142 :
書いた人:
―――
「・・・・・・紺野、大丈夫かな?」
「「?」」
「いや、辻はともかくさぁ・・・」
「目の前・・・・・・だったんですよね」
「紺野が喋るの・・・見た?」
「いえ・・・私は・・・。飯田さんは?」
「見てない」
「三日前からずっとああなんだって・・・加護が言ってた。
ずっと塞ぎ込んだままで・・・警察に事情聞かれたときも、ずっと下向いたままだったって」
「・・・さっきも、砂時計見たままだったよね?」
「・・・・・これからさぁ、どうなるんだろ」
「・・・・・・」
「ゴメン、変なこと聞いた」
「いいよ。気にしないで、矢口」
―――
143 :
書いた人:03/12/06 01:10 ID:0QynbIvB
・・・おかしな夢を見た。
今年はクリスマスプレゼント、どこへ買いに行こうかなぁ、ってすっごく悩んでて。
あぁ! この間見つけた、あの小物屋さんだったら、いいの見つかるんじゃないかなぁ? って思いついて。
あさ美ちゃんもどこへ買いに行こうか困ってたから、一緒に行こう!
って誘おうとして、ドキドキしてた。
なのに、私はあさ美ちゃんと大ゲンカ・・・
っておい、これは昨日までの私じゃないかな。
つーか、そのまんまだよ、これ。
藤本さん並みのツッコミを入れた途端、もう一度意識が途切れる。
その「バヒューン!」って飛ばされる感覚が、また気持ち悪い。
誓ってもいいよ・・・・・・もう絶対、この手の薬は飲まない。
144 :
書いた人:03/12/06 01:11 ID:0QynbIvB
・・・
・・・・・・
・・・着いた・・・・・・のかな?
少しひんやりとした空気が顔にあたる。
体を包む毛布のフワフワ感が、たまらなくいとおしい。
着いた・・・・・・みたいだね。
何より、さっきまで腰の下にあったソファーのフワフワが無い。
取り敢えず・・・・・・起きて、日にちを見ないとなぁ・・・
って思ったのに、ちっとも身体が動かない。
あれ? どうなってんの? これ。
動かそうと思えば動かせそうなのに、でも頭からの命令がちっとも働かない感じ。
というか、目も開けられないじゃない。
うわぁ・・・着いた瞬間金縛りかぁ・・・先が思いやられるなぁ・・・
滅多に金縛りになんか罹らないのに、こういう時に限ってなっちゃうんだもん。
絶対運を余計な所に使っているとしか思えない。
145 :
書いた人:03/12/06 01:12 ID:qK0+fIgb
どうしよっかなぁ・・・こういう時って、どうやったら脱出できるんだっけ?
確か、グワァッ!! と目を開けてみれば、すんなり行ったような気がするなぁ・・・
ちょっと怖いけど大丈夫。
まあ、いざとなれば、未来の私が助けてくれるだろう。
せぇ〜の、グワァッ!!
・・・あれ?
相変わらず私の視界は真っ暗なまま・・・っていうか、目が開かなかった。
本格的な金縛りだなぁ・・・これじゃ。
やだなぁ・・・未来の私、何かに呪われてたりしないよねぇ?
あ、でも「スカイハイ」の釈さんみたいになってたら、それはそれで嬉しいなぁ。
「・・・・・・まぁ、いいや。もう一度寝る!!」
こういう時は、二度寝に限るもん。
独り言みたいに呟いて(もちろん頭の中で、だけど)、
意識を落とそうとした途端、一気に目の前の風景が飛び込んできた。
146 :
書いた人:03/12/06 01:13 ID:qK0+fIgb
おぉ!?
適度に片付いた部屋。
起きたばっかりでよく見えないけど、視界に広がる未来の私の部屋を見渡す。
少女趣味な物は殆どなくって、掛かってるバッグとかも、黒い落ち着いたヤツ。
あれシャネルかなぁ? いやぁ、未来の私はブランド物が似合う女になっちゃったのかぁ。
と、突然視界が動く。
ははぁ〜ん、まだ私が全部体を乗っ取れたわけじゃないんだなぁ?
その証拠に、「私」は勝手にキョロキョロすると、立ち上がって伸びをする。
自分の身体に命令できないのは不便だけど、でも不慣れな私が挙動不審なことをこの時代でしちゃうよりは、こっちの方がいい。
「私」は頭をガシガシと掻きながら、廊下をスタスタと歩き始めた。
まったく見覚えのない・・・廊下・・・あれ? どこかで見たことある気もするけど・・・分かんないなぁ。
147 :
書いた人:03/12/06 01:13 ID:qK0+fIgb
「私」は洗面所に向かっているみたい。
いやぁ、起きて早速カガミチェックとは、お肌に気を使ってるね! 私。
・・・・・・ってことは、鏡が見れる?
やばッ・・・ドキドキしてきたなぁ・・・
よし、それじゃここが何年後か見る前に、私の顔でも拝んでおくとしよう。
そんな私のドキドキに構うことなく、「私」はごく当然の行為のように洗面所のドアを押し開ける。
・・・・・・・・・
え?
これが・・・・・・私?
あまりの顔の違いに、驚いて・・・いつもの可笑しなリアクションもできない。
148 :
書いた人:03/12/06 01:15 ID:TufQDY+T
・・・・・・顔、違いすぎない?
下膨れに近かった輪郭は、すっとしてる。
でもなぁ・・・色はちょっと黒くなったかなぁ? 石川さんほどじゃないけど。
髪が肩甲骨くらいまで伸びてるのは変わんないけど、ストレートの黒髪。
っていうか、気持ち悪いくらいストレートだ。亀井ちゃんみたい。
ホントに元の私を見つけることが難しいくらいに変わってる。
これ・・・変わりすぎだよねぇ・・・
もしかして、いじっちゃったのかなぁ・・・顔とか。
でもいじったとしても、別に鼻とか特に高くなってるわけじゃないもんねぇ・・・
いや、むしろ目とか細くなったよねぇ、私。
どうなってんの? これがこの時代では、人気な目のサイズなの?
私が一人混乱してる中、「私」の方は、ほっぺや目尻の辺りをじっと見て、「よし」と呟いた。
何が「よい」んだ、何が。