その翌日、時計は正午を回っていた。圭と裕子は昨日からの予定通り、二人で
夢ヶ丘商店街の中心にあるデパートで開催されているインカ文明の博覧会へと
出かけていった。
ジャングラーは目立ちすぎるということで、裕子の運転する車での外出となった
が、その動きはすでに例の二人組の赤ジューシャに察知されていた。もっともこの
二人も外出の目的までは知らず、腕輪を持つ圭の動きをしつこく追っていたら、
たまたまこの光景に出くわしたという程度でしかなかった。
「あいつら、二人してどこへ行くつもりだろう」
「さあね・・・でも、追いかけてみる価値は十分にあるよ。お前達!」
鳥の巣のようなパーマ頭の、少し下膨れ顔の赤ジューシャが号令を発する。その
直後、いずこからとも無く現れたのは揃いの紫色のセットアップに身を包んだ
3人の女達だった。
「キェーイ!赤ジューシャバイク部隊、ただいま参上」
赤ジューシャバイク部隊とは、オートバイによる卓越した機動力によって諜報
活動などの様々な任務をこなす、十面鬼が誇る機動部隊なのだ。
「お前達、あの車の後をつけな。狙いが判ったら、あたしらに連絡するんだよ」
「くれぐれも焦って下手打つんじゃないよ?判ったね?」
二人の赤ジューシャは、バイク部隊に対して目的はあくまでも圭達の尾行であると
念押しする。これに応えてバイク部隊は早速行動を開始した。
ちょっとだけ更新です。続きはまた後ほど。