仮面ライダーののBLACK

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29名無し天狗
ビルの屋上に立つ加護亜依と辻希美の二人は、眼下の敵・ゼティマを見下ろし
吐き捨てるようにこう叫ぶ。

「目に物見したるさかいな!!」
「覚悟するのれす!!」

そして二人は、各々腕を一定の位置にピン!と伸ばす。
その時次に二人が発した一言に、上空のユキは過敏な反応を示した!

「ライダー・・・変っ身!!」
「変っ身!!」

「な・・・へ、“変身”だと!!??」

ユキも嵐に“変身”する「化身忍者」である。それ故、見た目まだ子供の二人が発した
「変身」の一言は、彼女には実に衝撃的であった。

やがて「変身」の構えを取った二人は地上目掛け再びジャンプする。

「とぉっ!!」

二人の腰には、いつしかあのベルトが巻かれていた。
そのバックルの風車が、急降下から受ける風圧によって高速回転する!

そして地上に降り立った時、二人の姿はゼティマの「悪」とは違う「異形の者」へと変わっていた。
ユキは更に困惑の色を強める。
30名無し天狗:03/10/24 19:08 ID:xc0Uhj/Y
「まさか・・・これは・・・もう私には何が何だか・・・・・・。」

混乱するユキ。無理もない。一見普通の人間が、あれだけ大勢の者たちと渡り合い、
その上「変身」までしてみせたのだから。

その「変身」した二人の姿は、バッタを主体としながらも、生々しさを感じさせない。

「うぬぬ・・・おのれ、仮面ライダー!!」
「「いくで<れす>!!」」

いきり立つゼティマの群れに、二人の「仮面ライダー」は再度対峙する。

「か…“仮面らいだぁ”と申すのか、あの二人の化身忍者は……。
 しかし驚かされてばかりだな。まさか、この得体の知れぬ世界にも、化身忍者と
 それを生み出す技術があるとはな…。」

ユキはもう何が起きても驚かぬと言った風であった。むしろ、この不思議な世界では
どんなことがあってもおかしくないと思うようになっていた。
31名無し天狗:03/10/24 19:18 ID:xc0Uhj/Y
地上では、二人の「仮面ライダー」がゼティマの戦闘員を残らず撃退し、
怪人と睨み合っていた。

先手を仕掛けたのは怪人の方だ。

「死ねぇ!ライダー共!!」

言うなり怪人は「仮面ライダー」に飛び掛る。
だが、「仮面ライダー」は数多くの敵怪人を幾度と無く倒してきた。
怪人の、手を変え品を変えて次々繰り出す攻撃を、
「仮面ライダー」は当たり前のように回避し続ける。

「クソォ、チョコマカと!!」
「今更そないな攻撃、通じる思うとるんかい!!」
「鬼さんこちら♪ベロベロバァ〜♪」

「つ・・・強い・・・!」
上空のユキも、二人の見事な戦いぶりに舌を巻いていた。

やがて「仮面ライダー」優勢のまま、時は過ぎた。

怪人は焦燥の色を強め、すでに自分を見失っている。

「よし、止めや!いくで、のの!!」
「うん!!」
「「とおっ!!」」

二人は先程よりも強く、そして高く、大きくジャンプする!!
32名無し天狗:03/10/24 19:36 ID:xc0Uhj/Y
そして二人は空中で一回転!!

「「ライダァー!ダブルゥ!!キェェェェェェェック!!!」」

上空から矢のように一直線に、怪人目掛け急降下のキックを見舞う二人!百発百中!!

「グギェャアアアアァァァ・・・・・・!!!!」

怪人は二人の強烈なキックを受け、何故かユキの方へと飛ばされて行く!

「・・・!最後の止めは任せよ!!」

眼前に迫る怪人に、上空のユキは背のハヤカゼを抜いて上段の構え。だが・・・・・・!!

 ド ォ グ ァ ァ ァ ァ ・・・・・・ ン ン !!!!

怪人はユキのいる地点に達せぬうちに、末期の大爆発を起こした!!
その爆風と衝撃は、そのままユキを襲う!!

「う あ あ あ あ あ あ ぁ ぁ ぁ ぁ ・・・・・ !!!!!!」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ガバッ!!

ユキは衝動に駆られ、跳ね起きた。
目を覚ましたユキは、辺りを見回すが・・・そこは野宿に使っている洞窟の中であった。
三人の傍らでは、暖を取り明かりを灯していたであろう焚き火の火が小さく燻ぶっていた。

「・・・ふぅ…やはり夢であったのか…。」

だが、その夢はユキに鮮烈な印象を与え、「次なる大きな運命」を予感させるには充分な力があった。