんなモデルガンで俺が言うことなんでも聞くと思ってんのか、だとしたら舐め
られたもんやな」
私ははらはらしながら市井ちゃんを見る。市井ちゃんは完璧な笑顔を崩さずに安全
装置を外す。目の奥までも笑っている。殺し屋と書いて思わずヒットマンと読んで
しまいそうなほど市井ちゃんのものごしはハードボイルドだ。さすがのつんくさんも
尻込みする。
「とは言え話くらいは聞くわ、聞きます。聞かせてくださいお願いします。」
「しょうがねぇな」
と言って市井ちゃんは足をテーブルに乗せた。
そしたらつんくさんは立ちあがって灰皿を持ってきた。