仮面ライダーののBLACK

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135ナナシマン
 家に帰り着いた圭は早速公園での出来事と、腕輪にまつわる話を居合わせた
仲間達に聞かせた。彼女の両腕をまじまじと見つめながら、少女達はそれぞれに
今後のことを話していた。

 「この変な腕輪にそんな力があったなんてねぇ・・・おどろいたよ」

なつみはそんなことを言いながら、指先で腕輪をつつく。

 「おじいちゃんにもらったものを変って言わないの、もう・・・」

腕輪をつつく指を避けるように身をよじる圭。その様が何となく面白かったのか
居合わせた少女達が一斉に腕輪をつつこうと迫る。指は腕輪を外れて二の腕や
脇に入るものだから、だんだんと圭はくすぐったくなってきた。

 「こら、やめてってたら・・・ちょっと!」

と、そこへ外出から帰ってきたばかりの裕子が姿を見せた。ひとまず悪ふざけを
やめ、少女達は圭とともに腕輪の話を裕子にもして聞かせた。裕子は少女達の話
を一つ一つ聞き逃さず相槌をうちながら注意深く聞いていたが、ふと何かを
思い出したか、ハンドバッグの中から一枚の紙を取り出した。
136ナナシマン:03/11/03 23:16 ID:SwOIaXlA
 「・・・ほんならちょうど良かった。こんなの貰って来たんだけど」

それは一枚のチケットだった。そしてそこにはこう書かれていた。

 『失われた黄金の帝国〜古代インカ文明展』

 それは夢ヶ丘のデパートで今日から開催されている、インカ文明の博覧会の
チケットだった。聞けば裕子は、このチケットを綾小路夫人に貰ったのだという。
綾小路夫人といえば、斉藤瞳の口利きで始めたペット探しの元依頼人であった。

 「綾小路さんところのデパートで開催してる博覧会のチケット。もしかしたら
圭ちゃんの腕輪の謎に関わる展示品が、それと気づかれずに展示されてるかも
知れへんね。行ってみたら?」

裕子はそう言って、チケットを圭に手渡した。物珍しさでチケットを表にしたり
裏返したりとあれこれ眺めていた圭だったが、印刷されていた展示物の写真の中
にはやはり見覚えのある品があるようで、そのうちの幾つかを指差しながら、
これは見たことがあるとか、似たようなものが村にあったとか、懐かしそうに
語って聞かせていた。そして思い出話に区切りがついたところで、圭はチケット
を握り締めて裕子に言った。

 「ありがとう、裕ちゃん。あたし、ちょっと行って見てくるよ」

 「何かの手がかりになるとええね・・・そうだ、明日付き合うわ」

 こうして、圭と裕子の二人は腕輪の秘密を解き明かす手がかりを求めて、明日
博覧会会場へ足を運ぶことに決めた。この時二人は、やがて知る驚くべき古代の
伝承のことなど、まだ知る由も無かったのである。