軽い音をたてて崩れていく足下の落ち葉が
二人の軌跡を描き出していた。
安倍なつみは距離の消失に反比例して
それが加護亜依であることの確信を増大させた。
背格好、ヘルメットからこぼれる髪、
そして何よりも、その身に纏った雰囲気が
加護そのものであった。
徐々に、その姿が鮮明になるに連れて、
なつみの確信に、新たな不信が重ね塗りされ始めた。
隈取のようにヘルメットの表面に、上着も、脚も、
加護は全身に点々と赤黒い化粧を施していたのだ。
その上加護は、幾ら、なつみ達が呼びかけても
腰の武器らしきモノに手を添えたままだったし、
むしろ近づくに連れて警戒の色を強めていた。
それは責められるべき事ではなかったが、
その時の、なつみには、次の一歩が
限界のラインを越えるとは認識できてはいなかった。