34 :
名無し天狗:
翌日、ユキたち一行は洞窟をあとにした。
だが、ユキの頭の中にはゆうべ見たあの「夢」のことがこびり付いていた。
「しかし…あの“仮面らいだぁ”とは一体…?
それと、浪花言葉を喋っていた方の左腕にあった紫色の布…
あれがどうも我がことのように思えてならぬ…。」
ユキは夢の中の出来事を心の中で反芻するが、
納得出来たようで納得出来ぬ、と言った心境であった。
が・・・
「・・・ま、今は斯様なことを考えても詮方なきこと。
今はただ、血車の邪魔に用心しつつ仇を討たねば!」
・・・考えても何も始まらない。今は当面の目的を果たす。
ユキは気分を一新し、先ずは父母の菩提寺へと向かう。
しかし、その道は決して平坦ではなく、魔神斎の言うところの
「第二陣以降」の罠が次々とユキたちを襲った。
崖の上から転がり落ちる大岩、行く手を阻む火の手、
一歩踏み入れただけで綱が切れ易いように細工された吊り橋・・・。
それらの危機を、ユキたちは苦戦しつつも辛くも潜り抜ける。
「罠要員」として、使い捨て扱いされた血車党の下忍たちに憐みを抱きながら。
35 :
名無し天狗:03/10/24 20:47 ID:xc0Uhj/Y
やがてユキたちは、目的の寺に到着した。
寺の住職はユキの家族の古くからの知り合いで、
彼は逞しく、かつ美しく成長したユキを暖かく迎え入れた。
茶をご馳走になり、ユキたちは住職を交えて昔話に花を咲かせる。
そして、ユキが「父母のお墓にお参りしたい」と切り出したその時…
住職の口から意外な一言が飛び出した。
「実は…あなたのご両親のお墓は…ここには存在しないんです。」