【7】
シイナの顔を引き寄せ、唇を合わせていった。
(んー、この瞬間がイイのよねー)
薄絹のような心地よい感触。まろやかな弾力感。
シイナの唇を味わいながら、飯田は悦に浸っていった。
(でも、この娘、泣くかもね・・・)
飯田はキスの合間に、ふと過去の事を思い出していた・・・
あれは確か6期の道重の時だった。
今と同じように新メンバーへの「キスの洗礼」を施していた所、
途中で道重は泣きだしてしまったのだ。
『飯田さん、怖い、ふぇ〜ん・・・』
必死に我慢していた道重ではあったが、
飯田の執拗な接吻に、心の堰が切れてしまったらしい。
これはスキンシップだからね・・・泣かないでね・・・
そういって慰めるのに苦労したものだ。
・・・シイナとのキスはまだ続いていた。
唇を触れ合わすだけの軽いキスだったがスキンシップには事足りる。
(よしこれぐらいでいいか・・・泣かれても面倒だし、そろそろやめとこう・・・)
しかし飯田が唇を離そうとしたその瞬間・・・
「!!」
唇の中に異色な感覚が走った。
それがシイナの舌である事に気付くまで、少々時間がかかった。
なんとこの少女は、飯田の唇の中へ舌を差し入れていたのだ。
「ん、ん〜!」
飯田は思いもよらぬシイナの行動に戸惑いつつも、
その妖艶なる舌の感触に、甘い吐息を漏らすのであった。