420 :
名無し:04/01/14 15:33 ID:ho2Jgijw
保全したほうがいいかな?
飯田圭織、石黒彩、矢口真里。
一つの空間にこの三人が顔を並べると、何か不思議な因縁を感じる。
突然訪れた矢口を、飯田は二つ返事で応接室まで通した。
「悪いね、急に」
「いや」
「安倍なつみに宣戦布告しといて、貴女にしないのは失礼だと思って」
「別に私は気にしないが…」
飯田はすっと手を差し出した。握手の手つきだ。
矢口は一瞬考え、その手を握った。
「今度の大会で優勝して、安倍なつみを倒したら、その次は貴女だ。飯田さん」
「金メダリストにそう言ってもらえるのは光栄だ。楽しみにしていよう」
二人は微笑を浮かべたまま、まだ握手を交している。
やがて、どちらからともなく静かに手を離し合った。
それから矢口は、飯田の隣に立つ女に視線を移した。
「私が誰か知っているか?」
「勉強したよ。ジョンソン飯田のパートナー、クロエ石黒だろ」
「どうも、握手するかい?」
「いや、やめとく。流石のおいらでも飯田さんの後に貴女の相手は無理だ」
答えた矢口の右手には、赤黒い痕跡ができあがっていた。
「ところで今度の大会、どっちがでるんだい?飯田さんか石黒さんか?それとも松…」
「松浦を出す気は無い」
きっぱりと飯田は答えた。
その答えは矢口だけでなく、石黒までもを驚かせた。
「へ〜驚いた。巷では松浦の参戦が有力だって噂だったからさ」
「素人が勝手に騒いでいること。俺は松浦を安倍なつみの大会に出す気は無い!」
「大事にされてんだ。まぁおいらが口挟むことじゃないけど」
用事は済み、矢口はくるりと向きを変えた。
矢口が退出した後、石黒は長い付き合いの相棒に問う。
「おい!聞いてないぞ、そんな話」
「俺もだ。今、思いついたからな」
「何だそりゃ?私はてっきり松浦を出すつもりだとばかり…」
そこで石黒は目を止めた。
飯田の手にくっきりと指の跡が残っているのだ。
「目の前で矢口真里を見て考えが変わった。松浦は出せない」
その言葉の意味すること。『松浦亜弥では矢口真里に勝てない』
飯田の手の痺れがその事実を深々と物語っていたのだ。
東日本予選から遅れること一週間。
大阪城ホールにて夏美会館オープントーナメント西日本予選が幕を開けた。
残り一枠となった本戦出場権を賭けて、全国の強豪達が集う。
開始前からすでに東日本予選を上回るレベルになるであろうと噂されていた。
その当日、大阪にやはりこの3人の姿が見せた。
「お好み焼き、たこ焼き、いか焼き、明石焼、最後にミックスジューチュ♪」
「コラ、てめえ何しに来たんだよ」
「藤本しゃん。食い倒れじゃないんれすか?」
「一生そこで逝き倒れてろ!なっちさんよぉ、こいつ置いてとっとと行こうぜ」
「そうね、とりあえず鶴橋行くべさ」
「お前もかよ!」
「あれ?美貴は食べないの?焼肉」
「アホ!行くに決まってるだろ!辻!トロトロすんな!行くぞオラー!」
「藤本しゃん、おもしろいのれす」
安倍、藤本、辻の夏美会館TOP3が焼肉を囲んでいる頃、西日本予選は始まった。
「いいのかよ、主催者がこんな所にいて」
「いんじゃない?準決勝くらいまでは」
「美味いのれす」
こんなのん気な会話とは裏腹、大阪ドームは激震に揺れていた。
『そこまでっ!!』
磨きに磨きを掛けた技に誰もが息を呑む。相手に指一本触れさせず彼女は勝利した。
洗練された和の武術がついに総合の場に!日本拳法の闘姫、前田有紀!
「ボクシング世界一はヨシザワではナイ。それを証明するわ」
南国のハワイからモンスターが来日。小さな体にサイクロンが潜む。
狙うは帰国したヘビー級王者の首!ボクシングミニマム級統一世界王者。ミカ=トッド!
「若ぇ者には死んでも負けへんわ」
安倍・飯田が頭角を現すさらに昔、女子格闘技界を暴れまわった伝説の女豹達がいた。
その最後の生き残りが復活を賭けここに蘇る。T&Cの稲葉貴子、電撃参戦!
前田、ミカ、稲葉。前評判通り、この3人が他を寄せ付けぬ実力で勝ちあがっていた。
なっち達がようやく大阪ドームに到着したときには、すでにベスト4が決定。
この3人の誰が優勝するかに観衆の注目は奪われていた。
「さ〜て、どいつが来るべさ?」
準決勝第一試合
ミカ=トッド(ボクシング)― 前田有紀(日本拳法)
準決勝第二試合
稲葉貴子(T&Cレスリング)― 田中れいな(八極拳)
八極拳キタ━━━(‘д‘)━━━!!
八極券んーーーー
保
田はいつどんな形で出てくるのだろう?
保全
保。がんがれ
431 :
ただすん:04/01/17 14:08 ID:g2vGuQkY
>>24で、亜弥と愛が真剣勝負する前に高校最後の冬が訪れようとしてる。
進路相談が高校最後の秋だから、流れとして進路相談(秋)→真剣勝負(冬)ということに…
これはミス?
人気や知名度を得る為に、格闘技を始めた訳ではない。
前田有紀は純粋に強くなりたいが為に日本拳法に打ち込んで来た。
この大会も周囲の人達に推されて出場しただけ。
「ゆきどん程の実力者が、もったいないよ」
周りの人々がそう言う。もったいないとは何事だろうか。
私はただ強くなりたいだけだ。優勝して名声を得ることがそんなに素敵なことか?
よし、それなら世間を批判してやろうと思った。
派手なパフォーマンスも、奇抜な技も無い。地味と言われてもいい。
本当の強さってのを世間に教えてやろう。
そして前田有紀は勝ちあがった。準決勝という舞台にまで昇ってきたのだ。
相手はボクシングのミニマム級世界王者。これ以上ない地位と名声の持ち主。
小さな体とピョーンパンチというユニークな技で、チビッコを中心に絶大な人気を誇る。
この全く異なる人生を歩んできた二人が一つの舞台でぶつかりあう。
ミカと前田の試合は幕を開けた。
(えっ?)
ミカを前にして、前田有紀は驚いた。
体が動かない。恐怖で縛られているのだ。そんなはずはないと全身に力を込める。
だが震えは止まらない。目の前の相手を見た。ミカが徐々に近づいてくる。
(これが…世界を征した者の…圧力)
ようやく前田は己の過ちを悟る。名声や人気に捕らわれていたのは自分の方だと。
本当の強者から逃げていただけなのだと。
前田有紀は歯を噛みしめた。
これだけの圧力を放つミカですら吉澤ひとみを追っている。
その吉澤ひとみですら安倍なつみを追っている。
そしてその安倍なつみも、きっと私には分からない目指す場所があるのだろう。
上にはまだまだ上がいるのだ。私はまだスタート地点にも立っていなかった。
(いや違う。今、ここが、私のスタートなんだ)
前田有紀は瞳の色を変えた。そして世界王者を睨みつける。
「いくぞ!!」
体が動いた。真正面から殴りかかる。己を信じて毎日鍛え上げてきた突きと蹴り。
殴る。殴られる。蹴る。殴られる。殴られる。殴る。かわされた。殴られた。殴られた。
赤と白に色分けされたミカのグローブが交互に私の顔に殴ってくる。
赤上げて、白上げて、赤…白…赤…
あぁ、これが噂に名高いピョーンパンチなのかと思った。
思った瞬間、目の前にマットが迫ってきた。
『勝負ありぃ!!ミカ=トッドの圧勝だぁぁぁぁ!!』
気が付くと私は担架の上にいた。負けたんだ。気持ちの良いくらい完璧に負けた。
体に無理を言って担架から降りた。
せめて退場ぐらいは自分の足でさせてくれ。これは私のスタートなんだから。
私が起きたことに気付くと笑顔のミカが近づいてきて言った。
「nice fight」って。
どういたしましてこちらこそ、ナイスファイト。それとサンキュー。
それと、いつかリベンジするからなコノヤロー。
準決勝第1試合が終了すると、実況の連中は口々にミカの強さを絶賛する。
「ミカにとって体重差は問題にならない」
「生で見るピョーンパンチは本当に凄い。あれは誰にも回避できないよ」
「本戦でミカと吉澤の対決が実現したら楽しみですね」
流行り物好きな実況連中に稲葉貴子はムカムカ腹を立てていた。
「どうしたの貴子?落ち着きなさいよ。」
そう言って後ろから肩を揉んできたのは、セコンドを引き受けてくれた小湊。
T&Cレスリング全盛時代からの旧友、今は普通のお母さん。
「いや、なんでもない。ただ、負けられねえなって」
「…そうね。負けられないわね」
昔から小湊は、すぐに熱くなる私たちを後ろで支えてくれた。
この大会の為にセコンドを引き受けてくれたこと、本当に感謝したい。
だけど感謝の気持ちは言葉では返さない。勝利という二文字で返す。
「この大会での優勝を裕ちゃんに送る。だから、負けられねえ」
それはもう私にしかできないこと。
たった一人、最後まで格闘技という魔物にしがみついている私だけにしか。
いやまだだ。まだうちらの時代は終わっちゃいねえ。それを今から証明するんだ。
そうだろ、裕ちゃん。
『準決勝第二試合!稲葉貴子vs田中れいな!始め!!』
「若い奴らには死んでも負けねえ」って意気込みで挑んだ訳だが、目の前に立つ相手の
若さには流石に引いた。高校生?下手したら中学生じゃねえか?
でも風貌は幼いくせに、目つきだけはやけに迫力がある。ただのガキじゃなさそうだ。
まぁ、当たり前か。曲がりなりにもここまで勝ち進んできたんだ。
「貴子!油断しちゃダメよ!」
舞台の下から小湊の声が聞こえた。わかってるって。油断なんかしねえよ。
油断じゃないが勝つ自信はある。このガキの今までの試合は全部見てきた。
動きもキレもパッとしない。辛勝辛勝でなんとか勝ち上がってきたって感じだ。
どうシュミレーションしても負けない。負ける要素はまるでない。
何も特別なことはしない。タックルで倒して押さえ込んで関節を決める。
王道を攻めれば良い。それで勝てる。
膠着が破れる。稲葉が動いた。闘いを知り尽くしたベテランのキレがあるタックル。
田中は捌ききれない。捕まって倒された。ここからの稲葉は早い。
より有利な体勢に持っていく為、押さえつけたまま動き続ける。田中は右手を動かす。
稲葉は完全に上をとった。田中の右手が稲葉の胸元に触れた。
ズンッ!!
それまでリング上をせわしなく動き回っていた二人の動きが突然止まった。
やがて、上に被さる稲葉を横にどけて、田中だけが上半身を起こした。
「八極拳士に密着するなんてバカたい」
大半の観客は何が起きたのか理解らず、唖然とした。
審判すらも一瞬自分の仕事を忘れかけた。慌ててカウントをとる。
「必要なかと」
田中はうつ伏せの稲葉をゴロンと転がす。
稲葉貴子は泡を吹いて気絶していた。
「もう行ってよかね?」
「しょ、勝負ありーーーー!!!勝者田中れいな!!」
関を切る様に、驚きの声が周囲に広がる。
しかし田中れいなは顔色一つ変えず、騒然とする試合場を後にした。
一方、今の試合がどうも理解できなかった辻希美は隣の安倍に尋ねる。
「ふえ?どうやったんれすか。今の?」
「寸勁ね」
「すんけい?気れすか?」
「そんな神秘的なものじゃないよ。コツと練習次第で誰でも使えるもの…」
そう言って、なっちは持っていた空き缶にゆっくり拳を付けた。
パアンという音共に空き缶は数メートル先へ弾け飛んだ。拳の位置は動いていない。
「こんな感じ」
「…なっつぁんは何でもできて凄いのれす」
辻は心から尊敬の眼差しで安倍を見つめた。
「いやぁ昔ね、めっちゃ強くてやばい八極拳の使い手がいてね。
そいつに勝つ為に必死で覚えただけよ。エヘヘ…」
「あんたが必死になるなんて想像つかねえな」
安部と辻の会話を横で聞いていた藤本が口を挟む。
「美貴。なっちだって最初から強かった訳じゃないべ。がんばったんだよ」
「ふ〜ん。それで、そのヤバイ八極拳の使い手さんは今、どうしてるの?」
「さぁ、なっちに負けてから噂も聞かない。結構ボコボコにのしちゃったからなぁ」
「ご愁傷様」
「でも今の子も、あの年齢にしちゃ中々ね」
「それでも中々ってとこ。あんたに負けた八極拳さんよりは格段に下だろ?」
「まあね」
「じゃあ敵じゃねえ」
「決勝はピョーンパンチ対寸勁ね。どっちが勝つかな?」
「アーイ!ののはピョーンパンチがいいのれす!ピョ〜ン!」
「私はどっちも興味ない。まだ、昔あんたに負けたヤバイ使い手って方が興味ある」
「…あの人は確かに強かった」
「自慢?あんたはそれに勝ったんだろ」
「エヘヘ〜なにしてるんだろ…保田圭」
パンッ!
ひと気の無い薄暗闇の一室に、威勢の良い音が響く。
叩かれた田中れいなの頬にうっすら赤みが差し込んだ。
「情けないわね」
「約束は守ったと。準決勝は30%、あとの試合は20%の力しか出しとらんばい」
田中れいなは鋭い視線を暗闇に立つ人物に向ける。
その人物は田中よりもさらに鋭い目つきで、反抗する弟子を睨み返した。
「れいな。私の目はごまかせないわよ。最後の寸勁、わずかに30%を超えたわ」
「そぎゃん細かいこと知らなか」
「いい?次破ったらお仕置き。じゃあ、決勝は50%の力でいきなさい」
「お師匠。相手は世界チャンピオンやけど?」
「あら、怖気づいた?」
「怖くはなかと。面倒臭かだけたい」
そう言って回れ右すると、田中はスタスタと部屋を出て行ってしまった。
暗闇には田中に師と呼ばれた女だけが残された。
(ウフフ…もうすぐ…もうすぐよ。安倍なつみ)
切れ長の目がさらに細く伸びる。どうやら笑っている様だ。
気のせいか周りの闇がさらに深まった様であった。
『西日本予選決勝!!ミカ=トッドvs田中れいな』
激戦を勝ち抜いた二人が並ぶ。
ミカは入場からずっと笑みを絶やしていない。田中は入場からずっと表情を変えていない。
「お互い全力で、いい試合にしましょう」
試合前、ミカが田中に声を掛けてきた。田中はこれに答えずコーナーに下がる。
「それは無理たい…」
ゴングが鳴る。決勝は始まった。
田中は右足を半歩前に出し、半身に構えた。
八極拳の動作は、他の武術と異なり一回の動きで全てを行なう。
「受けてから殴る」では無く「受けと攻撃を同時に行なう」のである。
他の武術以上に、相手の間合いや攻撃を見極めることが重要視される。
ミカが来た。評判高い赤と白のグローブがやけに大きく見える。
(今たい!)
田中は半歩踏み出し、肩をミカに向けて突き出した!…がそこにミカがいない。
(やられた!)
ミカの緩急を付けた動きに田中は騙された。ミカは手前で一時停止していたのだ。
経験の差がここに出てしまった。50%の速度ではもう間に合わない。
八極拳の動きは技を外したときカウンターをもらい易い諸刃の剣となる。
赤のグローブが田中の頬を叩き、続いて白のグローブが反対の頬を叩く。
必殺ピョーンパンチ発動!こうなったらもうミカは止められない。
赤上げて、白上げて、また赤上げて、白上げて…
(ちっとは下げてもよかとよ)
冗談交じりに思いながら、田中は徐々に前へ出る。殴られながら前へ。
世界チャンピオンのパンチを浴びれば普通は下がろうとする。
しかし彼女の精神力と怖いもの知らずは並大抵では無かった。そして前足を強く踏み出す。
震脚!
踏み込みによる地面の反発力を前進力に変え、ついに田中の肩がミカの胸元に辿り着いた。
「どうも」
「ッ…!」
ミカが叫ぶ前に、田中の全力…の半分がミカに注がれた。
寸勁!
稲葉戦とは違う。今度は誰の目に見えた。
田中が触れただけで、ミカの体が舞台の外まで吹き飛んで落ちた。
「嘘でしょ…」
ミカに負けた前田有紀が呟く。嘘だと言いたくなる程の強さであった。
日本拳法の秘密兵器、ボクシング世界チャンプ、老獪なベテランレスラー等々、
強豪ひしめく西日本予選を勝ち抜いたのが若干15歳の少女なのだから。
しかしその強さすらも、真の実力の50%に過ぎないこと、世間は未だ知らない。
『勝負ありぃ!!西日本予選!優勝は田中れいな選手!!』
「ピョーンって落ちてったばい」
表彰式の後、報道記者達はこぞってこの無名の新星に群がった。
「田中さん、その技は何処で教わったのですか?」
「秘密たい」
「田中さん、本戦では誰との対戦を希望します?」
「誰でもよか」
「やはり、最終目標は安倍なつみですか?」
「安倍って誰?」
新人とは思えないこの傲慢な態度が、逆に記者たちの心を捉えた。
さんざんな質問攻めにあった後、田中はようやく人のいない所まで逃げてこれた。
「師匠、いると?」
「ここにいるわよ」
やはり暗闇の中にその人物はいた。
「今度は文句は無かとね?言われた通り師匠の名前も出さなかったたい」
「ええ、上出来よ。れいな」
珍しく師匠が褒めてくれたことに、田中は逆に寒気がした。
(春なのに雪でも降るとよ)
西の優勝者が決まる。それは闇の到来をも意味していた。
東日本と西日本の予選が終わり、これで本大会出場者の内6名までが決まった。
藤本美貴(夏美会館空手)
高橋愛(高橋流柔術)
吉澤ひとみ(ボクシング)
矢口真里(講道館柔道)
柴田あゆみ(フリー)
田中れいな(八極拳)
残り2枠が主催者推薦枠とハロープロレス枠である。
この内、ハロプロ枠は松浦亜弥の出場が有力視されていた。
ところが西日本予選から半月後の記者会見の場で、飯田の口からこんな言葉が漏れた。
「松浦は出場させない」
矢口真里が乗り込んできたときに漏らした内容を、ついに公の場で発表したのである。
このとき松浦本人は全国巡業で東北に出向いていた。
ニュースを聞きつけた松浦は、その日の試合をキャンセルし東京に戻った。
その行為自体、社長への反逆といって良い。
冷酷な瞳を携えた松浦亜弥が社長室の扉を叩いたのは、その日の夕刻であった。
―――――――――この日、ハロプロに激震が落ちる!
第11話「東の光、西の闇」終わり
まずはごめんなさい。
>>385の次回予告に書いた飯田さんの初バトル、間に合いませんでした。
予想以上に西日本予選で筆が進んでしまって。
その代わり次回はもう…。なんとなく想像つくと思いますけど…。
>>428 ヤスは何気に
>>8で名前だけ出ている。
>>431 「冬が訪れようとしている」=「秋」
真剣勝負も進路相談も秋の出来事です。
>>432 いきなり投票されてるんでビビッた。ありがとう。頑張ります。
更新乙です!
前田VSミカ戦はなにかあっさり終わりすぎなような気がしました、
前田さんの攻撃が安直すぎてリアリティーに欠けた気がします、
もう少し絡みを入れたほうがもっとおもしろく読めるような気がします。
稲葉VS田中戦は両サイドにサブストーリがあって今後のストーリ展開にどを繋がっていくのか楽しみです!
素人が生意気なこと言うて申し訳!
これからも応援していくんで頑張ってください!
ノノ*^ー^)<まだですかー?
乙です。
まさかジョンソンと闘うのって・・・(ブルガク
それと
>>437 パアンという音共に
>>441 今度は誰の目に見えた。
↑は書き損じでしょうか?
ノノ*^ー^)<保ぃっ
保全
( ^▽^)<ワクワク
>>447 そうだとすれば俺はジョンソンに勝ってほしいが。。
>>447 同感。これであややが勝ったら興ざめ・・
まあ戦うとしたらですが・・・
俺は今のところ
安倍≧飯田>藤本=吉澤≧矢口>>>>>>松浦>高橋
って感じで捉えてるけど、他の人はどうすか?
保
安倍≧飯田>藤本=吉澤=後藤≧矢口>辻>>>>>>松浦>高橋>田中
最終的には
安倍≧辻>藤本>飯田>矢口>吉澤>後藤>高橋>田中>松浦
になってくれるとうれしいけど・・・まあ無いよな・・・
エピローグの人はどこら辺なんだろう・・・
457 :
ただすん:04/01/21 22:56 ID:BnAp8jII
なっち 悟空
かおりん ベジータ
矢口 トランクス
ヨッスィー ブロリ-
ミキティ セル
のの 悟飯
あやや フリーザ
高橋 悟天
田中 ピッコロ
从‘ 。‘从<人気と強さが比例してるならあややが飯田さんに勝つに決まってるわよ
超新星えりりんと道重の強烈キャラがトーナメントにでないとはっΣ(゚Д゚;)
第12話「プロレスの神様」
あの光景は生涯忘れることは無いだろう。
四角いリングの上、金色の光を全身に浴びて立ち尽くす後ろ姿。
聖なる鐘が鳴り響いたとき――――
そう。
飯田圭織はプロレスの神様になったんだ。
あの頃はまだ若かった。怖いものなんて何にも無かった。
デビューして、とにかく目立つことばかりやって、名を上げようって。
私は鼻にピアスを開け、圭織は前髪揃いすぎ。外見からしてそりゃあ派手だったさ。
「クロエ石黒よろしくぅ!!」
「ジョンソン飯田よぅろしく!!」
二人でタッグ組んでデビューして、すぐにプロレス界のトップスターになるつもりだった。
けど、いつの時代でも、出る杭ってのは打たれるもんだ。
ある晩、私と圭織は呼び出された。
「服従か?半殺しか?」
当時の女子プロレス…いや全格闘技界において、最強という二文字はこの女の為にあった。
中澤裕子。その名は絶対的な存在。
彼女とその門下T&Cが格闘技界を仕切っていたと言っても過言じゃない。
私たちを呼び出したのは、その中澤裕子とT&C四天王の5人だった。
中澤は後ろで悠々と椅子に座り、四天王が私達を脅迫するのを眺めていやがった。
T&Cの一人、稲葉貴子の問いに対する答えは私も圭織も同じ。声を揃えて言ってやった
「お前らを半殺し」
怖いものなんて何にも無かった。
中澤裕子の合図で奴らは一斉に襲い掛かってきた。上等!
トップレスラー4人vs新人レスラー2人。
勝負なんておキレイなものになるはずもなく、どっちかっつうと集団リンチだったな。
顔の形変わるくらい殴り飛ばされて、私は鼻ピアスも千切り取られた。
圭織なんか命より大事にしてた長い黒髪を切り裂かれてた。
本当に半分死んじゃいそうな状況で、それでも私は瞳にこいつらのツラを焼き付けた。
稲葉。信田。小湊。ルル。それから後ろで見下してるてめえ。
覚えてろよ、いつかてめえら全員ぶっ殺す!
5人のツラが脳内保存された頃にゃ、うちら二人はボロ雑巾になってた。
「…圭織」
「…うん」
「…生きてるか?」
「…うん」
「…あいつら、いつかコロス」
「…うん」
この時代、中澤裕子に逆らって上がることのできるプロのリングは無い。
おまんまの食い上げさ。
リベンジという何にも勝る目標以外の全てを、このとき失った。
思えば、プロレス以外に何もできない二人だったんだな。
圭織はあれ以来アパートに引きこもり、一日中ボーっとする様になった。
私はアテも無く街をさまよい、やがてストリートファイトに明け暮れる様になった。
もう二度とプロレスはできない。そんな葛藤を振り払う様に凶拳を振るい続けた。
そんな日々が数ヶ月続いた…
「圭織っ!」
久しぶりに相棒のアパートを訪れた私は驚嘆に声を震わせた。
圭織が死んでいるのかと思ったのだ。
目は虚ろで、手足はミイラの様に細まり、壁にもたれて身動き一つとらない。
一体いつからそうしていたのだろうか?
私は大声で呼びかけ、圭織の手を握った。脈もあり、息もしている。
死んでいないと分かった私はコップに水道水を注ぎ、圭織の口に無理矢理流し込んだ。
ゲホッと水を吐き出し、圭織の瞳にようやく焦点が戻る。
「圭織!大丈夫か!!何してんだよ!?」
「…ん」
圭織が何かを呟いたが小さくて聞き取れなかった。
もう一度聞き返すと、どうやら『交信』と囁いている様だ。
私は訳がわからず首を傾けた。
すると圭織はミイラの様な細い腕をゆっくりと上げ、天井を指した。
「…会えたよ」
「はぁ?誰と?」
水の垂れる唇を三日月形に笑んで、圭織は答えた。
「プロレスの神様」
半年後、T&Cのスペシャルマッチが開催される。
稲葉・ルルvs小湊・信田
実現することの無かった四天王同士のタッグマッチという夢のカードだ。
この演出の仕掛け人はもちろん中澤裕子である。
女帝中澤裕子の最強神話は揺るぐどころか更に固まるばかりであった。
「行くぞ、圭織」
「うん」
私と相棒は裏口から侵入すると、目的の場所まで一目散に駆けた。
そのまま止まることなく目的の部屋の扉をぶち破った。
扉に張られた張り紙が落ちる。『小湊・信田ペア控え室』
スペシャルマッチは予定の時間になっても始まらない。
リング上で稲葉・ルルペアが苛立ちの表情を浮かべる。観客からもブーイングの声。
対戦相手の小湊・信田ペアがいつまで経っても入場してこない。
当たり前だ。バーカ。その二人なら今私の腕の中で悶絶してる。
様子を伺いに来た下っ端レスラーを圭織が次々と蹴り倒して進む。入り口が見えてきた。
「準備はいい?」
おいおい圭織。聞くなよ。この日をどれだけ待ちわびた?
導火線にはもうとっくに火が点いているんだ。
「最高にいい!」
静寂、それから一気にボリューム最高の大音量。
私と圭織の登場で会場のヒートは目盛りを振り切っちまった。
リング上で凍りつく稲葉とルル。おいおい何てえ顔してやがる。うちらを覚えてるか?
ああ、私の両肩に乗ったモノが気になってそれどころじゃねえか?
「まいど。ボロ雑巾二枚、お届けに伺いました」
「信田!小湊!」
私がリング下にその二つを投げ飛ばすと、奴らは声を張り上げて叫びやがった。
アハハ、お前らもすぐにこうなる。
あの日この眼に焼き付けたあの顔と顔を全力でぶん殴ってやった。
2分。要していなかっただろう。リングの上に四つのボロ雑巾を並べる作業。
最強軍団と称されるT&Cがこの有様だ。どうだ!見たか!
おっと、祭りの本番はまだここからだった。
圭織がマイクを握り、大きく息を吸う。さぁ言ってやれ!
「出て来い!中澤!!」
女帝さん。あんたが出ざる負えない状況はもうできあがってる。
直属の四天王は仲良くおねんね。せっかくのイベントも台無しにしちゃいました。
大観衆の中、この暴言暴動。あんたがケツ拭くしかねえだろ。なぁ。
『中澤裕子が来たぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!』
実況のアナウンスとスポットライトが会場中の注目を一点に集めた。
これが歴史的一戦の幕開け。
>>445 いえいえ、こういう意見はどんどん聞きたいです。
それと本大会の方は嫌という程、絡みまくる予定ですので。
>>447 ごめんなさい。おっしゃるとおり書き損じです。最近多いなあ…反省。
「パアンという音共に」→「パアンという音と共に」
「今度は誰の目に見えた。」→「今度は誰の目にも見えた。」
>>453 作者はこのテの話題に口挟まない方がいいですね。
466 :
トミー・ボンバー:04/01/22 15:42 ID:2ufufA15
「おっしゃ出来た!よしっ!」
地下室に響き渡る歓喜の声。
次の瞬間、その声をかき消すかのように
地鳴りが部屋全体を覆い尽くす。
新垣は完成したばかりのデッキから、音のした方向に視線を移した。
「…近いな。」
あいかわらず、外では悲鳴や爆発音が続いている。
急いでデスクの上にある自分のデッキをポケットの中にしまい、
完成したばかりの2つのそれをバッグに放り込んだ。
床に散乱している工具を飛び越え、地上に続くはしごをかけあがり、
錆び付いたコックを一気に回す。
蓋を勢いよく開け放った瞬間、彼女は外の世界に飛び出した。
まず視界に映ったのは赤黒い空。次に焼け崩れたビル。そして無数に横たわる人。
「遅くなってゴメンなさい。」
誰にいうでもなく、そう呟いた。そして目を瞑り、
大きく一回深呼吸したあと、両眼を一気に見開いた。
「石川さん…。亀井…。待ってろよ!今行くからな!」
新垣は走り出した。彼女を待ち続けている仲間のもとへ。
すいません。書き込みを間違えました。
スレを汚してしまって申し訳ございませんでした。
(〜^◇^)<やぐやぐ