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278加紺とう
     18.強打、横浜高校
大会7日目の第一試合。
グラウンドには甲高い声が響き渡っていた。

「キャハハハ、今日も絶好調!」

横浜高校の切り込み隊長、矢口真里だ。
5回に早くも第三打席が回ってきて、見事にレフトスタンドにソロアーチを叩き込んだ。
5-0と早くもワンサイドぎみの展開だ。
さらに矢口は過去二打席もそれぞれ単打で出塁し、いずれも盗塁を決めている。
本人も言う通り、今日の調子はまさしく絶好調だ。
後続も当たっている。
2番の新垣は2打席1打数1安打1犠打1打点。
3番の柴田は2打数2安打1本塁打3打点と、これまで上位打線だけで全打点を叩き出していた。
そんな上位打線の中、一人だけ空回りしている人がいた。
279加紺とう:03/10/26 01:58 ID:neYvZnyD

「ハッピー!」

4番の石川だ。
新垣・柴田の連続安打で無死二・三塁のチャンスに回ってきた第三打席も空振り三振。
第一打席から一球たりともバットにかすらせる事すらできずにいた。

「あ〜あ、今日はなんか調子悪いなぁ。雨降ってちょっとブルー。」
「石川!お前打つ気とかあんのかよ!」

一人妙なテンションで愚痴っている石川に、矢口が大声で怒号を上げる。

「お前、4番の重要性ってのわかってないだろ?」
「わかってますよ〜、ただまりっぺが私の分まで打っちゃうからさ。」
「まりっぺ言うな!」

横浜ベンチはいつもこんな感じでにぎやかだ。
それが横浜のいい雰囲気を保つ秘訣にもなっているのだ。
5回は結局1点で終わったもの、その後も1〜3番で着実に点を重ねた。
一方の仙台育英も村田めぐみの2本のソロ本塁打を放って一矢報いるが、反撃もそこまでだった。
結果は9-2と横浜が圧勝した。
石川はこの日、投げては2失点の完投勝利だったが、打撃では5打数無安打の4三振に終わった。
石川がその本領を発揮する日は、もうしばらく先になりそうだ。