【4】
かくして新メンバーの浦山シイナは誕生した。
皆、様々な疑問はあるものの、何故か納得してしまった。
シイナのあの目で見つめられると、
まるで魂を抜かれたかのように全てを了解させられてしまうようだ。
「さ〜て明日からツアーだ。みんな、はりきっていきまっしょ〜い」
リーダーの飯田が、いつもの号令を発した。
先程まで怒っていた飯田も、今ではまるで何事もなかったかのように素に戻っている。
メンバーが円陣を組む中に、見事に溶け込んでいるシイナの姿。
そのシイナの目には『妖しい光』が宿っていた・・・
「あれ!?俺、どないしたんやろ?」
つんくは、ふと我に返った。
廊下で立ち竦んでいたところに、マネージャーが急ぎ足で駆けつけてきた。
「探したんすよ、つんくさん。何してらっしゃったんすか?」
「いや俺なー、さっきモーニングの新メンバーを連れて行ったような気がすんねん・・・」
「はっ・・・!?・・・そんな事あるわけないじゃないすか!まだ募集してないんですから」
「そりゃそうよなー・・・気のせいかいなー!?」
「当たり前じゃないすかー。つんくさん疲れてるんすよ。少し休んだ方がいいっすよ」
からかわないでくれ、と言わんばかりにマネージャーは苦笑した。
つんくも何か釈然としないながらも、つられて苦笑した。
(俺、少し休んだ方がええなー、7期メンバーなんておるはずがないんや)
シイナを乗せたモーニング娘。一行は明朝、羽田を発つ・・・