第45話 「狙われた秘宝伝説・インカ超エネルギーの謎!」
霊峰富士の懐に抱かれた緑の魔界、それが富士樹海である。南米に勢力を誇る
ゼティマの大幹部、十面鬼はここにアジトを構え日本侵攻の拠点とした。彼の
目的はただ一つ、組織の野望のために絶対に必要となる密林の至宝、ギギの腕輪
とガガの腕輪を強奪することである。
「出でよ、モグラ獣人」
地獄の底から響くような不気味な声。十面鬼により呼び出された新たなる尖兵、
それは赤い体毛に覆われたモグラの怪物であった。土煙を吹き上げながら、
モグラ獣人は地底より這い出して主である十面鬼に拝謁する。
「チュチュー。お呼びですか十面鬼様」
「モグラ獣人よ。貴様は今より東京へと向かい、仮面ライダーアマゾンから
二つの腕輪を取り返してくるのだ」
軍団の尖兵に十面鬼はそう言って指令を与える。しかし、この獣人はこれまで
十面鬼が遣わした者達とはなんとなく風情が違う。何と言うのだろうか、十面鬼
の手先達が放っていた禍々しさが、このモグラ獣人からはあまり感じられない
のである。むしろそのたたずまいからはとぼけた味わいすら滲み出ている。
「お任せください。アマゾンから腕輪を取り戻してみせます」
「行け!」
「奪い取るのだ!!」
モグラ獣人の意気に十面鬼が応え、かくして獣人は東京を目指して再び土煙を
あげて猛進を始めた。獣人の身体が完全に地中に隠れ、地の底を掘り進んでいると
見た十面鬼は、更にもう一体の獣人を呼び出す。彼の召還に応じて現れたのは、
一匹の巨大なカニだった。
「カニ獣人よ、モグラ獣人の後を追って東京へ向かうのだ。モグラ獣人が
しくじったならば、すぐにもお前が腕輪を奪い取れ!」
十面鬼は善後策として、カニ獣人を第二の刺客として東京に差し向けることに
したのである。全身暗緑色のカニの怪物、カニ獣人は喜び勇んで巨大なはさみを
打ち振るう。
「モグラの出番なぞあるものか。このカニ獣人が腕輪を奪い取ってご覧に入れます」
そう言うと、カニ獣人は巨体を揺さぶりながら十面鬼の前から姿を消す。2体の
獣人がそれぞれに東京を目指すこととなり、十面鬼は直ちに赤ジューシャ達に
命じて作戦の支援に当たらせた。
「キョエーイ!モグラ獣人とカニ獣人のことは我らにお任せください」
例の赤ジューシャ二人組は、他の赤ジューシャ達と連れ立って東京へと向かった。
かくして、十面鬼がもくろむ腕輪強奪の二正面作戦は今始まろうとしていた。