【17】
モーニング娘。のツアースケジュールは順調に消化されていた。
どの地でも熱狂的なライブに変わりはなかった。
『チャオー!石川梨華で〜す♪〜ハッ ピィー〜♪』
石川のMCが始まるとライブ会場は一段と盛り上がる。
さすが一番人気の石川だ。小麦色の太腿も実に魅力的である。
ミニスカートをひらひらさせて歌い踊るその姿は、
まさに、穢れを知らぬ天使、とでもいうべきか――
(さすが石川さんだわ、天使のようにカワイイ・・・)
シイナは舞台の袖から石川の姿を見つめていた。
研修中であるシイナは、まだ舞台に上がる事は出来ない。
先輩達の身の周りのお世話をするのが、当面の仕事だった。
(ふふっ・・・でもその天使の笑顔がいつまで続くのかな・・・)
しかし、その企みを秘めた眼差しは、すでに石川を丸裸にしていた。
乱れ狂う石川の姿を想像して、思わず身体を熱くするシイナであった。
『今日はどうもありがとうございましたー!石川梨華でした〜♪
それでは最後にいつものやついくよー グッ チャォー〜♪』
最後のMCをお決まりのポーズで決めると演目は終了となる。
やがてファンの声援に見送られながら舞台の袖に帰っていった。
「石川さん、おつかれ様でした・・・はい、これどうぞ」
シイナが満面の笑みで石川を出迎えた。
タオルを差し出して、汗を拭いてくれと言っている。