【モー娘。年代・メンバー別能力値】

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139名無し
「えっと後藤マキ、あんたがトーキョー都エドガー区の女医H.Mさんを金属バットで
撲殺した事件はもうばれてるんだよ、神妙にしな。」
「あの女医さんはとってもいい子だったのに。」
二人はそう言って、再びじりじりと間合いを詰めてくる。
私はこのピンチを切り抜けるために頭脳をフル回転させる。

「えっと、違うんです。あたし後藤マキじゃありません。後藤マキはこの人。」
と言って私は市井ちゃんを指差す。
「なんだって。」
矢口さんは怯む。手元の書類をぱらぱらめくりながらホクロがファットな声で言う。
「矢口主任、なんでも後藤マキは金髪のロング・ヘアーという情報が。」
「なんだと。・・・ぜんぜん違うじゃないか。この寝てる女は黒髪だ。」
「ついさっき染めたんです。」
「なにい。」
「じゃあお前は誰なんだ。」
「あたしは市井サヤカって言います。」
140名無し:04/02/06 23:43 ID:dia9qOym
二人は腕組みをして「ううん」とか言っている。あとは市井ちゃんを起こそうと
する二人を突っぱねながら逃げる時間を稼ぐ、という作戦だった。我ながら天才的だ。
「ふざけんなそんな言い訳が信じられるか。」
「言い訳なんてしてません。」
「大体市井って女はケラケラ笑う病気じゃなかったのか。」
「あっ。」
言われてみれば市井ちゃんはケラケラ笑っていない。かわりにすうすうと可愛い
寝息を立てているだけだ。可愛い寝顔だ。私はちょっと微笑みながら、言う。
「・・・なんか寝てる間はおさまるみたいですね。」
「だってお前起きてるじゃないか。」
「はあ?市井ちゃんはこのとおり寝てるじゃないですか。」
「市井?ってことはやっぱお前が後藤なんじゃないか、逮捕する!」
141名無し:04/02/06 23:50 ID:dia9qOym
どうやら女二人は刑事らしかった。なぜ私が後藤とバレたのかはわからないが、
どうも気づかないうちに手帳を調べられたらしい。我ながら痛いミスをしたものだ。
二人はじりじりと距離を詰めてくる。
私はこのピンチを切り抜けるために頭脳をフル回転させる。
「そう言えば向こうの車両にも後藤とか言う女が居ました。」

「なにい。本当か。」
「はい。市井ちゃん♪とかいってキスしてました。二両向こうです。」
「ウソをつけ。どんな服装をしていた。」
「黒いキャミソールに金髪です。あと可愛いブーツを履いていました。」
「ほう。どこのブーツだ。」
「わかりません、でも可愛いブーツでした。とにかく可愛いブーツで。」
「ほう。そんなに可愛いブーツか。ギャルっぽかったか?」
「主任。」
「いや、悪いなんでもない。ご協力感謝する。」
「えっ。」
主任と呼ばれた女はすたすたと隣の車両に歩いていく。ホクロが「いいんですか」とか
言いながら追いかけていく。
142名無し:04/02/06 23:52 ID:dia9qOym
二人は出て行った。私はほっと息をつく。
どうやらひとまずの危機を凌げたらしい。
「市井ちゃん市井ちゃんはあたしが守ってあげるからね。」
と言って、膝の上の市井ちゃんを見下ろす。前髪をそっと指で梳く。綺麗な睫毛が見える。
端正な寝顔に静かな寝息。私はしばし見とれる。
静かにリズムを刻む夜行列車、膝の上には市井ちゃん。
なんて素敵な旅なんだろう、私はあまい想いにふける。気分は銀河鉄道。
その時どかどかと言う足音がして、車両に誰か入ってくる。
143名無し:04/02/06 23:55 ID:dia9qOym
ぶち壊しになった雰囲気。私は恨みがましく足音のした方に目をやる。
「おい、誰も居なかったぞ。」
「よくも騙してくれたな。神妙にしろ。」
でかい女とちいさな女がワケのわからないことをわめきながらこちらへと近寄って
くるのだ。真夜中の列車。スーツ姿。口汚い口調。意味のわからない因縁。
チンピラにちがいなかった。
膝の上には市井ちゃん。
私はゆっくりと立ち上がって、金属バットを取り出す。