仮面ライダーののアギト

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461ナナシマン
 吹きすさぶ風が砂塵を巻き上げるなか、11人のゼティマライダーが次々と
ダブルライダーに襲いかかる。戦闘能力はほとんど同等、しかもそこに新たな
武器を手に入れたのだから始末に終えない。やがてゼティマライダーは、高台へと
ダブルライダーを追い詰める。

 「ライダー、覚悟しろ!!」

そう言うや11人は一斉に両腕を真っ直ぐ前方に突き出して構える。敵の次なる
攻撃に備えて身構えるダブルライダー。そしてその直後、11人のゼティマライダー
の指先からロケット弾が火を噴く。轟く轟音と共にダブルライダーの姿は見る間に
白煙に消えていく。

 「撃て撃て、撃ち殺せ!!」

 「髪の毛一本も残らぬほどにな!」

 ハエトリバチとエイドクガー、二大怪人も気勢を上げる。次々と、まるで
吸い込まれるかのように命中していくロケット弾。この集中砲火にさらされては、
さしものダブルライダーも無事ではすむまい、誰もがそう思ったその時である。

 「とーっ!!」

掛け声も勇ましく、ダブルライダーが高台からひとっ飛びで敵の一群へと身を
躍らせる。二人は高台の陰に隠れ、ゼティマライダーの集中砲火を避けることが
できたのだ。
462ナナシマン:03/09/21 21:53 ID:GkTU5r5s
 敵の真っ只中へと飛び込んだダブルライダーは、手近な相手から次々とパンチ
キックでなぎ倒す。2対1、3対1もなんのその、つま先から飛び出した仕掛け
ナイフも華麗に捌き、逆にライダーパンチをお見舞いする。

 「ぐっ・・・強いっ!!」

 「これが本物のライダーの力だと言うのか?!」

ダブルライダーの猛攻撃の前に、次々となぎ倒されるゼティマライダー。いかに
基本的な能力は互角であろうとも、戦いの経験においてダブルライダーにかなう
はずはない。まして数を頼みに戦うなどというのであれば、最初から勝負は
見えていたのかもしれない。

 「ジグー!何をしている、戦え!!」

檄を飛ばす怪人たちの声に、ゼティマライダー達は再びダブルライダーに戦いを
挑んでいく。

 「のの、いくで!」

 「『ライダー車輪』をお見舞いするのれす!」

互いに言葉を交わすダブルライダー。その直後、二人は一斉に襲い掛かる敵に
あえて背を向け、ものすごいスピードで走り出した。そんな二人を逃がすまいと、
ゼティマライダー達も負けじと駆け出していく。
463ナナシマン:03/09/21 21:55 ID:GkTU5r5s
 そもそも二人が習得した「ライダー車輪」とはいかなる技だったのか。また
裕子はなぜ早朝から二人を走り回らせたのか。その答えが、いまここに示される。

 ダブルライダーは走る。とにかく走る。円を描くように全力で疾走し、その
中心は二人のスピードによって風を巻く。ゼティマライダーもまた、二人
を追って走る。冷静に考えれば、わざわざダブルライダーに付き合って走り回る
必要はどこにも無いはずなのだが、しかしそんな当たり前のことにすら気が
付かないほど、ゼティマライダーの意識はダブルライダーに追いつくことに
向けられていた。そしていつしか、その行為は自らの限界を超え、正常に働く
べき感覚を狂わせてしまうのだ。

 「ズィーッ!」

 「ズィーッ!!」

敵はまだ気づいていない。自分の肉体が制御の限界を超え、判断力と自己の制御を
狂わせていることを。それこそが、ダブルライダーに授けられたこの技の要訣で
あった。そして、ライダー車輪は完成の時を迎える。
464ナナシマン:03/09/21 21:59 ID:GkTU5r5s
 そもそも二人が習得した「ライダー車輪」とはいかなる技だったのか。また
裕子はなぜ早朝から二人を走り回らせたのか。その答えが、いまここに示される。

 ダブルライダーは走る。とにかく走る。円を描くように全力で疾走し、その
中心は二人のスピードによって風を巻く。ゼティマライダーもまた、二人
を追って走る。冷静に考えれば、わざわざダブルライダーに付き合って走り回る
必要はどこにも無いはずなのだが、しかしそんな当たり前のことにすら気が
付かないほど、ゼティマライダーの意識はダブルライダーに追いつくことに
向けられていた。そしていつしか、その行為は自らの限界を超え、正常に働く
べき感覚を狂わせてしまうのだ。

 「ズィーッ!」

 「ズィーッ!!」

敵はまだ気づいていない。自分の肉体が制御の限界を超え、判断力と自己の制御を
狂わせていることを。それこそが、ダブルライダーに授けられたこの技の要訣で
あった。そして、ライダー車輪は完成の時を迎える。
465ナナシマン:03/09/21 22:00 ID:GkTU5r5s
 「いくで!!」

 「おう!」

ダブルライダーは呼吸を合わせ、二人同時に大きくジャンプして空中へと身を翻す。
そしてその直後、ゼティマライダー達もまた二人を追って空中高く舞い上がった。
だが、11人がその跳躍の頂点に到ろうとしていたその時、すでに二人の姿は
無かった。
 ジャンプの勢いはもはや個々の力では抑えることが出来ない。自力で制止するには
勢いが付きすぎてしまったのだ。そして、次の瞬間。11人のゼティマライダーは
空中で同士討ちを演じてしまい、大爆発して消滅してしまった。一方のダブルライダー
は地上に着地すると、ゆっくり立ち上がって空に広がった白煙を見やる。二人を
脅かした刺客、ゼティマライダーは二人の絆と本物だけが持つ正義の力によって
倒されたのだ。