仮面ライダーののアギト

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449ナナシマン
 そして二人はついに司令室と思われる広間へと通された。そこは不気味な
色とりどりの照明に照らされた暗室で、薄いベール越しに光る6色の光だけ
が煌々と輝いていた。二人が部屋の中央にやってきたその時、ちょうど正面に
位置する場所にかけられたベールに大きな鷲の影が映った。そして次の瞬間、
赤いランプが光り何者かの不気味な声が部屋に響く。

 「ようこそダブルライダー。偽者の偽者は本物、とはなかなか考えたな。
我がゼティマは危うく君達の目論見にはまってしまうところだったぞ」

 二人に語りかける謎の声、それは誰あろうゼティマ大首領その人であった。
ついに二人は諸悪の根源と対峙したのだ。

 「ライダー2号・・・いや、ライダーあいと呼ぶべきか。あの後我々は
捜索したのだよ、君とNo.6が相打ちになった場所を。見つかった残骸は
残念ながら君ではなかった。だから諸君の先手を打てたのだ」
450ナナシマン:03/09/19 22:33 ID:B7qReaYT
 「ちっ・・・バレてたんか」

 「もしかしたら、待ち伏せされているかも」

 そう言って身構えつつ、周囲を見回すライダーのの。そしてライダーあい
は事前に装着してきた手袋を脱ぐや、こう言い放つ。

 「それやったら、こんな趣味の悪いもん着ける理由はないな!!」

その言葉と共に、黄色い手袋を正面のベールに向かって投げつける。その瞬間
翻ったベールの向こうに見えたのは、巨大な鷲の彫像だった。目の前にある
それが首領の正体ではないことは明らかだ。

 「本物は別のところにおるというわけか」

 「残念だがその通りだ。ゼティマライダー!今度こそ仮面ライダーの息の根を
止めるのだ!!」

大首領の命令とともに、周囲を取り巻くベールに映し出される11体の影。
それは紛れも無く悪魔の刺客、ゼティマライダー部隊だった。
451ナナシマン:03/09/19 22:34 ID:B7qReaYT
 ベールが落とされるや、その向こうから姿を現す11人のゼティマライダー。
そして更に正面のベールの前に立ちはだかったのは二体の改造人間だ。

 「小癪なまねをしおって、生かしては帰さんぞ、ジグー!!」

 「今度こそ二人まとめてあの世へ行け!!クエーッ!!」

 敵はゼティマライダーだけではない。ゲルダム団の怪人、ハエトリバチと
エイドクガーも戦列に加わり、合計13人の刺客が再びダブルライダーの
前に立ちふさがった。

 「者ども、辻希美と加護亜依を血祭りにあげるのだ!!」

大首領の号令と共に襲い掛かる悪魔の軍団。ダブルライダーは手近にいた
戦闘員にいきなりの一撃を食らわしてKOすると、手にしていた槍を奪い
敵に向かって斬り込んで行く。
452ナナシマン:03/09/19 22:34 ID:B7qReaYT
 「ゼティマライダー、ヤツを殺せ!」

エイドクガーの命令に応じ、一斉に光線銃を抜くゼティマライダー。敵中
突破を試み、槍を振りかざすダブルライダーを待ち構え、光線銃の一斉
掃射を浴びせる。

 「とうっ!!」

 華麗に空中へと身を踊らせて殺人光線をかわすと、ダブルライダーは
そのままの勢いで手にした槍を振り下ろす。高空からの一撃に、避けきれ
なかったゼティマライダーは真っ二つにされてしまった。

 「どうや!!」

 一刀両断にされたゼティマライダーを見やり、ライダーあいが叫ぶ。
その直後、爆炎と共に消滅する2体のゼティマライダー。その様子に一瞬
たじろいだ他のゼティマライダー達だったが、再び体勢を立て直すと
じりじりとにじり寄っていく。

 「ズィーッ!!」

 奇声を上げて威嚇する9人のゼティマライダー。これをけん制しながら、
ダブルライダーは司令室を後にし、出口のほうへと駆け出していく。

 「表で勝負れす、ついて来い!!」

ライダーののは敵をにらみつけて見得を切ると、そのまま外へと駆けていく。
そしてその後を追うゼティマライダー達。いよいよ決戦のときだ。
453ナナシマン:03/09/19 22:55 ID:B7qReaYT
 「ありもしない機密情報ディスクまででっち上げて基地に侵入を試みるとは
恐ろしい小娘どもよ・・・」

 所変わって、本物の日本支部基地。司令部にて一部始終を映し出していたモニター
を見つめながらつぶやくブラック将軍。  
 実はダブルライダーが潜入したのはすでに放棄が決定していた古い基地であった。
ディスク奪還の無線連絡が基地に入ったその直後、密かに港周辺を捜索していた
別働隊から驚くべき知らせが舞い込んでいたのだ。

 「ライダーが生きていると?!おのれぇぇ・・・」

この知らせを聞いたとき、将軍は顔を引きつらせ歯噛みした。完璧だと思って
いた作戦の裏をつかれ、年端も行かぬ小娘にまんまと騙されるところだったのだ。

 「ブラック将軍、この責任をどう取ってくれるのだ」

そこへ悪魔元帥が追い討ちをかけるように睨み付ける。その言葉に肩を震わせる
ブラック将軍。と、その時である。
454ナナシマン:03/09/19 22:55 ID:B7qReaYT
「そう焦るでない、悪魔元帥。基地のひとつくらいくれてやればいい」

赤いランプの怪しい輝きと共に、聞こえてきたのは大首領の声であった。

 「ブラック将軍、ゼティマサイクロンに誘導電波を発するのだ。そしてG10
エリアにある旧前線基地へと誘い込むがいい。目にもの見せてやるがいい」

かくしてダブルライダーは、大首領の思惑通りに偽の日本支部基地へと導かれて
きたと言うわけである。だが、ダブルライダーは悪の陰謀などものともせず、
取り囲む悪の改造人間に対して一歩も引かずに迎え撃つ。