182 :
加紺とう:
2.対戦組み合わせ大決定!
「これより、娘。甲子園の対戦組み合わせ抽選会を行いたいと思います。」
司会者が台本を見つめながら、話し始めた。
各校の選手達は皆、緊張の色を隠せない。
「それではまず、昨年の優勝校である東京代表の上野学園から壇上に上がってくじを引いてください。」
後藤が立ち上がる。
後藤の姿を見て、各校の選手があちらこちらでざわざわとざわめいている。
当の後藤は、堂々とした姿勢で壇上に上り、くじの入った箱に左手を伸ばした。
そして、ゆっくりとその左手を引き出した。
「3番です。」
後藤は皆に番号を見せながら言った。
くじを係の人に渡し、そのまま自分の席へと戻っていった。
後藤は席に着くと、隣に座っていた辻と小声で雑談を始めたようだった。
183 :
加紺とう:03/09/22 02:00 ID:cHJmtEUf
「次、昨年の準優勝校、北海道代表の早大付札幌高校。」
「はい!」
司会者の呼びかけに元気よく返事を返したのは安倍だった。
隣で飯田がささやく。
「いいくじ引いてきてよ!」
「なっちにま〜かせるべさ!」
安倍は自信満々に飯田に言ってのけた。
一歩一歩ゆっくり足を運んでいく安倍は、自分の鼓動が徐々に加速しているのを感じていた。
そして壇上に上がり、右手を箱の中へと入れた。
「(この瞬間、何度やっても緊張するべさ…。)」
安倍が右手を引き抜いた。
「13番です。」
上野学園とは隣のブロック、互いに勝ち進めば準決勝でぶつかることになる。
安倍は胸を撫で下ろしながら、自分の席へと戻っていった。
その後はランダムに各校がくじを引いた。
どんどん抽選は進み、喜ぶ者、叫ぶ者、肩を落とす者など、反応はみんなそれぞれだった。
184 :
加紺とう:03/09/22 02:01 ID:cHJmtEUf
そんな中、辻が気にしていたあの人がくじを引く番になった。
「次、奈良代表の智辯学園。」
「へい!」
加護が勢いよく椅子から立ち、足早に壇上へと上がっていった。
「(できればはやくあたりてーのれす。)」
辻が心の中でそう祈っていた。
「よっしゃ、1番やで!」
自慢げにくじをみんなに見せびらかす。
1番という響きが好きだったようで、とてもご機嫌で自分の席へと戻っていった。
そしてもう一人、ご機嫌になっている少女がいた。
「(あっちが一回勝てばあたれるのれす!)」
辻は瞳の奥をメラメラと燃え滾らせていた。
その様子を見ていた後藤は訳がわからず、昨日辻に上げた賞味期限切れのチョコレートを思い出していた。
そんなことも知らず、辻はただひたすら加護の方を見つめていた。
185 :
加紺とう:03/09/22 02:03 ID:cHJmtEUf
そして、無事全ての高校の抽選が終わった。
結果は以下の通りとなった。
Aブロック
奈良__
福井 |
|_
東京__.| |
* |
|
滋賀__ |_
山形 |_| |
| .|
千葉__.| .|
* .|
.|
福島__ ..|
* | ..|
|_ ..|
群馬__.| |_|
石川 |
|
山口__ |
* |_|
|
熊本__.|
香川
186 :
加紺とう:03/09/22 02:04 ID:cHJmtEUf
Bブロック
北海道_
* |
|_
鳥取__.| |
徳島 |
|
高知__ |_
静岡 |_| |
| .|
三重__.| .|
* .|
.|
岩手__ ..|
長野 | ..|
|_ ..|
青森__.| |_|
* |
|
福岡__ |
* |_|
|
秋田__.|
島根
187 :
加紺とう:03/09/22 02:05 ID:cHJmtEUf
Cブロック
神奈川_
* |
|_
宮城__.| |
* |
|
新潟__ |_
* |_| |
| .|
栃木__.| .|
大分 .|
.|
岐阜__ ..|
愛媛 | ..|
|_ ..|
京都__.| |_|
* |
|
大阪__ |
* |_|
|
香川 _.|
和歌山
188 :
加紺とう:03/09/22 02:10 ID:cHJmtEUf
Dブロック
鹿児島_
山梨 |
|_
埼玉__.| |
* |
|_
愛知__ | |
* |_| |
| .|
岡山__.| .|
富山 .|
.|
沖縄__ ..|
* | ..|
|_ ..|
広島__.| |_|
茨城 |
|
兵庫__ |
* |_|
|
長崎__.|
佐賀
189 :
加紺とう:03/09/22 02:15 ID:cHJmtEUf
また今年も、娘。甲子園の頂点を目指して全校が死力を尽して闘いを繰り広げる。
果たしてどんなドラマが、どんな友情が、どんな結末が待っているのか。
誰にも予測のつかない激闘が、今ここで幕が下ろされようとしている…。