264 :
加紺とう:
15.帰って来た古豪、早大付札幌
プルルル…プルルル…
宿舎で休む後藤に電話がかかってきた。
ピッ
「もしもし?」
「おっす、後藤。元気にしてた?」
「お〜、圭ちゃん。元気に決まってんじゃん!そういう圭ちゃんは?」
「聞くまでもないでしょ?」
電話の主は保田圭だった。
彼女も千葉代表東海大浦安の正捕手として娘。甲子園に出場している。
265 :
加紺とう:03/10/13 23:52 ID:bkXCx4NY
「今日の試合、どうだったの?」
「あんた見てないの?当然勝ったわよ!」
東海大は上野の次に試合を行った。
結果は7-1で滋賀代表の近江を破り、難なく3回戦へと勝ち進んだ。
そう、この東海大こそが次の上野の次の対戦相手なのだ。
「いちーちゃんはどうしてる?」
「紗耶香のやつなら今ランニングに出てるよ。
あいつ、絶好調よ。投げては1失点完投14奪三振、打っても5の4で4打点だったからね。
ま、残りの3点も私が取ったんだけどね。」
「じゃ、次の試合の分も打っちゃったんだねぇ〜。」
「あんた、言ってくれるわね!」
こうして二人の談笑はしばらくの間続いた。
「お、紗耶香が呼んでるから切るね。次の試合、お互い頑張ろうぜ!」
「うん、絶対負けないよ。」
電話を切った後藤の顔は、保田の久々の声を聞いて少し嬉しかったようだ。
実は後藤、保田、市井はリトルリーグ時代に同じチームにいた。
小さい頃からよくキャッチボールなんかもしたりしていた。
その保田、市井と次は対戦する。
後藤の心は自然と熱く燃え上がっていた。
266 :
加紺とう:03/10/13 23:54 ID:bkXCx4NY
翌日、早大付札幌が鳴門工との第一試合を行っていた。
今年の早大付は新戦力、藤本美貴を加入させている。
彼女はリトルリーグ時代から大活躍しており、野球の本場メジャーリーグも少しだけ経験したという実力者だ。
地方大会では安倍、藤本の二枚看板で他校を全く寄せ付けなかった。
今日の試合も完全に主導権を握っている。
先発は藤本、初回を3者連続三振と完璧な立ち上がりを見せる。
打線は初回の安倍のツーラン、2回の石黒のソロ、3回の藤本のスリーランなどで5回を終えて8-0と大差をつけてリードしていた。
その後も紺野、飯田のソロなどで加点し、投げては藤本が19奪三振完封、結果は11-0と早大不が鳴門工を完全に圧倒した。
この様子を偵察していた各校の選手達は口を揃えて言った。
最強の古豪、早大付札幌の完全復活だ、と。