仮面ライダーののアギト

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699名無しスター
ZXこと小川麻琴が中澤家に来た頃のお話。

小川と紺野はなかなか打ち解けないでいた。
紺野の方が異常に警戒していたからである。何しろ昨日まで敵同士だったのだ。
他のみんなも同じだった。数日の間小川は中澤、辻、加護以外とはほとんど会話をしなかった。

そんな時、安倍が紺野に話し掛けてきた。
「なんか、あの娘おとなしいね。」
「・・・そうですね。でもきっと慣れない環境で緊張してるんだと思います。」
「そうだね・・来たばっかりの頃のあさ美ちゃんもあんな感じだったもんね。」

紺野はそれを聞いてハッとした。
「そうか・・・自分も来たばかりの頃は孤独だった、寂しかった。あの娘も自分と同じなんだ・・・
あの時はみんなが優しくしてくれた。今度は私の番だ。安倍さんはきっとそう言いたいんだ。」



「・・・あの・・・」
紺野は一人でソファーに座っている小川の横に座り、話し掛けた。
700名無しスター:03/10/14 01:20 ID:Bd+ACv2n
その後は二人でいろいろな話をした。
いままでのこと、友達のこと、家族のこと、自分の体のこと・・・

数時間後、ようやく打ち解けかけたところで小川が聞いた。
「ところで、紺・・・あさ美ちゃんはどんなことが出来るの?」
「うーん・・・空が飛べるくらいかなあ」

小川は驚いた表情で言った。
「ええ!本当に?見せて見せて!」

「え?今ここで?・・・」
「ダメ?・・・」
小川は少し寂しそうな顔を見せた。

(ここで断ったらまた心を閉ざしちゃうかも・・・)


そんな小川の表情を見た紺野は慌てて言った。
「あ・・・いいよ!・・・変身!」
701名無しスター:03/10/14 01:22 ID:Bd+ACv2n
「わぁ〜!すごい、すごーい!」
重力低減装置によって空高く舞い上がったスカイライダーを、小川は窓から顔を出して眺めていた。

「そこに帰るからちょっとどいてね〜」
「へ?・・」
そう言うとスカイライダーは滑空を始め、スポッと小川が眺めていた窓から入ってきた。

「ふう・・」
そう言いながら変身を解いた紺野を、小川は羨望のまなざしで見ながら言った。
「すごいねぇ〜。すごいよあさ美ちゃん!」

「そ、そーかなー?窓からあなたのお宅におじゃま〜るしぇ。なんちゃって・・・」
「・・・何それ?」


「あ、いや何でも・・ところで小川・・まこっちゃんは何が出来るの?」
「うーん・・いろいろあるんだけど、今ちょっと変身は・・・」
まだ小川には先日の闘いのダメージが残っていた。

「あ、そうだ。私のバイクを見せてあげる。」
そう言って小川は紺野を地下のガレージに連れて行った。
702名無しスター:03/10/14 01:25 ID:Bd+ACv2n

「ヘルダイバーっていうの。」
「へー、原子力エンジンなんだ。・・・これは?」

「それはレーザーバルカン砲。便利だよ」
「レーザー?ビームがでるの?すごーい!」
紺野は目を輝かせながら言った。

そんな紺野を見て小川が言った。
「・・・見たい?」


小川は紺野を連れてヘルダイバーで近所の空き地に向かった。
空き地に着くなり近くの立木に狙いをつけた。

ピー!(ボン!)

レーザーが発射され、一瞬にして立木は炎に包まれ崩れ落ちた。

「わー!!すごーい!まこっちゃん、このバイクカッコいいね!」
703名無しスター:03/10/14 01:30 ID:Bd+ACv2n

紺野がそう言うと小川は少し顔を赤らめながら言った。
「そう?よーし、じゃんじゃん撃っちゃうよ。次はあそこ!」
空き地の立木という立木を次々灰にしていく2人。

ピー!(ボン!)
ピー!(ボン!)
ピー!(ボン!)
「ピーマコ小川で・・・・」

「さっきから何やってんの!あんたたちはああああ!!」
2人の様子をずっと眺めていた中澤がたまらず怒鳴り声を上げた・・・


・・・数時間もの間、2人は散々中澤のお説教を食らった。

「あの人怖いね・・・」
「うん。怖いよ。・・・中澤さんは普通の人間だけど、この中で一番怖いの。」
「あははは・・」

ここに来て初めて小川が笑った。

紺野はその無邪気な笑顔と見て、この娘とはうまくやっていけそうだな、と思った。

「・・・とにかくこれからよろしくね。まこっちゃん。」
「こちらこそ。あさ美ちゃん」

そう言って2人は握手をした。
99%が機械だと言っていたが、小川の手は柔らかく、あたたかかった。
704名無しスター:03/10/14 01:31 ID:Bd+ACv2n

・・・・あまり関係ないが、そんな2人をビジンダーとXライダーは何故か複雑な表情で見ていた。