1 :
名無し募集中。。。:
最近売ってないね
2 :
名無し募集中。。。:03/06/03 10:52 ID:X+Hgy/iw
3
3 :
名無し募集中。。。 :03/06/03 10:56 ID:7lN5TRvn
は?
4 :
ドキラブの靴 ◆DOKilOVeJU :03/06/03 11:09 ID:nu/Fm7j4
(・∀・)ニヤニヤ
今、金欠で新しいの買えないので、水で薄めて使ってます。
6 :
:03/06/03 12:33 ID:Tn6AFX3C
E
逝って良し
何のことかわからんが、
>>5のID見るにギャグなんだな
落ちる〜
10 :
:03/06/05 00:51 ID:iaoutqVH
[1094]がセクシーっつうのは
ちと苦しいな。
と言う訳でここは
「あやや応援スレ」にして良い?
11 :
8:03/06/05 01:38 ID:jb9g6QuL
はあん、そういうことか…
クルシ杉
12 :
名無し募集中。。。:03/06/05 10:42 ID:wL0fKUSm
川VvV从<そーゆーこと
ノノノノハ)
ノソ ‘ 。‘ノ / あやんぷいぷい♪
( つ つ \ あややだよぉ〜
ミ\__/ミ
〃・ω・) <応援スレ立ったぞ
@(_uu
再利用期待保全
同じく保全
続けて保全
18 :
保全:03/06/08 16:16 ID:MoqZGQyk
再利用しやすいスレだと思うけど
保全
同じく保全
続けて保全
【ティセラ】迷うなぁ【水分ヘアパック】
堅守
始まったんですね
面白いです、続き期待してまーす!
削除人さま
同じことが2度続いたわけですから
今回の小説の削除の明確な理由を教えて下さい
ここではそれが出来ないと言われるのでしたら
どこでお尋ねすればよいのか、URLを貼っていただけませんか
もし、お返事がいただけない場合は
モー板では新規に小説を始めることは禁止
というのが、お答えになってしまうのですが
26 :
ミスト:03/06/14 09:38 ID:5T4+PcbQ
あれ?き、消えてるー??あぼーん??
ま、誤字とかあったし書きなおせるチャンスと考えていいのかな。
ただ僕の場合、直接書き込んでいる上、その場の思いつきで加えた文章もあるので
完璧に同じ文章は復元できないかもしれません。
ただ、なるべく努力してみます。
今からちょっと出掛けてくるので少し遅くなるかもしれません。
すいません。
ちょっと文章が堅いね。
リロードしたら消えた?!
スレタイと内容が合わないということか?
31 :
ミスト:03/06/15 01:11 ID:pwsOWFfE
ふーう、やっと書き終わった。今からコピペします。
少々、書き加えたり変更したりしたので小説の雰囲気が変わってるかもしれません。
亜依を標準語に戻しました。なんか僕が書くと亜依がおっさんぽくなるので。
>>27 原因がいまいち分からないので始めたいと思います。
また消されたら、その時はその時だ。
32 :
ミスト:03/06/15 01:13 ID:pwsOWFfE
小説 「赤点娘」
33 :
ミスト:03/06/15 01:17 ID:qYYGc3a1
放課後の教室・・・・・・校舎は妙に静かになり遠くからは
部活動のかけ声が聞こえてくる。主に野球部員の声がその大半を
しめているのだが亜依はその声をぼんやりと聞きながら窓の外を見ていた。
三階の教室には二人の少女がいた。姉の梨華と妹の亜依だ。
この時間帯になると教室に残っている人間は限られてくる。
残って友人と会話を楽しむ人間と残されて課題に取り組まされている人間だ。
34 :
ミスト:03/06/15 01:19 ID:qYYGc3a1
「勉強だけがすべてじゃないと思うなぁ。この短い学生生活の中で勉強以外にも
学ぶべきことはいっぱいあると思うんだけど」
現在までに何百万人の人が一度は思っただろうことを亜依は口にした。
「ま、そうかな」
梨華はぼんやりとしたあいずちをうった。亜依の隣の席に腰を下ろしマンガを読んでいる。
視線を外さないところをみるとあまり興味がないようだ。
「勉強、勉強じゃあ、息も詰まっちゃうし、思春期における人格形成にも悪影響が出ると思うな。
その辺のとこ先生及び文部省はどう考えてるんだろう」
「うーん、一つ言えることは、人格形成に悪影響が出るほど勉強する人が赤点はとらないかな」
梨華の言葉に亜依は机の上に視線を移した。机の上には担任が赤点のお前にプレゼントだと
勝手に置いていったわら半紙の束がある。これを終わらさないと帰らさないということだった。
亜依は中間テストで数学Tを16点、Uを12点、英語26点、古典18点、生物12点
という素晴らしい点を取ってしまい、さっそく先生方の熱い注目を集めていた。
目立ちたがり屋の亜依だがこんなことで目立つのはいささか不本意であった。
35 :
ミスト:03/06/15 01:23 ID:qYYGc3a1
「ところで何で姉ちゃんがいるの?」
「寺田先生に頼まれて・・・・・・亜依が逃げ出さないように見張ってろだって」
「うちは子供扱いか。あの寺田は本当にうちを信頼してないなぁ。
生徒と先生はお互いを信頼し合う。これが大切だと思うな現在の教育には」
「一生懸命教えたのに赤点とられたら裏切られた気持ちでいっぱいになるでしょう」
梨華の言葉に抗議の声を上げようとした亜依だがそれもそうだなと妙に納得してしまった。
結局、生徒と先生との信頼関係の土台にあるのは成績の善し悪しなんだろうなと亜依は結論づけた。
「・・・・・・姉ちゃん」
「なに亜依」
梨華はマンガから視線を外し亜依を見た。
「下の階から男女のケンカしている声が聞こえてくるんだけど・・・・・・」
36 :
ミスト:03/06/15 01:25 ID:qYYGc3a1
男女の声は下の階、つまり二階から聞こえてきた。
「何もわざわざ学校の中で痴話喧嘩を始めなくてもいいのに」
梨華はうんざりした口調で言った。どうも世の中にはこういう彼氏や彼女の存在を他人に
アピールしないと我慢できない人間がいるもんだ。
仲の良い姿はもちろん、ケンカしている姿だろうが彼らは他人に見てほしいのだろう。
「姉ちゃん、見にいってみようよ」
亜依の瞳が輝きはじめる。授業中には絶対に見られない目だ。
「この課題を終わらさない帰れないのよ」
「え〜っ、いいじゃん。お願いお姉ちゃん・・・ねっ」
亜依は必死にお願いする。課題はどうでもいいらしい。
15歳の少女の好奇心を止められるものは何もないのである。
「しょうがないなぁ。ちょっとだけだよ」
「うん」
亜依は元気良く返事をした。
というわけで二人の非模範的な女生徒たちは、教室を飛び出し、男女の声がする
二階へと走り始めたのだった。
37 :
ミスト:03/06/15 01:29 ID:qYYGc3a1
初めてコピペっていうのを使った。便利ですね(W
続きは明日の夜に更新したいと思います。削除しないでね。
コピペわかったのね。とにかくがんばりませう。
40 :
ミスト:03/06/15 19:14 ID:ZxTUtJ43
二階まで駆け下り広い廊下にでると右側に教室のドアが並んでいた。
どの教室だろうと思案していると、ほどなくして男の声が聞こえてきた。
声が聞こえてきたのは、距離にして10メートルほど離れた2年6組の教室からだ。
二人は目と目でうなずきあってそこへ向かう。
亜依と梨華は廊下を歩きながら、これは恋人同士のケンカなんかじゃないことに
気づき始めていた。
一人の少女を数人の男たちがおどしてるようだ。
亜依はゆっくりとこぶしを握る。目からは好戦的な光が漏れる。
この娘は無類のケンカ好きなのだ。
その様子に気づき梨華はくぎを刺す
「いい、亜依。あくまでこっそりのぞくだけだからね」
「うん、分かってる。でも、困ってる人がいたら助けなくちゃいけないよね」
亜依はニコッと笑った。久しぶりめぐりあった獲物に歓喜するような笑顔だった。
41 :
ミスト:03/06/15 19:17 ID:ZxTUtJ43
二人は教室の前まで来ると腰をかがめ、ドアの隙間から中をのぞいた。
室内にその男女はいた。男三人が一人の少女を囲っているような状況だ。
一人の男が少女の手首をつかんでいる。少女は嫌悪感でいっぱいの目で男をにらみつけ
必死で手を振りほどこうとしていた。
その様子を他の二人が薄笑いを浮かべて眺めている。
「姉ちゃん、どのタイミングで飛び込もうか。やっぱり絶体絶命の場面で登場するのがいいと思うんだけど」
「はぁ?なに言ってるの。とりあえず先生を呼んできて亜依」
「ちぇっ、つまんないの」
梨華の命令にしぶしぶ亜依は腰を上げた。その時。教室内に男の怒声が響いた。
「てめーは俺たちの言うことを聞いてればいいんだよ!」
男は怒り任せに机を蹴った。机は「ガシャン」と甲高い悲鳴を上げた。
それが合図となった。
亜依はドアノブをおもいっきり引っぱり、室内に飛び込んだ。
42 :
ミスト:03/06/15 19:25 ID:owDJ7ItK
今日はここまでです。続きは明日ということで。
あまりバーッとじゃなくマターリ更新していきたいと思います。
>>38-39 レスありがとうございます。今後もよろしくお願いします。
44 :
ミスト:03/06/16 18:34 ID:J0Khy7Lj
「な、何だ、お前は」
男たちは何とも平凡なセリフを発した。「何だ、ちみは」くらい言ってくれれば
志村好きの亜依としては、嬉しかったし、お友達になれる可能性もあっただろう。
「邪魔するで〜」
「あん!殺すぞお前!」
亜依はこのお笑いの感性ゼロな男たちにうんざりした。「邪魔するで〜」って言ったら
「邪魔するんやったら帰って〜」と言うのがお約束であり礼儀であろう。
幼少時代を関西で過ごした亜依としてはそのへんのところは厳しい。
もっとも、女の子を脅しつけて笑ってるような奴に関西的なノリを期待するのは
中澤裕子に処女であることを期待するようなもんなのだが。
「なに見てんだ、いい子だからとっとと帰れ!」
男は凶暴さをむきだしにしていた。
相手が非力な女の子だからこそ、こういう態度を示すのだ。
「はーい、今すぐ帰りまーす。でも、その前にこの事、先生にちゃんと報告しよーっと、 うちはいい子だから」
男たちは反応するまでに三秒ほど時間がかかった。
そしてバカにされていることに気づくと怒りの声を上げ、亜依に近づいてきた。
45 :
ミスト:03/06/16 18:38 ID:J0Khy7Lj
「お前なめてんのか!ちょっと遊んでやらあ!」
「え〜っ、遊んでくれるの。嬉しーい」
亜依は両手を合わせて飛び跳ねた。
「こいつバカか」と思いながら男が亜依の肩をつかんだとき、強烈な痛みが腹部を襲った。
亜依のキックが命中したのだ。
男は低いうめき声を残しその場にもんどりうった。
男たちがとっさの事態の急変についていけずにいる間に二人の男たちに向かって走り出す。
少女の手首をつかんでいた男が目の前にあった椅子を持ち上げ亜依に向かって投げつけた。
当たればもれなく四ヶ月間の骨折生活が始まるわけだが、亜依はひょいっと避けると
一歩踏み込んで、男のあごを打ち抜いた。男はその場に倒れ込む。
亜依は最後の一人を悠然と眺めた。
形勢は逆転していた。男は、ほんの数十秒前まではどんな女でも自分たちの腕力で言う通りに
できると信じていたが、例外がいることを知った。
「くそがっ!絶対、後悔させてやるからな!」
男は捨てゼリフを吐くと、仲間を残したまま逃げ出した。
それを見て、梨華が黒板消しを男に投げつけた。
スコーンという小気味よい音をたてて男の後頭部に直撃した。
男は少しよろめきながらも、何とか教室を抜けだし、姿を消した。
「へへへっ・・・・・・ナイス、コントロールでしょう」
梨華は得意げに笑った。
46 :
ミスト:03/06/16 18:42 ID:J0Khy7Lj
今日はここまでです。続きは明日の予定ですが無理かもしれません。
48 :
ミスト:03/06/18 00:32 ID:bNMLyqDi
少女の意識は混乱していた。目の前であり得ない光景を目撃したからだ。
安心させるために亜依は笑ってみせた。
「ケガはない?もう大丈夫だからね」
「・・・・・・」
少女はうつむいたまま視線を合わそうとしない。
「名前は何て言うの?」
「・・・・・・あのさ、今日のことは誰にも言わないで欲しいんだ」
少女はやっと口を開いた。そして鞄から財布を取り出し、福沢諭吉が描かれているお札を
目の前に出す。
亜依の財布には、お正月の時ぐらいしか入っていないものだ。
「・・・・・・何?」
「口止め料。悪いんだけど、その、イメージとかあるじゃん。やっぱ、トップアイドルとしては。
あんな奴らと関係があると思われたらマイナスでしょ」
「・・・・・・?姉ちゃん、こいつ何言ってんの?」
「もしかして・・・・・・・その子」
梨華はその少女に面識があったようだ。
49 :
ミスト:03/06/18 00:36 ID:bNMLyqDi
「知ってるのお姉ちゃん」
「うん。確か、テレビで見たことあるような・・・・・・」
梨華は必死で記憶の糸をたぐりよせる。だが、なかなか思い出せない。
「ごめん、分かんないや」
ペロッと舌を出して笑う。
「田中れいな!」
少女は少し不機嫌な口調で言った。自分のことを知らない奴がいるのに腹が立った。
「田中れいなって・・・・・・あの、なっちゃん?」
「やっぱ、テレビと実物は全然違うんだね。実物はぶさ・・・・・・いや、個性的な顔立ちだぁ」
「・・・」
れいなはうんざりしながらうつむく。これで何回目だろうか。
ある有名人と同姓同名であるがゆえに何度も間違えられる。
最初は全力で否定していたれいなも最近では諦めの境地になっていた。
ただ、このまま勘違いされ続けるのもむかつくのでしっかり訂正する。
「モーニング娘。第六期加入メンバー、田中れいな」
二人の娘は目と目で確認すると声を上げた。
「モーニング娘。!?」
50 :
ミスト:03/06/18 00:42 ID:bNMLyqDi
今日はここまでです。
まだもうちょっと続きます。お付き合いください。
>>47 レスありがとうございます。
小説総合スレで紹介&更新情報お伝えしてもよろしいでしょうか?
53 :
ミスト:03/06/20 00:06 ID:w5zPQIzE
「すごいなぁ。モーニング娘。の子か。そんな子がうちの学校にいるなんて
ラッキーだね、お姉ちゃん」
「亜依、サインもらっとこう」
二人のミーハー姉妹は紙とペンを求め教室内を物色し始めた。机の中には教科書や筆記用具が
そのまま残されており目的のものはすぐに見つかった。
亜依は他人のノートを勢いよく破り、ペンと一緒にれいなに差し出す。
れいなは慣れた手つきでサインを書く。これまで何度も行ってきた作業だ。
その度に自分は芸能人になったんだと自覚する。
一種の優越感と寂しさが融合する瞬間だ。
「これでいいかな。じゃ、私は帰るから」
「あっ!待って。ちょっともう一つ頼み事を聞いて欲しいんだけど。その・・・うちは辻ちゃんのファンなんだ。
そこでサイン頼まれてくれないかなぁ」
「あ、じゃ、私はよっすぃーのサインお願いしちゃおう」
「ちょっと私は便利屋じゃないわよ」
れいなは抗議の声を上げた。ほっておけば、この姉妹は必ず娘。に会わせろと言うだろう。
要するにこの姉妹の辞書に遠慮という文字はないのだ。
亜依と梨華は、れいなを無視して、すでによからぬ相談事を始めていた。
「モーニング娘。ということはガクトさんにも会うのかなぁ」
「会うんじゃない。頼んでみなよ亜依。私はあゆのサイン頼んでみるから」
「・・・・・・言っとくけど、その頼みはお断りだよ。だいたい私は、まだ見習いみたいなもんでダンスレッスンばっかりしてるの。
それに先輩が言ってたけど番組で芸能人と共演しても話す機会はないらしいよ」
「なあ〜んだ、あんた、まだ新人か」
亜依と梨華は分かりやすく落胆したとき、階段を駆け上がってくる音が聞こえてきた。
どうやら逃げた男が仲間を連れてきたようだ。亜依としては心楽しくなってきた。
どんな荒くれ者な不良を連れてきても、この娘を恐怖させることはできないだろう。
54 :
ミスト:03/06/20 00:10 ID:nKDo1x/U
教室のドアが勢いよく開くと、背の低い人間が入ってきた。それは亜依のよく知っている人間だった。
そして、母親の次に頭の上がらない人間だ。
「!?・・・寺田!」
「呼び捨てかよ。先生をつけろ。一応、お前の担任だぞ」
日も沈みかけてるといのに黄色いサングラスをかけ、頭髪は不良顔負けの金色をしている。
こいつだけには生活指導されたくないものだと常々、亜依は思っている。
寺田先生は倒れている男をだきおこし、かるく頬をたたいた。男は薄く両眼を開くと意識を取り戻し始めた。
男が意識を取り戻したのを確認すると寺田先生は亜依に向きなおった。
「女が無抵抗の人間に暴力を振るっているっていう知らせがあってな、来てみればお前か、亜依」
「ち、違うよ。こいつらがれいなちゃんをいじめてたからうちが助けたんだよ」
「本当か?」
寺田先生はれいなに視線を向ける。どこか心の奥まで見透かすような冷静な目だ。
れいなは、男たちと一瞬視線が合うとうつむき、感情のない言葉を発した。
「・・・・・・違います」
その後、亜依と梨華は、寺田先生から愛の説教ってやつを受け、二人が並んで校門を出たときには
日はすっかり沈み、街灯には光が灯り始めていた。
55 :
ミスト:03/06/20 00:14 ID:nKDo1x/U
57 :
ミスト:03/06/24 23:25 ID:4/54hEjb
天気は快晴。雲一つない青々と輝く空を小鳥たちがはばたく。
実に澄みきった朝なのだが亜依は不快な気持ちでいっぱいだった。
亜依の席には人相の悪い男が腰をかけ、その周りを昨日、亜依がこてんぱんにしてあげた
男たちが囲っている。
不審な視線を亜依が向けると、敵意を含んだ八個の目が亜依を捕らえた。
「お前が亜依か、どんな奴かと思ったら子供だな」
椅子に腰を下ろしたリーダー格の男が言ってきた。この暴力的な雰囲気をまとった男は
山崎渉といい、悪い意味で亜依以上に注目されている人間だ。
けんか、タバコ、酒、2ちゃんねる、と何でもやりたい放題の山崎だが一度も停学になったことがない。
父親が有力な政治家であるからだという一面もあるのだろうが、教師が彼の報復を恐れて
見て見ぬふりをしてるのが大きいようだ。
「俺は山崎だ。昨日はこいつらが世話になったな」
亜依はうんざりしながら山崎を見た。
「なに、昨日の続きを希望なわけ?」
「おいおい、そんな好戦的な目をすんなよ。俺は何もけんかしに来たわけじゃねえんだから。
実は、いい儲け話があるんだよ」
58 :
ミスト:03/06/24 23:29 ID:4/54hEjb
亜依が黙っていると山崎は話を続けてきた。
「中学生の生写真ってやつは一部の人間に高く売れる。ましてや中学生で芸能人となると
それは高値になる。嬉しいことにうちの学校にはそれに当てはまる人間がいるんだなぁ」
「あんた、れいなで商売する気なの?」
亜依は、鋭い視線を山崎に放った。胸の中で、何かがざわめいた。
「そうにらむなよ、協力してくれたら、あんたにも十分報酬を与えるからよ。
あんたにしてほしいのは、れいなと俺たちとの橋渡し役になってほしいということだ。
あの女、頑固で警戒心が強いから、なかなか交渉に応じねえ。恩人である、あんたなら
れいなは心を開いてくれるはずだ。どうだ、5万出すぜ」
「やだね」
亜依はきっぱり断った。山崎たちの真意をもう少し探りたい気はあったが、感情が即答してしまった。
山崎たちがれいなの写真だけじゃなく下着も売りたいと考えているのが亜依にはすぐに分かった。
この娘は、こういう嗅覚が優れている。
「もういいかなぁ、うちは君たちと違って、真面目な生徒だから、次の授業の予習したいんだよね」
そう言うと、亜依は強引に山崎たちの中に入っていき、椅子の所有権を奪い返した。
山崎は憎々しげに亜依をにらんだ。
「あんまり調子にのると長生きできねぇぞ、覚えときな」
「やなこった」
亜依はベーッと舌を出した。周りの男たちは両眼をぎらつかせたが、山崎がそれを無視するように
無言で歩きだすと、全員がそれにしたがい教室から姿を消した。
山崎たちが残した悪意の満ちた空気を入れ換えるため亜依は教室の窓を全開にした。
「なんか面倒なことになりそうだなぁ」
危機感のない、ぼんやりとした調子でつぶやくと、大きく外の空気を吸った。
59 :
ミスト:03/06/24 23:35 ID:JvJNI74O
更新、遅くなってすいません。
続きは明日・・・・・・あっ言っちゃった。
がんばります。
61 :
ミスト:03/06/26 20:25 ID:ZNQB12b/
午前中は平穏にすぎた。暑い退屈な一日なりそうだった。
しかし、そんな期待はもろくも崩れ去ることになる。
体育の授業が終わり、教室にもどると、亜依は山崎を敵にまわしたという事実を
再確認させられることになった。
亜依の机はたおされ、中の教科書は散乱し、踏みつけられた跡がある。
かばんには、たくさんの画びょうが突き刺さっている。
「あ〜あ教科書ボロボロだよ。よ〜っし、5時限目は、お昼寝に決定だ」
「・・・・・・あんた変に前向きだね」
62 :
ミスト:03/06/26 20:28 ID:ZNQB12b/
「あっ!?お姉ちゃん」
亜依の後ろには、姉の梨華がいた。そして、その隣には、昨日亜依が助けた田中れいなが立っていた。れいなは、居心地が悪そうに視線をキョロキョロ動かしている。
「さっき、そこの廊下であったの。どうやら、昨日、亜依に助けてもったお礼をしたいらしいのよ」
「えっ!?いいよ別に。ストレス解消・・・いやっ、人を助けるのは当然のことだから」
もともと好奇心とストレス解消が目的で助けたようなものなので、お礼と言われても困ってしまう。
とりあえず、言葉のお礼だけで良かったのだが、れいなは、亜依の悲惨な光景を目撃して
しまったため、お金以外のお礼が思いつかなかった。
「ごめんなさい私のせいで。これ・・・・・・少ないんですけど・・・」
そう言うと、れいなは財布の中からお札を全て取り出し、亜依の前に差し出した。
お金は大好きな亜依だが、こういうお金はあまり好きじゃなかった。
63 :
ミスト:03/06/26 20:31 ID:ZNQB12b/
「ちょっと、なんかカツアゲしてるみたいじゃん。だから、もういいって。
そうだ!今度、家に遊びにいかせてよ。それがお礼代わりということで。
だって、なかなかないでしょ、芸能人の部屋に入れることなんて」
「そんなんでいいの」
「うん。それから食事とか付けていただいたら、なお嬉しんだけど・・・」
「いいよ。今日、来る?」
れいなの瞳から活気のようなものがあふれ始めていた。
こんな目もするんだと亜依は思った。芸能人という偏見と昨日の態度から、れいなのことを
すれた女の子だと思っていたが、どうやら普通の中学生のようだ。
「今日か・・・いいよ」
「じゃ、放課後にまた来るね」
れいなは手を振りながら教室を出ていった。れいなは、すっかり亜依のことを気に入ったようだ。
「お姉ちゃん、今日、晩ご飯いらないってお母さんに言っといてよ」
「なに言ってるの。私も行くよ」
「え〜っ、お姉ちゃんも?」
田中家は、ずいぶんさわがしくなりそうだ。
64 :
ミスト:03/06/26 20:38 ID:6du6B5G7
また更新、遅れてしまった
>>60さん毎回ありがとうございます
しかし、う〜ん人いないなぁ
>>64 更新乙です。面白いです。
長く続ければ、見る人も増えてきますって。
>>64 今読んでみました。
この(ほのぼのした?)雰囲気がいいっすね。
面白いです。これからもがんばって書いてください。
te
tes
69 :
ミスト:03/07/02 01:32 ID:aCLCfQhG
三人の娘が田中家の門をくぐったのは、夜の8時をすぎたころだった。
玄関脇に国産高級車がとまっているのを横目に見ながら、中に入る。
家は広くて大きい。れいなは、ここに住んでいる。
実家は、九州の福岡にあるのだがモーニング娘。加入を機に
東京の親戚のこちらの家に居候させてもらうことになった。
広いリビングで、亜依と梨華のために食事がふるまわれた。
お金持ちの人は、やたらとお客に対して丁寧で親切なので、
少々、萎縮してしまうものなのだが、亜依は遠慮なくパクパク食べる。
「姉ちゃん、その唐揚げ、いらないならもらうよ」
「ちょっとだめだよ」
伸びてくる亜依の箸を必死でふりはらう。実に見応えのある攻防戦が繰り広げられる。
亜依と梨華の家庭では食事の時間は、食うか食われるかの戦争なのだ。
70 :
ミスト:03/07/02 01:35 ID:aCLCfQhG
二人が唐揚げに集中している隙をみて、れいなは、亜依の小皿からエビフライを
さっと奪った。亜依の大好物で最後に食べようと思っていたものだ。
「へへへ、いらないなら、もらうよ」
れいなは、エビフライを箸でぷらぷらと揺らした後、一口で口の中に放り込んだ。
全部入りきらず、口からエビのしっぽがでているのだが、れいなは満足気にエビの味を楽しむ。
「この女、ころぬ〜〜!」
「こらっ!亜依やめなさい!」
れいなに飛びかかろうとする亜依を必死でおさえつける。
とにかく、いつもは静かな田中家の食卓は、この夜たいそうにぎやかであった。
食べ物を限界までつめこんだ亜依は、戸棚にかざられているワインにも興味をしめしたが
梨華のひとにらみで、さすがにあきらめた。
71 :
ミスト:03/07/02 01:38 ID:aCLCfQhG
たっぷり食べた後は、たくさん動くことが亜依の信条だ。
「れいな、あんたの部屋、おじゃまさせてもらうよ」
言うがはやいか、亜依は椅子を立って階段に向かって走りだした。
「ちょっと、勝手に入らないでよ」
れいなの抗議もどこ吹く風、亜依はリビングから姿を消した。
この無礼な客のあとを追って、れいなも走り出した。
ドタバタ階段を駆け上がる音が、リビングまで聞こえてきた。
「ずいぶん元気な妹さんね」
「すいません、元気だけが取り柄な妹なもんで」
梨華は恐縮しながら笑った。
「これからも遊びに来てやってくださいね」
「いいんですか?れいなちゃんに悪影響ばっかり与えますよ」
「そんなことないですよ。あんな楽しそうなれいなは、ひさしぶりに見た気がします」
田中さんは、梨華のカップにお茶を注ぎながら言った。
72 :
ミスト:03/07/02 01:41 ID:aCLCfQhG
「れいなは、初め東京に来たときは、とても明るい子だったんです。モーニング娘。で
一番になるってよく言ってました。ただ、厳しいレッスンをするうちに、どうやら自信を
なくしちゃったみたいで、一人でふさぎこむようになっちゃったんです」
「まだ中学生ですしね・・・・・・」
アイドルは年々、若年化している。なにも分からない中学生が、芸能界に飛び込んでは
消えていっている。梨華は、芸能界に入ったことはないが、いろいろと大変なことが
あるんだろうなとは思っている。
いろいろな悩みやプレッシャーを、13歳の小さな体で受け止めなくちゃならないんだから
よほど精神的にタフな人間か、脳天気な人間じゃないとつとまらないだろう。
梨華は、カップに注がれたお茶を飲みながらそんなことを思った。
73 :
ミスト:03/07/02 01:44 ID:aCLCfQhG
れいなの部屋は、階段を上がってすぐのところにあった。広さは8畳ほどで
女の子らしく、いたるところにぬいぐるみが置いてある。
壁には、チャーミー石川と呼ばれる女の人のポスターが貼ってあった。
この人は、モーニング娘。の人らしいのだが、なんかうちの姉ちゃんに似てるなあと亜依は思った。
「この人が好きなのか」
「・・・まあね」
れいなは、少し照れくさそうに言った。
「この人目指してるんだ」
「・・・・・・この人は完璧だからいくら私が、がんばっても追いつけないよ。
ただ、あこがれてるだけ・・・」
れいなは、ベットに腰をおろし、ポスターを眺めた。
74 :
ミスト:03/07/02 01:48 ID:aCLCfQhG
「・・・・・・れいな、あんたレズじゃないよね?うちの姉ちゃんとかタイプだったりする?」
「そ、そんなわけないでしょ!バカじゃないの!」
ベットから立ち上がり、怒ったような表情で言った。
「必死で否定するところが怪しいなぁ」
「うるさ〜〜い」
れいなの叫び声は、一階のリビングまで聞こえてきた。
田中さんは不安そうな表情で二階を眺め、梨華は大きく、くしゃみをした。
「あの二人、わたしの悪口言ってるんじゃないでしょうね」
梨華は、鼻をすすりながら、ぼやいた。
人の形をした嵐が、田中家を去ったのは夜の10時をすぎた頃だった。
ようやく田中家にも平穏な生活が戻りはじめる。
それに対し亜依と梨華の家では、両親が二人の帰りを今か今かと待ちわびていた。
こちらは、嵐に加えカミナリが落ちそうであった。
75 :
ミスト:03/07/02 01:59 ID:/bvM9jdO
また更新遅くなってすいません。
>>65-66 おっ、読者が増えてる
今後もがんばるので、ぜひ読んでください
新曲のセンターが田中だったことに驚きました。
今後、テレビなどで中心的に扱われることも多くなると思います。
登場人物に田中いれといて良かった〜。
>>75 作者さん、更新乙です。
読んでいて楽しいです。
梨華とチャーミー石川、良かったですw
77 :
名無し募集中。。。:03/07/02 17:04 ID:N3hM3JTc
そろそろageないとヤバイ、落ちる
>>77 保全にage、sageは関係ありません。
それから、40レスに達しているスレは保全の必要がありません。
40レスに達していないスレ(即死判定ルール)、及び
スレ立て後120日を過ぎているスレ(n日ルール)に関しては
24時間の空白を作るとdat落ちしますので保全が必要です。
以上、モー板がありますex2サーバの現在の状況です。
今日初めて読んだけど話のテンポがよくておもしろいね
続き期待してます
>>75 更新乙です。
娘のメンバーってどうなるかと思ったらこうなるのか。
続き頑張って書いてください。
他には誰が出るんだろう?
出なくてもイイけど続きキボンヌ。
82 :
ミスト:03/07/06 22:18 ID:GcRjcV5e
亜依の家庭で起きた嵐とカミナリは、ひと晩で通過し、翌日にはおだやかな青空が広がる。
亜依が学校に着いたのは、朝の8時10分を過ぎたくらいだった。
この娘は、赤点を取りまくるのだが、遅刻が0という微妙な模範生であった。
教室にはいると、中の人間の視線が一気に亜依に集中した。
「な、なんだよ」
亜依が問いかけると、皆が顔をそらした。教室全体が不自然であった。
亜依の机は、何か鋭いもので傷つけられたような跡が無数にあった。
椅子にすわると、何やら鈍い悲鳴があがる。今にも壊れそうだ。
「さっき、山崎さんたちがやったんだよ。昨日、山崎さんたちを怒らしたみたいだけど
あの人を敵にまわしたら生きていけないよ。今からでも謝ったほうがいいんじゃない」
妙におどおどした印象の男子が話しかけてきた。亜依は、「そうかもね」と気のない返事をしただけだった。
こんな朝早くから、こんな事するなんて、山崎はずいぶん規則正しい不良なんだなと亜依は思った。
83 :
ミスト:03/07/06 22:21 ID:GcRjcV5e
座り心地の悪い椅子に腰をおろし、教科書を机の中に放りこんでいると、れいながやって来た。
「亜依、ちょっと話し相手になってよ。も〜、みんな山崎におどされてるのか、全然口をきいてくれないんだよ」
「普通に嫌われてるんじゃないの?」
「亜依と一緒にしないで。わたしは、クラスでも一番の人気者よ。それよりも、お姉ちゃんは
来てないんだ」
「別にいつも来てるわけじゃないけど・・・・・・何?」
「えっ・・・別に何でもないよ」
そう言いながらも表情が残念そうであった。ここに来れば梨華がいると思っていたのかもしれない。
ふと昨日のれいなの部屋に貼られていたチャーミー石川がお姉ちゃんに似ていたことを思い出した。
れいなは、憧れの先輩とうちの姉ちゃんを重ね合わせてるのかもしれないと思った。
84 :
ミスト:03/07/06 22:24 ID:GcRjcV5e
「れいなは、山崎からの陰湿ないじめ受けてないか」
「それは大丈夫だよ」
れいなは、笑顔で答えた。
どうやら山崎は、亜依だけを標的にしているようだ。ずいぶん憎まれたもんだ。
もっとも山崎の子分たちをボコボコにした張本人だから、仕方ないと言えば仕方ないわけだが
奴らの本来の目的はれいなのはずだ。亜依は、橋渡し役を拒んだだけにすぎない。
亜依をおどすより、れいなをおどす方がよっぽど早く目的を達成できるんじゃないかと思ってしまう。
それと、気になるのが、れいなの底なしの明るさだ。
いくら楽天家だとしても、学校の実質的支配者である山崎に狙われて、
ここまで明るく振る舞えるものなのだろうか。
れいなからは、悲壮感のようなものが感じられない。むしろこの状況を楽しんでいるように思える。
「これが現代っ子ってやつか」とあまり年齢の違わないれいなを、そう決めつけた。
その時、教室に女の子が入ってきて、亜依のもとに駆け寄ってきた。
「亜依!あんたのお姉ちゃんが階段から落ちてケガしたわよ。
保健室にいるから、今すぐ行って」
その言葉を聞いて、すぐに亜依は走り出した。不安がよぎり、心臓が、はげしく脈打った。
85 :
ミスト:03/07/06 22:33 ID:K9wMrxR/
>>76-77-78-79-80-81
また更新遅くなってすいません。
ストーリーは出来上がってるのに、一行目から何故か全く書けない状態でした。
こんなこと初めてだ〜。
次は3日以内に更新したいと思います。
ぜひ見捨てないでください
>>85 作者さん、更新乙です
見捨てたりしませんよw
4日で更新っていいペースだと思いますが。
更新乙です。
88 :
名無し募集中。。。:03/07/08 07:50 ID:Ebk6nRCa
ミスト氏、また小説書いてたのか
小説の雰囲気が違うな、ガンガレよ
89 :
ミスト:03/07/09 23:52 ID:S5PT6tl5
階段を降りながら、亜依の頭には、最悪な状況が次々と浮かんできた。
骨折してるんじゃないだろうか、いや受け身に失敗して頭を強く打ったんじゃないだろうか。
そしてー
(山崎のしわざじゃないだろうか)
亜依の見えないところで悪事を働くものの、直接的な攻撃はしてこなかった山崎だが
とうとう、しびれを切らしたのか?
亜依ではラチがあかないと思い、梨華に狙いを変更したのか?
次々と浮かんで来る疑問に答えを出せぬまま亜依は保健室の前に到着した。
90 :
ミスト:03/07/09 23:54 ID:S5PT6tl5
保健室は、校舎の中央にある。保健室のドアをあけると、室内には10人以上の生徒がいた。
内訳は、梨華の友人と追っかけで、比率にすると3:7であった。
室内の一番奥の椅子に座っている梨華の姿を見つけた。
「姉ちゃん!」
姉の姿を見つけるや、亜依は駆け寄って飛びついた。
「うわっ、あぶないよ、亜依」
椅子から落ちそうになりながらも、しっかり妹を受け止める。
そして、抱きついたまま離れようとしない亜依の頭をなでた。
「大丈夫だよ。ちょっと足をひねっただけだから」
「うん」
亜依は、抱きついたままうなずいた。
91 :
ミスト:03/07/09 23:56 ID:S5PT6tl5
さっきまでの緊張感がゆるみ、涙が出そうになる。
ただ、こんな大勢の前で泣くわけにはいかない。亜依は、なんとか笑顔を作ろうと努力した。
室内は感動的な雰囲気が包んだ。だがー
「ぬるぽ」
その一言で場の空気はぶち壊れた。入り口付近で山崎が不敵に笑っていた。
「山崎・・・お前が姉ちゃんを・・・・・・」
亜依はうめいた。そして山崎をにらみながら戦闘態勢にはいる。
室内にパシーンと乾いた音が響く。
ほほをおさえたまま、山崎が床にうずくまる。これは亜依が加えたものじゃない。
山崎のわきから、れいながビンタをお見舞いしたのだ。
「なにするんだ、れいな!?」
「うるさい!梨華さんにケガを負わすなんて最低よ!」
れいなは、床にうずくまっている山崎に、ぐいっと詰め寄る。
場の空気を読めない山崎だが、れいなの殺気は敏感に感じ取った。
92 :
ミスト:03/07/09 23:58 ID:S5PT6tl5
「ちょっと待ってくれ。梨華をケガさしたのは、俺じゃねえ。マジで違うぞ。
俺は、人がいっぱいいたから、何だろうと思ってここに来ただけなんだよ。
それなのに、何で殴られなきゃならないんだ」
山崎は、必死に弁解とグチを言った。後半の口調は、少し泣きそうである。
もはや山崎は、お母ちゃんに怒られるジャイアン状態であった。れいなの迫力に完全に負けていた。
「れいなちゃん、山崎君は悪くないよ。実は鬼ごっこしてて、階段の着地を誤って
足ひねっちゃったの」
梨華の発言に室内の全員が「いい大人が鬼ごっこなんてするなよ」っとツッコミたい衝動にかられた。
93 :
ミスト:03/07/10 00:00 ID:JjxdQf55
「そらみろ、俺は悪くなかったろ」
山崎は勝ち誇ったように腕を組んだ。
「うるさい!もう帰れ!」
れいなの鋭い蹴りが、山崎のすねに炸裂する。
再びうずくまる山崎渉。さすがに彼が、かわいそうに思えてきた。
ただ、好奇心で保健室に入っただけの山崎が、ここまで理不尽な扱いを受けるのは
日頃の行いの悪さが原因だと言えなくもない。
山崎は、ぶつぶつ文句を言いながら保健室から出ていった。
山崎が出ていって数分後、室内には歓喜の声がとどろいた。
「す、すごいね、あんな山崎初めて見たよ」
「君、田中れいなさんだよね。俺、ファンになっちゃおうかな」
大絶賛を受けるれいなを遠目に見ながら亜依も「すごいなあ」と素直に感嘆した。
そして、休み時間の終わりと授業の始まりを知らせるチャイムが鳴り響いた。
94 :
ミスト:03/07/10 00:02 ID:JjxdQf55
それを合図に保健室にいた生徒たちは、それぞれの教室に戻っていく。
亜依も教室に戻ろうとしたとき、通り過ぎざまに一人の男子生徒のつぶやきが
聞こえてきた。
「山崎が、田中のファンって本当みたいだな」
「・・・・・・!」
それを聞いて亜依は立ち止まった。男子生徒は、こちらの様子を気にすることもなく
保健室から姿を消した。
山崎がれいなに反抗しなかったのは、れいなが好きだから?嫌われたくなかったから?
それにしては、山崎の普段の行動は、れいなに嫌われることに徹してるように思えるが。
「こらっ!亜依、遅刻になるよ」
梨華の声で思考が中断させられた。梨華とれいなは、すでに保健室から出て、廊下から
亜依が来るのを待っていた。
ある程度時間が過ぎると、遅刻扱いされることを思い出して、亜依はあわてて
保健室から飛び出した。
95 :
ミスト:03/07/10 00:20 ID:KBoAJpm5
やっと更新終わった〜。ギリギリ、セーフ?アウト?
微妙だな〜。後半部分は約束の時間に間に合わなかった〜。
>>86-87-88
レスありがとうございます。
この物語もいよいよクライマックスを迎えます。
次が最終回です。ぜひ、読んでくださいね。
>>95 更新乙です。次回最終回?
大長編になるんだとばかり思ってました・・・。
でも、楽しみにしてます。
更新乙です。
れいなさんいいなぁ。小説でもイイキャラですね。
長編を期待してたのですが、残念です。もっと続けてくれ〜!
98 :
ミスト:03/07/17 01:06 ID:Tn5BfdOA
山崎渉とその子分たちは、2時間目の授業の後、学校北側の森林の草地に
ねっころがっていた。彼らは、禁じられたタバコを吸うためにここに来ていた。
「大自然で吸うタバコは、うめえなあ。Hの後のタバコもうまいらしいんすけど
本当すかねえ、山崎さん」
「あん?当たり前だろう。うますぎて、三箱はいくぜ」
と言ったものの、山崎さんも童貞だったりする。
山崎さんは口から煙りを吐くと、タバコを草むらに放り投げた。
「こらっ、環境汚染するな」
その声に草むらに寝そべっていた山崎たちは、身を起こした。
「あんたたちがコソコソしてるから、直接、決着をつけに来たわよ」
山崎たちの前には、胸をそらせて不敵に笑っている亜依がいた。胸をそらせているためか
亜依の乳は1・3倍大きく見える。山崎含め、童貞集団のモノも大きくなる。
「この不良娘が!決着だあ?てめーら、やっちまえ!」
山崎の声を合図に男たちが亜依に飛びかかってきた。
99 :
ミスト:03/07/17 01:10 ID:Tn5BfdOA
静かな森林にドカ、ベチという音が一瞬響いたものの再び、森林はその静けさを取り戻した。
「・・・・・・あのさあ山崎くん」
「はい、なんで・・・ございましょうか・・・亜依様」
鼻血を流しながら山崎が恐る恐る聞いてくる。180度の態度の豹変ぶりである。
「今までさんざんノートや鞄、机をボロボロにされてきたから、これくらいじゃ天使のような
優しい心の持ち主の私でも気が済まないんだよね〜」
山崎の背中に腰をおろし、指の間接をポキポキ鳴らす。
「ちょ、ちょっと待ってください亜依様!もう、あのような嫌がらせは、絶対にいたし
ませんので、どうか許してください」
地面につくほど頭をさげ謝る山崎渉。
やたら腰の低い山崎にうんざりしながらも亜依は明るい口調で言った。
「今後は、タバコと私との関わりは、控えることね。寿命、縮むよ」
100 :
ミスト:03/07/17 01:14 ID:Tn5BfdOA
小柄な少女が校舎から出てくるのを亜依は、怒りというより悲しげな気持ちで眺めてた。
「どうしたの、亜依?」
少女が、不思議そうに亜依の顔をのぞきこんできた。
少女の右手は、鞄を持っていてる。仕事のために早退するようだ。
「・・・山崎たちをボコボコにしちゃった」
亜依が言うと、少女の表情がぴくっと動くのが分かった。
「れいな、そんなに仲間のことが心配?」
れいなは、亜依から視線を外した。しばらく沈黙していたが、やがて再び口を開いた時は、
ひどく静かな口調になっていた。
「・・・・・・山崎がしゃべったの?」
「いや、ただ・・・山崎に狙われてるのにれいなから危機感を感じなかったのと、保健室で
山崎を普通に殴ったところなんかを見ると、山崎が自分に危害を加えないことが分かって
いたんじゃないかと思ったんだ。つまり山崎と仲間なんじゃないないだろうかってね」
亜依は、沈黙しているれいなを見ながら、ゆっくりと聞いた。
「ねえ、れいな、私なんか恨まれることでもしたか」
101 :
ミスト:03/07/17 01:18 ID:Tn5BfdOA
れいなと山崎が仲間であると気づいたとき、亜依はある程度、覚悟した。
自分が知らないうちに人を傷つけていることは、あることだ。そして恨まれることも。
ただ、れいなの口から出た言葉は、自分の予想とはずいぶん違うものだった。
「私は・・・・・・亜依と梨華さんと友達になりたかったの」
「はぁい?私らと友達になりたかったあ?」
亜依は、少しこけそうになった。
「山崎に狙われてることにしたら、私のこと気にしてくれると思ったの」
「あの・・・何でそんなことするの」
「だって、友達になるのって、きっかけがいるじゃん。亜依も梨華さんも、学年が違うし・・・」
「あのさあ、友達って、あんたいっぱいいるんでしょう」
「全然いないよ。みんな、芸能人だからって色メガネで見るんだもん。私は、自由奔放な亜依と
すっごい綺麗な梨華さんに憧れてたの。2人と友達になれたら、ああいう人間に
なれるんじゃないかと思ったの」
102 :
ミスト:03/07/17 01:23 ID:Tn5BfdOA
以前、れいながクラスで人気者って言ってたけど、あれは見栄というやつだったようだ。
しかし、憧れていたと言われても困ってしまう。自分がそんな素晴らしい人間とは思えない。
二人の間に微妙な沈黙が訪れたとき、学校の中に白い乗用車が入ってきた。
車は、れいなの前に止まり、ドアがゆっくり開かれた。運転手が早く乗るように合図する。
「これから、ライブのリハーサルがあるんだ・・・もう行くね」
れいなは、亜依に軽くおじぎをすると、車に乗り込みはじめた。
れいなの背中が少し寂しそうだった。友達になって欲しかったからとはいえ、
亜依たちを騙していたには違いない。
もう以前のように接してくれることはないだろう、そしてまた、ひとりぼっちだ。
れいなが力無く笑った。そのとき、亜依の声が響いた。
「れいなー、絶対、モーニング娘で1番になってね、約束だからね」
「あっ・・・うん、あの・・・」
れいなは、何かを言おうとしたが言葉にならなかった。車は走り始めた。
103 :
ミスト:03/07/17 01:26 ID:Tn5BfdOA
連休明けの朝、亜依の家は、食欲をそそる匂いがたちこめていた。
「はい、出来わよ〜、オムライス」
母親の元気な声が響く。いつもなら、我先と飛びついてくるはずの娘がTVの画面から
目を離そうとしない。母親は、不思議そうに娘を眺めた。
我が子が食べ物よりも興味を示すものがあることに驚いた。
娘が興味を示しているのは「めざましテレビ」というニュース番組のようだ。
ガチャピンのような司会者と体重が標準以上の軽部アナが話している。芸能コーナーを
見ているようだ。画面にアイドルグループのライブ風景が映し出される。
(確か、モーニング娘とかいうアイドルね)
新メンバーが一人一人、自己紹介を始める。
104 :
ミスト:03/07/17 01:29 ID:Tn5BfdOA
「福岡県出身、田中れいなで〜す。この前、友達にれいな、絶対に1番になってね、
約束だからねって励まされました。モーニング娘で1番になれるようにがんばりま〜す」
自信に満ちた女の子の声を聴きながら、うちの娘は、成績で1番を目指してくれないものかと考えた。
と、それはさておき、母親として料理は、出来たてを食べて欲しいものだ。
「こらっ!亜依、いつまでTV見てるの!早く食べなさい」
母親の一喝で亜依は我に返ったようにオムライスに目をやる。
「あっ、ずる〜い。お姉ちゃんのが大きいじゃん」
「へへ〜ん、早い者勝ちだよ〜」
娘たちのいつもの争いを背中で聴きながら 、母親はクスっと笑った。
「食欲だけは1番ね」
「赤点娘。」 了
105 :
あとがき:03/07/17 01:33 ID:Tn5BfdOA
当初は、3日間隔で更新していこうと思ってたんですが、全然ダメでしたね。
こんなに読者を置き去りにした作者をお許しください。
この小説は、そう、あの「モーニング娘で1番をなるようにがんばります」の爆弾発言に
衝撃を受け、書いてみようと思った小説です。
うちは、地方なので実際に映像を見たのは、一ヶ月以上後でしたが・・・。
また小説を書きたいと思うんですが、今は燃え尽きて灰になっております。
いつか、また小説を書いているのを見かけたら、読んでやってください。
読者さん、本当にありがとうございました。
byミスト
作者さん、「赤点娘。」完結乙です。
亜依ちゃん、時々れいなちゃんにメールだけでも
してあげてほしい。そんな気持ちです。
楽しませていただきました。
どうもありがとう。
作者様、乙彼でした。
れいなさん、最高です。
乙かれさまでした、作者さん
れいなが少しかわいそうに思えたんですが・・・・・・
亜依と梨華は、れいなに今後も親しくしてあげてほしいなあ
簡潔乙です。
「ぬるぽ」で大爆笑しますた。
110 :
テスチ:03/07/30 00:50 ID:km74JbRD
テスト
112 :
test:03/07/30 23:08 ID:vkvisIZ+
test
113 :
山崎 渉:03/08/01 23:37 ID:W14ymtqq
(^^)
テスト
c
テスト
てst
te
test
tes
122 :
名無し:03/08/05 17:09 ID:JTIOq02j
test
123 :
test:03/08/05 17:44 ID:JTIOq02j
_&_ _/⌒ ̄⌒`´ ̄`〜ヽ'ー--、
\ \ _/ ιυっ ̄~つyへつ
\ \ / フっιつ人´ / /つυ^っへ っっ
| | / /つつ。o/ / / / ^つっへυっつ
| | _/ 〉o°o。 。 / / /°>つっっっつっっ
| (●)(●) / \γ、。 o 。 /o。/ /つっっつっつ
M つ __/ `⌒ヽっ/ 。/ / っつ) っつっつ
6 ___| =/ っっ τ-っつつっ、。| つ っつつつ
| / |  ̄ っっ )) ) っつつつ。| っっつつ
| | __\ −−−−−−− つつっιつ) ⌒つっ) っつっつ。 °| °
| | |||||||| < ホーマーのことかー!!!! っつっo °。 υつ っ つっυ。o。°| ° °
| |  ̄ ̄〕 −−−−−− っ\\っoっ。 °° つ。°°。o。o。\o。° 。°°。
|  ̄ ̄ ̄| つっつ _o°°。 ° ° 。o/⌒\。 o\°°o 。 /У\°
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こんなAA貼らないでくれよ
136 :
test:03/08/09 18:42 ID:YGGdj9EZ
∋oノハヽヘ
(‘ 。‘*从<ミストは最高っと・・・。
_φ___と)__
/旦/三/ /|
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |
| あやや |/
こういうAAはいい、かわいい
ほぜんです
保全
ほぜん
ho
142 :
はじめに:03/08/25 18:41 ID:VS3W66qZ
ずいぶん久しぶりに小説を書くんですが、1つ言っておかないといけないことがあります。
それは更新スピードのことです。今回は週一くらいのペースになると思います(ジャンプかよ)。
9月に入るとさらに遅くなる可能性があります。
というのは、ストックやプロットがほとんど出来上がってない・・・というのもありますが、
それ以上に僕自身、いい加減、真剣に勉強しなければいけない時期に入ったのが大きいです。
以前のように小説だけに情熱を注ぐことはできなくなりました。
「じゃ、書かなくていいじゃん」とか言われそうですが・・・・・・許してください。
書きたいんです。というわけで僕自身が死なない限り、この小説はちゃんと書き上げようと
思っているので長い目で気ままに読んでやってください。
from ミスト
143 :
ミスト:03/08/25 18:44 ID:VS3W66qZ
小説 「塾」
144 :
ミスト:03/08/25 18:48 ID:VS3W66qZ
「絵里ちゃん、今日からここでお勉強するからね」
優しそうな中年の女性が母親の手を握っている絵里にそう言った。
そこは塾だった。小学2年生になった絵里は親の薦めもあって、この塾に通うことになった。
絵里は子どもらしい好奇心に輝く瞳で、目の前の光景を眺めていた。
20畳ほどの広さの部屋に勉強するための長い台が等間隔で置かれていた。
その台では自分より年上の子どもたちがなにやら楽しそうに勉強していた。
彼らは絵里の存在に気づくと、ものめずらしそうな視線で彼女を眺めた。
絵里は急に恥ずかしくなって、母親の背後に隠れた。
その姿が可笑しかったのか、一部の少年たちは笑いはじめた。
絵里は悲しい気持ちになった。そして絵里の瞳からは光が消えた。
そのとき、後ろから中学の制服を着た青年が勢いよく教室に入ってきた。
145 :
ミスト:03/08/25 18:51 ID:VS3W66qZ
「先生見てくださいよ、数学64点とりましたよ。前回が52点だから僕はたった1ヶ月で
12点もUPさせたわけです。すごいでしょう。僕の計算だと3ヶ月後には
ちょうど100満点をとれることになっています」
青年はうれしそうにテスト用紙を先生に見せた。
先生はうんうんと何度かうなずいた。
「やればできるじゃない。この調子でがんばるのよ」
「はい」
青年は元気よく返事をした。
絵里はその青年をぼんやりと見ていた。
ふと青年と視線がぶつかり絵里は思わず視線をそらした。
146 :
ミスト:03/08/25 18:54 ID:VS3W66qZ
「あれ、その子は?」
青年は絵里を見ながら聞いた。
「今日からうちの塾に入った亀井絵里ちゃんよ」
先生は絵里の頭をなでながら説明した。
青年はふ〜んと何度かうなずくと、絵里の前にやってきて、ゆっくり腰をかがめると
笑顔を見せた。
「そんなに怖がらなくても大丈夫だよ。ここの塾の人はみんなやさしいから、いやっ・・・
先生は怖いけどね。ま、でもすぐに慣れるよ。絵里ちゃんと同い年の子もいっぱいいるから
すぐ友達もできると思うよ」
青年はそう言うと絵里の頭をぽんぽんとたたいた。
絵里は恥ずかしくなってうつむいた。
顔を上げたとき、青年は台の前に座り勉強を始めていた。
絵里は青年の背中をまばたきもしないで見つめていた。
青年のなにか明るいやさしさが絵里をとりかこんでいた悲しい気持ちをぱっと
吹き飛ばしてしまったような気がした。
147 :
ミスト:03/08/25 18:57 ID:VS3W66qZ
その後、絵里は塾にも慣れ、何人かとは友達になれた。
絵里の通っているこの塾には特に時間割りとういうものはなくて、夜の9時までの
間ならいつ来ても良かった。
ただ絵里のような小学生は4時頃に来て5時くらいに帰るのが普通だった。
例の青年は絵里が帰る時間帯にやって来ることが多かった。
青年が塾に入ってくるとき、絵里はいつも偶然を装って振り向いたりした。
何か話しかけてくれるんじゃないかと子ども心に期待していたのだ。
しかし青年は絵里のそんな気持ちを知ってか知らずか、何かしらの反応を示すことはなかった。
青年と絵里が言葉を交わしたのは最初のあの日だけだった。
絵里はいつも寂しそうに青年の背中を眺めるばかりだった。
148 :
ミスト:03/08/25 19:00 ID:VS3W66qZ
そんなある日、いつものように真剣に勉強している青年の背中を眺めていると、
となりに座っていた友達がふいに前にいる青年の背中をぽんぽんと叩いた。
青年は勉強している手を止め、振り向いた。
友達は何事もなかったかのように勉強してるふりをした。
絵里は青年が振り向いたことに驚き、動揺を隠すために変に真面目な顔になった。
「こら、絵里ちゃんか!」
青年は絵里の顔をのぞきこむように言った。背中を叩いたのは友達だったが
絵里は笑ってしまった。青年がひさしぶりに自分に注目してくれたのがうれしかったのだ。
それから絵里はちょくちょく青年にちょっかいを出すようになった。
149 :
ミスト:03/08/25 19:02 ID:VS3W66qZ
「こら、絵里!またお前か!」
150 :
ミスト:03/08/25 19:05 ID:VS3W66qZ
どこか遠い外界から聞こえてくる声。ぼんやりとした意識の中でその声が青年のものでは
ないことに気づく。でも聞き覚えのある声。誰だっけ・・・・・・
「あっ!」
絵里は声を上げ目を覚ました。覚ました瞬間にいやな予感がした。
思った通り、目の前には腕組みをした先生が立って絵里をにらんでいた。
クラスの人もにらみはしないものの無言で絵里を見ていた。
どうやら授業中に寝入ってしまったようだ。
「お前、受験生なんだから寝てる余裕なんかないだろう、今度寝てたら内申点を下げるからな」
「あっ、はい・・・・・・すいません」
素直に謝りながらも絵里は別のことを考えていた。
(なんで・・・あんな昔の夢を見たんだろう・・・・・・)
内申点なんかより前髪の乱れよりもそのことが気になった。
151 :
ミスト:03/08/25 19:11 ID:VS3W66qZ
今日はここまでです。
待ってました!
ミストさん新作スタートおめ!
test
もう放置なのか?
そうなのか?
test
test
158 :
ミスト:03/09/01 23:44 ID:yuQan1NB
つんくという詩人が作った詩の一節にこういうものがある。
午前の授業は長いんです
学生生活のあらゆることが、この短い一節にこめられているような気がする。
学生生活なんて単調で退屈なもんだ。
なのに何で大人は、学生生活というものを青春という陳腐な言葉を使ってまで賛美するのか。
それは、この学生生活の大部分を占めるこの単調と退屈を忘れてしまっているからじゃないだろうか。
わずかに起こる事件や出来事をだけが記憶の中に残り、振り返ったときに
それがさも毎日起こっていたかのように思い出されるからじゃないだろうか。
159 :
ミスト:03/09/01 23:47 ID:yuQan1NB
「こら絵里、なに難しい顔してんの」
友人の声に絵里の思想は中断させられた。4時間目の授業が終了し、給食の時間に
なっていた。友人は絵里の顔をのぞきこんだ。
「なんか最近の絵里、変だよ。授業中は寝るし、休み時間はなんか考えてるし、
悩んでることがあるなら相談に乗るよ」
「あ・・・ありがとう。でも大丈夫だよ」
絵里は弱々しく笑った。
確かにここ最近の自分が、変なのはうすうす気づいていた。何か物事をさめた視線で
見ているというか、斜めから眺めているというか・・・・・・
160 :
ミスト:03/09/01 23:50 ID:yuQan1NB
「また難しい顔してるよ」
友人はけたけた笑った。箸が転がっただけでも可笑しい年頃の女の子らしい無邪気な笑いだ。
絵里はうらやましいと思った。こんな笑いを最近してない、というかもう自分には
もう無邪気に笑うことはできないんじゃないかと思っていた。
161 :
ミスト:03/09/01 23:54 ID:yuQan1NB
給食の準備が始まり、さっきまで意気消沈していた教室がにぎやかになってきた。
絵里はそんな教室を抜け出して外へ出た。
なにかこの学校という空間から飛び出したいと思った。
( 今、ここから飛び出したら何か変わるのかな )
絵里は吸い込まれるように校門に近づいた。近づけば近づくほど背後が気になった。
ふり返れば自分のことを信頼してくれている人がじっと自分を見ているように思われた。
まじめで上品なお嬢様・・・・・・これが他人が信じている亀井絵里だ。
これを裏切るとどうなるんだろう。
162 :
ミスト:03/09/01 23:56 ID:yuQan1NB
絵里は1度ふり返った。後ろには誰もいなかった。
( 今がチャンスだ )
絵里は走った。校門を越え、住宅街に紛れこんだ。ふいに楽しい気分になってきた。
何度もふり返り、学校が小さく見えるたびに絵里はうれしさで笑いそうになった。
ただ学校が見えなくなると、押しよせてきた波が一気に引いていくように
絵里の気持ちの高揚も一気にさめていった。
「どうしようこれから・・・」
制服姿の自分が行ける場所なんであるのだろうか、自宅はだめだし・・・
街に出れば警察官に補導されるような気がする。
163 :
ミスト:03/09/02 00:00 ID:WsNbwtm7
何かに導かれるように絵里は思い出の塾にやって来た。絵里が小5まで通っていたが
先生 兼 経営者の女性が亡くなってしまったため、潰れてしまった塾だ。
木造平屋建ての塾は当時の姿を保ったままそこにあった。
「へ〜、てっきり取り壊されてると思ったら、そのまま残ってるんだね」
絵里は少し明るい気分になってきた。
さすがに古びた感じは隠せなかったが、壁や床はいかにも清潔だった。
勉強するための台や黒板もあった。
「あそこで勉強してたんだよなあ」
なつかしい気持ちがこみ上げてきた。
そのとき、塾に一台の自転車が勢いよくやって来た。男の人が乗ってる。
絵里は一瞬のうちに現実に引き戻された。自分が学校をさぼって
ここに来ているということを・・・
逃げたい衝動にかられたが体が動かなかった。
164 :
ミスト:03/09/02 00:16 ID:WsNbwtm7
>>152-153-155
レスありがとうございます。
ごらんの通り、今回は笑いの要素は、極少です。
なんていうか、もう少し深い小説を書きたいと思ったんで。
前回の小説が好きな方には退屈な小説だと思いますが許してください。
続きは明日、更新します。
ミストさん更新乙です。
いやいや、いい感じですよ。
続き楽しみです。
166 :
t:03/09/02 04:10 ID:VkkN8JAE
t
167 :
sage:03/09/03 00:48 ID:7RJWnFYI
t
168 :
ミスト:03/09/03 02:13 ID:3CpPNj8f
やって来た男は最初、高校生に見えたが、こんな時間帯に私服でいるところを見ると、
大学生か、あるいはフリーターの方じゃないかと思われた。
絵里を見ると青年は、少し困惑した表情をした。
「あれ?え〜っと・・・・・・」
何で中学生がいるのか不思議がりながらも、その理由を聞いていいものか悩んでるようだ。
絵里は学校名や名前を聞かれるのが嫌だったので、今すぐここを去りたかったのだが、
青年に不審に思われるのも嫌なので、愛想よく会釈をした。
「あ・・・入塾される方ですか」
「・・・え?、違いますけど・・・」
と、断ったあとに青年をばっと見た。
「あの・・・塾をやってるんですか」
「ええ、最近、僕が始めたんですけど・・・・・・といっても生徒は一人だけの赤字塾ですけど」
悲惨な経営状態なのだが、彼の口調は明るく、この状況を楽しんでいるかのようでもあった。
169 :
ミスト:03/09/03 02:17 ID:3CpPNj8f
「もしかして以前、ここの塾に通ってたことある方ですか?」
青年は、絵里に聞いた。
「はい・・・小学2年から5年まで通ってました」
「そうですか。僕も元ここの塾生でね、小、中とこの塾に通ってたんだ。
もっとも僕の場合はもっぱら遊びにきているようなもんで真剣に勉強したのは、
中3の1年間だけという、まじめな生徒だったけどね」
「私もそんな感じでした」
絵里は笑った。なにかこの青年は話しやすさがあった。
絵里は異性と話すのが苦手だった、というより嫌いだった。
彼らと話してると、ある瞬間からゴリゴリと強引に距離を縮めようとしてくるのだ。
そういう空気を感じとると、絵里の感情は警戒し、亀のように殻に閉じこもってしまう。
この青年は絵里に対して無関心というか、女として見てないふしが感じられた。
そのため変に緊張せずに自然に話せた。
170 :
ミスト:03/09/03 02:21 ID:3CpPNj8f
青年は近くに置いておいた脚立を持ってきて、壁にかけると塾の屋根の上に登っていった。
絵里も脚立で屋根に上がろうとしたが、ずうずうしく思われそうなのでやめた。
何かしら声をかけてくれれば、上がっていこうと思ったが、一向にその気配はない。
しょうがないのでしばらく眺めていたが、我慢できずに勝手に登っていくことにした。
屋根の上は、すっかり色のあせた瓦がぎっしり敷かれていて、さわるとぐらぐらし、
何かの拍子に一気にはがれ落ちるんじゃないかと思われた。
171 :
ミスト:03/09/03 02:24 ID:3CpPNj8f
いつの間にかスカートには汚れがついていて、たたいてもたたいても落ちなかった。
そんな絵里を見て、青年は「中学生が来るには早いですよ」と笑った。
青年は落とし物を探すかのようにうろうろして、ふいに「あった、あった」と叫んだ。
見るとひびのはいった瓦がそこにあった。
「ここから雨が入ったのか・・・・昨日ひどく雨漏りしましてね。
僕も生徒も雨漏りなんて経験、初めてだったんで、感動したんですけど、
いつまでもほっとくわけにもいきませんしね」
青年は立ちあがると大きく伸びをし、絵里の方に向きなおった。
「これから補修用具を買いに行くんですけど、来ます?」
「今からですか・・・・・・え〜と・・・・・」
と悩んだふりをしてみたが答えは決まっていた。
「行きます」
172 :
ミスト:03/09/03 02:28 ID:3CpPNj8f
2人を乗せた自転車は走りはじめた。2人乗りが初めての絵里は、不安定さと
スカートがめくれそうなのとで、とても快適とはいえなかったが、楽しいと思った。
ただ、自転車がずいぶんと見覚えのある道を走りはじめたのが気になった。
( まさか中学校に行かないよね )
不安な気持ちにかられて、青年の背中を見つめた。
自転車は中学校の5メートル手前で止まったり、絵里の悪い予感は的中した。
「さ、もう学校に行きなさい。今なら5時間目に間に合いますよ」
青年は明るい口調で言った。だがその明るさが絵里には腹立たしく思えた。
無言で自転車から降りると、すたすたと学校の方に歩きはじめ、一度もふり返らなかった。
女心と秋の空とはよく言ったもんで、絵里はこの青年が大嫌いになっていた。
173 :
ミスト:03/09/03 02:37 ID:3CpPNj8f
>>165 レス毎回ありがとうございます。
はげみになります。
間に合わなかった〜。日付的には約束を守った形ですが・・・・
しかし、小説書いてると恐ろしいほど時間が過ぎるのが早いなあ。
更新乙です。
この作品の絵里ちゃんは現実の亀井絵里ちゃんと
非常によく似ているのではないか
そんな気がしてます。
175 :
名無し募集中。。。:03/09/09 19:27 ID:g4S377FB
ほ
176 :
ミスト:03/09/10 23:34 ID:Lkx8kI54
近所迷惑この上ない大音響で音楽がなりひびく。ただ体育祭である今日だけは許される。
保護者の人だろうと思われる人たちが、盛んにカメラを片手に、我が子の活躍をやきつけよ
うと必死になっている。若干名、違う目的でカメラを撮る者もいるが・・・・
今日最初の競技をおえた絵里は、自分の座席へと向かっていた。
赤・白・黄色・紫の色に分かれて対抗する体育祭において、それぞれの色をモチーフとし
た巨大な絵のパネルは、体育祭に活気と華を添えてくれる。
そのパネルの裏では、日よけがてらに生徒や一般の人たちが集まっている。
と言っても、大部分の生徒は、まじめに席につき、炎天下のなか、競技を応援している。
と、気になる、というか、鼻につく人物が絵里の目に飛び込んできた。
177 :
ミスト:03/09/10 23:37 ID:Lkx8kI54
数日前に出会った塾の先生をしているとかいう青年が、パネルの裏で休んでいたのだ。
絵里はにらむように青年を見た。こっちに気づいたら、無視してやろうと考えていたが、いざ視線がぶつかると、いつものくせで微笑してしまった。
( 何やってるんだ、わたしは。ああ〜、絶対誤解されたよぉ〜。言っとくけど、
わたしは、あなたなんかに、これっぽっちも好意を抱いてないんだからね )
絵里は心のなかで叫びまくった。
「暑いですね」
青年はのんびりとした口調で言ってきた。
178 :
ミスト:03/09/10 23:42 ID:Lkx8kI54
「なんでここにいるんです?」
自分でもいやだなと思う、冷たい口調で聞いた。
「応援にきたんですよ」
「・・・・・・応援?」
絵里は5秒半ほど、きょとんとして我に返った。
「わたしの応援にきたんですか?」
絵里は不思議そうに聞いた。なんで1度しか面識のない自分のために応援なんてしにきたのか・・・
分からない。いやもしかして、恋、恋だろうか。この青年は自分に恋をしてるんじゃ・・・・・
きっとあの日、わたしと会ったあの日に一目惚れしちゃったんだあ。
自分の容姿に、密かに自信をもっていた絵里はそう考えた。
179 :
ミスト:03/09/10 23:46 ID:Lkx8kI54
「・・・・・・なに、ぶつぶつ言ってるんですか」
青年は心配そうに聞いてきたが、その声は絵里の耳には届かなかった。
訳が分からずポカーンとしていると、ふいに青年の背中に何かが体当たりしてきた。
ふり返って青年は笑顔になった。
「おお、れいなか」
つやのある黒髪に、活気のある瞳、美少女というより悪童という印象の強い女の子がそこにいた。
「なに先生、ナンパするためにここに来たの」
れいなは、いたずらぽく言った。青年にとっての唯一の生徒さんである。
「違いますよ。約束通りれいなの応援にきましたよ」
「そっか」
れいなはそっけなく言うと、うれしそうに笑った。
180 :
ミスト:03/09/10 23:50 ID:Lkx8kI54
「障害物リレー1番だったら、アイスクリームね」
「いいですよ」
青年は少しふところの深いところを見せた。
「その人、だれ?」
れいなは青年に聞いた。
「ああ・・・幼なじみの女の子ですよ」
「違います!幼なじみなんかじゃありません」
絵里は全力で否定した。
「確かに昔、同じ塾に通ってたみたいですけど、話したこともないですし・・・」
と、言いながら絵里はふいに恥ずかしくなってきた。こんなにも感情むき出しになって
いる自分が、周りにどう見られているか気になりはじめたのだ。
181 :
ミスト:03/09/10 23:53 ID:Lkx8kI54
「あのさぁ、先生は今日どうするの食事は?」
「近くの吉牛でも行こうと思ってるんですが・・・」
「それなら、うちに来なよ。お母さんが先生の分まで作ってきたからさあ」
「本当ですか!いや〜持つべきものは生徒ですね。5日連続、吉牛という記録更新は
避けられましたよ」
青年のうれしそうな様子に絵里は、なぜか苛立っていた。ただ、その苛立ちは青年というより
れいなに対して向けられているようだった。
( なんで、れいなちゃんに・・・・・・ )
自分のこの負の感情におどろきつつ、それを隠すように絵里は、笑顔を作った。
182 :
ミスト:03/09/10 23:56 ID:Lkx8kI54
青年のなけなし金が、アイスクリームへと変わり、れいなの胃の中に消えた頃、
絵里はクラスメートの木下に呼び出された。
183 :
ミスト:03/09/11 00:04 ID:wIk+9SUV
>>174 そう言ってもらえて嬉しいんです。
今日はここまでですが、次回は近いうちに。
作者さん更新乙です。
れいなちゃん、来ましたねぇ!
今度は如何なる展開に・・・。
いいっすねー
6期が小説に出てくると新鮮で面白いです
がんばってください!
186 :
ミスト:03/09/17 01:37 ID:FfJ4oYBo
グランドの熱気や喧騒が、どこか他人事のように思えてくる静かな場所に絵里はいた。
絵里を呼び出した木下という男は、楽しそうにハチマキをくるくる回した。
この夏までバスケ部に所属していて、運動神経、ルックスとも申し分ない男だ。
もちろん、リレーの走者にも選ばれていて、その足の速さは学校内一とも言われている。
「いよいよ午後からは、色別対抗リレーがあるけど、がんばろうな、亀井」
「あ・・・うん」
木下と同様、絵里もリレーの走者に選ばれていた。
「なんか元気ねえなあ」
「・・・そんなことないよ」
絵里は小さな声で言った。その声を聴きとろうとするように、木下はグッと絵里に近づいてきた。
絵里は思わず後ずさりした。反射的に、体が動いのだ。
絵里は木下との距離が近すぎることに、一瞬で恐怖した。
( あっ・・・嫌な感じ与えちゃったかな・・・・・・ )
離れたあとで後悔した。木下はその端正な目で、じっと絵里を見てくる。
187 :
ミスト:03/09/17 01:40 ID:FfJ4oYBo
「そうだ」
木下はぐっと体を乗りだすと、絵里の耳元に顔を近づけ、
「もし、俺がリレーで1番取ったら、付き合おうよ」
とささやくように言った。絵里の心臓は、飛び出しそうになった。
「じゃ、この事は内緒だぜ。考えといてくれよ」
木下は、にこっと笑うと、グランドの方に走っていった。その姿を直視することは、
できなかった。うつむいたまま、混乱している頭を、落ち着けることで必死だった。
頬が異常に赤くなり、胸の鼓動は激しくなり、苦しいほどになった。
( どうしよう人に見られてたら・・・・・・ )
絵里はおびえた瞳で周りを見渡すと、逃げるようにその場から立ち去った。
188 :
ミスト:03/09/17 01:43 ID:FfJ4oYBo
そんな様子をしっかりと見ていた2人の人物がいた。
「なかなか、いいものを見させてもらいました」
青年は、建物の影に隠れてる、れいなに言った。
「でしょ」
「・・・なんて言うと思いましたか!まったく、田代さんにでもなった気分でしたよ。
面白いもんが見られるからって言うから、ついて来てみれば、こういうことですか」
青年はあきれ気味に言った。れいなは、肩をすくめて、いたずらぽく笑った。
189 :
ミスト:03/09/17 01:46 ID:FfJ4oYBo
「先生は、あの2人をどう思う?」
「・・・美男美女の理想的な組み合わせですね」
「それだけ?」
れいなは、のぞき込むように青年の瞳を見た。
ドキッとして後ずさりする。
「それだけですけど・・・」
なにか尋問で受けているかのような、妙な威圧感を覚えた。
「そう」と、れいなはそっけなく言うと、背を向けて歩きはじめ、
ふいに思い出したようにふり返った。
「先生、絵里とどういう関係なの?」
190 :
ミスト:03/09/17 01:50 ID:FfJ4oYBo
「絵里ってだれですか?」
青年にとっては、初めて聞く名前だった。知ってる女性の名前を思い出してみるも、
絵里という名前は出てこなかった。
「さっきの女の子のことだよ。亀井絵里って言うの彼女の名前」
「そうなんですか・・・なんで知ってるんですか?」
「結構、人気あるんだ、あの子。うちのクラスの男子にも狙ってる子、多いよ。
ただ極度の男性恐怖症で、付き合うはおろか、会話することだって難しいんだから」
れいなは口調に力を込めながら、近づいてきた。そしてビシッと指さす。
「なのに、なんで先生と普通にしゃべってんの」
「女性だと勘違いしてるんじゃないでしょうか・・・僕のこと」
青年の言葉は、1グラムの笑いも生み出さなかった。そこそこ自信はあったのだが・・・
191 :
ミスト:03/09/17 01:55 ID:FfJ4oYBo
「あの〜、邪推するのは止めてください。絵里さんは、昔、同じ塾に通っていたと
いうだけです。彼女が僕と話すのは、男として見ていないからでしょう。
男として見てないから、普通に話せる。学生時代から死守してる僕のポジションです」
なぜか青年は誇らしげに言った。そのポジションをかたくなに守り続けているため、
青年は今でも、清らかな身なのだが。
れいなは、うつむいて足下の小石をけった。
「ま、でも先生・・・・・・・いっぱい、良いところあるよ」
静かにつぶやいた。言ったあと、はずかしくなった。
「うれしいこと、言ってくれますね・・・・・・おごりませんよ」
「あっ!ひどい。本心で言ったのに」
せっかくいい雰囲気なのにぶち壊す。ここら辺が童貞でいられる秘訣のようだ。
192 :
ミスト:03/09/17 01:58 ID:FfJ4oYBo
>>184-185 レスありがとうございます。
全然、近いうちじゃなかったですね、すいません。
作者さん更新乙です。
ホントいい雰囲気の作品ですね。
面白いです。続き楽しみ。
194 :
:03/09/21 22:47 ID:au5JenoJ
195 :
名無し募集中。。。:03/09/22 19:04 ID:iEUua0xb
これおもしろいか?
充分おもしろいよ
197 :
ミスト:03/09/23 15:57 ID:7mr9NGgb
今、ネットカフェから更新しようとしてます。
正直、周りに人はいるし、仕切りはないはで、困っています。
さすがに隣に人が座ってまで、ノートを見ながら更新する男気は
ボクにはありません。
変な更新量になるかもしれませんが、許してください。
198 :
ミスト:03/09/23 19:48 ID:7mr9NGgb
何人かの熱中症を出したものの無事ケガもなく、最後の大イベント、
色別対抗リレーを残すのみとなった。
絵里もれいなもリレーの選手に選ばれていた。
さすがにそれぞれの色を代表した走者たちなので、肥満で悩んでいそうな体格の方は、
見当たらない。
あっという間に半周すると、次々とバトンを渡していく。
れいなの出番はすぐに回ってきた。他の走者が足をたたいたり、屈伸運動するなか、
群集のなかに青年を見つけると、手をあげて応える余裕もみせた。
( リレーに集中しなさい )
青年は目で注意した。そんな青年の気持ちが伝わったのか、れいなの表情がひきしまった。
バトンを受け取ると、猛然とダッシュし、前の走者を一気に抜き去り、トップに踊り出た。
そして、そのまま後続をつき放し、次の走者にバトンを渡す。
れいなが属する赤組から大歓声が起こった。
199 :
ミスト:03/09/23 19:50 ID:7mr9NGgb
れいなが仲間から熱い祝福を受けているころ、絵里は白線の上に立って、
何度も太ももを叩いていた。緊張から呼吸もしずらいほどだった。
周りの期待や声援も絵里にとっては、苦しめるだけのものでしかない。
走者はすぐにやって来た。絵里はバトンを落とさないように全集中力を指先にかける。
しかしバトンは絵里の手からすべり落ち、地面を何度かバウンドしながら転がっていった。
( !! )
絵里の頭は、文字通り真っ白になった。最悪な予感が現実となって襲いかかってきたのだ。
絵里は急いでバトンを拾うと走り出した。何か無音の世界を一人で走っているような感覚だった。
自分の息遣いだけが、妙にリアルに聴こえた。
最後のアンカーにバトンを渡したようだが、覚えていなかった。
走り終え、座りこむなり、絵里は声を殺して泣いた。
200 :
ミスト:03/09/23 19:51 ID:7mr9NGgb
全員が自分を非難の視線で見ているような気がした。
ただ、大部分の人間の視線は、アンカーの木下に向けられていた。
木下は絵里からバトンを受け取ると、ものすごいスピードで一気に先頭集団に追いつくと、
そのままの勢いでトップに踊り出たのだった。
グランド内に女生徒たちの黄色い歓声がとどろいた。
201 :
ミスト:03/09/23 19:53 ID:7mr9NGgb
「もー、めっちゃ悔しいですぅー」
今日、3回目のれいなのグチ・・・というか、某銀メダリストの物まねを、なかば強制的に聞かされながら、
青年は次々とかたずけられていくテントを眺めていた。
れいなが属する赤組は、青組の木下が1位を取ってしまったため、れいなの健闘もむなしく、
総合で2位になっていた。
「ま、しょうがないですよ。2位なんてすばらしい成績じゃないですか」
もはや120%の義務感で言っているのを自覚しながら、青年は言った。
「・・・・・・全然だよ。もーっ最悪」
れいなは叫ぶと、ちらっと青年の方を見た。
「先生は絵里のこと応援してたし・・・・・・」
独り言のように言うと、グッと青年をにらんだ。
どうやら体育祭の結果より、そのことが気に入らないようだ。
202 :
ミスト:03/09/23 19:55 ID:7mr9NGgb
「・・・・・・ああ、あのバトンを落とした子ですか?しょうがないですよ、かわいそすぎじゃないですか」
浮気がバレた男の気分に似たものを満喫しながら、青年は答えた。
れいなの応援に来たものの、不幸に見舞われた絵里をついつい応援してしまったのだ。
「・・・・・・泣くほどのことじゃないよ。あれくらいで落ちこんでたら、人生つらいことばっかりになっちゃうよ」
「れいなだったら、どうしてました?」
「わたしなら・・・落としちゃったハハハ・・・って笑ってごまかすかな」
確かにそう言いそうであった。そして、それを言っても許されてしまうのが、この娘のうらやましいところだろう。
「先生、明日は塾あるの?」
「今日のれいなは、大変がんばっていたので、明日もこの調子でがんばりましょうか」
「えーっ、もうヘトヘトなのに・・・」
れいなは弱々しく抗議の声をあげた。さすがの彼女も少々お疲れのようだ。
203 :
ミスト:03/09/23 19:57 ID:7mr9NGgb
「と言うのは冗談ですよ。ただ親御さんから授業料はしっかりいただいているので、休みというわけには・・・
なので、明日は参考書でも買いに近くの本屋でも行ってみますか」
「先生、品揃えとか考えたら、街の本屋のがいいよ」
急に元気になったれいなを見ながら、青年は少しのあいだ、思案した。
「ま、そうですけど・・・・・・どうも、不純な動機が見え隠れしてるような・・・・・・・
言っとくけど、参考書を買いに行くだけで、遊びにいくんじゃないですよ」
「分かってるよ。別に観覧車に乗りたいとか、ボーリングやりたいなんて言わないから。
でも洋服を見たりするくらいならいいよね」
ある意味、それが一番イヤかもしれない。
女の買い物、とくに洋服に関しては、おそろしいほど時間を費やすらしいので。
「・・・・・・それぐらいならいいでしょう」
ただそういう経験も知識もない青年は、容易に認めてしまうのだった。
204 :
ミスト:03/09/23 20:09 ID:7mr9NGgb
なんとか更新できた。もう少し推敲の時間が欲しかったけど。
>>193 そんな大それた事を言われると・・・・うれしいです。
>>195 もう少しお付き合いしていただければ、面白くなるかも(w
なんか更新に苦労されてるみたいですけど、乙です。
慌てなくても大丈夫ですよw
ゆったりと楽しませてもらいます。
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