【22】
石川は優しくシイナの頭を撫でていた。
「わかってくれたら、それでいいのよ。今日はもう遅いから帰んなさい」
石川は内心ホッとしていた。
(あれ以上シイナに突っこまれなくてよかったな・・・正直助かったよ・・・)
「それじゃーわたし帰ります。石川さん、どうもありがとうございました」
お辞儀をして、いったんは帰ろうとしたシイナだったが、
何かを思い出したかのようにポケットに手を突っこんだ。
「あっ、そうだ、これ預かっててくれませんか?」
シイナはポケットから『あるモノ』を取り出した。
それはピンク色をした卵型の球形で、そこからはコードが伸びており、
電池ボックスのような箱型のケースにつながっていた。
「わたし、実はこれを使ってオナニーしてたんです。
だから石川さんに預かってもらえば、『わたしは』できないでしょ?
そしたらオナニーなんかやめられると思いますし。
でもね〜ちょっと惜しいんだよなぁ〜だってこれ・・・
≪ と・っ・て・も・き・も・ち・い・い ≫んだもん」
そう。これこそまさにオナニーの定番アイテム【ピンクローター】だった。
石川は手にとって見たが、しかし当然ながら分かるはずも無い。
「・・・??・・・なに?これ?・・・変なの!」
石川は、がらくたでも見るかのように怪訝そうに眺めていた。
だが、このがらくたのオモチャによって後々さんざん泣かされる事になる。