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「あいぼん、今日ね面白い子がいたんだよ」
希美は教室のドアを開けると真っ先に窓際にいる亜依のところに駆け寄った。
「ふ〜ん、またか、どうせおもろくないんやろ。この前やって、ののがおもろい
っていいよったことしてみたんやけど、全然つまんなかった」
と亜依は希美をちまちま眺めながら、言った。
「ちがう、違う。今日はホントにおもしろいんだから」
「そうか、んならはなしてみ」
亜依はしぶしぶ了解した。
「んとねぇ〜、希美がホームで電車を待っていたんよ、そしたらね、向かいのホーム
でね、女の子が歩いていたの。」
「女の子?」
「そう…私たちと同じくらいの子、その子がね、何にもないとこでこけたの。
もうずこーって、パンツも丸見え。希美はね、おかしくて思いっきり笑ったら、
周りの人がこっちみて恥ずかしかった。」
「……」
「おもしろいでしょ…」
「女の子がこけたことのどこが面白いねん」
亜依はまたかといった調子で希美をほっぺたをつねった。
「いた〜い…」
希美は亜依のほっぺをつねりかえした。
二人はぽっぺたをつねりあっていると…
「辻、加護!おまえら、いつまでやってるんだ、もうチャイムは
なってるぞ、まったくおまえらは相変わらずだな、そんなにぴっぱってると
よけいぷにぷにになるぞ!」
「せんせい!!なにいってるの、希美、うちはぷにぷにしてないもん」
二人は声を合わせて言った。
クラスじゅうに笑いが渦巻まいた。
「辻、もう席に着け。HR始めるぞ」
「は〜い、せんせい!」