そのうち男の一人が、彼女に寄ってきた。
しまりなく緩みきった顔には、既に好色の相が面に現われていた。
「へへへ…そいつぁありがてぇや。親分、いっそこの姐さんの酌でお楽しみってことにゃあ…。」
「全く…しょうがねぇ野郎だな。でも悪くぁねぇか…おぅ姐さん!じゃああんたに決めたぜ!!」
男たちの興味は完全に自分たちを誘う女の方に傾いていた。
その女の傍らに、一片の鳥の羽が落ちていることなど全く気付くことなく、彼らは彼女に夢中になっていた。
今宵はここまで、続きはまたの講釈で…。
さて…「時代劇特有の定番パターン」を盛り込んでみたわけですが、
書いておいてからこんなこと言うのもなんですが・・・・・・
ひょっとしたら、とんでもないことをやらかしてしまったのかも・・・!?
色仕掛けで悪い男を誘うなんて、今の今までなかったわけですし・・・。
もしスレ的に拙かったら申し訳ございません。
ではまた次回に・・・。
742 :
:03/10/17 01:18 ID:Sv4d2Tkk
>>741 いいんじゃないの?外伝というか番外編なんだし。
>742さん
「これでも」「本編の一環」なんですが・・・。(汗)
21世紀に渡ってライダーたちとの共闘を既に決めてますし。
女と戯れ、男たちはこの上ない至福の時に浸っていた。
その間にも鳥の羽はジワ、ジワ、とその数を増やしてゆく。
…もうお判りであろうが、実はこの女、くノ一・ユキの変装したものである。
か弱い娘を無体に苛める男たちに、同じ女として怒りを覚え、懲らしめるために
一計を案じたのだ。
これだけの無頼の徒を、臆することなく色香で誑かし、手玉に取るなど
余程でない限り、並の女に出来ることではない。まさにくノ一の「本領発揮」と言ったところである。
男たちの頭の中は、もうすっかり目の前の女=ユキと戯れ合うことで一杯であった。
ユキもまた、目一杯の「女」っぷりを振り撒いて男たちを更なる極楽、
いや、地獄へと招く。
羽の数の増加も留まることを知らず、遂には床一面を埋め尽くしてしまった。
当然と言うべきか、男たちの目にはその不思議な現象は全く映っていない。
やがて男たちが完全に油断しきった頃合いを見計らい、
ユキは彼らに聞こえるか聞こえないかの小声でボソッと一言、こう呟いた。
「…忍法、羽隠れ羽分身…。」
その刹那・・・
床を覆っていた無数の鳥の羽がババーッと舞い上がり、規則正しくかつ
縦横無尽に飛び回り、男たちをスッポリと包み込んで羽の牢獄を作り上げた。
羽の牢獄は彼らを嘲るかの如く、その形を崩さず回転を続ける。
お順の傍らでその光景を目の当たりにしていた娘は、驚きから言葉を失っていた。
その娘の下に、術を仕掛けた隙に男たちから離れたユキが歩み寄る。
「もう大丈夫ですよ。危ないところでした…。」
「あ…ありがとうございます。・・・お、おか、おかげで…た、助かりました…。」
娘は何が何だか要領を得ぬと言った面持ちで、戦慄から声が上ずってしまっていた。
「…すっかり興奮していますね。もう少し気を落ち着けてから
お話を伺いましょう…。」
ユキたちは暫く、娘の気持ちが静まるのを待つことにした。
一方、ユキの術によって羽牢獄に閉じ込められた男たち。
「えへへへ…へへ…へぇ…え、えぇ!!?」
「うひ、ひ…ひゃあ!!な、何だこりゃ!!??」
無数の羽が舞う様を見て、彼らは漸く正気に返った。
「おおお…親ぶ〜〜〜ん!!!」
「オイオイ、一体何が…どうなってるんでぇ!!?」
忽ち狼狽する男たち。そこへ・・・・・・
「んっふふふふふ……」
「くすくす……」
「おほほほほほほ……」
「あははははは……」
媚を含んだ妖艶な女の笑い声が複数聞こえてきた。
「ひぃぃぃぃぃ!!!」
「一体、どうなってるってんだ!!?」
「んなこと俺が知るかよぉ!!」
事態が呑み込めず、またユキが忽然と消えたのも知らず
ただただ狼狽する男たち。
そのうちの一人が何かに気付いたのか、「親分」に告げる。
「?・・・親分!誰か、来ますぜ!!」
「何だとぉ?・・・・・・う、うぉ!!!???」
激流のように飛び回る羽の群れに紛れて、薄地の衣を纏った
艶やかな美女たちが現われたのだ。
男たちと同じ人数の美女たちは、艶然な笑みを浮かべて彼らにしな垂れ掛かる。
これ以上の描写は、この板を更なる危機に追い遣ってしまう恐れがあるので割愛するが、
いかなるいかがわしい展開であるかは容易に知れよう。
因みに彼らは、高知に到着するまで、ユキが作り出した幻の美女たちに淫らに翻弄され続け、
終いには船着場にて、乗客からの知らせを受けた高知城下の役人たちに残らず捕縛された。
話は変わって、ユキたちは落ち着きを取り戻した娘から事情を尋ねていた。
「色々といざこざがあって名乗るのを忘れてましたね。
私の名はユキ。で、私の隣にいるのが…。」
「ユキの叔母のお順です。どうぞ宜しく…。」
娘は、二人に改めて感謝して自らの素性を打ち明けた。
「先程は危ういところをお助け頂き、誠にありがとうございました。
私はお美和と申します。生まれは、安房の小湊です。」
「安房の小湊と申しますと…鎌倉政権の頃の高僧・日蓮上人のお生まれになったと言う…」
「はい、その小湊です。」
お美和と名乗る娘の素性を知った二人は、何のために高知へ赴くのかを問うた。
「高知へは何用で…?私たちは亡き家族のお墓参りに行くところですが…。」
「う・・・そ・・・それは・・・・・・。」
何故か口を噤むお美和。
「あ…お美和さん、言いたくないなら無理に言わなくても構いません。
私たちはあなたをどうこうするつもりは微塵もございませんから…。」
「…すみません……。」
・・・やがて三人は、長い船旅を終えて高知の地を踏み締めた。
今回はここまで、続きはまたの講釈で…。
次回から軌道修正に入ります。皆様大変申し訳ありませんでした。
さて、今日の分から初めて登場し、ユキ・お順と共に旅をすることになった娘。
ご覧の通り元T&Cボンバーの小湊美和をここで出すことにしました。
彼女の前身(今でもそうですが)はご存じの通り民謡の家元。
古風なイメージが強いのでそれならば、と思い登場させた次第でございます。
さて、三人の行く手に待つは果たして何か?ではまた次回!
「♪高知の城下へ来てみぃや〜、じんばもばんばもよう踊るぅ〜…♪」
土佐の民謡「よさこい節」を口ずさむユキとお美和。
お美和は諸国巡りが好きで、四国八十八箇所行脚のお遍路に勧んで加わるほど
大の旅好きであった。
また、ユキも三歳で両親を失って以来、谷一族に入門するまでの八年間、
独学で武術の腕を磨くために諸国を巡ってきた。
それ故、行く先々の土地柄に造詣が深くなり、その土地に伝わる民謡も覚えてきたのである。
ましてユキはここ、土佐の高知の生まれで、人生の転機を余儀なくされるまでの三年間、
この「よさこい節」を子守唄代わりに母から聞かされていた。
その二人の吟ずる「よさこい節」にお順は聞き惚れ、先の船旅の疲れが癒されるような心地であった。
かくして、この三人の道中は、終始和やかに進んでいった。談笑する三人。
そんな中、今度はお美和がユキに尋ねてきた。
「あの…ユキさんのお父様とお母様って、どのようなお方だったのですか?」
「・・・・・・!」
このお美和の問いかけにユキは一瞬返答を躊躇ったが、改めて「隠すようなことではない」と思い、
話すことにした。
「・・・とても優しい、それでいて厳しい人たちだった…。
私はここ、土佐の農村の貧しい家に生まれた。
不自由な暮らしではあったが、幸せな家庭だった…。
私は物心付いた時から、よく両親の手伝いをしたものだった。
百姓仕事だけでは食い繋げず、父は笠や草鞋を作り、それを売って生計を立てて、
私も父を手伝って草鞋などを作って売りに出ていたものだった・・・。」
ここでユキの口が止まった。お美和はそれを見て、嫌なことを思い出させてしまったか、と思い、
「あ…すみません!何だか、悪いこと聞いてしまったみたいで…。」
と慌ててユキに詫びた。
僅かな沈黙のあと、ユキは再び口を開いた。が、が、その口調はどこか苦しかった。
「いや、お気に召されるな…。
先程も申したように、暮らしは貧しくとも私は幸せであったのだ。
そう…私があと数日で四つになる、あの日までは……!」
「・・・・・・!!」
ユキの言葉を聞き、お美和は息を呑んだ。
その彼女に、ユキは思い切ってその衷情を打ち明けた。
「四つになる生まれ日を数日後に控えたある日の夜、眠っていたところに
突然誰かが言い争う声や物を荒らし回る騒がしい音が聞こえ、目を覚ました私は
何事か、と音の出所を探した。そして居間に辿り着いた時、私は余りの凄惨さに言葉を失った!
部屋中は嵐に見舞われたかの如く荒らされ、床一面は血の海と化し、
そこには身体中をズタズタに斬り刻まれた父と母が横たわって……!!」
いつしか、ユキの声は嗚咽交じりになり、時折上ずっていた。
「私は思わず両親の遺体に縋って泣きじゃくった!!
その時、家の外から何人かの声が・・・!!
『チッ…結局金になりそうな物はなかったみてぇだな!』
『全く、あの二人も大人しくしてたら命だけは助かったろうによ…馬鹿な奴らよ。』
『ねぇ〜え、今度はもっとましなところに行きましょうよぉ。』
『そうだな、畜生!』
・・・あいつらが父と母を……!!
私の心は奴らへの復讐に燃えていた!!
私は表へ飛び出し、奴らを追った!…だが、悲しいかな、その頃の私はまだ幼く、
いくら走っても、奴らに追いつくことは出来なかった……。
だが、あの時の憎々しい声は今でも鮮明に覚えている。必ず見つけ出して、両親の無念を晴らす!
私は改めて復讐を誓い、強くなるための修業の旅に出た。」
複雑な面持ちでユキの話を聞くお美和。
「・・・それでユキさんは…その旅の途中で、その谷一族って言う忍者の集団のことを知って…。」
「・・・そうだ。あの日から私の全てが決まったのだ。
…辛い話を聞かせてしまったようだな。」
「私の方こそ、すみません。嫌なことを思い出させてしまったみたいで……。」
悪気がなかったとは言え、ユキの心の傷に触れてしまったことを、お美和は悔いた。
「いや、良いのだ…。
実は此度の両親の墓参は、仇討ちのお許しをご公儀より頂いたので、その報告をするのだ。
これで仇討ちの大儀は得た、あとは仇を捜すのみ…。」
当時、仇討ちをするためには、幕府にその理由を述べた上で申し出て、
「仇討ち免許状」を獲得する必要があった。
ユキは江戸を発つ前に、その手続きを済ませていたのだ。
お順もまた同様に、「柳澤家を滅ぼされた無念を晴らし、お家を再興する」と
申し出て「仇討ち免許状」を貰っている。
因みに、元禄期に赤穂藩浅野内匠頭の元家臣たちが「藩を破滅に追い遣った」と言う理由で
吉良上野介の屋敷に討ち入り、上野介を「仇敵」として殺したが、彼らは元々幕府への反逆を意図していたため
手続きを踏まえぬまま「仇討ち」に乗り出したのである。故に、将軍家と幕閣上層部には
「私怨」「私闘」と捉えられていた。
「本当に申し訳ありません。
この上は、ユキさんとお順さんの本懐成就を八十八箇所に祈念する所存…。」
「あ、いや、そこまで思い詰めずとも…。」
先程の悔し涙から一変、お美和の飛躍した言動を慌てて宥めるユキ。
その彼女の顔には、照れ笑いと苦笑いが入り混じっていた。
賑やかさを取り戻した三人の旅。果たしてその先に待ち受けるのは・・・・・・!?
今宵はここまで、続きはまたの講釈で…。
さて、軌道修正のために今夜はユキが忍びの道を志すに到るまでの詳細を
紹介したわけですが…書いていくうちに「真・仮面ライダー」の前田有紀と八割方
被ってしまい「拙かったかなぁ…」な心境になってしまいました…。
「真・ライダー」の作者さん、本当に申し訳ありませんでした。
この場を借りて心よりお詫びします……。
ではまた次回…。
今回も良かったでつよ。異色作だけに今後の展開に興味は尽きないでつ。
>755さん
ありがとうございます。
確かに異色ですが、本編の流れを決して遮ってるわけではありませんので…念のため。
次回以降も頑張ります!
所変わって、こちらは某藩城跡・血車党の本拠地。
その頭領の間に入ってきた一人の奇ッ怪な人相の男。
「おかしら様。物見よりの報せによりますれば、あのユキとか言う小娘め、
どうやらただ今土佐の高知に身を潜めておるとか…。」
物見の乱破(らっぱ。密偵の役目をする忍者のこと)を使ってユキの素性
(初対面時は嵐に化身するくノ一が何者かを掴めていなかった)とその行方を探り、
“おかしら様”に報告した、頭蓋骨が半分露わになっているこの男、嵐=ユキによって
辛酸を舐めさせられた血車党の前線指揮官で、名を骸丸(むくろまる)と言う。
「何、土佐の高知とな?」
「はっ、恐らくは亡き父母の墓参のためと…。」
髑髏の鉄仮面に西洋風の甲冑姿の頭領・血車魔神斎の問い返しに、骸丸は更に事の詳細を報告する。
「しかも奴め、父母を殺した仇を捜して旅をしておるとも聞き及んでおります。」
「そうか。」
報告を続ける骸丸。その彼の報告を聞き、魔神斎の眼が邪まに光る。
「それならば…骸丸、近う寄って耳を貸せ。」
「?…は、はぁ…然らば、ご無礼仕りまする…。」
おかしら様は一体何を思い付かれたのか?不思議に思いつつ骸丸は魔神斎の前に歩み出た。
その骸丸に、今思い付いた策をそっと耳打ちする魔神斎。
「!・・・おお!それはご名案!!流石はおかしら様、お見逸れ致しました!!」
「じゃが骸丸、この策、活かすも殺すもその方次第ということを決して忘れるでないぞ!!」
「ははー!肝に銘じまする…。」
魔神斎から一計を授けられた骸丸は、早速支度に執りかかった。
数日後・・・
ユキの生まれ故郷の村に辿り着いた三人は、
ユキの父母が弔われていると言う寺に向かった。
と言っても、ユキの生まれた村には、寺は一つしかない。
この寺に、この村で死んだ者たちが、村内外を問わず葬られているのである。
「いよいよですね、ユキさん、お順さん。」
「ああ、あのお寺に父母が弔われている筈だ。まずは此度の免状のことをご報告し、
父母を安堵させねば。」
「私も、兄を失った辛さは深うござりまする。ユキと共に、兄を殺めた仇をこの手で…!」
仇討ちの本懐を間近に向かえ、ユキとお順の心は高潮していた。と、その時…
“ぐぅううぅ〜〜〜…”
誰かの空腹を告げる物と思しき、けったいな音が鳴り響いた。
「?…あれ?」
ユキは忍びなので、ある程度の空腹には耐えられる。
となると・・・腹を空かせたのはお順か、お美和か?
「ごめんなさい…ちょっとお腹が…。」
決まり悪そうに苦笑いしながら告白したのはお美和であった。
「そうか…ここのところ、殆ど飲まず食わずで急ぎ足に付き合わせてしまったからな。
お美和さん、済まない。」
「いえ、いいんです…。」
「茶店を捜して、そこで一休みしましょう。」
三人は茶店を捜すことにしたが、この広い農村、家同士が隣り合うと言っても
数間も離れているような村である。そんな環境のもと、茶店一軒を捜し出すのは
殆ど至難の業に近い。
方々を歩くうちに、お美和の顔に疲労の色が見え始めた。
お順もまた、お美和ほどではないものの、空腹から徐々に元気がなくなりつつあった。
「ん〜〜む…困ったな。」
流石のユキも、腕組みをして考え込む有様であった。
「・・・!?そうだ、あれがあったではないか!!
何故早うに思い付かなんだか、ユキの愚か者め。」
ユキは「あること」に気付き、己をなじった。
そして彼女は、己の懐に手を遣り、何かを探す。
「おお、これこれ。」
そう言ってユキが懐から取り出したのは、ビー玉程の大きさの、
粉をふいた飴の様な球体であった。
「さぁ、お美和さん、叔母上、これを。
これは「飢渇丸(きかつがん)」と申して、忍びの任の際、誰にも気取られず
その場で飢えや渇きを癒せる物。一時凌ぎの上、味は保障しかねるが、これで持ち直せましょう。
茶店が見つかるまでの辛抱でござる。ささ…。」
ユキは、用意した「飢渇丸」を食べるよう尾順・お美和に勧めた。
体力を回復させた二人は、ユキと共に改めて茶店を捜す。
「今暫くの辛抱でござるぞ!!」
二人を励ましつつ、ユキは茶店捜しに奔走する。
やがて・・・
「お美和さん!叔母上!ここより一町(現代の距離に換算して百九メートル)先に
一軒、茶店がありましたぞ!!」
茶店を発見したユキが、二人の下に駆けながら告げる。
その「吉報」に二人は望みを託し、ユキに続いて道を急いだ。
暫くして・・・
「ハァ、ハァ…。」
「漸く辿り着けましたね…。」
茶店に辿り着いた三人。だが、お美和とお順は、「飢渇丸」のお陰で
一時的に体力を回復させたものの、今この時にはすっかり困憊していた。
早速ユキは、店主の初老の男に注文を始めた。
「ご免、茶漬けを三杯所望したい。あと水も。」
「へい、毎度あり。」
注文を受けて、男は店の奥に引っ込んだ。
「よかったですねぇ、お美和さん。」
「ええ、ええ、本当にもう死にそうでしたぁ…。ユキさんのお陰です。
何とお礼を申して良いのやら…。」
だが、嬉しそうに礼を述べるお美和の声は、何故かユキには届いていない。
「・・・・・・。」
ユキには、店主の男の動きに何か引っ掛かる物があるようだった。
「どうも怪しいが…まさか、そんな筈は…いや、気のせいかもしれんが…やはりどこか…。」
「あの…ユキさん?」
お美和は不審に思い、なおもユキに呼び掛ける。
「?…あ、ああ、済まぬ。ちと、考え事をしていた。許されよ。」
漸くお美和の声に気付き、ユキは決まり悪そうに頭を下げた。
「いえ、いいんです。それより、本当に助かりました。あなた方は私の恩人です!」
「いやいや、そんな大袈裟な程のことでも…。」
顔を赤らめるユキ。と、そこへ・・・
「へい、茶漬けにお水、三人分お待ちどお様でした。ではごゆっくり。」
注文の品々が届いた。
やっと空腹を凌げる…特にお美和とお順はそれだけで幸せそうであった。
今宵はここまで、続きはまたの講釈で…。
血車党も動き出し、今回もまた波乱の予感!
江戸開府400年の節目を迎えた今年中には仕上げたいと思いますので
今度も長編になるかもしれませんが暫しのお付き合いを…。
ではまた次回。
何か細かいディテールが凝ってるね。時代物って好き?それとそろそろ次スレの
ことを考えたほうが良いかもよ?作者さん方。
>764さん
好きですね。ディテールは、時代物を文面で表現する以上、出来る限り
それらしさを出さねば、と言うのがありますから…ありがとうございます。
次スレですか…そうですね。どうしよう…。
熱々の茶漬けにフーフーと息を吹き掛け、
「いただきまぁ〜す。」
とお美和、お順が口にしようとした…その時!
「待ったぁ!!
…亭主、済まぬが、ちとど…あ、いや、味見をしてはくれまいか?」
突然ユキが二人を制し、店主に味見を勧めた。
「どうしてですか?ユキさん!」
「そうですよ!一体何があると言うのです!?」
訝しげな表情でユキを見る二人。だがユキは構わずこう続けた。
「叔母上とお美和さんには判らぬであろうが…何やら妙な臭いが…。」
「き…気のせいでございますよお客様…。
お客様に平気で傷んだ物をお出しする店が…どこにあると言うんですか!?」
店主は必死に被りを振る。だが、ユキの猜疑心は消えない。
「それならば尚のこと、ささ亭主、先ずはそなたが食してみてくれ。
傷んでおらぬのであれば大事はなかろう!?さぁ!さぁ!!」
「・・・・・・!」
店主の顔に脂汗がジットリと浮かび出した。
と、そこへ丁度折りを見たかの如く一羽の鳩が舞い降りてきた。
鳩は餌を求めているのか、ユキたちの目の前をウロウロと徘徊する。
ユキはその鳩の姿を認めるや、手にしていた茶漬けを地面にぶちまけた。
鳩はやっと餌に有りつけた安堵感から、地面に汁が染み込んだ茶漬けに歩み寄り、
そのふやけた米粒を一粒啄ばんだ。
すると・・・!!
鳩が突然苦しみ出し、痙攣を起こしてその場にのたうち回ったではないか!
そして苦悶の末、その鳩は…程無くしてピクリとも動かなくなった。
この光景に驚いたのはお美和だ。
「は…鳩が…死んだ……毒!!?」
ユキは鳩に手を合わせ、土に埋めて懇ろに弔うと、
背の太刀・ハヤカゼを抜いて身構えた!
「貴様ら…もしや血車党か!!?」
「クックック…よくぞ見破ったなユキとやら!この前の礼を
キッチリ返させて貰うぞ!死ねぇ!!」
と言うが早いか、店主と毒茶漬けを作った小女は
着ていた衣類をバァッ!と剥ぎ取った!!
着衣の下から姿を現したのは…
迷彩模様の忍び装束に全身鎖帷子に鎖覆面。
紛れもなくユキの父母の仇と並ぶ怨敵・血車党の下忍たちだ!
が、男下忍の方は短い袖があって袴を着けているのに対し、
女下忍の装束には袖と袴がない。性別によって区別されているようだ。
二人は短刀を携え、ユキたちに肉薄する。
「このままではいかん!叔母上、お美和さんを頼みます!!」
「ええ!」
お順はユキの呼び掛けに応じ、お美和を背負うと、その身を一頭の白馬…
ハヤブサオーへと変えていく。
お順のこの「化身」に驚くお美和。
「あ…あなた方は…一体!?」
「詳しいことをお話ししている余裕はござりませぬ!さ、しっかり掴まって!!」
言われるままにハヤブサオー=お順の手綱にしがみ付くお美和。
「さぁ、行きますよ!それっ!!」
「え・・・ぅわ、きゃああ!!」
かくしてお美和を乗せたハヤブサオーは、
彼女に危害が及ばぬ所を求めて走駆した。
ハヤブサオーがお美和を無事逃がしたのを見届けたユキは、改めて血車党の下忍と対峙する。
「貴様ら…何故我々がここにいると判った!?」
「うるさい、貴様の知ったことか!!」
「今度こそその首…貰っていくよ!覚悟しな!!」
一斉にユキに飛び掛かる下忍たち。ユキもまた駆け出す。
忽ち乾いた空気を斬り裂く剣戟の響きが轟き渡る!!
だが、二人の下忍たちは絶妙な連携を以って
ユキの攻撃を巧みにかわし、即座に反撃に転じる。
二人の息の合った妙技の冴えに、ユキは手も足も出せなかった。
そして遂には追い詰められてしまう・・・危うし、ユキ!!
「貰ったぁ!」
男の下忍が疾風の如くユキに突進し斬り掛かる!万事休すか!?
今宵はここまで、続きはまたの講釈で…
さて、船上に続いて「時代劇の定番パターン」・茶店の者に化けた敵が
主人公を待ち伏せして毒殺を狙う…と言うシチュエーションを
実施してみたわけですが…いかがでしたでしょうか?
あと、何とかこのスレ内で次の方にバトンを渡せるようにしたいとは思うのですが…
最悪の場合、私が最後になってしまうかもしれません…申し訳ないです。
ではまた次回…何とかします!
保全。
さて、今宵の講釈に入る前に訂正です。
昨日、「飢渇丸」のことを「飢えや渇きを癒す」と書きましたが、
実は「飢えを癒すのが<飢渇丸>、渇きを癒すのが<水渇丸(すいかつがん)>」
と言うのが正当です。よって非常食を出したユキのセリフを以下のように変更させて頂きます。
「さぁ、お美和さん、叔母上、これを。
これは忍びの任の際、誰にも気取られずにその場で飢えや渇きを癒せるもので
こちらが飢えを癒す「飢渇丸(きかつがん)」、もう一方が渇きを癒す「水渇丸(すいかつがん)」
にござる。一時凌ぎの上、味は保障しかねるが、これで持ち直せましょう。
茶店が見つかるまでの辛抱でござる。ささ…。」
・・・この場を借りて、お詫びして訂正致します。では、今宵の講釈に参ります。
「うぉぉおおおおああああぁぁぁぁあああ!!!」
狂ったような叫びと共に、男の下忍は逆手に持った短刀をユキ目掛け突き下ろす!!
そしてその切っ先は確実にユキを捕らえた!!
・・・筈だった。
何と、短刀の切っ先が捕らえたのはユキではなく、屋内の柱であった!
「な、何ぃ!?馬鹿な…!!」
柱から力任せに短刀を引き抜き、男の下忍は周りを見回す。
「どこだ!…奴はどこに・・・…ぐ!!?」
突如、彼の背中に衝撃が走った!その痛みとも言える衝撃に、彼の顔が苦悶に歪む。
ユキは寸でのところで敵の刃をかわし、
残像を残して彼の背後に回り込んだのである!
この刹那に、女の下忍は息を呑んだ。
「…兄者!!」
どうやら彼ら二人は兄妹のようだ。
徐々に生気を失っていく兄下忍の顔色を凝視できずに、妹下忍は顔を覆う。
一方のユキは、その兄下忍に止めを差す。
「忍法…朧(おぼろ)分身……!!」
柄も通れよと、深々と兄下忍の身体を貫くハヤカゼの刃。
やがて、ハヤカゼの鍔(つば)が兄下忍の背中に密着したと同時に、
兄下忍は息絶えた。
「…っきしょおおおおお!!!」
目の前で兄を殺された妹下忍は、我を忘れてユキに闇雲に斬り掛かってゆく。
ユキは妹下忍の狂ったような動きの刃をかわし、その短刀を払い落とした。
「やめろっ!!」
そのままユキは、妹下忍の腕を後ろに回して押さえ込んだ。
「くそっ…殺せ、殺すなら殺せぇ!!
兄者を亡くしては…最早生きてはおれぬ!!」
なおも抵抗を続ける妹下忍。そんな彼女にユキはこう語り掛ける。
「そうか・・・知らぬこととは申せ、兄を殺めてしまったことは詫びよう。
だが、お主も忍びなら、たとえ相手が何者であれ、己を妨げる者は討たねばならぬ!!
お主も辛いが私も辛い!!まして私もお主も、その忍びの悲しい宿命を負った同じ女・・・!!」
忍びの掟、宿命のためなら非情にもなるユキも、元を糺せばひとりの女であった…。
だが、その彼女の呼び掛けに妹下忍、いや、女下忍は決して応えようとはしない。
「ふざけるな!敵に情けを掛けられるくらいならあたしは…!!」
そう吐き捨てるように叫んだのを最後に…女下忍の動きが止まった。
舌を…噛み切ったのだ…。
「・・・・・・。」
改めて、忍びの道の過酷さを思い知らされたユキは、
この二人の名も無き不幸な兄妹を先程の鳩同様に手厚く葬った。
「まだまだ甘いかな、私も…。」
溜息と共に寂しくこう漏らしたユキの頬を一筋の涙が伝う。
恐らく身寄りがなかったのであろう。道を踏み外さねば、いつか幸せになれたかもしれないのに…。
ユキは、彼らの冥福を祈った。
と・・・
店の中から呻き声が聞こえてきた。
どうやらこの茶店の本当の店主たちらしい。
ユキは店内外を探し回り、
裏手に縛られていたところを見つけ出して彼らを助けた。
「はぁ、はぁ・・・いやぁ、助かりました…。」
店主は深々と頭を下げて、ユキに感謝の意を表した。
更にそこへ・・・
「ユキさぁ―――――ん!!」
ユキに呼び掛ける若い娘の声と蹄の音が。
「・・・!お美和さん、叔母上!!」
二人〜いや、「一人と一頭」と言うべきか〜はユキの身を案じて引き返してきたのだ。
ハヤブサオーから降りてユキに駆け寄るお美和。
ハヤブサオーもまたお順の姿に戻って(変じて)、三人でお互いの無事を喜び合った。
「ところで…ユキさん、この方たちは?」
「ああ、本物の茶店の人たちだ。
もう心配はいらない、改めて腹ごしらえを致そうぞ!」
「はい!!」
かくして三人は、改めて茶店の者たちが丹精込めて用意した
茶漬けと水をご馳走になり、気力と体力を取り戻したのであった。
尚、代金は店の好意によって免ぜられたことも書き記しておこう。
今宵はここまで、続きはまたの講釈で…。
本当にゆるゆる過ぎて申し訳ありません。漸くまた一区切り着いたところです。
>771さん、保全ありがとうございます。作者陣を代表して、御礼申し上げます。
さて、ここから一体どうなっていくのか、全ては私次第!(・・・・・・)
既に長丁場は決してしまいました!!(オイ!!)皆様お辛いでしょうが
もう暫くのお付き合いを…。(←偉そーにすンなよ…)
では、また次回…。
スイマセン、一部修正です!
>775のユキの長ゼリフ
「己を妨げる者は討たねばならぬ!!」
↓
「己を妨げる者は討たねばならぬと言う忍びの掟を知っていよう!!」
お疲れさん。今日の分も楽しませていただきますた。
>780さん
ありがとうございます。次回も頑張りますのでヨロシクです!
「申し訳ござりませぬ。先発隊、敢え無く失敗致した由(よし)にて…。」
ここは血車党本拠地。
その頭領の間では、ユキ暗殺の第一陣失敗の報せが
頭領・魔神斎とその腹心・骸丸にもたらされていた。
「骸丸様…。」
「良い、結果はとうに見えておった。
あの兄妹は“策”を着々と進めるに当たって時を稼がせるための捨て駒に過ぎぬ。」
「うむ、いかにも。
十重二十重に張り巡らせた我が血車地獄の罠、その恐怖はここからが本番なのだ!」
骸丸と魔神斎は、己の人生を投げ打ってまで血車党に尽くした下忍の兄妹に
微塵の憐れみも見せず、そればかりか「死んで当然」と平気で割り切り、声高らかに笑った。
確かに、この「忍びの世界」は非情である。が、血車党の掟はどの忍群よりも
飛び抜けて冷酷極まりない。
暫くして、魔神斎は念押しにこう切り出した。
「ところで…第二陣以降に抜かりはないであろうな?」
「はっ、万事滞りなく…。」
更なる過酷な罠を以ってユキ抹殺を目論む血車党。
ああ、「第二陣以降」と呼ばれた彼らをも、魔神斎らは
あたかも蜥蜴の尻尾の如く容易く「消耗品」として斬り捨てると言うのか。
一方、旅路を行くユキの一行。
「茶店の危機」から三日後の夜、河原の洞窟で野宿をしていたユキは、
不思議な夢を見ていた・・・・・・。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
気が付いた時には、ユキの身体は何故か宙に浮いていた。
狼狽するユキ。
「な・・・何だ、どうなっているんだこれは!
わ、私は…一体・・・・・・???」
ユキは何とか地上に降りようと自分の真下に目を遣る。
その瞬間、ユキは目の前の光景に甚く驚愕した。
果たして、その眼中に飛び込んできた物は・・・・・・!?
「これは一体・・・どう考えてもあれは江戸じゃない・・・いや、日本じゃない!!
判らない・・・益々判らない!!一体どこなんだここはぁ!!!」
ユキの目に映ったもの・・・それは彼女の想像を遥かに絶する、摩訶不思議な光景であった。
いや、ユキでなくとも、「ユキと同じ世を生きている者」にとっても、この「異様な世界」を目の当たりにしたならば
忽ちのうちに錯乱に陥るであろう。
その「異様な世界」とは・・・
目の前に広がるのは、天まで届けよと高くそびえる大小様々な特異な形の建造物。
民家もあることにはあるのだが、ユキの知る物とは大きく異なり、色とりどりの壁に
藁とは違う無機質な屋根と言った見慣れぬ作りをしている。
その建造物の密集している所では、オランダ人(江戸時代、家光の頃から
日本は“鎖国”政策を採っていたため、海外の国ではオランダやポルトガル、中国と
長崎の出島でのみ交易していた)のようで、オランダ人とも違う
得体の知れない服を着た人々が行き交い、聞き慣れぬ言葉を交わしている。
更によく見ると、洋式の畏まったような服を着た者が小箱のような物を手に、
それを耳に当てて、まるで誰かと会話しているみたいに独り言を喋っているではないか。
その上、広い公道と思しき路面を四つの輪を獣の脚のように並べた箱のような乗り物が、
煙を噴き出しながら走っている。見れば、馬に似た乗り物まで存在する。
その賑わいを、更にユキ(たち)には理解し難い得体の知れない音楽が彩っている。
・・・ここまでご覧頂き、もうお判りのことであろうと思うが…
ユキが今いるのは、“二十一世紀の日本の首都・「東京」”。
即ち、江戸の約四百年後の姿なのである!!
その「未来の江戸」の上空に自分がいるなど思いもよらず、ユキは困惑する。
「これは夢なのか・・・そ、そうだ!夢に違いない…ならば早く覚めてくれ!!」
混乱から絶叫するユキの姿が、眼下の人々には全く見えないことなど
彼女は気付いていない。
そして彼女が悲観にくれかけた・・・その時!
ド ゴ ォ ォ ォ ・・・・・・ ン ン !!!!!!
地上の「街」から爆発音が聞こえた!!
と同時に、「群衆」の逃げ惑う声もユキの耳を衝く!!
「な・・・何ィ!!?」
下界を見遣るユキ。その視線の先には・・・!
「ば・・・馬鹿な!!?あれは…血車の…化身忍者!!??」
そう、見ようによっては血車党の化身忍者に見えなくもない異形の者たちが
我が物顔で跳梁跋扈・横行闊歩の限りを尽くし、破壊・略奪・殺戮を繰り返していた。
当然と言うべきか、この者らは血車党ではない。そう、この二十一世紀において
最も忌まわしき「悪」と言えば……!!
「ウワッハッハッハッハハハハ……
愚かな人間共め、お前たちは我々ゼティマの足元に跪くしか
生きる道はないのだ!!」
血車党とは違う未来の悪…ゼティマの一団は、逃げ惑う人々を片っ端から
血祭りに上げ、或いは次々と攫っていく。
人々は成すすべなく、ただゼティマのいいようにされるがまま、
絶望の淵に立たされるのみであった。
だが、そのような無法がいつまでもまかり通るわけなど有り得ない。
そのことばかりは、いつの時代も同じである。
「待てぇ!!」
突如聞こえた若い娘の声。
それはこの時代の人々にとって希望に満ち溢れ、
幾度と無く危機を救われた天の使いの声である。
「む!!…貴様らは!!??」
声のする方向に視線を移すぜティマ。
そこにいるのは、最早何の説明も要るまい。
「また性懲りもなく暴れとるんか、ゼティマ!」
「いい加減これ以上何の罪もない人たちをいじめるのはやめなしゃい!!」
彼らに怒りの一喝を浴びせる二人の少女。
いずれもあどけない印象を与えており、その口調は
一人は関西弁、もう一人は舌足らずで子供っぽい。
だが、幼い顔とは言え、その二人の瞳には、正義に燃える怒りの炎があった。
その光景を上空で見ていたユキは、以前にも増して驚愕の色を強める。
「何…馬鹿な!見ればまだ子供ではないか!!一体何が出来ると…
助けねば!!」
だが、ユキの身体は宙に浮いたままその場を動けず、
ただ目の前で繰り広げられる展開を見守るしかなかった。
止むを得ずユキは、二人の少女に逃げるよう呼び掛けるが、
姿が見えないのと同様に、その声もまた聞こえていない。
「どうすればいい…どうすればいいんだ私は!!??」
焦燥に駆られるユキ。
一方、地上の少女たちはユキの存在など全く気付かぬまま、
自分らの目の前のゼティマに対し身構える。
「あいぼん!!」
「判っとる…こいつら一人残らず倒さなあかん!
このまま野放しにしとったら、この街はお終いや!!
いくで、のの!!」
「うん!!」
二人の少女=辻希美と加護亜依は
許せぬ悪の群れ目掛け猛然と突進する。
その悪=ゼティマもまた、怪人が戦闘員に迎撃の号令を掛ける。
「小癪な…かかれぇ!!」
大挙して、二人に殺到するゼティマの戦闘員たち。
亜依と希美は、そのうちの何人かを軽くあしらうと、近くのビルの屋上へと
大きくジャンプする!
それを見て、ユキは絶句する。
「し…信じられぬ…あの力はどこから…もしや!?」
今宵はここまで、続きはまたの講釈で…
さて、今回は血車党の今後の動きと
ユキの見ている不思議な夢の物語です。
嵐の運命はもう決まってますが、今回と次回は
その「前フリ」とでも思って下さい。
念のため、この時点では、ユキはまだ夢の中なので
まだまだ二十一世紀の事柄に関与することは出来ません。
果たしてユキは己の夢の中から何を見出すのか!?
続きは次回、乞う、ご期待!!