【19】
夜のホテル。部屋のドアを静かに叩く少女の姿があった。
辺りを気にしながら、囁くような声。
「こんばんわ。シイナです」
開いてるよ〜と部屋から石川の声が聞こえた。
中に入るとシイナは一瞬目が眩んだ。
(・・・!!・・・)
部屋中ピンク一色なのだ。
シーツからカーテンから、部屋の壁紙に至るまで全てがピンク――
(さすが石川さん。気合入ってるな・・・w)
「ねぇシイナ〜突っ立ってないで、こっち来て座ってよ」
石川はベッドに腰掛けてシイナを手招きしていた。
シイナも同じく隣に腰を降ろす。
シイナは間近に石川の顔を見てつくづく思った。
・・・この人はやっぱり天使だな・・・
色黒ではあるがきめ細かい肌。透き通った瞳。情熱的な口唇。
その全てが芸術品といえた。
「私に相談があって来たんでしょう?相談って何?」
石川は完全に“お姉さんモード”に入っていた。
後輩の可憐な少女が自分を慕って相談しに来ている。
おそらく自分はそれを見事に解決するであろう。
そしてさらに慕われる――これで良し――
ところが次のシイナのセリフを聞いて石川は仰天してしまった。
「・・・実はわたし・・・オナニーがやめられないんです・・・」