吹きすさぶ風が砂塵を巻き上げるなか、11人のゼティマライダーが次々と
ダブルライダーに襲いかかる。戦闘能力はほとんど同等、しかもそこに新たな
武器を手に入れたのだから始末に終えない。やがてゼティマライダーは、高台へと
ダブルライダーを追い詰める。
「ライダー、覚悟しろ!!」
そう言うや11人は一斉に両腕を真っ直ぐ前方に突き出して構える。敵の次なる
攻撃に備えて身構えるダブルライダー。そしてその直後、11人のゼティマライダー
の指先からロケット弾が火を噴く。轟く轟音と共にダブルライダーの姿は見る間に
白煙に消えていく。
「撃て撃て、撃ち殺せ!!」
「髪の毛一本も残らぬほどにな!」
ハエトリバチとエイドクガー、二大怪人も気勢を上げる。次々と、まるで
吸い込まれるかのように命中していくロケット弾。この集中砲火にさらされては、
さしものダブルライダーも無事ではすむまい、誰もがそう思ったその時である。
「とーっ!!」
掛け声も勇ましく、ダブルライダーが高台からひとっ飛びで敵の一群へと身を
躍らせる。二人は高台の陰に隠れ、ゼティマライダーの集中砲火を避けることが
できたのだ。
敵の真っ只中へと飛び込んだダブルライダーは、手近な相手から次々とパンチ
キックでなぎ倒す。2対1、3対1もなんのその、つま先から飛び出した仕掛け
ナイフも華麗に捌き、逆にライダーパンチをお見舞いする。
「ぐっ・・・強いっ!!」
「これが本物のライダーの力だと言うのか?!」
ダブルライダーの猛攻撃の前に、次々となぎ倒されるゼティマライダー。いかに
基本的な能力は互角であろうとも、戦いの経験においてダブルライダーにかなう
はずはない。まして数を頼みに戦うなどというのであれば、最初から勝負は
見えていたのかもしれない。
「ジグー!何をしている、戦え!!」
檄を飛ばす怪人たちの声に、ゼティマライダー達は再びダブルライダーに戦いを
挑んでいく。
「のの、いくで!」
「『ライダー車輪』をお見舞いするのれす!」
互いに言葉を交わすダブルライダー。その直後、二人は一斉に襲い掛かる敵に
あえて背を向け、ものすごいスピードで走り出した。そんな二人を逃がすまいと、
ゼティマライダー達も負けじと駆け出していく。
そもそも二人が習得した「ライダー車輪」とはいかなる技だったのか。また
裕子はなぜ早朝から二人を走り回らせたのか。その答えが、いまここに示される。
ダブルライダーは走る。とにかく走る。円を描くように全力で疾走し、その
中心は二人のスピードによって風を巻く。ゼティマライダーもまた、二人
を追って走る。冷静に考えれば、わざわざダブルライダーに付き合って走り回る
必要はどこにも無いはずなのだが、しかしそんな当たり前のことにすら気が
付かないほど、ゼティマライダーの意識はダブルライダーに追いつくことに
向けられていた。そしていつしか、その行為は自らの限界を超え、正常に働く
べき感覚を狂わせてしまうのだ。
「ズィーッ!」
「ズィーッ!!」
敵はまだ気づいていない。自分の肉体が制御の限界を超え、判断力と自己の制御を
狂わせていることを。それこそが、ダブルライダーに授けられたこの技の要訣で
あった。そして、ライダー車輪は完成の時を迎える。
そもそも二人が習得した「ライダー車輪」とはいかなる技だったのか。また
裕子はなぜ早朝から二人を走り回らせたのか。その答えが、いまここに示される。
ダブルライダーは走る。とにかく走る。円を描くように全力で疾走し、その
中心は二人のスピードによって風を巻く。ゼティマライダーもまた、二人
を追って走る。冷静に考えれば、わざわざダブルライダーに付き合って走り回る
必要はどこにも無いはずなのだが、しかしそんな当たり前のことにすら気が
付かないほど、ゼティマライダーの意識はダブルライダーに追いつくことに
向けられていた。そしていつしか、その行為は自らの限界を超え、正常に働く
べき感覚を狂わせてしまうのだ。
「ズィーッ!」
「ズィーッ!!」
敵はまだ気づいていない。自分の肉体が制御の限界を超え、判断力と自己の制御を
狂わせていることを。それこそが、ダブルライダーに授けられたこの技の要訣で
あった。そして、ライダー車輪は完成の時を迎える。
「いくで!!」
「おう!」
ダブルライダーは呼吸を合わせ、二人同時に大きくジャンプして空中へと身を翻す。
そしてその直後、ゼティマライダー達もまた二人を追って空中高く舞い上がった。
だが、11人がその跳躍の頂点に到ろうとしていたその時、すでに二人の姿は
無かった。
ジャンプの勢いはもはや個々の力では抑えることが出来ない。自力で制止するには
勢いが付きすぎてしまったのだ。そして、次の瞬間。11人のゼティマライダーは
空中で同士討ちを演じてしまい、大爆発して消滅してしまった。一方のダブルライダー
は地上に着地すると、ゆっくり立ち上がって空に広がった白煙を見やる。二人を
脅かした刺客、ゼティマライダーは二人の絆と本物だけが持つ正義の力によって
倒されたのだ。