猛忍具娘

このエントリーをはてなブックマークに追加
224名無し完璧です!
     33.CHAIN SAWの真の姿

「お豆、大丈夫!?」

矢口の問いに新垣は右手で大丈夫とアピール。
幸い、膝の直撃は避けていた。
しかし、その少し上のところが若干腫れ上がっていた。

「ちょっとあんた、今のわざとでしょ?」

矢口が今度は松浦に突っかかる。
松浦は笑顔を崩さないで矢口を軽くあしらう。

「何言ってるんですかぁ?それに今のはストライクですよぉ。」
225名無し完璧です!:03/12/07 13:09 ID:HT6C5y3A
お前こそ何を言ってるんだと思いながらも、矢口は主審の方を見る。
すると、矢口の予想に反して、主審が言うには今のがストライクだったらしい。
これに思わず矢口は主審の胸座に掴みかかろうとする。

「ふざけないでよ!何で今のがスト……。」

その寸前、新垣がかろうじて矢口を押さえ込む。

「離せよ、お豆!あんなジャッジ、納得できないだろ!?」

しかしこの後、矢口は新垣から予想外の言葉を耳にする。
226名無し完璧です!:03/12/07 13:10 ID:HT6C5y3A
「私なら大丈夫ですから!それに、今のは本当にストライクでしたから……。」
「何言ってるの?お豆、わざわざそんな嘘なんて言わなくても……。」
「嘘じゃないです。今のシュート、ホームベースの上を完全に通過してから変化したんです。」
「……ホントに?」

矢口はしばし呆気に取られる。
確かにホームベース上を通過した上で体に当たっても死球にはならない。
ただ、そんなシュートボール、本当に投げられるのだろうか?
半ば信じられずにいたが、やむなく矢口をはじめとする横浜ナインはベンチへと退いた。
その後も新垣は、執拗なシュート攻めに避けるのが精一杯でことごとく三振に倒れてしまう。
そして新垣がベンチへの帰り際に、次打者の柴田に一言声をかける。

「柴田さん、あの球には気をつけてくださいね。」
「心配ないよ、お豆。私にはアレは通じないから。」

柴田の表情は自信に満ちていた。
そして打席に向かう。
そこで矢口が気付く。

「そっか、柴ちゃんは左だからシュートは当たらないんだね。」
227名無し完璧です!:03/12/07 13:11 ID:HT6C5y3A
そう、矢口が言うように柴田は左打者だ。
ということは、右投げの松浦のシュートは外へ逃げていく球になるので、体に当たることは考えられない。
ただそれでも、シュートのキレのよさは厄介ではある。
外角に投げられれば打ち辛いことに代わりはない。
柴田は外角のシュートに対応するために、打席のホームベース寄りに立つ。
すると松浦がボソッと呟き、そして投げた。

「チェーンソーと剃刀の違い、何かわかるぅ?」

チェーンソーと剃刀の違い……。
それは破壊力。
そして剃刀との決定的な違い、それはチェーンソーは両刃であるということ……。

「きゃっ!」
『ドカッ!』

先ほどの新垣の時とまったく同じような光景がそこにはあった。
『セクシーシュート』を全く変化を逆にしたようなスライダーが柴田の左足を襲ったのだ。
横浜ナインが今一度柴田の下へと駆け寄る。
今度は柴田の左膝下のふくらはぎ部分が腫れ上がっている。
そしてこの時主審の右の拳は、またしても高々と天に向けて突き上げてられていた。

「これがもう一つのチェーンソーボール、『キュートスライダー』。どう?」

松浦がこう言い放った時、矢口とあともう一人が目を怒らせて松浦の方を睨みつけていた。