仮面ライダーののBLACK

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802名無し天狗
全身がぬめった蝦蟇の化け物、こ奴こそが黒龍丸の下僕・蝦蟇丸でございます。
蝦蟇丸はヌラヌラと身の毛もよだつような動きで黒龍丸の前に歩み出で、跪きます。

「そーれ、蝦蟇丸よ。こ奴の身体をお前にくれて遣ろう。
 その薄気味悪い姿では身動き一つ取り辛かろう・・・。」

その言葉に蝦蟇丸は嬉々として
グヮアアアアアアアア・・・と狂ったように大きく鳴き声を上げると
大きな口をガバッ!と開けて触手のような舌で重定の遺体を捉えるや
そのままシュルルルルル・・・パクッ!ゴクン!!と呑み込んでしまいました。

(☆)その直後!蝦蟇丸の身体に異変が生じたのであります!!(☆・☆)

蝦蟇丸の足元から気色の悪い煙がモワモワモワ〜〜・・・と立ち込めたかと思うと、
今度はその身体がこれまた毒々しい、赤や紫の光を放ちだしたのであります。
禍々しき煙と光の中、蝦蟇丸の身体が、あたかも粘土の如くゴワゴワゴワ・・・と
蠢き、何やら人の形を作り上げているではありませんか!!

(☆)やがて煙と光が治まり、その場に現われたのは・・・・・・!!?
803名無し天狗:04/02/16 21:40 ID:fqe1wyYk
(☆)何と驚く勿れ!!先程黒龍丸によって非業の最期を遂げた筈の
佐伯重定が、さながら幽鬼の如く立ち尽くしていたのであります!!(☆・☆・☆)
これぞ蝦蟇丸の恐るべき妖力!!人間を呑み込み瞬時に消化し、
その呑み込んだ人間から姿形は勿論のこと記憶や知識に到るまで寸分違わず
そっくりそのまま化けると言うものでございます!!
(☆)重定に化けた蝦蟇丸は、改めて黒龍丸に跪きます。

「親分、これでよいか?」
「クク…よかろう、上出来だ!
 蝦蟇丸よ、お前は明日一日、先ず佐伯のフリをして
 ユキと城の者共を安心させよ。
 そして夜が更けたら…コッソリ城を抜け出して、手勢を以って
 諏訪神社から「亜魔陀無」を奪え。そしてその足で九郎ヶ岳へ向かい、
 愚論義を目覚めさせるのだ!但し、熊の面のくノ一には用心せよ・・・
 ワシは明後日、油断しきった頃合いを見てユキと無二斎を殺る。
 ・・・行け!!」

黒龍丸の指令を受け、重定=蝦蟇丸は“自室”に戻ります…。

「魔神斎殿、最早一刻の猶予もなりませぬぞ!!」
『うむ…頼んだぞ、「黒龍丸」よ!!』
「御意!!」
804名無し天狗:04/02/16 22:44 ID:fqe1wyYk
(☆)明くる朝。
ユキは翌日に迫った運命の百八日目に備え、己の鍛錬に勤しんでおります。
そこへ・・・

「おお、ユキ殿。ゆうべはよう休まれたか?」

と、にこやかにユキに声を掛けたのは重定・・・に非ず、重定の姿をした魔物・蝦蟇丸でございます。
昨日、ユキが講義を受けていた際、重定暗殺はユキの目の全く届かぬ所で行われたが故に、
ユキは目の前の重定が実は妖魔の化身であるなどとは知る由もございません。

「ええ、ありがたいご教示も授かり、夜もまたよく眠れました。
 そのお陰か、体調もすこぶるよく、俄然やる気が湧いて参ったような気が致しまする。」

振り返ってユキは溌剌(はつらつ)と応えます。その彼女に蝦蟇丸は・・・

「然様でござるか。イヤ、結構結構!
 じゃがユキ殿、今からそう…気を張り詰めんでも…今すぐにでも黒い龍が襲うて来るわけでもなし…。」

ユキを油断させようと言葉を繕いますが、ユキは笑って

「何を仰られるか佐伯殿。日々是精進、人生是修業!!
 一日でも鍛錬を怠っては、身体がなまってしまいまする!」

と一言言うと、また向き直って素振りを始めました。

「それに佐伯殿…実は私は忍びの者でしてな、
 この鍛錬は日々の鍛錬も兼ねてござる。忍びが修練を怠っては、
 それこそ笑い種にござりましょう。」

「・・・・・・!!」
蝦蟇丸はどうやら、ユキが忍びの者であることに“たった今”気付いた模様であります・・・。
まこと、あの黒龍丸の子分とは思えぬ程の鈍感さ加減でございます・・・。
805名無し天狗
(☆)その後も蝦蟇丸はユキの油断を誘おうとあの手この手を尽くしますが、
ユキは頑なに龍討伐に意欲を燃やします。

そのうちユキも、重定の様子がおかしいことに気付き出したようであります。

「今日の佐伯殿、昨日までとはまるで別人のようだ・・・。」

昨日までは自分の龍討伐を心から奨励していた佐伯殿が
何故今日になって手のひらを返すように、まるで龍討伐をやめさせるような
口ぶりの消極的な態度で接するようになったのか・・・?

(☆)と、ここでユキは昨日の厳実の話を思い出しました。

「実は諏訪藩を襲う龍と言うのが、どうやら只者ではないらしゅうて…。」
「諏訪藩の呪われし神話の言い伝えには、血車党が絡んでおるのでは無かろうかと…。」
「高島城中にて、胡乱な動きを見せているのが高島家の家臣、
 沼部黒龍丸師兼なる者・・・!!」

・・・ここに来て、ユキの忍びとしての神経が研ぎ澄まされ出しました!

―――あの時と同じだ。

「あの時」と申しますのは、然様、第二章に於いてユキの両親と
彼らと懇親の僧侶を手に掛け、あまつさえその姿を盗み取った
野盗上がりの三匹の化身忍者「鬼火蝮」・「毒蛇妙尼」・「不死身ましら」
のことを申します。