「いるわけねーだろ!」
「絶対にいるってば!」
翌日、雅は学校で男子数人と言い争いをしていた。
「じゃあ誰か見たことある奴いるのかよ。」
「それは・・・・」
「そら見ろ。いい歳してガキみたいなこと言ってんじゃねーよ!」
「バカじゃねーの?」
「・・・・バカって言った?」
雅はジロっと男子を睨みつけた。
「すいません。ごめんなさい。言い過ぎました・・・」
「雅ちゃん、そんな奴ら放っとこうよ・・」
「そうだよ、行こ行こ。」
そう言われて雅は取り巻きの女子数名と教室を出て行った。
「絶対にいるもん・・」
「わかってるって・・でも実際誰も見てないんだよね・・」
「うん・・」
雅はちょっと元気が無かった。
それから一週間後・・・
「なあ一昨日の夜、誰か出掛けたか?・・・」
中澤が少し困ったような顔で全員に尋ねた。
「一昨日のパトロールはひとみと梨華だったよね?」
「うん、でも特に何も無かったよ?」
ひとみが言った。
「なにかあったの?裕ちゃん。」
矢口が心配そうに中澤に尋ねた。
「うん、変な噂を聞いたんやけど・・・」
変な噂とはこうだった。
ここ数日、夜になると「仮面ライダー」と名乗る輩が現れる。
スクーターに乗り、黒い衣装にヘルメット姿で暴走族やコソ泥を退治している。
どうやら正体は女の子らしい。
「・・・じゃあやっぱり偽者か。」
中澤が納得した様子でつぶやいた。
「偽者って、まさかまたゼティマの・・・」
辻が心配そうな顔をした。
「いや違うやろ、やつらなら悪事を働くはずやし。」
「第一、姿形が違いすぎるもんね。ライダーのことよく知らないんじゃない?」
加護と矢口がそう言うと辻は少し安心した。
「そうれすね。でも評判が良くなるならいいれすよね。」
「いや、でも危ないよ・・・」
辻の言葉に飯田が答えた。
「危ないってなにがれすか?」
「相手が暴走族とか自転車泥棒ぐらいならいいんだけど・・・」
「そうやねん。あまり噂が広がると『本物の悪人』が出てくるかも知れんからな。」
中澤も心配そうに言った。
「でも一体誰が・・・」
「あ、そういえば先週も私たちの噂を聞いたんだけど・・・」
飯田と矢口は先週の公園での出来事を話し出した。
「・・・ふーん。そんなことがあったの。」
「今回の件と関係あるかどうかわかんないんだけどね・・・・」
ともかく夜間のパトロールを強化するということで話し合いは終わった。