【11】
シイナは馬乗りの体勢になった。
小悪魔のような笑みを浮かべ、上から飯田を見据えている。
(・・・ああっ・・・もう好きにして・・・)
飯田は心が毒されたようにシイナに身を任せていく。
「ふふっ・・揉みがいがあるオッパイね・・・」
シイナの両手は、その隆々としている乳房に向けられた。
下からゆっくり掬い上げるように両方の乳房を持ち上げ、
その盛り上がった頂点にそびえ立つ乳首を指先でクリクリと弾く。
そしてまた乳房を元に戻す――
この動きが何度となく繰り返された。
「こうやって揉まれるのが好きなんだよね?そうでしょう?」
すべて分かっている、と言わんばかりにシイナは更に愛撫を続けた。
(あ、はぁ〜ん・・・)
飯田は喉の奥で愉悦の声を漏らす。
これは飯田が最も感じる胸の揉み方だったのだ。
(でも、どうして?・・・私のやり方と一緒だわ・・・!?)
快感で朦朧とする意識の中で、
飯田は自分のオナニーの事を思い出していた。
【12】
自慰――
俗にオナニーと呼ばれるこの行為を始めたのはいつ頃だったろうか・・・元々仲間と群れる事を嫌い、一人でいる事が好きだった飯田にしてみれば、一人でこっそり楽しめるこの行為に辿り着いたのも、ごく自然な成り行きだったと言える。
――『宇宙と交信している』――
そう言って飯田は誤魔化してきた。自分も仲間も・・・
ダンスレッスンがあった日は特に激しかった。
疲れて帰って来ると、自然に手が身体を這ってしまう。
ある夜などは、風呂の水を入れっ放しで始めてしまい、
気が付いたら朝になっていたというから驚きだ。
風呂の水が溢れ返るように、身体の一部も溢れ返っていた。
飯田は次第に、もっと感じる方法を研究するようになった。
胸の揉み方にも工夫を加える。
下からゆっくり掬い上げるように両方の乳房を持ち上げ、
その盛り上がった頂点にそびえ立つ乳首を指先でクリクリと弾く。
そしてまた乳房を元に戻す――
この動きが一番気持ちいい事が分かった。
さらに手を伸ばし、今度は秘められた場所を弄り始める。
ある一箇所だけ強烈に感じる部分があった。
割れ目の上端に顔を出している小さな尖りがそれである。
そこを弄ると寸分もなくイってしまうのだ。
だからそこは最後まで弄らないようにしておいた。
その方がより深くイケる事を知ったからだった。
――こうして日々『宇宙と交信』している飯田であったが、
その事実を後々暴かれる事になるとは思いもよらなかったであろう。