130 :
西郷樹:
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藤本美貴は思わずほくそ笑んだ。
何もかも上手くいっている。
これだから、他人のものを“奪う”のはたまらない。
落としたときの征服感。
そして、裏切られたほうの悲壮感。今の高橋のリアクションなんか文句なしだ。
これだけのゾクゾク感は久々だ。
もちろん、紺ちゃんがかわいいことは本当だ。
高橋が惚れるのも無理はない。
しかし、あくまでこっちは本気ではない。
言うなれば“火遊び”だ。やってるときは楽しいが、気をつけないと火傷をする。
このスリルがたまらない。
何度でもやりたくなる、やめられない。
しかし、モーニングやハロー!のメンバーにはまだやったことがなかった。
後で団結なんかされても困るし、何より仕事仲間にちょっかいを出すのは後々やりにくいと考えていたのだが、
紺ちゃんのかわいさにはつい、手を出したくなってしまった。
ああいう優しくて心配りのある子が理想なんだろうな、と一人で結論づけてしまっている。
何しろ今、自分はれっきとした相手がいるのだから・・・・・・・・・・
131 :
西郷樹:03/12/10 20:39 ID:71Yhr95O
と、そんなことは置いといて高橋を慰めてやらないとな。
『愛ちゃん!・・・・・何で!・・・・・・・・・・・・・・』
高橋だ。トイレにいる。
嗚咽混じりの泣き声が聞こえてくる。
あくまで偶然発見したような素振りで近づいていく。
「た・か・は・し・ちゃん、どうしたの?泣いてるの?何があったの?」
『あんたっ!・・・あさ美ちゃんに一体何をしたのよ!?』
もの凄い形相で声を荒げている。
やはり、そうとうショックだったのだろう。
「何をって、別に何も?高橋、少し勘違いしてるんじゃない?」
『ふざけるなっ!!あんたがあさ美ちゃんにおかしなこと吹き込んだんだろ!』
「あのね〜、もうあれから1週間経ったのよ。あの時、美貴は言ったでしょ、『1週間経ったらいつも通りに戻って“も”いいわよ。』って。
紺ちゃんの気持ちがどう変わったかは知らないけど・・・・・ね♪」
『卑怯者!・・・・・・・・・・』
「卑怯?何が卑怯だっていうのよ?あんたに魅力がないのが悪いんでしょ。
悔しかったら紺ちゃんを奪い返してみるんだね。それじゃあね。あ、あとお仕事に持ち込まないのよ、こんな感情を。」
そう言いながら、高橋の前から立ち去った。高橋はまた泣いてしまったようだ。
まぁ、今の高橋にはもう何もできまい。別に恐れることはないはずだ・・・・・・・・・・
132 :
西郷樹:03/12/10 20:40 ID:71Yhr95O
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そのころ高橋愛は・・・・・
「くそっ!!こうなったら負けるもんか!
絶対あさ美ちゃんを取り返してやる!」
とは言っても相手は一筋縄ではいきそうにない。
何か、別のほうから攻めないと・・・・・
瞬間、ひとつのアイディアが頭に浮かんだ。
「そうだ!あの人にこのことを知らせれば・・・・・」
よし、これはいける。
そうとなったらすぐ行動だ。
急いで携帯を取り出し、呼び出す。
「・・・あ、もしもし高橋ですけど・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」