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310加紺とう
     22.目標
第二試合は強打を誇る関西の二校、平安とPL学園だ。
試合は両校の4番、中澤と稲葉が中心の乱打戦で展開された。
7回表を終わって中澤が4打数3本塁打5打点、稲葉が4打数3本塁打7打点、得点は5-7という状況だった。
しかし、その裏に平安は中澤が3ランを放ってなんとか逆転に成功した。
ところが、PLも8回表に2死満塁で稲葉という逆転の絶好のチャンスを迎えた。
ここで平安ベンチが動く。
捕手の中澤がマウンドへと上がったのだ。
勝負は初球だった。
ど真ん中の直球だったが、稲葉が打ち損じたのか、詰まらせてレフトフライに倒れてしまった。
この結果が勝負を分け、試合は8-7で平安がそのまま逃げ切った。
第三試合はこれまた強打の浦和学院が、第四試合は東洋大姫路がそれぞれ勝利し、これでベスト8が全て出揃った。
311加紺とう:03/11/19 23:56 ID:jliyWG3h

試合を終えた、浦和学院の吉澤が宿舎へと帰ってきた。
すると…。

パ〜パ〜パラパパ〜パ〜♪

突然、携帯の着信音が鳴った。
吉澤は慌てて携帯を手に取った。

「もしもし?」
「よっすぃ〜、今日勝ったんだよね?おめでと〜!」
「なんだ梨華ちゃんか…。」

電話の主は横浜高校の石川だった。
夜中だというのに…一体何の用なんだろうか?
312加紺とう:03/11/19 23:58 ID:jliyWG3h

「もう、なんだって何よ!せっかく電話してあげたのに、ひどいなぁ〜!」
「ごめんごめん。てか、こんな時間にどうかしたの?」
「明日、勝ったらいよいよ対戦だよね。」

そういえばそうだった、このままいけば横浜とは準決勝でぶつかる。
あと一つ勝てば、ひとつの目標にしていた石川との直接対決が実現するかもしれないのだ。

「そうだよねぇ、でも梨華ちゃんのとこは勝てるの?」
「当ったり前じゃん!相手は中澤さんのいる平安だから骨が折れるだろうけど、絶対に勝つよ。そういうよっすぃ〜の方こそどうなの?」
「どうだろ?東洋大姫路は投手がいいみたいだからね。でも、どんな投手でも打ち崩してみせるよ。」
「さっすがよっすぃ〜、かっこいい!」
「なんだそりゃ?ま、いいや。じゃ、準決勝で会おうね。」
「うん、それじゃ。チャオ〜♪」

吉澤は電話を切り、そして軽く一息ついた。
明日からは準々決勝、もっと気を引き締めなくっちゃ…。
そう自分に言い聞かせ、吉澤は床についた。
明日の試合が想像を絶したものになろうとは、この時の吉澤には知りえなかった。