126 :
西郷樹:
『あさ美ちゃん、おはよ〜♪。』
「あ、愛ちゃん・・・おはよ。」
自分でもびっくりするほどそっけない扱いだった。
愛ちゃんもそれに気づいたようで、驚いて話しかけてきた。
『どうしたのあさ美ちゃん?なんかあったの?』
「・・・・・あったよ・・・・・・・・・・いっぱいありすぎたよ。」
そう、一言では言い表せないぐらいすごいことが。
長い、長い1週間だった。
それは、人1人の気持ちを動かすことぐらい簡単な・・・・・・・・・・
ちょうどその時だった。
『おはよ〜。』
「あ、美貴ちゃんおはよう!♪」
『紺ちゃん、昨日は楽しかったね。』
言いながら、美貴ちゃんは睨んでいた。明らかに愛ちゃんのほうを。
そして、不敵な笑みを浮かべていた。
さらに、誰にも聞こえないような声でそっと、
『今日も一緒に帰ろうね♪』
「うんっ!」
私たちは、とりあえず離れた。
すかさず愛ちゃんが寄ってきた。
明らかに焦っている様子がみてとれた。
『・・・どういうこと!?何がどうなってるの?もう1週間は過ぎたのよ。なんでまだ藤本さんと仲良くしてんの!?』
「そんな・・・・・大げさだよ。だって、同じメンバーじゃない。仲良くするのは当然じゃ・・・・・」
『違う!あれは同じグループのメンバーの仲とか、そういうんじゃない。まるで・・・(恋人同士みたい)』
最後のほうはまた聞き取れなかった。
いずれにしても、愛ちゃんはそうとう怒ってる。間違いない。
「あ、あのね・・・愛ちゃん。考えすぎじゃない?私と美貴ちゃんは別に・・・・・」
『じゃあ、証拠を見せてよ。』
「証拠?証拠ってどうすればいいのよ?」
『とりあえず今日は一緒に帰ってよね。詳しい話はその時にするから。』
「え、今日?今日は・・・ちょっと・・・・・」
『何よ!やっぱりそうなんじゃない。もういい!!』
愛ちゃんはそういったきり、走り去っていってしまった。
慌てて私が追いかけようとすると、
『いいよ、美貴が行く。紺ちゃんはここにいて。』
「え、でも・・・・・」
『大丈夫、任せて。』
そう言って、美貴ちゃんも愛ちゃんを追いかけていってしまった。
本当に大丈夫なのかな・・・・・元はと言えば、美貴ちゃんが原因なのに・・・・・・・・・・