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329加紺とう
     25.負けられない…
横浜ナインは試合後、偵察も兼ねて第四試合を見ることにした。
ダウンを終え、ナインは観客席へと向かった。
時間的にはちょうど0-0で4回が始まった頃、球場は騒然としていた。
そこでナインが見たものは…。
浦和学院の吉澤が打席で右足を押さえて倒れている姿だった。
どうやら死球を受けたようだ。
マウンドを少し降りたところで相手投手は必死に謝っている。
が、石川は次の瞬間を見逃さなかった。
相手投手が振り返り際、うっすらと笑みを溢していたことを…。
回は投手戦のまま進み、再び吉澤の打順となる。
相手投手は執拗に内角を攻める。
吉澤も何とか打ちに行くが、右足が痛むのか、なかなか捉えきれない。
そして…。
330加紺とう:03/11/24 00:41 ID:4ruIuXFL
速球が再び吉澤の右足を襲った。
当たったのはさっきとまったく同じ場所。
石川も思わず声を上げた。

「よっすぃ〜〜〜!!!」

今度は相手投手は表情一つ変えていない。
誰の目にも明らかに故意とわかった。
そして、吉澤の第四打席。
またしても吉澤は右足を狙われた。
何とか交わそうとするも、打ちにいっているために逃げ切れなかった。
吉澤は見るからに立つことすら困難な状況だった。
それでも吉澤は最後までグラウンドに立ち続けた。
しかし、無情にも9回裏、本塁打を打たれてサヨナラ負けとなってしまった。
331加紺とう:03/11/24 00:42 ID:4ruIuXFL
試合後、石川はすぐさま吉澤の下へと向かった。
すると、右足を引きずって歩く吉澤の痛々しい姿を見つけた。

「よっすぃ〜、大丈夫!?」
「あ、梨華ちゃん…足なら大丈夫だよ。でもごめんね、負けちゃった…。」

石川を気遣うように吉澤は言葉を返した。
が、その表情は明らかに苦痛でゆがんでいるように見えた。

「それより梨華ちゃん、次の相手は気を付けなよ…。あいつの球はマジでやばいから…。」
「よっすぃ〜、どういうこと?」

死球を平気でやってくるということだろう、と思っていた。
しかし、どうやら吉澤が言いたいのは別のことのようだ。
332加紺とう:03/11/24 00:44 ID:4ruIuXFL

「あいつのシュート、ありえないから…。」
「シュート?もしかして剃刀シュートとか投げるの?」
「剃刀なんてもんじゃないよ、あれは例えるなら…チェーンソー…。」
「チェーンソー?」

想像こそつかないが、とにかくえげつないのだろう…。
石川は吉澤の肩を支えながら、迎えの車まで送っていった。
そして石川は復讐を誓う。

「よっすぃ〜、私が敵を討ってあげるから…。」

その相手は松浦亜弥。
次の試合は絶対に負けられない…。
よっすぃーのためにも、私自身のためにも…。
石川は密かに決意を固めるのであった。

これでベスト4が出揃った。
山口・岩国、北海道・早大付、神奈川・横浜、兵庫・東洋大姫路。
それぞれの様々な想いが交錯する中、この中から決勝へと進む二校が明日決まる。