高橋は、ゆっくりと身体前面を下向きにする体勢に移行していった。
同時進行的に、かなりの回数、その中の何度かは特に激しく、
ソレの中に気泡を吐き散らした後に、
ようやく落ち着いたのかの様に、その中を漂っていた。
少し茶色に染めた髪が四方に広がり、
時折痙攣する高橋の動きを、忠実に根本から拡散し形作っていた。
小川麻琴が、量を増しつつある、己自身に関与するソレを意識したのは、
紺野と高橋が、完全にその動きを止めたのを確認したかのように
透明なガラス様であった二人の筒が、前触れも無く鏡面化し、
二人の様子が計り知れなくなった頃になって、ようやくの事であった。
(・・っっ、これって、お、お酒!?)
膝の辺りから腿の辺りへと量を増しつつあるソレの
嗅いだ事のある、どこか甘ったるいような刺激臭は強まるばかりであった。
僅かの時間の中で、皮膚を刺すような感覚が我慢出来ないほど気になりだし、
眼や、鼻、口の粘膜も、その見えざる攻撃に晒されている事を
嫌でも自覚出来るほど通常機能を損ないだしていた。
涙に霞む目で、己の太腿部から更にその上を浸そうとしている
ソレを再確認した時に、遂に麻琴の口から短い悲鳴が漏れた。