ダブルライダーはゼティマサイクロンを自動操縦に切り替え、そのまま基地
への案内役に仕立て上げるとその後からサイクロンで追跡する形を取る。
3台のライダーマシンはそのまま市街地から郊外へ、そこからさらに峠道を
縫うように走り、やがて人里離れた山の中へと入っていく。そしてついに、
ダブルライダーは敵の基地からわずかの距離にまで迫っていた。
目を凝らせば巧妙にカモフラージュされた基地の施設と、周囲に蠢く不審な
人影が見て取れる。それほどの近距離まで近づくと、ダブルライダーは先導
していたゼティマサイクロンを停車させて林の中に隠し、あらかじめ用意して
おいた黄色の手袋とブーツを装着して何食わぬ顔で基地のゲートへと近づいて
いく。そこには木立に隠された鋼鉄の門がそそり立っていた。そして当然の
ことながら、その周囲は戦闘員が常に巡回しているのである。それでも二人は
今はゼティマライダーに身をやつしている。接近は容易なはずだ。ダブルライダー
はサイクロンのスピードを落としてゆっくりとゲートに近づく。すると、近くに
いた全身黒尽くめの戦闘員が二人を発見してそばまでやってきた。
「ズィー!ディスク奪還の件、成功おめでとうございます」
「皆様事のほかお喜びの様子。さぁ、中へどうぞ」
気をつけの姿勢と共に右手を高々と上げる、ナチスドイツの敬礼を思わせる、
ゼティマ式の敬礼と共に二人の戦闘員はゼティマライダーの戦果を祝福する。
「何のこれしき・・・大した事ではない」
「我々二人で十分な仕事だったのれす・・・のだ」
いつもの癖がうっかり出てしまったライダーののの、ぎこちない口調にも全く
気づく様子が無いまま、戦闘員達はあっさりと二人を基地内に通した。