モー娘。が結成されて50周年を迎える訳だが

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184名無し かおりん
「ねぇ、あれ見て? あれがその何とかって言う宝石じゃない?」

安倍なつみが突如素っ頓狂な大きな声をあげたので
飯田圭織は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべかけたが
慣れない努力に励み、何とかそれを奥底に投げ込んだ。

(何で、いつも、なっちは・・・ ばか・・・)

その行為自体は何ということは無いことは
理性の片隅で解ってはいるものの
圭織自身は何か得たいの知れない焦燥感に掻き立てられていた。

空気が読めない、配慮が出来ない、
危機感がない、自分勝手・・・ 
暴走気味になつみに対し次々と浮かびかける罵詈雑言を
理性で辛うじて押さえ込み、数瞬の後、
圭織は何とか角が立たないと想われる内容で口を挟んだ。

「・・・でもさ、なっち。この距離だとはっきりとは判ら・・・」
「でも、きっとそうだべさ。」

最後まで言わせず、歩みを速めたなつみに向かって
圭織は尚も何かを言いかけたが、中澤裕子と顔を見合わせると
慌ててその後を追いかけ始めた。

確かに、狭い森の小道の奥の開けた場所に、
何か人工の台のような物は見えていた。
その上に何か綺麗なオブジェが乗っているのことは
遠目といえども判別は出来た。

それでも、圭織の早足に枯葉を踏みしめる足には若干の力がこもった。
185名無し 保田:03/12/08 23:03 ID:1KPyQEH8
流石に辟易としてきて、保田圭は少し乱暴に頬を撫でる笹の葉を振り払った。
少しずつ顔を覗かせた苛立ちがその顔を7分目まで見せた頃に
ようやく、少し開けた場所に辿り着くことが出来た。

視線の先に見覚えのある後姿があった。

その向こう側には何か装置か構築物のようなものがある様だった。
すらりと引き締まった体躯と、僅かながらの風に揺れる長い髪、
何処か誇り高い野生を感じさせると共に、
儚げな哀しさもその後姿に纏わりついていた。

ほっとした気持ちの反面、それは、
圭に、手の届かない、望んでも得ることの出来ない
何かを痛切に感じさせた。

しばしその後姿に言葉を失っていた自分を恥じ入るように
圭は無意識のうちに軽く唇を噛んでいた。
歩を進めながら、その後ろに声を投げかけた。

− 後藤っ −