『未来予報』
「ふぁ!」
「また!?どうしたの?」
「いや、なんでもないッス…。」
最近よっすぃ〜がおかしい。
急に何かに気がついたかのように大きな声をだしてその後何か考え込むのだ。
ちょっと前からずっとこの調子で他のメンバーとおかしいねなんて言ったり。
明らかに最近おかしいのだ。
「ヘンなよっすぃ〜…。」
心配する梨華ちゃんが見守る中よっすぃ〜はまたぶつぶつ言いながら
考え込んでいるようだ。
「あいぼん、よっすぃ〜に聞いてみるのれす!」
「そやな…。」
と、ゆうわけでうちら2人はよっすぃ〜に真相を聞いてみる事にしたのだった。
うちとのので楽屋外の自販機によっすぃ〜を連れ込み
「よぉし、のの姉さんがおごったるのれす。」
何故か姉貴ぶるののにジュースを買ってもらい、話を始めた。
「ひとみさん?最近何かおかしいようだけど…。」
「早く吐けなのれす!」
「えぇ!?」
困惑するよっすぃ〜。
「ののは落ち着け。よっすぃ〜最近へんやがな。何かあるん???」
「えぇ〜、なんにもだってぇ〜。」
手を顔の前で振り大げさにリアクションをとるよっすぃ〜。
けれど焦りの色が滲み出ている。
ののとうちとで睨みをきかせてよっすぃ〜を見つめてみた。
しばらくあの大きな目でこっちを睨みかえしていたよっすぃ〜だったが、
一つ大きなため息をついてうちとののを順番に見た。
「どうしたん?」
「かつどんが待ってるのれす。」
すると、ようやく決心したかのように大きく息を吸い込んでこう言った。
「多分信じてもらえないかもしれないけど…。」
ドキドキドキドキ。
「最近未来が見えるんだ。」
……………………………………。
「ハッ!」
「すっげ〜のれす!!!!」
賛否両論(?)まっぷたつ。
「…ほらね。やっぱいいや。」
「のっ!のっ!ののは信じているのれす!話をきかせてほしいのれす!」
「辻…。」
何かなつかしの漫画のようなキラキラをバックに分かち合う2人。
でもうちには全く信じられないのでわざわざ輪には入らなかったが。
「ささ、辻はこっちに。何もし〜んじてくんない加護ちゃんはほっときましょうね〜。」
「は〜い♪」
「やっ!さすがの吉澤さん。やっぱり何かすごい事してくれるんじゃないかと
思ってましたよ〜♪♪」
こうして話を聞く権利を得たのだった。
「何か不思議な気はしてたんだ。15ってゆう数字がいきなり思い浮かんだ。それが何かは全くわかんなかったけど。」
「…15ってなんなのれすか」
そやそや。
「今の娘。だよ、わかれYO!」
「「な〜るほど」」
「続けるよ。それでこんなんは偶然だろうなって思ったんだけど。」
「うん。」
「次はいきなり5・11ってゆう数字が思い浮かんだんだよ!」
「そりは一体…。」
そやそや。
「シャッフルだよ、気づけYO!」
「「な〜るほど」」
「これってもしかしてって思って、今、日記みたいにして書き溜めてる。」
そういってよっすぃ〜は小さなノートをポケットから出した。
「それが…?」
「そう、今のところ思い浮かんだ、数字、場所、物。」
「未来予報やな…。」
「「未来予報??」」
「天気予報ってゆうやん?せやから未来予報。」
「おぉ!なるほど!いいね!かっけ〜。」
「かっけ〜のれす!」
こうしてうちんらはよっすぃ〜の不思議な予感を未来予報と呼ぶことにした。
よっすぃ〜がノートに書き溜めていた予報には
当たったものに赤いペンで丸がつけてあった。
その中のひとつに印象深い言葉が見当たった。
『ハロプロコン・14』
「これなん?」
「…まだわかんないけど、何か思い浮かんだ。」
「へぇ〜…」
この言葉が後になって非常に重要なものになるなんて
うちんら3人は誰も予想できなかった。
ここまでです。。。
感想等あったら書き込んでくださると嬉しいです
小説始まったーーーーー!!!
名無しあいぼん。。。さん、イイですよ、面白いです!
続き期待してます!
悪くない。
頑張って上質な小説書いてほしい。
そしてその後。
よっすぃ〜は相変わらず何かを思い浮かべる。
うちんらは推理する。という日々が続いていた。
(今日の課題は珠代姉さん。)
「む〜ん。わからんのれす。はろもに??」
「わからんなぁ。そういやぁ今日は新曲もらう日??」
「そだったNE〜、どうせまたパートないんだろうなぁ。」
「オマエは痩せれ。」
「あいぼんもなのれす。」
「いや、辻もNA。」
そこに加わるハイトーンノイズ。
「なになに〜?私もいれて♪」
「梨華ちゃんは大丈夫なのれす。」
「そうそう。」
「セリフがあるからNE!」
「ひどぉぉ〜い!あ、でも何か演歌らしいよ??」
「「「は?」」」
そして配られたデモテープ。
タイトルを見てうちんらは目を合わせた。
そんな事はともかく、歌入れの日がやってきた。
のの情報によると安倍さんがかなりのパートをもらってるのではないかという事だった。なんせデモテープを3本ももっていたらしい。
「何かたなかってやつがブースにこもってるのれす。」
「はん、どうせたいして練習もしてこぉへんかったんやろ。昔のオマエみたいに。」
「あいぼんがゆうななのれす。そういや今回はパートがあるのれす。」
「良かったやんけ!また売り上げ落とさんようにきぃつけや!」
「でぶのひがみなのれす。」
「地黒のねたみやな。」
「ひどい…。」
「「はいってくんな、ハイトーンボイス。」」
「え〜ん;;」
スタジオをとびだす梨華ちゃん、そして安倍さん。
「あれ?なっちゃんどうしたんれすか?」
「あ、いや、喉暖めてくるべさ。辻も加護も喧嘩じゃなく練習するんだべよ。」
「「は〜い」」
その時は何も思わなかった言葉。いつものスタジオ。
出来上がった新曲の安倍さんのパートはたったの1つだった。
そんなある日、いつものテレビ局のあの自販機の前でののが泣いていた。
隣で紺野ちゃんが背中に手を置き上下していた。
ののが泣いているのは珍しいことじゃなかったけど、
あんなに悲しそうだというのに、
(うちに何も言ってくれないのに紺野ちゃんにはゆうんや。)
という気持ちになってしまった自分に反省しつつ2人に近寄った。
「どうしたん?」
「あ、加護さん…。」
ののの代わりに紺野ちゃんが返事をした。
「ののどうしたん?」
「あ、何か…安倍さんの事らしいです。」
「安倍さん??」
「なっちゃん…そろれびゅぅするらしいれす。」
「!!そうなん!?おめでたい話やなぁ!でもいつ録ったんやろ??」
「しゃぼんらまの時らしいれす。れも…。」
「どうしたん?嬉しくないんか??」
「多分…辻さんは脱退の事とかを心配してるんだと思います。」
紺野ちゃんのひと言にののはうなずいた。
「脱退?なんで?」
「ごっちんも、そろになっちゃったから脱退したんれす。」
「でもCDだしてからだいぶん経っとったやんけ。」
「つんくしゃんは出した時から思っていたってゆっとったのれす。」
紺野ちゃんは絶えず背中をさすっている。
「なっちゃん、最近やけにプリクラも写真もとりたがるのれす。」
「さいしょはうっとぉしかったけろ、嫌な予感がするのれす。」
「悪いうわさをきくのれす、ごっちん時みたいに…。」
ののはそう言ってさらに泣きだしてしまった。
確実な情報があるわけでもなし。
なすすべもなく紺野ちゃんと2人必死でののをなぐさめた。
それなのにうちは、ある1つの事を思い出していた。
『ハロプロコン・14』
のろのろペースですいません、
しかもニィニィのスレなのに出てこないしw
感想ありがとうございます、確実に完結させます。
良かったら最後までお付き合いくださう。
作者さん、更新乙です。
ちゃんと最後まで読ませてもらいます。
~キュッ~
よっすぃ〜の小さなノートには赤い丸がつけられた。
ののの目はまだ赤く潤んでいる。
「ごめん…。」
「なんでよっすぃ〜が謝んねん。」
ののも小さく頷いた。
よっすぃ〜の未来予報は当たってしまった。
安倍さんが卒業するらしい。
そしてそれは『ハロプロ』のライブで発表されるらしい。
そして安倍さんが脱退した後の娘。は『14』人だ。
これはこじつけなんかじゃない、これはすごい能力だ。
うちはそんな事を思っていた。
「どうしよう、こんな事…。」
よっすぃ〜がそうつぶやいた。
こんな能力を持ってよっすぃ〜はさぞ大変だろう。
「大丈夫?」
ののが小さくよっすぃ〜に聞く。
「…でも3分の1だよ、ずっと楽。」
うちはなんかの歌詞みたいやなと、ぼんやり思った。
言われていた通り、安倍さんの卒業発表があってから時間は急速に動き始めた。
安倍さんのソロCDが発売され、さくら・おとめの活動も増え始めた。
ののと組が別れてしまったからうちはさくらの時、よっすぃ〜と一緒に居た。
けれどスタジオとかはみんな一緒だし、ずっと会えないわけじゃなかった。
よっすぃ〜の未来予報も健在だった。
『1・1・1』
これは紅白のセットリストで、娘。1。さくら1。おとめ1。とゆう意味らしい。
うちは何故か仕事の事ばかりを未来予報するよっすぃ〜を
少し訝しげに思い始めている。
何故なら昨日親しげに話すアホつんく♂とよっすぃ〜を見かけてしまったから。
まぁそれが未来予報と関係があるかなんて全くわからないし、
なんとなくそう思ってしまったから。だけど。
そして年がかわり安倍さんの卒業がせまった。
最近のののはテレビでは無理して笑っているが
普段はかなりの影を背負っている。
よっすぃ〜も何かを思い浮かべるみたいだけど、
その後暗い表情を浮かべるから聞くに聞けなくなってしまった。
そんな時、ある日の収録でののが声をかけてきた。
「あいぼん。」
「どうしたん??」
「なっちゃんはそろになれて幸せなんれすよね??」
「…そやろ!ごっちんだって幸せそうや?おばちゃんなんてめっちゃリラックスしてるしな。ソニンさんなんてな、」
「いや、あの人はいいのれす。そうれすよね、これは喜ぶことなんれすよね。」
「そやそや、こっちが暗い気持ちで見送るなんて安倍さんが可哀相やで。」
「そうれすよね!!よっしゃ明るく見送るのれす!」
「うぇぃ!」
その日からののは本当の笑顔を浮かべて毎日を過ごしていた。
安倍さんが卒業するまで。
いよいよ、安倍さんの卒業式。
最後の最後まで笑顔をたやさなかった安倍さんは、
ステージを降りた時に静かに目を閉じた。
ののは最後まで泣かずに見送ろうとしていたけれど
ステージからおりた瞬間、安倍さんに抱きついて泣いてしまった。
「なっちゃん、がんばってくらはい、がんばってくらはい」
「ありがとう、ありがとう。のん。ありがとうみんな。」
「安倍さん、プレステのやりすぎはあかんでぇ」
「やかましっ、あいぼんものんも喧嘩せずに、仲良くすんだべ。」
「「はい!」」
「矢口、これからもパワフルで頑張るべ!」
「おぅ!」
「梨華ちゃんはその雰囲気を大切にすんだよ。」
「はぃ…。」
「よっすぃ〜、これからも男前でネ、頑張って。」
「はい。」
「高橋はあんまり頑張り過ぎない事!」
「はぃ」
「小川はきっともっとダンスがのびるべ、レッスン頑張れ!」
「はい!」
「紺野はそのマイペースっぷりが最高だかんね。」
「はい。。。」
「お豆はね、まだ成長できるよ!もっともっと大きくなってね!」
「はい!」
「6期メンの、みんな亀ちゃん以外とあんまり話す機会なかったけど、
早く先輩たちに追いつけるよう頑張るんだべ。」
「「「はい!!!」」」
「圭織、喧嘩ばっかりだったけど、なっちの事一番わかってくれてたよね。
のんを任せたべさ、ふふふ。」
「…わかったよ。」
安倍さんは1人1人に言葉を残してモーニング娘。を去った。
この時
もう会えなくなるなんて
多分よっすぃ〜も、誰も予想できなかった。
ここまででれす。
>>112さん
ありがとうございます、頑張ります。
作者さん、更新乙です
なっちの卒業式のセリフ
いくつか当るかもしれませんね
120 :
名無し募集中。。。:03/08/13 14:42 ID:qXiKmS+o
みんな、さきがけてるな
hoze
うわっ!おちてない良かった…。
更新しなくてすいません、すぐ書きますだす
|
|ハ@
|д‘) < コソーリ応援してるで
⊂
|
次の日安倍さんが交通事故で死んだ。突然だった。
打ち上げの後送って行った運転手の不注意が原因だった。
ののと飯田さんが体調を崩し、娘。他ユニットも休養というかたちをとって
半年休養をとった。
そして半年後。
ののと飯田さんも完全ではないが回復をして新曲をだした。
思い切り安倍さんを意識した歌詞で、こんなものを売り物にするなんてと
矢口さんは最後まで歌うのを嫌がっていた。
誰もが本物の笑顔ではない、本当に元気ではない。丸わかりの歌。
売れるはずもなかった。ただでさえ落ち目だったんだから。
結局その後のハードスケジュールについていけず飯田さんが倒れたりした。
矢口さんは事務所の意見に反対しっぱなしだし、ののは毎日下を向いていた。
みんなの気持ちがバラバラしていた。
早く気持ちを切り替えて仕事に専念したい人。
まだ何もかもが忘れられない人。
そして次のシングルを出した後ついに娘。は解散コンサートをする事になった。
コンサートの中の1日、リハーサルの後にメイクでよっすぃの隣のイスになった。
珍しくよっすぃから話しかけてきた。
「あと、少しだよ。頑張ろう。」
「…よっすぃどうすんの?解散したあと。」
「うん…まだ決めてないや。休みたいけど。加護ちゃんは?」
「わからん…けど、またこの世界戻ってくると思う。好きやし…。」
「ふ〜ん。」
自分で聞いたくせに真剣にきいてくれない。
そうゆう感じだ。よっすぃは。
「なぁ、未来予報。覚えてる?」
最近、めっきり予報しなくなったよっすぃ。
ふと思い出し聞いてみた。
「うん、覚えてるよ。」
「…こんな風になるのも未来予報したの??」
「う〜ん…。」
どっちともとれるようなとれないような返事でよっすぃは目を閉じた。
メイクさんがラインをひいている。
うちも目を閉じた。
「あのね。」
よっすぃが口を開いた。
「このまま、もし2人が変わらずこの仕事を続けていてさぁ。
で、もしコンビ組んだりしたらさぁ…。
すごい大物になる。これ未来予報だよ。」
「へ?2人って誰??」
「加護ちゃんと。辻。」
「…当たるかなぁ。どやろ?」
「当たるよ。よっすぃの未来予報だからね。」
自分でいって自分で微笑む。
目を閉じていたからわからなかったけれど、多分そうだったんだろう。
うちもきっと、少し微笑んでいただろう。
解散コンサートの日。
みんなでタイムカプセルを作って一番頼れそうな紺野ちゃんに預けた。
1年後また皆で元気に集まる。それを約束して。
3ヶ月休養をとっていたうちは、奈良に帰ることも考えたけれど
結局この世界でやっていくことに決めた。
やっぱりこの仕事ぐらいしか向いてなさそうなのだ。
ののはもう少し休むらしく、まだお休みモードだった。
解散してからもちょくちょく会ってはいたけれど、
まだ前みたいな無邪気な笑顔は見れなかった。
そしてうちが少し仕事で忙しくなってきたときふとののにメールをすると
メールがつかなくなってしまった。
そして、その日からののと連絡がとれなくなってしまった。
あいぼんまでいるぅ!
がんばります。やる気がでます。
先がどうなるのか楽しみ
次回も期待してますよ
更新乙。
この作品、なんか妙なリアリティを感じてどんどん引き込まれていくな。
131 :
名無し募集中。。。:03/08/19 18:15 ID:08EHKtx2
なんか、来週は、新垣塾のスペシャルらしい
132 :
:03/08/19 18:15 ID:fcQPCmhf
あんな解散の仕方だったからか初めの頃の仕事では
娘。時代のことを過剰に聞かれたりしてへこんだりもした。
そんな時にののの声が聞きたかったのに連絡がつかない。
うちは連絡がつかなくなってちょっとしてから紺野ちゃんに連絡をとった。
「もしもし、うちやけど…。」
『うん、加護さん。どうしたんですか??』
「あのね、ののって今どうしてる…??」
『…。さぁ…どうかしたんですか??』
「う〜ん、何か急に連絡がつかんくなって…。」
『最近連絡とってないんですよ。すいません。』
「そかぁ、ごめん。さんきゅう。」
『はい、じゃあ。頑張ってください!』
「ありがとう。ばいば〜い。」
結局手がかりのないまままた何日か過ぎていった。
それから暇をみて他のメンバーにも連絡をとってみたけれど
誰もののの事を知っている人は居なかった。
「おかしいなぁ…。」
もう誰も居ない。
ひとりごとにつっこんでくれる人も。
相談にのってくれる人も…。
一緒に笑ってくれる、ののも。
解散てゆうのはそうゆう事だった。
それからまた1ヶ月ぐらい後、うちはCDのリリースが決まった。
やっとのオフが入りそうな矢先にまた暇がなくなってしまった。
「あれ?加護ちゃん?」
「ミキティ!元気??」
歌録りをするスタジオの前、同じ事務所のミキティ。
娘。が解散してから会った数なら一番だ。
タレント、として活動するうちと、歌手として活動するミキティ。
でも会うと娘。時代を思い出して妙に懐かしい気分になる。
「最近どぉ??」
「ん〜、やっと懲りたみたいであんまり聞かれなくなったけど。」
「あ、うちも。他の誰かに会ったりする??」
「仕事でなら矢口さんとか。相変わらず亜弥とは普通に連絡とってるよ。」
「あ、そっか。矢口さんかぁ。」
矢口さんは娘。が解散してから一番に復帰して仕事を続けている。
事務所は前と変わらず、今はポップジャムの司会をしたり、結構忙しそうだ。
「あ、なぁ…ののと連絡してる?」
「1回メールしたらさぁ、着かないの!まぁしょうがないからそっからは
連絡とってないや。別に用事もないしさ。冷たいやつだよねぇ。」
「そうなんや。うちも連絡つかなくてさ…。」
「何、加護ちゃんにも教えてないの?そうなんだ。あ、私いくわ。
じゃあまたねぇ。」
「あ、うん。ほななぁ。」
「結局ミキティもしらんのかぃ…。」
どうなっちゃたんだののは。
これから忙しくなるっていうのにすごく気になったから、
うちはほんの少しの空き時間にののの家に行くことにした。
ののの家は少しも変わりなかったけど
昔は何人かみかけたファンの人たちも今は見かけない。
少し安心、少し寂しかった。
チャイムを押して少し待つと、
お母さんではなく文子が顔を見せた。
「あ、ふみこ。」
「あれ、あいぼんじゃん。」
「ののは?おれへんの??」
「………うん。いない。」
「携帯変えたん??うちなんもきいてへんねん…。」
「あ…。」
そんな時携帯の着メロがなった、時間だ。
「あかんわ。ののに連絡ちょうだいってゆっといて!ほな!」
「………。あいぼん。ごめんね。」
「え?!何?」
うちは電話をとってしまったから聞こえなかったんだ。
文子の言葉も、その意味も。
読んでくれてありがとうございます。
>>131san
このスレもしかして死んでない?!
>>137 氏にスレ使ってる時ってこんなもんだよ
スレタイと>1だけ見て書き込む人も結構多いし
上手い感想書けないからあれだけど見てるんで頑張ってね
139 :
名無し募集中。。。:03/08/20 09:41 ID:JNVcnBWX
>>137 別にスレが死んでてもなんら不思議な事はない。
2ch、特にモー板には、よくある事だろ?
連絡もないまままた1ヶ月が過ぎてしまった。
CDをリリースしたうちはテレビやラジオで忙しい日々を送っていた。
ランキングも目立って1位とかではなかったけれど
10位以下に落ちても長い間100位以内には残っていた。
歌番組で収録が重なった愛ちゃんと少し話をしたぐらいで
あとは誰とも一緒にならなかった。
っていっても今のとこ活動している、解散の時いたメンバーは
うち、ミキティ、矢口さん、愛ちゃん、お豆ちゃんの5人だけだけど。
仕事が忙しくなってきてからは、
話がしたいと思うこともあったけれど
それはののが望んでいないんじゃないかとそんな風に思うようになった。
実際のところ、家にまで行ったのに連絡の1つもよこさないののに
少し腹が立っていたところもあった。
この時うちはまだ何も気付かずに幸せだったと思う。
年賀状も送った。
春には自分のCDをつけた手紙も送ってみた。
自分が何かしたなら言ってほしかったのに、
ののはそれでも何も言ってこなかった。
仕事ばかりの毎日、ただひたすら時間が過ぎていって。
とうとうあの日が近づいてきた。
あるメールが1通届いた時、そんな季節だったと再認識した。
―加護さん
もう1年もたったんですよ!ちょっとびっくりですよね。
順調そうでなによりです、私も大検を受けようと今必死です。
さて、タイムカプセルの件ですが
矢口さんが口キキで知り合いのお店を貸切にしてくれました。
ちょうど1年後のあの日の夜10時に『ろまんす』というお店に集合です。
確か加護さんは娘。時代に行っていると思うので場所はわかると思います。
出欠の確認だけ、お願いします。(出席だとは思いますが。)
では、忙しいでしょうが頑張ってください。 紺野―
紺野ちゃんらしい。その文面も、
そしてパソコンで送ってきたのも何だかうちは可笑しかった。
出席の連絡とののが来るかを尋ねた内容のメールを送って返事を待ったが
紺野ちゃんもそんなにたくさんのメールを送れないのか
大検が忙しいのか返事はなかなか来なかった。
そんな中前日になってやっとメールが1通届いた。
―加護さん
出席確認しました。明日遅れないでくださいね!10時ですよ☆
辻ちゃんは都合が付き次第来られるそうです。
明日、楽しみにしています。 紺野―
せっかく返事をくれた紺野ちゃんには悪いけど
うちはののの事が気になってしょうがなかった。
都合が付き次第って何??
うちは何か知らないことがあるの??
そしてやっぱり全く連絡がとれないわけじゃないんだ。
送ろうとしないだけだったんだと。
そうなんですか。。。
では続けても大丈夫ですよね。がんばります。
ちょっと続きが楽しみになってきたな。
作者さんがんがってくらはい。
「あ!あいぼん!元気だったぁ??」
「あ、梨華ちゃん。何かやけてへん?」
「やぁだぁ。そんな事ないわよぅ。ちょっとテニスをまた始めただけ!」
一番に着いていた梨華ちゃんがうちに声をかけてきた。
どうやらうちは2番めについたらしい。
「CD聞いたよぉ。あんな大人っぽい声も出せたんだね。」
「ほんま?ありがとう。あの頃は…まぁ色々つくっとたし。」
「そうだよねぇ。わたしも…。」
「いやいやいやいや。」
「そんな完全否定しないでよぉ。あ!よっすぃ〜!」
「梨華ちゃん!加護ちゃん!久ブリだZEィ!」
よっすぃ〜の顔を見て『未来予報』のことを思い出す。
「予報、外れてんでぇ?」
「だからゆったじゃん、辻との関係があのときのままだったら。って。」
「……それどうゆう…。」
「あ!2人とも!飯田さんと矢口さんよぉ♪久しぶり〜!」
梨華ちゃんのハイトーンノイズに邪魔されたうちらの会話。
よっすぃ〜も聞こえてなかったのか梨華ちゃんの方へ行ってしまった。
だんだんと人が集まり最後にタイムカプセルを持った紺野ちゃんが現れ、
1年ぶりに娘。のメンバーが揃った。
ののをのぞいて。
「紺野ちゃん、ののは…?」
「都合が付き次第来るって言ってましたよ。」
「んなら来んこともあるん?」
「はぁ、あるかもしれないですけど…。」
「そぉか…。」
少し残念な気持ちにもなりつつ、それでも久しぶりの再会に充分楽しんでいた。
立食パーティみたいな感じで料理が並んでいて
『ろまんす』の料理もとてもおいしく、お酒もちょびっといただいた。
1時間ぐらいそれぞれが自由に行動したあとに
いよいよタイムカプセルがテーブルの上に置かれみんなが周りに集まる。
この時はじめてみんなの顔をようやくじっくり見ることが出来た。
少しふっくらした飯田さん、今は絵の勉強をしているらしい。
少し痩せて綺麗になった矢口さん、今も変わらずおしゃべりだ。
変わらないハイトーンな梨華ちゃん、今は休んでいるけどいずれ復帰したいみたい。
ますますふくらんだよっすぃは、完全引退を決めたらしい。
完全イメチェンをした愛ちゃん、かっこいいキャラで曲をだしている。
まこっちゃんも少し痩せた?今はダンスのレッスンに忙しい日々らしい。
自分で化粧してる!紺野ちゃん。今は大検に忙しい日々。
ずんどこ背が伸びてゆくお豆ちゃん、ティーン雑誌のモデルさんとして頑張っている。
ミキティは今一番自分と近いメンバー、歌1本で勝負している。
亀ちゃんは通信制の高校に通っているといっていた。
道重ちゃんは山口に帰って亀ちゃんと同じように高校生している。
れいなは単身渡米して厳しいレッスンを重ねているらしい。久しぶりの日本だから少し長めにこちらにいるそうだ。
そして。
「ののこぉへんのかな〜…。」
自分では小さくつぶやいたつもりだったけど
周りの数人がギョッとしたようにうちを見た。
「え?!何か変なことゆった!?」
「あ、いや…。」
「別に…。」
うちは明らかにおかしい周りの空気に反論した。
この人たちは何かを知っている。
「なんなん?うち何かおかしい?ねぇ!」
持っているグラスの氷が音をたてて形を崩した。
全ての穏やかな空気がガラガラと壊れた。
代わりに重い沈黙がみんなを包んだ。
「加護さん」
初めにその沈黙を破ったのは紺野ちゃんだった。
「私達は口止めされてたんです。」
「誰に?」
「辻ちゃんです。辻ちゃん本人に。」
何を…?
紺野ちゃんの声の他にも「ほんとに知らなかったんだ。」とか聞こえる。
「うちは何を知らないの?」
「…辻ちゃんは今病院に入院しています。」
「辻ちゃんは病気なんです。」
わからへん。
一瞬目の前が暗くなってその場にしゃがみこんだ。
遅れましてすみません。
暑いですねぇ…。
更新乙です。
今日は暑いですねぇ。ヒサブリに冷房をいれた。
更新乙カレーさん。
暑さに負けず、ガンガレ!
遅れたこととか気にしないで自分のペースでいいですよー
保全NA
保全しますだ
「なんやねん…なんの病気…。」
「ココロの病気です、人よりココロがとても弱ってしまっている。
安倍さんの事、解散の事、今までの疲れ、そして加護さんの活躍。」
「う…うち?」
「その全ての事が今は辻ちゃんのココロに重くのしかかっている。」
「ど、どうしてうち???」
「だって!加護はのんちゃんの一番のライバルなんだよ!?…のんちゃんの中でだけかもしれないけど!!!」
躊躇する紺野ちゃんのかわりに飯田さんが答える。
下を向くうちに慌てて紺野ちゃんが付け加える。
「そっそれが全てって訳じゃないんです。私も医者じゃないし自分なりに考えただけですけど、安倍さんの死、かけがえのない娘。の解散、疲れ、そしてきっと加護さんへの嫉妬、焦り。だと思うんです。」
「うちに?しっと?なんであせり?」
「きっと…〜活躍する加護さんを見て自分が完璧に復活出来ない〜焦り。だと思います。」
「そんなん…うち、ちっとも…。」
「…辻は今加護に会う自信がないんだよ、オイラ1回お見舞いをしたもの。」
「でも、でもどうしてみんな教えてくれへんの…。うち…。」
恥ずかしい!!
うちはののに腹を立て怒りすら感じていた!!
よろよろと立ち上がって『ろまんす』から出ようとする。
途中亀ちゃんが引き止めてくれたけれど、うちはかまわず歩いた。
「加護ちゃん!何も知らなかったんだから何も出来なくて当然だよ!!」
ミキティが声を荒げて叫んだ、けれどこの時は後ろも振り向かずに ありがとう
と言う事しか自分の気持ちをつたえることが出来なかった。
―202号 辻希美 殿―
「ここ、か…。」
音が聞こえるぐらい大きくつばを飲み込む。
ドアのノックしようとして、やめた。
「失礼しまぁ〜す。」
ドアのノブに手をかけて、小さく中をのぞきこんだ。
うちは教えてもらった病院を見て、少しホッとした。
ココロの病気っていうから特別な病院に入っているものだと思っていたけど
そうじゃないらしい。
後からわかったことだけど、
大きなストレスから物があまり食べられなくなり
点滴で栄養をいれるために入院をしているそうだ。
「のの…。」
確かにののはそこに居た。
保全ありがとうございます、かわらずのろのろペースですが…。
どうやらパソコンが、ウイルスにっ!!(直せよ
更新お疲れ様です。
相変わらず気になる話の切り方をなさる!w
だから何度も足を運んでしまうのですがね。
ウィルスって…ヲ〜イ
ho
160 :
名無し募集中。。。:03/08/29 13:50 ID:pEGLyG6b
:。; / ヘ( ・e・)ノ ラスト50の保全走り
≡ ≡ ≡ ≡ ( ┐ノ
:。; /
「あいぼんら。」
そう言ったののの腕は細く、点滴につながれていた。
ひとまわり小さくなったののは幻を見たような顔をしてキョトンとしていた。
「な、なんか痩せたなぁ…うらやましいわ。」
ののは目を細い腕でゴシゴシこすった。
「…どうしたん?」
「ほんものれすか。」
「あ、あたりまえやろ。」
「…あいぼんには会いたくなかったのれす。」
「の…のの、うち…。全然わからんかって…。アホや…。」
「あいぼん。」
「うち、ののはただシカトこいとんかと思ってん。家にいってもおらへん。
文子に言っても連絡こぉへん。…けど、ごめん。」
「のぉは、あいぼんに、会いたくなかったのれす。」
正直キツイ。そうやって正面から聞くと悲しくなる。
「わかってる、わかってるけど…。謝りたくて…。」
「あいぼん、聞いてくらさい。会いたくなかったって思ってたんれす。
色々色々考えて、あいぼんがうらやましい、憎い。顔が見れない。れも今やっと思い出した。
顔を見て思いらしたのれす。そんな時はいつもあいぼんが話をきいてくれてた。
やっと思いらせた。なんか今、嬉しくなっちゃった…へへ。」
ののがあの特徴的な八重歯をのぞかせて笑顔を見せた。
ちょっと前までは当たり前だったその笑顔なのに、
不覚にもうちは泣いてしまったのだった。
その日を境に、あいている日は極力のののお見舞いに行くように心がけた。
うちはのののライバルだけれど、親友だ。
お互い悩みをぶっちゃけてスッキリしていた、あの頃のように、
うちらは色々な話を話した。
ののの顔色がよくなってきたのが目に見えてわかりはじめたころ、
ののの退院が決まった。
その頃うちがいる時にちょうど紺野ちゃんが来た。
「この間のタイムカプセルを持ってきました。」
ってことらしい。
自分で何を書いたか全く覚えていなかったけど。
便箋を開いた時笑いがこみあげた。
―ビックになるでぇ!(出来たらコンビで) あい
―あいぼんと歌手がしたい のぞみ
数ヵ月後、
うちとののがやっと2人でCDをだしたころ。
よっすぃ〜がつんく♂さんと入籍した。
付き合いは娘。の頃かららしい。
「スポーツ新聞れご報告れすか、つめたいひとれすねぇ。」
「…こ〜ゆ〜事やったんやな。」
「なんがれすか。」
「ののは、そのままでおってや。ぷぷぷ。」
「何かむかつくのれす…。」
よっすぃ〜の未来予報は裏につんく♂さんがついていたんだろうか。
うちにはわからない。
けれど信じてみてもいい。
もう少し後、よっすぃ〜の予報通りに、
うちらがスマッシュヒットをとばすことを。
終わりです、お付き合いいただきありがとうございました。
正直自分でも消化不良です。。。
もしかしてまた書くことがあればここでかかせていただきます。
そのときにも良かったらお付き合いください。
乙
脱稿おめです。
楽しく読ませてもらいました。やっぱりあいののはいいなぁ〜
次回作も期待して待ってます。
あの、狼がなくないですか?
>>168 狼は芸能分類から雑談系2という分類に移行しましたよ
ずーっと下のほうにあります
>名無しあいぼん。。。
お疲れ〜。
なんか久々に心温まる話を見かけたな。
漏れの読んjもんがいけないのかもしれんが。
楽しませてもらったよー。
ありがとう。
171 :
名無し募集中。。。 :03/08/31 08:42 ID:WbypgGih
:。; / ヘ( ・e・)ノ 銅メダルの保全走り
≡ ≡ ≡ ≡ ( ┐ノ
:。; /
今日はなかったな、ハロモニ。
hozen
ho
jせ
176 :
名無し募集中。。。:03/09/09 18:56 ID:U/EjVQen
む
小 亀 藤 高
川 井 本 橋
ノノハヽo∈
( ´ Д `) | | ガッ
と ) | |
Y /ノ 人
/ ) < >/ノハハヾ∩
_/し' //. V/从 `,_っ´)
(_フ彡 /
179 :
赤い影:03/09/13 10:13 ID:s28DOXMx
「……んぁ……またやっちったい…。」
長髪の綺麗なストレートがさらさら闇に溶けた。
今宵もまたゆうべと同じ。
真希は冷たくなってゆくそれを見た。
目は見開きからだをぐったりさせて動かない。
「ごめんね、」
そう言って真希はそれを公園の木の下に埋めた。
「おはよ〜!あんたまた寝不足なんじゃないの?」
ゆっくり教室に入って来る真希にひとみが言った。
「ん〜、そかもぉ。」
「ま、いーよね、あんたは!授業中が睡眠時間だから。」
「なはは。」
皮肉めいたひとみのセリフを物ともせずに真希は笑って返した。
「今日学校終わったらあそぼーよ。」
「ごめん忙しいのー」
「あんたさ、最近そればっかじゃん。男?それならそーってゆってくれよー」
「違うよ、彼氏なんていないよ。」
「…絶対かよー…」
「お昼のベーグルで勘弁してよぅ。」
しゃあないなと言った様子でひとみは頷いた。
その時チャイムが響いて真希はチャイムの音と共にさっそく眠ってしまった。
それを後ろで見ていたひとみは感動すら覚えた。
イライラする。
まだ10時間ぐらいしかたってないのに!
どうなってんのあたしのからだは!おかしい。完全に今までよりペースがはやくなっている。
「こら後藤、ねんなー」
遠くから聞こえる数学教師(担任)の声が淡く響く。
「てか、起きんかい。」
声が近づく。
ひとみが真希、とか呼びながら真希をぐらぐら揺らす。
「吉澤、ええよ、こいつ居残りな。」
「先生起きます。」
「おーどうした、いきなり。」
「用事があるから早く帰らなきゃ。」
「なおさら居残りさせたなるわー、ま、起きとれよ。」
「んぁい。」
担任は前に戻ってまた授業をはじめた。
そしてひとみが小さな声でおいおいと言った。
そこで真希の意識はとだえた。
再びチャイムが鳴り響いた時黒板には<後藤、授業後職員室へ>と書いてあった。
「…やっかい…。」
「ちゃんと起こしたからね!」
つぶやく真希にひとみが答えた。
外は晴れ。雲がもくもく流れていた。運動場では次の体育の準備で忙しそうな
緑のジャージがいくつも散らばっていた。
「なんかさー…空みたい。」
「…運動場?」
「なんでわかったの?」
真希は驚いてひとみの大きな眼を見つめた。
「なんとなく真希が考えそうなことだなって。」
「えすぱー?」
「!もしそうなら超かっけー…!」
ひとみは眼を輝かせて言った。
保全ありがとうございました。
ヒッソリ再開しますた。
おぉっ!
めちゃめちゃ面白そう。期待してます。
こわいのであげさせていただきます。
下にあっても落ちないから大丈夫だよ
「先生居残りって何。」
「お前は反抗的やな〜コラ。」
真希は苛立ちつつもきちんと職員室を訪ねた。
そのまま帰ろうとしたらひとみに捕まったわけだが。
「今日はなーコピーの手伝い。」
そうゆうと担任は机の上の何枚もの紙をばっさばっさと
同じ方向にそろえて真希に手渡した。
「これ、全部一枚ずつコピー。」
「はぁ!?一枚ずつ!?」
「そ。よろしく。先生ここでコーヒー飲んでるから、
わからんことがあれば聞きにくるんやで。」
「…」
「ちゃんと来たんやから今更ほっぽって帰れんでー。」
真希は初めてひとみを心から恨んだ。
コピー機の使い方は案外わかりやすかった。
コンビニでノートをコピーするみたいに一枚一枚コピーを続けた。
空はもううっすら黒味を帯びていて<カキ−ン>と言う乾いた音や
野球部だと思われる掛け声や。
心地よく真希の耳にはいってくる。
(なんか…大丈夫そうかも…)
真希はホッとしてまたコピーを続けた。そして後数枚になった時に
真希の脂のなくなりかけた白い指を紙がスパッと襲い掛かった。
「ッツ…」
真希の長く白い指から血が滲み出した。
数秒、長い髪が垂れ下がっている間からその血を眺めていた真希は
その白い指に舌をなぞらせ、
思い切り吸った。
「あぁ…。」
真希はゾクゾクっと背中を震わせてもう一度滲み出た血を舌でなぞった。
「ん…。」
<ガラガラガラッッ>
「ひっ…。」
「おー、終わったか後藤―。」
「まっまだあと少し…。」
「…?手切ったんか?どこまでやった?…わかった後は先生やっとくわ。
ご苦労さん。保健室寄ってけ、もう授業中寝るんやないよ。」
担任は言いたいことだけ言って真希をコピー室から追い出した。
見られてなかっただろうか。
真希は指に口をつけながらガタガタと震えた。
「早く帰ろう…帰ったらいつものところ…」
真希は独り言をつぶやきながら
前方から来る影に気づかないまま廊下の角を曲がった。
「っと!危ない!」
「んぁ?」
「真希!」
「ひとみ!」
そこから現れた人物にお互いびっくりしながらも
その場所から一緒に下駄箱に向かった。
ここまれ〜
そうなんですか?
よくみたらあがってなかったしね。。。げふ
192 :
名無しあいぼん。。。:03/09/15 13:14 ID:MoV4MqIV
あと1個だ。定期的に更新できる自信がないので
やっぱりあげます。へたれでごめん
夕暮れが街を包んでいる。
だんだん暖かくなってきたけれどこの時間になれば冷える。
少しずつ低くなってゆく空気に
吐いた息が白くなった。
「さむ。」
「今日結構あったかい方だよ。」
「…さすが。毎日遅くまで練習してるだけあるね。」
「うん、真希あんな遅くまで何やってたの?」
「えっ…コピーだよ…?居残り。」
「え!?こんな遅くまで!?」
自分が残らせといてよくゆーよ、と真希は思った。
二人は改札を抜けたところ、階段の前で立ち止まった。
「じゃあ、ね、また明日。」
「うん、あ…今日は早く寝なよ。」
「うん。寝る。多分。」
「多分てなんだよ。じゃあね、気をつけて。」
「ひとみもねー」
真希は階段をあがりひとみはそんな真希を見送ったあと、
そのままホームで電車を待った。
電車が2本通り過ぎて真希はホームにたどり着いた。
ふと、顔をあげると向かいのホームにひとみを見つけた。
<真希>
ひとみが口をパクつかせた。
<なにー?>
<寝なよ!>
真希は首をかしげた。
<寝なよ!>
もう1度ひとみが口を開いた時ひとみの携帯が震えた。
―えあお?―
(そんなわけないじゃん…。)
ひとみは寝なよ!とメールを返して電車に乗り込んだ。
開いてない方のドアの前にたち真希に向かって手をひらひらとさせた。
真希はメールを見て少し微笑んだ。
ドッドッドッドッドッド…。
真希の心臓の鼓動が速くなる。
電車の中から見る街の街灯が赤や黄色、色々に光っている。
「…、………血…?」
真希はさっき切れた指を見た。
傷口はもう閉じていて血がでていた形跡はなかった。
真希は傷口を爪でひっかいた。
何度も何度もひっかいた。
「ふふ、血、血…あはは…。」
真希はぶつぶつつぶやきながら赤い街灯を見つめうっとりとドアにもたれかかった。
そうなんですか??よくルールがわからなくて;
ちゃんと勉強するでつ。
でつでつ
更新乙
後藤ちょっと怖いw
にゃあぉん、にゃあぉん。
真希の頭の中で毎日聞いているあの鳴き声がこだまする。
(もうすぐ、もうすぐだ…。)
真希は自分に言い聞かせながら定期を改札へ通した。
早足であの場所に向かう、途中何人かとぶつかって、
それでも早足で足を進めた。
だんだんと街灯が少なくなって、だんだんと人通りも少なくなって
それでも真希は足を進めた。
(あと少し…)
真希は少し走ったあと、足を止めた。
そこは明かりがまばらについている古いアパートだった。
「ごめんね、今日もごめんね…。」
ぴちゃぴちゃぴちゃ。
「んん…あぁ…あぁ…はぁん…。んふふ…。」
鋭利なナイフがそれを襲い、真希はナイフについた血を舌でなぞった。
真希は震えていた。
ガタガタと親に叱られている幼い子供のように、
震えながらシャベルで土をほっていた。また、夕べのように。
それを埋めまた上から土をかぶせ、公園を出た。
「どうしてかな…最近すぐ血がきれちゃうよ、なんでかな…」
真希はまだ震えていた。
初めての時の事を思い出していた。
*************
―十数年前―
「真希ちゃん、好きな食べものなにぃ??」
「…血。」
「え!それ食べ物じゃないよー、真希ちゃんヘンなの!」
「…え、なんでー。」
「なんでってなんでもだよー。真希ちゃんへんなの!」
真希は血の味が好きだった。
切れたり擦ったりしてできた傷から出た血を、
舐めるのが好きだった。
「そーんなもん舐めときゃ治るわよ。」
思えばいい加減な真希の母の言葉が始まりだった。
「あぁー、うあぁぁーん!!」
「あらあら!!大変…こっち来てね〜!」
クラスの男の子のひざが擦り剥けた。
血が大量にでていた。
あんなに血が出ているのを真希ははじめてみた。
「いたそぉだね、真希ちゃん。」
「…。」
「真希ちゃん?」
真希は何も考えずに男の子のひざに走っていった。
そして血を舐めた。
「ちょっ!!やめなさい真希ちゃん!駄目よ!」
「いたいよーいたいよー、うわぁぁぁ!」
次の日から真希は仲間はずれにされはじめた。
それが自分がおかしいのにきづいた瞬間だった。
*************
真希は自分のポケットで震えている携帯に気がついた。
画面の光が暗闇にはまぶしかった。
「ひとみ…。」
<今日帰りなんか変じゃなかった?なんかあった?>
絵文字も何もないメールだったけど真希は嬉しかった。
自分でもわかっていた、こんな事いつまでも続けるわけにはいかない。
このまま時が進んで卒業して結婚して子供を産んで
幸せな家庭を築いて、それなのに毎晩家族に隠れて
こんなことをしに行くの?
真希は身震いをした。
<何でもないって☆心配かけてごめんねっ!また明日〜(^^)/>
メールを送った後すっかり暗くなってしまった夜道を
駆け足で帰った。
毎晩毎晩月が高くあがる頃になると
あの血の匂いが鼻の奥の方でする。
真希は窓を全開に開けた。
冷たい風が頬を撫でる。
まばらな明かりに真希は目を細めた。
私はなんなんだろう。
私はどうして血を欲するんだろう。
小さい頃に見た絵本の吸血鬼なんだろうか。
目を閉じてあの匂いを忘れる事だけを考えた。
ますます濃くなってゆくその匂いに
真希は溜め息をつくしかなかった。
ありがとう、怖く見せられ嬉しいです。
もっともっとこわくなっていけれたら…。
更新乙です
まだまだ裏がありそうですね
続きも期待してます
「真希!おはよ〜!」
「あぁ、ひとみ。」
「…寝なよって言ったじゃん、バカ。くま出来てるよ。」
「寝れなくて。」
真希はひとみの目をのぞきこんで、へへっと笑った。
今まで怒っていたような気がするのに何故か自分もつられて笑っている。
エスパーなのは真希の方なんじゃん?
ひとみはそう思った。
「どうしたのぉ?」
「ううん、何にも!チャイムなるぞ。」
「うぇ〜い。」
2人はチャイムの音と一緒に校門をくぐった。
「せーふぅ。」
「や、アウトやろ。」
先生というものはいつになってもやっかいなもんだ、真希は思う。
思えばいつの時も先生とゆうものとうまくやれた事は一度もなかった。
あれ以来、幼稚園の先生は真希の行動に目を光らせ、くどくどと注意をした。
真希はこれ以上変人扱いされるのはまっぴらだったし、
あれ以来、同じような事件を起こしたわけでもないのに
真希を一番侮蔑の目で見ていたのは他でもない、先生だった。
トラウマなのか、真希はそれ以来、教師というものとある程度の距離をおいていた。
けれど、この教師は何かが違った。
高校に入学したときからやけに自分につっかかってくる。
最初は無視を決め込んでいた真希も、教師の話しやすい雰囲気に少しずつ会話をするようになっていた。
「先生、許してくださいよ、一生懸命走ってきたんですよ!」
「…おぉなんや、よっすぃもかいな。しゃあないな。出席。っと。」
「なかざわぁ…。」
「なんか文句ある?」
「いやいや、ありません、真希行くよ!」
「むぅぅぅ。」
赤く影が落ちた時、暗く真希の顔が窓に映っていた。
クラスの学習机に手をかけて立っている。
真希は久しぶりにひとみと帰る約束をしていたが、休みだったはずの部活のミーティングが
急に入り教室で待っていたのだった。
「だいじょーぶきっとだいじょぉぶ♪ふふんふん。…?おん?後藤??」
薄暗い廊下から担任の姿が窓にうつった。
「…なかざぁ。」
「何してんねん。こんな遅く。」
「…ひとみ待ってる。」
「あぁ、ミーティングかぁ。ほな。気ぃつけて帰り。」
「…はぁい。」
するすると入り込む。感じの良い声が教室で反響する。
ココロが開く。こんなに私は簡単だったか。
真希は返事をした後、椅子にかけた。
「…後藤?どうした?」
「まっ、まだいたの?!」
「おぉ、焦ったの初めて見たわ。珍しいもんみたな。」
「うるさい、早く行け。」
「おーおー。反抗期やね、ゆうちゃんにもあったわ〜。」
「…………。」
「早く行ってよ!!!!」
「…何かなぁ、後藤はそうやって何かあるの見え見えなのに、言ってくれへんし。
ゆうちゃん悲しいわ。」
「なんなの?ホント、うざい。」
「わかったわ。なんも聞かへん。そやけどゆうちゃんいつでもきいたるから。ほな気ぃつけて帰りや。ばいばーい。」
なんなの?なんなのあいつ。
なんでこんなことでおこってんの?わたし。
バンッ!
「いったぁ。」
机の上の手を思い切り叩きつけた。
「真希!?」
「あら、ひとみ。」
「何やってんの!?」
「いや、なんもだよぉ。」
「…ヘンな奴。待たせてゴメン、帰ろ!」
「ん。」
ここまで。
今でもよしごまは成立しているのでしょうか?
「久しぶりだね。」
「だねぇ。」
ひとみはカバンからはさみを取り出し、とったばかりのプリクラを切り分ける。
「美味しい?」
「うん。うまい。」
真希はもぐもぐとポテトを口をつめこみ、プリクラを受け取る。
カラオケ→プリクラ→ファーストフードの店でお喋り。
二人のお決まりのコースだ。
「ねぇ、何か…悩みとかあんの?」
ひとみがポテトにケチャップをつけ、言った。
−ドクン−
一瞬口に入っていたものが全部出そうになった。
動揺した。
全部話してしまいたい。
…いや私はそんなに弱くないハズ。
いつものわたし、いつもの。
「いやぁ、寝不足なぐらいだよぉ。」
「…そっか。まぁそんな気もしてたんだけどさ。
なんでもなくてよかった〜。ふふ。」
笑顔のひとみを見て思った。
この人には言えない。この人にあんな顔されたくないの。
あの、恐ろしい物を見るかの様な目で、わたしを見ないで?
真希はアイスティーを手に取り、一気に飲み干した。
その日は遅くまで話した。
ひとみの部活の事、真希の家族の事、バスケ部のカッコいいあの人の事。
次の日が休みなので遅くなってもかまわなかった。
そして真希が地元の駅に着いたときにはもう10時をまわっていた。
そういえば放任な母がいっていた。
「夜に制服は危ないよ〜。」
それでもあまり気にせずに夜道を照らすライトの下を進んだ。
駅に着く頃、真希の心はもうソワソワと落ち着かなかった。
またあの場所に行くのだ。
気持ちが焦る。ハヤク。
真希は少し小走りであのアパートへ向かった。
かばんからナイフを取り出す。
月に反射してキラリとまぶしく光った。
瞬間、ひとみの顔が浮かんだ。
けれどナイフはもう小さな子猫の命を奪っていた。
真希の家から5分程、この古いアパートには
住民が引越しの際に置いて行った猫が自然繁殖していた。
他の住民や、近所の人がエサを与えるため人懐こい猫が
何匹も集まり、真希もよく通ってはエサをあげ、可愛がっていた。
そう、それも中学生の頃までぐらい。
それまでにも、血が美味しいと思うことはあったけれど。
自分が怪我をしたときに、その血の味を楽しむぐらいだった。
その日学校の帰り、弁当の残りを持ってそこへ向かう途中で
のら犬にくわえられた、可愛がっていた子猫を見た。
必死で真希はのら犬を追いかけ子猫をとりかえしたが、
白い小さなからだが真っ赤に染まった子猫は真希の手のひらで息絶えた。
真希は動物の血を初めて間近で見た。
赤黒く、鈍く光っていた。
迷わず真希は舌をつけた。
それから毎日真希はここに通った。
ひたすら血を舐め、飲み干した。
そして今もそれは続いている。
人いねぇな…w
ここにいるぜぇ!!読んでるのでがんがれ。
事を終え、帰り道を急ぐ。
自分以外の足音が後ろから聞こえた気がした。
「ねぇ、待って。君良くここ歩いてるよね?」
「…。」
「ねぇ待ってよ。」
男は後ろから真希の手をつかんだ。
「…放してください。」
「ちょっとこっち来てよ。話そうよ〜。」
男の顔が近づく。
ライトに照らされて顔をはじめて見る。
生理的に受け付けないタイプだ。
「はなしてっ!!」
「うるさい!」
ドスッ!
顔を叩かれ一瞬真希はひるんだ。が、その瞬間緩んだ手を振りほどき、走った。
「おい!待てよ!」
「やめてっ!!」
真希は公園の茂みに追い込まれ、押し倒された。
「なにすんのよっ!!」
「へへへ、毎日見てたんだぁ。何してるか知ってるんだから。」
「…。」
「おかしいね。血が好きなの?」
「君処女なの?」
「僕がたくさん血を出してあげるから。ふふふ。」
誰もいない。
暗闇に男と二人。
首元に荒く息がかかる。
限界だった。
グサッ。
「うっ!?」
男の首元から血が噴き出す。
真希は倒れ掛かる男を跳ね除けてその場に座り込んだ。
「…死んだの?」
血が真希の顔にかかる。
「こんなに…。すごい…。あぁ…。」
それを惜しむように舐めた。
あんなに気持ち悪かったのに。
血は美味しいのね。
「うんん…。あぁ、うふふ。」
血の上に倒れこむと草が肌にあたりチクチクした。
思う存分に血の匂いを吸い込み、ココロから笑った。
『今日どうしたのぉ?』
「あぁ…ちょっと体調悪くて。」
『…そっかぁ…って眠いだけなんじゃないの!?』
「まぁ…それもあるけど。」
真希は次の日、ひとみの電話で目が覚めた。
あれからの事はおぼえていない。
血のついた制服は部屋にちらばっていて、
真希自身はベットの上にちゃんとパジャマに着替え寝ていた。
『今日は部活あるから行けないけどさ。もし明日も体調悪かったら
見舞いに行くし。うん。』
「まぁ、明日は行くよ。バイバイ。」
『うん。じゃあ』
「ふ…。」
何故か涙が溢れた。
ひとみの声をきいてホッとしている自分。
私は…何をしたの?
がんばる。
おいらも頑張るから加護ちゃんにも頑張ってほすぃ。
ごっちん・・・・ 更新乙です
次の日新聞に小さく記事がのっていた。
あのまま朝になり犬の散歩をしている人に発見されたらしい。
家族も友達もいなく手がかりがないため、
謎の多い事件として調べられているらしい。
いつまでも家にいるわけにはいかない。
しょうがないので学校にいくことにした。
「あ、真希、やっぱ眠かっただけかぁ。」
「ひとみ。」
一緒に学校まで向かう。
普段もあまり話すわけでもないが、今日は更に会話がない。
「…ねぇ最近おかしいけど。」
「眠いだけなんだよね。」
「んぁ。まぁね。」
「わかった。今日はさき行くわ。」
「え?」
「何も話してくんないじゃん。もういいよ。」
「…。」
特別仲のいい友達がいない。
親友なんて作らない。
だってめんどくさいじゃん。
いろいろあわせなきゃ行けないし。
「後藤さん?」
だれアンタ。
「私?吉澤ひとみ。よろしく。綺麗だよね。一目ぼれしそう。ふふ。」
レズなの?
「違うよ。男好きだし。」
ヘンなやつ。
「でも後藤さんは綺麗だし。なんか気になる。」
…ふぅん。
「友達になろうよ。」
めんどい。
「なんかそんな感じの事言うと思ったよ。まぁいっか。
気に入っちゃったもん。これからよろしくね。」
…。
春、
高校生1日目。
知らない人から声をかけられた。
そのままよく話すようになった。
キライじゃないから。
教室にはいかずにそのまま屋上へあがる。
私はいつからこんなに他の人にかかわるようになった?
真希はてすりに手をかけ、ナイフをだす。
まだあの血がかたまってこびりついている。
舌をつけると鉄の味が、匂いがする。
「ふふ。」
友達なんていらないよ。
先生も話しかけないで。
私はへんなんだもん。
おかしいからね。
近づかないで。
キーン…コーン…カーン…コーン…
耳から遠く響くチャイムの音。
そして同時に屋上のドアが開く音がした。
けれど真希は振り向かなかった。
静かに、ナイフをポケットにしまった。
「後藤。なにしてんの?授業はじまっとるよ。」
「…別に。もう行くし。」
「吉澤がな、アンタから話きいたってほしいってゆってきてん。」
「まぁ、ごっちんはな、話してくれへんと思うけど…。」
ごっちんてなんだよ。
真希は思う。
「でもな。でも…。」
―グイッー
急に中澤が真希のむなぐらをつかんだ。
もう何も聞こえない。
中澤の声以外。何も。
「アンタはそうやって粋がってればええやん。そりゃアンタの勝手。
けどな、今はもうアンタだけやない。
一緒に悩んでくれる人がおるんを忘れんな。ええか?」
手を離し、中澤は校舎へ戻る。
その場に突き放された真希はよろよろと後を追った。
「せんせー、わたしひところした。」
更新乙です
後藤の独白が始まるのかな
先が楽しみなんで次も待ってます
中澤は一瞬目を見開き目線を下へ落とした。
「わたし、その血を一気にのんだよ。
血をのむのが、気持ちいいの。血を飲むとカンジルノ。
見て、このナイフ。この血。これで男を殺したの。
新聞にものった。小さいけど。
ねぇ、中澤は知ってる?このカイカン。
この血が…わたしをくるわせる、の。」
真希はナイフに舌をつけた。
明らかに動揺している中澤はそれでも教師ぶり、冷静に話そうとした。
「な、なに冗談。あ、あとで…職員室きて。そ、れから話そぅゃ。」
「…じゅ、授業いきや。」
屋上へのドアが閉まり、風が真希の髪を揺らした。
なんだ、普通の反応。
思わず真希はふきだした。
帰りのチャイムが鳴り、生徒がばらばらといなくなる。
最後の1人になったときに真希は席をたった。
「真希」
「…なに?」
「いや…結局何にもいってこなかったね。」
「…。」
「ねぇなんで私にはなんにも言ってくれないの!?」
「聞いてんの!?真希!!!!」
―イライラする、助けて。
「人には言えないことだってあるよ。
ひとみだから言えないってこともあるんだよ。
私は…私にはひとみみたいに、なれない。
なんでもかんでも話せない。
…ひとみは私の何を知ってる?
話を聞いてもわたしの近くにいてくれるの?
ねぇ。わたしがどんな人間なのか知ってるの?」
ひとみは息を飲み込む。
真希がこんなにたくさん話したのを初めて見た。
「もう、わたしに。はなしかけないで、」
イライラ、いらいら、
胃が痛む。吐き気がする。
めまいがする。
あたまがいたい。
たすけて、たすけて。
そうだ、そうだ。こんなときはアレ。だよ。
ね、わたし、血が欲しいよ。
あ、そこ。かえらなきゃ。
私がいていいのは、ぬくぬく出来るひとみのそばじゃなく。
相談にのってくれる、先生のそばじゃなく。
あの、わたしの安らぎをくれる、あの場所。
誰か、わたしを…。
「後藤。」
「な、かざわ。」
「話があんねん、来て。」
「きょぅは、だめみたい。わたし…。」
「ええから!」
強引に腕をひっぱられ、校舎の外に連れられる。
真希は、やっと中澤に腕をほどかれそこは中澤の車の前だった。
「乗って。」
「センセ、わたし」
「はよ!のって。」
仕方なく真希は助手席に乗り、続けて中澤も乗り込んだ。
「し、新聞見たけど、こ、これか?」
中澤はポケットから小さな紙切れをだす。
真希は確かめもせず、うなずいた。
「…ほんまなんやな?」
「そうだよ。」
「…もう、吉澤に近づかんといてや!」
「なんでひとみが。」
「ひっ…馴れ馴れしく呼ばんといて!あんたくるっとる!おかしいわ!
血、なんて…吸血鬼ぃでもなったつもりか?」
中澤は間髪いれずに話し続けた。
「吸血鬼か、きいといんねん!!アンタなんてな、
…ひとみに近づく権利ないんや!!!!」
んぁ。
このひと
なにいってんのぉ〜?
…ふふふ。イキタイ、あのばしょにイキタイ。
更新乙!
先が気になる展開だ〜
乙です。ごっちん…
更新キテター
中澤と吉澤の関係も気になる・・・
「ひとみとうちは付き合っとんねん。
ひとみは、うちが、愛し…なのに…、後藤が、気になる。
気になるゆーて、先生なんとかしてって…。
うちは…、いっしょけんめ…。…なのに…こんなの、こんなの、
ひとみに言えるか?言えるか…?
ひとみ、お前が心配しとったんは吸血鬼なんやぞっ!!!!」
そっかぁ。
ひとみ、中澤とつきあってたのかぁ。
なかよかったけど。
そんなの思いもつかなかったな。
かっこいい先輩のハナシや、街中で見たあのひとや。
フェイクだったんだぁ…。
そっかぁ。
なにこのいらいら。
なにこれぇ。
チガ、ホシイノ。
喋りたくる中澤の声が時折り裏返る。
真希はそれをきいていた、ひたすらきいていた。
けれど頭の中では、口の中では。
真希が一瞬、正気に戻ったのも、その目を見たからだ。
コンコンコンッ。
車の窓ごしにはどちらにも、あの見慣れた姿があった。
「ひとみ!!!」
中澤は慌てて車から降りた。
ぼーっとひとみの姿を真希は凝視した。
「ひとみ、あかんで、」
「…ぅなっ!!!」
「この子くるっとる…。」
「言うなあぁぁぁぁ!!!!!」
「…せんせ!?真希!?」
「この子は…後藤はくるっとる!人の血を…飲んで快感を感じる子なんや!」
きっとそんなに長い時間ではなかっただろうが、
中澤の言葉を理解するまで永遠のような時間が流れた。
「…真希…。」
あの目、
あのひとみ、
澄んでけがれのない、
まっすぐなひとみ。
私は見た。
その目にあの侮蔑の光を宿した瞬間を。
―綺麗だよね…ひとめぼれしそう………
…………なんか気になる…………
トモダチニナロウヨ…−
私ね、そのことだけは知られたくなかったの。
私、あなたとは友達でいたかった。ホントだよ。
「ひとみ、ごめんね、」
刺した。
持っているナイフを何度も突き立てた。
グチャッグチャッと、音を立てて、それでもやめずに。
血しぶきが全身にかかったけれど、それも気にしない。たいしたことじゃない。
真希が中澤をグチャグチャと刺し殺す異様な光景を
ひとみは大きな瞳でまばたきもせず見ていた。
最初は呻き声があがり、逃げ、走り、涙を流した中澤も
もう最後には動きもしない、少し呻き、からだを痙攣させた。
「せっ…あ…真希やめてやめて…」
ひとみはただ何度も呟くだけで動こうとはしない。
目の前の異様な光景にただ呆然としているだけだった。
真希はナイフをおろす手をとめ、ひとみを一瞥した。
「これからだよぉ。」
真希は口をつけた。
どくどくと流れ出す血をゴクゴク飲んだ。
「はあぁぁん…おいし…。」
今までに飲んだ血の中で一番おいしかった。
今までに飲んだ血の中で一番かなしかった。
「ば、ばけ、ものぉ…。」
ひとみが呟いた言葉に一瞬動きを止めた。
そして立ち上がってゆらゆら歩き出しひとみの前にしゃがんだ。
後ろにすぐ車を壁にしてしまったひとみは、そのまま震えて、動かない。
真希はナイフを振り上げ、いった。
「ひとみ、あたしの、トモダチ。最初で最後の…」
「あっ…あんたなんかぁ、トモダチじゃないよぉぉぉ!!!!」
「バイバイ」
真希は口をつけた。
どくどくと流れ出す血をゴクゴク飲んだ。
「はあぁぁん…おいし…。」
今までに飲んだ血の中で一番おいしかった。
今までに飲んだ血の中で一番かなしかった。
「ば、ばけ、ものぉ…。」
ひとみが呟いた言葉に一瞬動きを止めた。
そして立ち上がってゆらゆら歩き出しひとみの前にしゃがんだ。
後ろにすぐ車を壁にしてしまったひとみは、そのまま震えて、動かない。
真希はナイフを振り上げ、いった。
「ひとみ、あたしの、トモダチ。最初で最後の…」
「あっ…あんたなんかぁ、トモダチじゃないよぉぉぉ!!!!」
「バイバイ」
いつだって、1人だったの。
1人で生きてきた。
けど、本当は1人なんて好きじゃなかった。
悲しかった。
けど、平気な顔をして生きてきた。
人を殺す前に、何かを話せたら何か変わっていた?
あたしの話聞いてくれたかな…。
あぁ、今度生まれたら、今度こそひとみとトモダチになりたい。
今度はあたしから話しかけよう。
そしてトモダチになろう。
なんてあたしの勝手かなぁ。
けど、何も知らなかったひとみは、あたしのことトモダチだって
思ってくれてたって、思ってもいいのかな。
思おうかな。
ありがとう、本当に、あたしあなたの事は好きだったんだぁ。
真希の血がひとみにふりかかる。
ひとみは血の雨の中、涙を流し、微笑んでいた。
END
これまで読んでくれた方ありがとうございました。
感想少なかったけど、ホント嬉しかったです。
励みになりました。ありがとう
脱稿乙です
おもしろかったですよ
ハッピーエンドに期待してたけど・・・・こういう終わりもアリだな、なんて思いました
楽しませてもらってありがとうです