モー娘。が結成されて50周年を迎える訳だが

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167名無し 加護
亜依はソレが急速に温もりを失っていく事に気がついていた。

ソレが何かの意思を持って亜依の手を掴んだ時、
もはや恐れは無かったし、あえて振りほどこうともしなかった。

ソレは震えながら、亜依の手に微かな刺激を与えていた。
亜依は一瞬戸惑ったが、ソレが何か意味をもった文字を
書こうとしていることにすぐに気がついた。
そして、その意味を一字一字追いようやくソレの正体と
穏やかならぬ状況に僅かながら触れることが出来た。

(エリ・・・ アイ・・・ エリ、エリ、エリ、エリ・・・)

その指が力尽き、亜依の手から崩れ落ちた時、
ヘルメット越しで拭うことも出来なかったが、
亜依は溢れる涙を止めることが出来なかった。

震える覚束ない手つきで
温かみの感じられなくなってしまった亀井の目蓋を閉じながら
亜依は無意識のうちに痛いほど奥歯を噛み締めていた。
168名無し 保田:03/11/26 00:34 ID:GfmWX/u4
この辺りでは、その壁際の隘路であるという特性上
殆ど無風であったが、それでも時折巻き込むように吹き降ろす風が、
保田圭の頬を緩やかに撫でる事が在った。

(たくっ、世話が焼けるなぁ・・・
 何で私がこんな探偵みたいな真似をしないといけないのよ・・・)

圭が後藤の跡を追うのは、さして苦にはならなかった。
最初に出てきた建物脇に戻った時には、
建物壁際の藪は、乱雑ではないにしろ、隠し様も無く
明らかに、そこに侵入者があったことを雄弁に物語っていたのだ。

その慎重な進路の取り方、
几帳面に一人余裕を持って通れる程度に折り倒された雑木、
大胆なんだか繊細なんだかわからなさ加減が、
圭に後藤真希を確信させた。

凄く度胸があって、殆ど何でもこなせる割には、
酷くナイーブで、何処か世話を焼かずにはいられない・・・
付き合いも長く圭自身そんな後藤を
ある程度理解していると思っていたし、
後藤の方も何かにつけて、ことある時は圭を頼ってくれていた。

もう一人の大切な友人とは別の意味で、
何だかんだ言っても、圭にとって後藤はかけがえのない友人だった。
169名無し 加護:03/11/26 00:35 ID:GfmWX/u4
亜依は気の向くままに歩きまわった後に、
目的とした地形に近い、僅かに開けた草地に出るとその歩みを止めた。
少し湿り気を帯びた緩やかな風が、
ヘルメットからこぼれている長い髪を揺らした。
邪魔そうにヘルメット付の頭を軽く振ると、
腰のホルスターの銃を抜いた。

ヘルメットがどうやっても脱げそうに無いのは、
既に何度も確認した。「脱ぐな」ということは痛いほど解った。

次は物々しげな銃だ。

両手を使って、銃口からグリップ、安全装置?に至るまで
じっくりとソレを検分する。

(・・・なるほど。 「見た目」と同じの様やわ。)