【モー娘。年代・メンバー別能力値】

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127名無し

町を遠く離れる列車。車窓を流れる夜景が私の心を慕情で満たす。胸一杯に
あふれるこの気持ち。私たちは全然知らない町に向かっていました。
四人がけの向かい合った座席、そのかたっぽを占領して、私のひざの上で
市井ちゃんは寝ています。幸せそうな顔で。車両はガラガラ。
なのに向かい側の座席には、スーツ姿の女が二人、座っている。
128名無し:04/02/04 23:21 ID:lpN8qEVb
二人は感じ悪くひそひそ話をしている。
「なんでも犯人がこの電車に乗り込んでいるのは間違いないらしいよ。」
「でもどうやって見分けるの。写真もないのに。」
「女の二人組らしい。」
と言った後、ちっちゃい方が私をじろっと睨む。
「なるほど、女の。」
でっかい方(ホクロがいっぱいあった)も私をじろっと睨む。
私はふっと目をそらす。
129名無し:04/02/04 23:28 ID:lpN8qEVb
どうやら二人が刑事なのは間違いなさそうだった。よりによって刑事と乗り合わせるとは。
これでも私たち逃亡者なのに。私はぐっと唇を噛む。なんてことだ。
「そうなんだよ。なんでも後藤マキとかいう女が。」
「医者を金属バットで撲殺なんて。」
「まったく。悲惨な事件だ。」
女二人は相変わらず話しながら私の様子をちらちら伺っている。明らかに何かいいたげな
感じだ。無言のプレッシャーとゆうやつだ。
130名無し:04/02/04 23:38 ID:lpN8qEVb
そもそもガラガラの車内で向かい側に座る時点で失礼だ。私は先制攻撃をしかける。
「ちょっと。そこの二人。」
二人はうさんくさそうに顔を上げる。
「こんなに席が空いているのに、なんでわざわざ真向かいに座んのよ。」

すると二人は面食らった顔になる。ちいさい方が呆れたように言う。
「だからさっきお断りしたじゃないですか。よかったら一緒に行きませんか、って。」
「ねえ。」
何を言っているんだろう。そんな覚えはなかった。
「適当なこと言わないでよ。」
「いや、ほんとですよ。」
二人はいかにも心外だって感じで目をまるくしている。嘘をついているようには
見えない。
131名無し:04/02/05 00:08 ID:mvOZAoMo
ぶんぶんと首を振る。二人が乗り込んできたときを思い出そうとする・・・が、なぜか
ちっとも思い出せない。というか不思議なことに、10分くらい前から記憶が途切れて
いるような気がする。
「あたし・・・なんて言った?」
「いいですよ、旅は道連れ世は情けって言うじゃないですか、って。」
「それをあたしが言ったの?」
「はい。にっこり笑って言いました。でも寝てる人がいるから起こさないでねって。」
「そんでチューとかしてたよね。」
「あー、してたね。」
なんてことだろう。よりによって市井ちゃんにチューしたことまで覚えてないなんて。
酔っ払ってもいないのに。
132名無し:04/02/05 00:24 ID:mvOZAoMo
とにかくこの場をごまかす必要があった。仕方なく私は「わかったよ」と言って
腕組みをする。
二人はなおも不思議そうにヘンな人を見る目つきで私を見る。
とすると私がヘンな人なのだろうか。なんだか納得がいかなかった。

「とりあえず後藤の連れの女は市井とか言う、ケラケラ笑う病気らしい。」
「なんですか、それ。」
「あたしも知らないよ。でも捜査の手がかりにはなるだろ。」
二人はまたひそひそ話を開始する。私はなんとなく気まずくなる。上げた手をどこに
おろしていいやらわからなかった、そんな小学校の教室を思い出す。
「ねえ。あんた達刑事さん?」
と仕方なく私は声をかける。すると二人は顔を上げる。笑い出しそうな顔で、言う。
「はい。」
「さっきも言ったじゃないですかあ。これでもう三回目。」
私は再び腕組みをする。
もちろんそんな記憶はない。