仮面ライダーののBLACK

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722保全
 強力な改造人間を求めて中東を訪れていた地獄大使が日本支部に帰還した。
長旅から帰ったばかりではあったが、旅の疲れなどみじんも見せず彼はすぐさま
実験室へと直行する。と、そんな彼を出迎えたのは死神博士とその配下の者たち
だった。

 そしてそこには、どういう訳か南米の協力組織「ガランダー帝国」の首魁
ゼロ大帝の使者「黒ジューシャ」たちの姿もあった。実は死神博士もまた南米
行きを計画していたのだが、その動きを察知したゼロ大帝は組織内での発言力
を強めんと、死神博士の南米における一切の便宜を取り計らうとの申し出を
したのである。黒ジューシャたちはそのための使者であった。

 「お前達は一体誰の手のものだ」

 「我々はガランダー帝国、ゼロ大帝様の使者でございます」

姿勢を正し右腕を掲げ、ゼティマ式の敬礼を見せる黒ジューシャ。そんな彼の
腕のフリンジを見た地獄大使は、こう言った。

 「なんじゃこれは、まるで暖簾ではないか。『よう女将、また来たよ〜』」

 挨拶代わりの軽いギャグをかます地獄大使。一気に硬直する面々。しかし
そんな場の空気などお構いなしの彼は目の前で言葉を失っているライバル、
死神博士に対する競争心からか、南米行きの成果を存分に知らしめようと早速
作戦会議に入る。

723保全:04/02/08 20:47 ID:NovfmEt+
 そこで地獄大使の要望により、宿敵・仮面ライダーたちを研究しようと
言うことになった。やがて、スクリーンにライダーたちと改造人間の戦いの
様子が映し出されていく。

 そんな折、彼の目を引いたのはなぜかストロンガー、アマゾン、そしてX
だった。

 「コイツは確か、ゼネラルシャドウの仲間を倒したヤツじゃな。名前は
何だったか・・・」

 「ストロンガー、にございます」

 このときすでに黒ジューシャ達の姿はなく、そこには幹部の面々と、彼らに
従う戦闘員の姿があった。戦闘員の一人が地獄大使の質問に答えると、それに
対して地獄大使は映像を指さして言う。

 「何、ライダーストローとな?おおかた線の細そうなもやしっ子じゃろうて」

 「いえ、『ストロンガー』ですが」

 「それは失敬。で、甘党というのは何奴じゃ。ところで貴様、羊羹は好きか?
儂も実は医者に止められるくらい大好きでな」
724保全:04/02/08 20:47 ID:NovfmEt+
 「・・・もしかして『アマゾン』でしょうか?」

 この発言に場が軽く冷えてしまったにも関わらず、地獄大使は言葉を続ける。
この間、議場のあちこちで椅子を引く音が聞こえ始めた。あきれた幹部達が
退席し始めたのだ。しかし地獄大使はそんなことを全く意に介する様子はない。

 「おお、そうそう。アマゾンじゃったな。しかし敵はまだ居るのであろう?」

 「はい。続いては『仮面ライダーX』です」

 「なんと!仮面ライダー○ックスとな?!言うに事欠いてこの痴れ者め!
・・・っておい、どこへ行く」

 「さすがにツッコむ気にもなれんそうだ。地獄大使よ、少し休むがいい・・・
弟の台頭にあせる気持ちには、儂も多少は理解を示そう」

 そう言うと、最後まで残っていた死神博士もマントを翻して部屋を後にした。
取り残されて一人たたずむ地獄大使の姿が、なんとなくこっけいに見えた。


(ちなみに今回のショートストーリーは潮 健児氏が営業(地獄大使役でライダー
ショーに出演された折りの事だそうです)で実際にステージで披露されたという
ネタを元に構成しています。)

保全SS 「ある幹部会の風景」 終